第216回 モーツァルティアン・フェライン例会 2003年5月11日

  
 事務局レター【第91号】/2003.5.1  

 【編集者】山本廣資/古田佳子

●5月例会(第216回)のお知らせ 

 お話…大町 陽一郎氏(指揮者)

 日時:5月11日(日)午後2時

 会場:原宿カーサ・モーツァルト(原宿医院)3Fホール(JR「原宿」下車・徒歩5分/地下鉄「明治神宮前」下車・徒歩3分)

 例会費:¥2500(会員、一般共)

例会会場;原宿【カーサ・モーツァルト案内図】


 

今月は、皆様良くご存知の指揮者、大町陽一郎氏のお話です。今回は会員の斎藤正さん(イタリア・モーツァルト協会東京支部事務局長)を通じてのご紹介で、イタリアモーツァルト協会東京支部との共催という形になります。講師の方には、いつもはモーツァルトに関する何かのテーマでお話を伺っていますが、今月はお話のテーマについて、斎藤さん経由で、下記のメッセージが寄せられました。

 『特に決めたテーマでの話とはしたくない。決めてしまうと、そのテーマにしばられて話が固定し、面白くなくなり、また、聴衆の方もその期待にしばられて、幅広い即興的な講演の面白さを楽しめないのではないか。出来るだけその場で、聴衆の顔をみて、反応を確かめながら話をすることを基本としたい。

とはいうものの、せっかくの機会なので、中心のテーマとして、「ハイドン・ベートーベン、モーツァルトとフリーメーソン」、「フランス革命とモーツァルト」、「属先生とのイタリア・モーツァルトの旅」など、を取り上げたいと思う。(内容はそういうことで、当日のお楽しみ)「モーツアルトの旅」については、出来ればビデオでお話し出来ればと思います。(斎藤正)』

 指揮者としての豊富な経験からのモーツァルトに関するお話は、テーマなど決まっていない方が即興的な面白いものとなることでしょう。どんなお話になるか楽しみですね。

 尚、例会後はいつものように近くの「ステージ・Y2」(渋谷区神宮前1-13-12 ℡03-3418-1031)で懇親会を行います。御都合がつけば先生もご出席される事でしょう。是非ご参加ください。(Y)

 

●今後の例会のご案内

 6月8日 浜中浩一氏(日本クラリネット協会会長)、二宮和子氏(同常任理事)「クラリネット・デュオによるモーツァルトの曲の演奏とお話」

 7月13日 倉島収氏(本会副会長)「最近のエアチェックビデオから」

 8月 ――――― 夏休み ―――――

 

 ●4月例会の報告(第215回/2003年4月13日) 

 「ピアノ・ソナタに見る心象風景」・・・・お話 久元祐子氏(ピアニスト)

モーツァルトはクラヴィーアのための曲をたくさん書いているが、中心となるのはやはりクラヴィーアのソナタである。彼自身はクラヴィーアのソナタについてそれほど重要視していなかったのは確かで、それはクラヴィーアのソナタについて言及した記録がないことからも伺える。

クラヴィーアのソナタは18曲あるが全て3章で、基本的には早めの第1章、穏やかな第2楽章、ソナタ又はロンド形式の第3楽章といった物が多い。急-緩-急のかたちの中に多様な個性が入っているのが魅力で、この中に、モーツァルトの心象風景が伺えるとの事で夫々の時期の代表的な作品を演奏し、解説していただいた。以下はその概要である。

①はじめにK.545のソナタの演奏。どうしてこんな曲に「初心者のための小さなクラヴィーア・ソナタ」とサブタイトルをつけたのか分からないとおっしゃる程難しい曲だそうである。

②ヨハン・クリスティアン・バッハ:ソナタ ニ長調 作品5-2第1楽章。(以下全てモーツァルトのクラヴィーア・ソナタ)

③ソナタ ニ長調 K.284「デュルニッツ」 から第1楽章:J.C.バッハの写しといってよいほどそっくり似ていて、モーツァルトの学習の眼差しが伺える。譜面によればオクターブ違うだけなどの他良く似た音形が出てくる。モーツァルトの第1主題にJ.C.バッハの第二主題をつなげる実験も演奏されたが、音楽が自然に流れてゆき違和感がなかった。曲想・デザイン・部品が同じなので取替え可能というわけである。

④マンハイムでカンナビッヒの娘のために書かれたソナタ ハ長調 K.309の第1楽章:父から独立して何とも明るく暗さの影もない。丁度この頃はアウグスブルクのベーズレ嬢に駄洒落や悪ふざけ満載の手紙を書いている頃であるが、この作品の音形やリズムにこの手紙の雰囲気が表れており、人をからかいながら自分も楽しんでいる感じで、音符の向うから開放感が見えてくる事。久元さんはこの曲をひそかに"ベーズレ・ソナタ"と呼んでいるそうである。(我々もそう呼びますか)

⑤ソナタ ニ長調 K.311 第2楽章:このアンダンテの曇りのない明らかさはト長調の調性から来るものであるが、平均律でなく古典調律ならもっと明るくすんでいたと思う。アロイジア・ウエーバーとの別れも関係ある。

⑥ソナタ イ短調 K.310 第2楽章:青年となったモーツァルトには冷たく、母を失ったパリのモーツァルトの心象風景が表れている。K.311の第2楽章と同じような明るさではあるが、K.310はきれい事で終わっていない。不協和音を連続して使っている所などは地獄の釜の蓋をあけるような感じであるが、又天国の平安の世界に戻ってくるところが凄い。光と影の交錯、奥行きの深い音楽は、K.311から大きく踏み出し性格が違っており、モーツァルトが大きく成長していることを伺わせる。この楽章は地獄をみたものにしか書けない名曲である。

⑦ソナタ イ短調 K.310 第3楽章:足が地に付かない不安感が冒頭から出てくる。第2楽章と同様にパリのモーツァルトの心象風景が表れていると筆者にも感じられた。

⑧休憩の後は"パイジェルロのオペラ「哲学者きどり」から「主よ幸いあれ」による6つの変奏曲 ヘ長調 K.398"

⑨ソナタ ハ短調 K.457 第1楽章:体の中から湧き上がってくるエネルギーが力強く、緊張感がみなぎっている。ハ短調の和音の上昇エネルギーに絶頂期のモーツァルトがうかがえるとのこと。ここでは同じ調性のベートーヴェンの悲愴ソナタとの関連も弾き語りでの説明があった。

⑩ソナタ K.570 変ロ長調:絶頂期のエネルギーが段々失われている。父親の見舞いにも、葬式にも行かず、遺産を巡っての姉との諍い、生活苦もあってモーツァルトの心寂しい雰囲気が出ている。現世に背を向け彼岸への憧れすら感じられる。音を動かさなくても大きなものを表現しており、簡明な形なのに多彩な表現がある。音の動きは少なく、エネルギッシュでなく慣性で動く世界といった晩年の特徴が表れている。マンハイムから10年こんなに変ってしまったのである。

 寂しい感じで終わるのは嫌ということで、アンコールは会場近くにある『ジブリ美術館』ちなんで『"千と千尋の神隠し"のテーマ』であった。

モーツァルトのピアノソナタについてこのような聴き方をしたことはなかったが、作曲された時期の心象風景が、まちがいなく作品に投影されている事は良く分かった。

 小林秀雄は「・・・彼の統一のない殆んど愚劣とも評したい生涯と彼の完璧な芸術との驚くべき不調和・・・」と書いているが、当時のモーツァルト研究のレベルや最近のたくさんの情報を考えると、彼の評論についても割引いて考えたほうが良いのではないだろうか。例えばK.330~K.332の4曲は以前はパリ・ソナタといわれていたが、近年の研究ではウィーン時代の初期に書かれた物とされている。小林秀雄が『モーツァルト』を書いた頃はこのことは不明だったので、母親の死と、自信をに満ちてウィーンに出てきた頃のこれらの曲との違和感を大きく感じたのであろう。逆にいえば、モーツァルトのピアノソナタにおける心象風景が表れている事を示しているともいえるのではないだろうか。

モーツァルトも面白かったがベートーヴェンについての解説も興味を惹かれた。例会ではとりあげられないだろうが、いつか別の機会にこのような話を聞きたいと思った。(文責Y)

 

 

●情報コーナー

 コンサート情報

★5/15(木)~17(金)19:00、18(日)15:00新国立劇場(小)/ガッザニーガ!:ドン・ジョヴァンニ/指揮:松岡究、演出:今井伸昭、キャスト:大野光彦・上原正敏・針生美智子・国光智子・関真理子・安井陽子他、新国立劇場合唱団、新国立小劇場オペラ・アンサンブル \4200 ℡:新国立劇場ボックスオフィス03-5352-9999
 ★5/17(土)18:00紀尾井H/イベール:モーツァルトへのオマージュ、フォーレ:パヴァーヌOp.50、M:ピアノ協奏曲K.488、シューマン:交響曲第2番/(P)アリシア・デ・ラローチャ!、尾高忠明:紀尾井シンフォニエッタ東京 \5500~3500 ℡:紀尾井H 03-3237-0061
 ★5/19(月)19:00 JTアートH/M:オーボエ協奏曲、ブラームス:弦楽4重奏曲第3番、ベートーヴェン:弦楽4重奏曲第11番、バックス:オーボエ五重奏曲/(Ob)広田智之、ハレー・ストリング・カルテット \3000 ℡:JTアートH・アフィニス03-5572-4945
 ★5/22(木)19:00かつしかシンフォニーヒルズ・アイリスH、「フローリアン・プライ(Br)&リコ・グルダ ~才気あふれる二世が語り合う、夢の顔合わせ~」/シューベルト:即興曲より、「ます」,「菩提樹」,「さすらい人」、M:「静けさはほほえみ」、ピアノソナタK.311,歌劇「魔笛」より、ブラームス:「眠りの精」,「日曜日」,「サッフォー風の讃歌」,他 \4000 ℡:ムジーク・レーベン03-5458-7777
 ★5/24(土)18:00東京文化会館小H/ベートーヴェン:弦楽4重奏曲第6番Op.18-6、ブリテン:3つのディヴェルティメント、M:ディヴェルティメントK.563!/クァルテット エクセルシオ \3000 ℡I:VS音楽出版03-5261-3361
 ★5/31(土)14:00東京文化会館小H―久元祐子ピアノリサイタル―/M:パイジェルロのオペラ"哲学者気取り"から「主よ幸いあれ」による6つの変奏曲K.398、の他ヴィトールス、チマローザ、リストの諸作品 \3000 ℡:プロアルテムジケ3943-6677
 ★6/2(月)19:00王子ホール/M:ヴァイオリンソナタK.377,380, 379,376,481,454,526/(Vn)ミドリ・ザイラー、(P)ジョス・ファン・インマゼール\6000 ℡:王子H:03-3567-9990
 ★6/6(金)19:00目黒パーシモンホール/ワグナー:ジーグフリート牧歌、コープランド:クラリネット協奏曲、シベリウス:悲しいワルツ、M:交響曲第29番K.201/(Cl)チャールズ・ナイディック、オルフェウス室内管弦楽団 \8000~5000 ℡:神原音楽事務所03-3401-8771 


CD情報※外盤価格は新宿タワー価格

★「後宮からの逃走」/アーノンクール:アカデミー管弦楽団他 Decca473 804-2 \1850(2枚組)(Double Deccaシリーズの1枚)
★「魔笛」/リップ、ゼーフリート、ユリナッチ、デルモータ、クンツ他、カラヤン:ウィーンpho. The50`s 50-08 \890!(2枚組) 
★ピアノ協奏曲K.466、K.488/(P)ミケランジェリ、ジュリーニ:RAIローマ管弦楽団、他にショパン、バッハ、スカルラッティの独奏曲 The50`s 50-15 \890!(2枚組)(The50`s という新しいレーベルは、1950年代の名演奏の復刻を目的としているようで、値段も2枚組で\890と格安!リパッティのK.310やパルティータ等もある。今までにいろいろなレーベルで復刻されている物もあるがもっていない方には朗報) 
★ピアノ協奏曲第9番K.271、第19番K.459/(P)クララ・ハスキル、カール・シューリヒト:シュトゥットガルト放送交響楽団 hanssler classic CD 93.079 \1290


 

●あとがき

先月は大きな会場に小編成のオーケストラは合わないということを書いたが、今月はその逆の話である。最近あちこちに小奇麗なサロンコンサート会場が出来、いろいろなイヴェントが行われているのは音楽ファンとして大変喜ばしい事ではあるが、おいてあるピアノが会場の大きさに合わない例が時々ある。今日の会場に関してはピアノの音量が適量で50人程度のホールにうまくマッチングしていて聴きやすかった。ここ「ラ・フォルテ・カフェ」においてあるピアノは河合楽器の「ボストン」(Designd by Steiway & Sons)で、グランドピアノではあるが小ぶりである。(Y) 

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第215回2003年4月フェライン例会

 
事務局レター第90号 2003.4.1 モーツアルテイアン・フェライン

  

 事務局レター 2003.4.1【第90号】 


 【編集者】山本廣資/古田佳子

●4月例会(第215回)のお知らせ 「ピアノ・ソナタに見る心象風景」お話…久元祐子氏(ピアニスト)

 日時:4月13日(日)午後2時

 会場:コンサートスタジオ「ラ・フォルテ・カフェ」(JR吉祥寺公園口下車・徒歩10分)

 例会費:¥3000(会員、一般共)

吉祥寺 【「ラ・フォルテ・カフェ」案内図】(もし文字化けしましたら、表示→エンコード→日本語(自動選択)をクリックしてください。)


 

 昨年の久元さんの「モーツァルトにおける即興とカデンツァ」は大変楽しいお話でしたね。今年も同じ吉祥寺の「ラ・フォルテ・カフェ」で演奏を聴きながらお話しを聞くという集いになります。久元さんからはタイトルの「ピアノ・ソナタに見る心象風景」について次のようなコメントただきました。 

 『よく知られているように、小林秀雄は「モォツァルト」で、モーツァルトを「本質的な謎」と書いていますが、おそらく小林秀雄は、モーツァルトの神秘性が肉体と精神の隔絶から来ていると考えたのではないかと思います。モーツァルトの「統一のないほとんど愚劣とも評したい生涯」と「完璧な芸術」との間には、「驚くべき不調和」があると小林は考えます。

しかしこのような観念的な見方は、モーツァルトを弾き続けてきた実感からはかなり距離のあるものです。さまざまな時期に書かれたモーツァルトの鍵盤作品、とくにピアノ・ソナタを弾いていますと、私には、モーツァルトの短い生涯のそれぞれのステージにおいて、身体的な感覚や視線のありようが異なっていることを感じます。モーツァルトの心象風景は、まちがいなく作品に投影されているように思えるのです。

 今回はやや主観を交えながら、その辺のところをどのように感じているかをお話しさせていただければと思います。』


プログラム(オール・モーツァルト)

・クラヴィーア・ソナタ ニ長調KV284「デュルニッツ」 第1楽章
・クラヴィーア・ソナタ ハ長調 KV309 第1楽章
・クラヴィーア・ソナタ ニ長調 KV311 第2楽章
・クラヴィーア・ソナタ イ短調 KV310 第2楽章
・クラヴィーア・ソナタ イ短調 KV310 第3楽章
・パイジェルロのオペラによる6つの変奏曲 ヘ長調 KV398
・クラヴィーア・ソナタ ハ短調 K457  第1楽章
・クラヴィーア・ソナタ K570 変ロ長調

  ピアノソナタの演奏者の感性を通して観た、モーツァルトの心象風景とはどんなものなのでしょうか。大変楽しみですね。尚、例会後は同じ「ラ・フォルテ・カフェ」で懇親会を行います。是非ご参加下さい。(Y)


 

●今後の例会のご案内

 5月11日 大町陽一郎氏(指揮者)(予定)「テーマ未定」

 6月8日 浜中浩一氏(日本クラリネット協会会長)、二宮和子氏(同常任理事)「クラリネット・デュオによるモーツァルトの曲の演奏とお話」

 7月13日 未定

 

●3月例会の報告(第214回/2003年3月9日)

オペラ『劇場支配人』をめぐってお話…田辺秀樹先生(一橋大学教授) 


  田辺秀樹先生によるモーツァルトの名作オペラシリーズは『イドメネオ』、『後宮からの逃走』に引き続き3回目で、『劇場支配人』K486をめぐるお話でした。

★オペラにおける〈楽屋落ちもの〉:
 「これは芸術の〈自己言及的現象〉といって練習風景、 オーディション、 オペラの舞台裏、 劇場支配人ものなど18世紀に大いに流行した。 ドメニコ・サルロ、 D・スカルラッティ、 ペルゴレージ、 チマローザ、 フィオラバンディ、 ジュースマイヤー、 パイジェルロ、 ハッセなどの作曲家が手がけていて、 後にはドニゼッティ、 ロルツィング、 R・シュトラウス、 ブリテンなども残している。」 参考曲として、 ハッセ作 『恋をした台本作家』 から"台本作家の嘆く歌"をCDで、 D・スカルラッティ作 『ディリンディーナ』とチマローザ作『宮廷楽士長』を映像で観せて頂いたが、 特に後者のブルスカンティーニの演ずる宮廷楽士長が一人でオーケストラのメンバーに楽器の声色を使いながら指示を与え曲を完成させていく姿は、 いかにもブッフォ的で楽しめるものでした。

★〈楽屋落ち〉流行の背景: 「16世紀に始まったオペラが18世紀には爛熟し、 マンネリ化、 閉塞状況になりつつあったこの世界に対する風刺、 批判、 更には自虐的にあばくといった風潮から楽屋落ちものが流行した。」 参考本としてB・マルチェッロ著 『当世流行劇場』(未来社) のご紹介がありました。

★1786年2月7日、 シェーンブルン宮殿におけるオペラ合戦: 
 「ヨーゼフ2世によるドイツ語のオペラ振興の動きにもかかわらず『後宮』以後は、 ウィーンでは依然としてイタリアオペラが隆盛であった。 その頃、 ヨーゼフ2世の義弟でオランダ総督の地位にあったザクセン=テッシェン公がウィーンを訪れるというので皇帝が歓迎祝宴の余興として、 ドイツ語とイタリア語による音楽劇の競演を企画した。 前者はモーツァルトがシュテファニーの台本で『劇場支配人』を、 後者はサリエリがカスティの台本で『初めに音楽、 お次が言葉』を作曲することになり、 シェーンブルン宮殿のオランジュリーに舞台を設置して上演された。モーツァルトの作品は1幕10場のうち4曲の音楽があるだけで、 歌つき芝居のものであったのに対してサリエリの方はオペラブッファとして面白く出来ていたのでモーツァルトは少しハンディを受けたようであった。」

  両者を比較してみるためにサリエリの作品をモスクワ室内O公演をビデオで、 モーツァルトの作品をバッキンガム宮殿におけるコンサート形式の公演のLDによる映像で観せて頂いた。 後世の評判通り、 私達の観たところやはりモーツァルトの方が美しい旋律と深い感情表現がみられ出来が良いと思う。 またモーツァルトはヘルツ夫人をアロイジアに、 ジルバークラングをカヴァリエリに歌わせていてサリエリに複雑な想いをさせるなど舞台裏でも心理劇が進行していたという事実には興味深いものがありました。

  また、 W・ゲーテがワイマールの劇場の支配人をしていた頃、 以前イタリアで観たチマローザの『窮地に陥ちた劇場支配人』とモーツァルトの『劇場支配人』を合わせた型で上演し好評だったというが、 ゲーテもこうした楽屋落ちオペラを通して演劇的な遊びをしたそうです。 そして19世紀にはこうした遊びも下火になったが20世紀に入るとR・シュトラウス作曲、 ホフマンスタール台本によって『バラの騎士』や『ナクソス島のアリアドネ』更には『カプリッチョ』(C・クラウス台本) などの中に18世紀の伝統であった劇中劇や遊びの精神が復活してきたというお話でした。

 講演のあと田辺先生ご自身による恒例のピアノ演奏があり『なつかしの1820年代』や『辻馬車の歌』などをウィーン情緒たっぷりに弾いて頂き、 満員の聴衆を酔わせました。(I)


 

●情報コーナー

 コンサート情報

★4/16(水)19:00浜離宮朝日ホール『堀込ゆず子&児玉桃モーツァルト・ヴァイオリンソナタの夕べVol.1』/M:V.S.No.29、30、40、「泉のほとりで」による6つの変奏曲 \5000 浜離宮朝日ホール03-3267-9990
 ★4/20(日)14:00ヤマハピアノフォルテ上大岡サロン<孤高の天才モーツァルト>/M:「ああ、母さん聞いて」による12の変奏曲、ピアノソナタNo.8,16,11 \3000 上大岡サロン045-716-4560
 ★4/20(日)14:00荻窪/かん芸館<午後のモーツァルト>/M:夢の姿、魔法使い、ルイーゼが不実な恋人の手紙を焼くとき、すみれ、夕べの想い、クローエに、自動オルガンのためのアンダンテヘ長調、「イドメネオ」より/(Sop)高橋照美、(P)久元祐子、(お話)高橋英郎 \4000 ℡:かん芸館03-5347-2668
 ★4/24(木)18:45東京文化会館小H/M:ヴァイオリン・ソナタK.403,360,377,570,380/(Vn)小林美恵、(P)上田晴子 \4500 ℡:日本モーツァルト協会03-5467-0626
 ★4/25(土)19:00武蔵野市民文化会館(小) タチアナ・パブロフスカヤ ソプラノ・リサイタル/歌劇「フィガロの結婚」より、歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」より、歌劇「ドン・ジョヴァンニ」より、コンサートアリア集/共(P)アレクサンドル・チャイコフスキー \1500 ℡:武蔵野市民文化会館0422-54-2011
 ★5/15(木)~18(日)新国立劇場/ガッザニーガ!:ドン・ジョヴァンニ/指揮:松岡究、演出:今井伸昭、キャスト:大野光彦・上原正敏・針生美智子・国光智子・関真理子・安井陽子他、新国立劇場合唱団、新国立小劇場オペラ・アンサンブル \4200 ℡:新国立劇場ボックスオフィス03-5352-9999
 ★今月のN響4/12(土)14:00 NHKホール/武満徹:セレモニアル―An Autumn Ode(1992)、ショパン:ピアノ協奏曲第2番、ベルリオーズ:幻想交響曲/(笙)宮田まゆみ、(P)ネルソン・フレーレ、(指揮)シャルル・デュトワ・・・当日券\1520(3階自由席)


CD情報※外盤価格は新宿タワー価格

★モーツァルト/シューリヒト ①交響曲No.23 K.181・VPO、No.35ハフナー・LSO、No.36リンツ・パリオペラ座 ②交響曲No.38プラーハ・BPO、No.40 K.550RTSIo ③ピアノ協奏曲No.17 K.453・(P)S/アシュケナージ・RSOシュツットガルト、No.22 K.482・(P)タチアナ・ニコラエヴァ!VPO!④フィガロ序曲、アリア・(Sop)シュワルツコップ、セレナーデNo.7ハフナー・RSOシュツットガルト/指揮カール・シューリヒト VIRTUOSO 94008 \1790!(4枚組)
★M:ヴァイオリン協奏曲No.1~5/パウムガルトナー:ウイーンso 、ドビュッシー:V.S.、ラヴェル:V.S.、ラロ:スペイン交響曲、メンデルスゾーン:V.C.、パガニーニ:V.C.第4番、ショーソン:詩曲、ラヴェル:ティガーヌ、サンサーンス:序奏とロンドカプリチオーソ他/(Vn)A・グリュミオー、他 Phil.473 104-2 \4490!(5枚組)(先月ご紹介したカーゾンと同様フィリップス・デッカのオリジナルマスターズの1枚)
★M:ヴァイオリン協奏曲第3番K.216 スメタチェック:プラハ室内o.(1956 Live)、ヴァイオリン・ソナタK.454、K.304/(P)ハスキル(1957年ブザンソン音楽祭Live・・・既出)、ヴァイオリン・ソナタK.378/(P)アタウルホ・アルヘンタ!(1955 Live) DOREMI DHR-7779 \1890
 ★M:交響曲No.38,39/アーノンクール:ロイヤル・コンセルトヘボウo. Elatus 927 49828 2 \990
 ★M:交響曲No.40,41/アーノンクール:ロイヤル・コンセルトヘボウo. Elatus 927 49622 2 \990 (Elatusのこのシリ-ズにはバレンボイム:BPOによる初期のPCも再発されている。)

 

 

 

●あとがき

 音楽仲間からのメールに「最近は、CDでモーツァルトを聴き、演奏会はマーラー、ブルックナーが主です。」とあった。小生の実感でもN響での大規模オーケストラには概ね満足している事が多く、ホームページでもそのように書いている。

  オケ物でもピアノ協奏曲は別格であるが、モーツァルトの交響曲では余り感激した経験は少ない。これはオーケストラの編成にも関係があるようだ。いくら素晴らしいオーディオ装置を持っていても、マーラー、ブルックナー、シベリウス、ショスタコーヴィッチ等々の舞台一杯の大きな編成を再現するのは不可能である。これに対し「原典に忠実」にということで割を食っているのがハイドン、モーツァルトである。マーラー、ブルックナーを聴いた耳には、小編成の曲が貧弱に聞こえるのはやむをえない。普通のオーディオ装置で聴いても大きな差は感じられない。その上、LP/CDでは定評のある名盤が揃っている。これでは<生>の魅力が少なくなってしまうのもやむをえない。朝比奈さんが大編成のオケでモーツァルト(リンツ)を指揮したのは正しい見識であろう。(Y)

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第214回2003年フェライン例会

 
事務局レター第89号 2003.03.01 モーツアルテイアン・フェライン

  

 事務局レター 2003.3.1 【第89号】 

 【編集者】山本廣資/古田佳子

●3月例会(第214回)のお知らせ

「オペラ『劇場支配人』をめぐって」お話…田辺秀樹先生(一橋大学教授)

 日時:3月9日(日)午後2時30分(!)

 会場:原宿カーサ・モーツァルト(原宿医院)3Fホール(JR「原宿」下車・徒歩5分/地下鉄「明治神宮前」下車・徒歩3分)

 例会費:¥2500(会員、一般共)

※今月は都合により2時30分の開始となります。ご注意ください。(開場は2時より) 

例会会場;原宿【カーサ・モーツァルト案内図】


 

今月はいつもの田辺秀樹先生のお話です。先生からは以下のコメントをいただきました。 

 <昨年はモーツァルトの名作オペラの(2)として『後宮からの逃走』を取り上げました。今年は、引き続き(3)として、『フィガロの結婚』の少し前に書かれたドイツ語ジングシュピール『劇場支配人』K.486を取り上げたいと思います。

ご存じの通り、この作品は、サリエリ作曲のイタリア語オペラ『まずは音楽、次に言葉』と同じ日に、シェーンブルン宮殿の大温室で上演されました。皇帝ヨーゼフ2世が、イタリア人とドイツ人のオペラ作曲家にそれぞれ曲を書かせて競わせたという、その経緯がたいへん面白い作品です。当時のウィーン・オペラ界におけるイタリア派とドイツ派のせめぎ合いという意味でも面白いですし、どちらの作品もオペラ上演の舞台裏を描いた《オペラについてのオペラ》であるという点でも、興味がつきません。

この種のパロディスティックな「楽屋落ちもの」、「楽長もの」、「劇場監督もの」、「リハーサルもの」、「音楽教師もの」といった作品は、チマローザ、パイジェルロ、ペルゴレージ、フィオラバンティなど、モーツァルトと同時代の作曲家がいくつも書いています。18世紀後半に流行したこうした「楽屋落ちもの」は、その後、R.シュトラウスのオペラや現代のブロードウェイ・ミュージカルにも見られるもので、そうした現象の意味についても考えてみたいと思います。>


 田辺先生のオペラシリーズもいよいよ3回目です。お話の後に、またピアノ演奏もある予定で楽しみですね。

 尚、例会後は近くの「ステージ・Y2」(渋谷区神宮前1-13-12 ℡3418-1031)で懇親会を行います。是非ご参加下さい。(Y)


 


●今後の例会のご案内

 4月13日 久元祐子氏「ピアノ・ソナタに見る心象風景」

 5月11日 大町陽一郎氏(予定)「テーマ未定」

 6月8日 浜中浩一氏(日本クラリネット協会会長)、二宮和子氏(同常任理事)「クラリネット・デュオによるモーツァルトの曲の演奏とお話」


 


●2月例会の報告(第213回/2003年2月9日)

 「究極の第2楽章コレクション」お話:栗田久暉氏(本会会員)

はじめにK.525第2楽章のピアノ演奏版をバックに、『1/fゆらぎ』から、ミュージック・セラピー(音楽療法)についてのお話を、次に栗田さんの「究極の第二楽章コレクション」を聞いた。当日配布された資料には、ミュージック・セラピーの効果とこれに該当する曲目、そしてこれを聴いて栗田さんが浮かべるイメージがかかれていた。季刊「モーツァルティアン」第42号に掲載されたものであるが、大変面白いので再掲する。

★リラックスのホルモン分泌を促す名曲として
①ヴァイオリン協奏曲 第4番ニ長調K.218 第二楽章 アンダンテ・カンタービレ(藤川真弓/ウェラー:ロイヤルpho盤)<カプツィーナベルグ山上の、静かに風そよぐ森林から対岸のお城を眺めつつ・・・・・>
②交響曲第36番ハ長調 K.425「リンツ」 第2楽章アンダンテ(ベーム:ベルリンpho盤)<(まさに)歌詞でもつけられそうな静かなメロディー/リンツ中心部のドナウのゆるやかな流れにあわせて・・・・・、アンダンテ・カンタービレと名づけたい・・・・・・>

★優しく心の中に語りかけるような名曲として
③ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調K.364 第2楽章 アンダンテ (マリナー盤)(疲れた身体を休めるために、ザルツブルクの郊外、広々とした野原にてゆったりと景色を眺めつつ、思索にふけりて・・・) 

★"cheery music"(音楽を愉快に!) 心を一層マイルド感覚にしてくれる名曲として
④ホルン協奏曲・第3番変ホ長調K.477 第2楽章 ロマンス(バリー・タックウェル盤)<のどかな牧場で、馬や牛とたわむれつつ、牧神たちがホルンを奏でる和やかな情景をかもしだし、まさに牧歌的ムード・・・・>
⑤交響曲第35番・ニ長調 K.385「ハフナー」 第2楽章 アンダンテ(クーベリック:バイエルンso盤、若杉弘:N響Live 1995.5.18・・・若杉氏は栗田氏の同級生で、例会日の2月9日は若杉氏が指揮者の道を進むに当たって適切なアドヴァイスをされた英語の先生の誕生日とのことで取り上げられた。)<ザルツカンマーグートの湖水にキラキラと映える太陽の光と水鳥のたわむれ・・・・・>

★憂うつな気分を分かち合える(同質の原理)名曲として
⑥ピアノ協奏曲・第20番 ニ短調 K.466 第2楽章 アダージョ(ペライア盤)<モーツァルトの波乱万丈の人生行路、~とうとうと流れ行く川にたとえて・・・・・>

★記憶力増強(語学学習)BGMには、ブレイクスルー現象をもたらす名曲として
⑦ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K.488 第2楽章 アダージョ(ペライア盤)<"緑響く"、白馬出現・・・・・東山魁夷画伯の心に共鳴・・・・・> 

★心身の疲労を和らげ、快適睡眠(安らかな深い眠りを誘う)ための音楽として
⑧クラリネット協奏曲 イ長調K.622第2楽章アダージョ(ザビーネ・マイヤー盤)<真っ赤に染まった夕やけ空、静まり返ったウィーン郊外の夕暮れの情景・・・・>

★最後に安らかな眠りに誘う曲として
⑨ピアノソナタK.332の第2楽章(ヘブラー盤)と⑩交響曲第41番「ジュピター」(ワルター:Col.s.o.盤、若杉:N響ビデオ)の第2楽章を聴いた。 

これらの曲を聴きながら、各曲のイメージの写真(栗田さんがモーツァルトを尋ねて旅した際の写真を大きく引き伸ばしたもの)を見せていただいた。小生はこのようなイメージは全く浮かばないが、先月の山田さん同様、想像力豊かな方がいらっしゃるものだと感心した。

ヒーリング・ミュージックとしてだけなく、最近の研究ではインフルエンザにも効果があることが発表された、とのお話も紹介された。まさに万病の薬・元気の素、モーツァルト薬局の素晴らしさを栗田さんにより再認識させられた午後であった。

ただしヒーリングに最適なモーツァルトの第二楽章を聞いていると、「心身共にくつろいだり、リラックスしている状態の『α波』」をとおり越して、「まどろみの『θ波』」にまで行きそうになったのは、この報告を書く上で大変に困った。

 最後に最近のモーツァルトに関する栗田さんの切手コレクションの紹介があった。

 今回はオーケストラ物からの第2楽章が主体であったが、室内楽やピアノソナタなどにもたくさんの素晴らしい第2楽章がある。先月の佐藤さんのピアノ協奏曲第18番のお話のように、次の機会には栗田さんだけでなく皆さんの「私の第二楽章」を聞かせて欲しいものである。(Y)


 

●情報コーナー

 コンサート情報

★3/7(金)19:00浜離宮朝日ホール/M:「第1戒律の責務」!(神童11歳の作品、宗教的ジングシュピーゲル)/(指揮・Vcl)諸岡範澄:オーケストラ・シンポシオン、(Sop)懸田奈緒子、松堂久美恵、押見朋子、(Ten)及川豊、野村和貴 \6000~5000 ℡朝日ホール03-3267-9990
 ★3/15(土)18:00新宿文化センター/M:交響曲第41番「ジュピター」、「レクイエム」K.626/(Sop)幸田浩子、(Alt)林美智子、(Ten)藤川泰飽彰、(Bar)福島明也、(合唱)新宿文化センター「レクイエム」合唱団、下野竜也:東京都交響楽団 \3000、℡新宿文化センター03-3350-1141
 ★3/16(日)15:00文京シビックホール大ホール/M:「劇場支配人」序曲、フルートとハープのための協奏曲、ブラームス:交響曲第1番/(Fl)高木綾子、(Hp)武松舞、阪 哲朗:東京フィル、\6500~3500 ℡東京フィル03-5353-9522
 ★3/20(木)18:00、3/21(金)15:00 新国立劇場(中)「新国立劇場オペラ研修所 研修公演」/M:「フィガロの結婚」(字幕付)/新国立劇場オペラ研修所3,4,5期生他、新日本フィル\1500℡新国立劇場オペラ研修所03-5351-3011
 ★3/21(金)19:00東京芸術劇場/M:セレナード第6番「セレナータ・ノットゥルナ」、オーボエ協奏曲K.314、セレナード第7番「ハフナー」/(Ob)蛎崎耕三、(Vn)小森谷巧、J・F・パイヤール:読売日響 \7000~2000 ℡読響03-3820-0013
 ★3/22(土)19:00サントリーH/M:ディヴェルティメントK.136、ピアノ協奏曲第24番、セレナード第7番「ハフナー」/(P)若林顕、(Vn)小森谷巧、J・F・パイヤール:読売日響 \7000~2000 ℡読響03-3820-0013
 ★4/4(金)19:00石橋メモリアルホール/M:ソナタの楽章K.400、ピアノソナタK.311、ロンドK.511、ベートーヴェン:ピアノソナタOp.111、ブラームス:間奏曲Op.76-7、カプリッチオOp.76-8、「ヘンデルの主題による25の変奏とフーガ」/(P)松浦豊明!\5000 ℡東京文化会館03-5815-5452
 ★4/4(金)19:15、4/6(日)15:00すみだトリフォニーホール/M:ピアノ協奏曲第21番K.467、マーラー:交響曲第4番/(P)菊池洋子、(Sop)マリー・プレット、デリック・イノウエ:新日本フィル \7000~3500  ℡新日本フィル03-5610-3815


CD情報※外盤価格は新宿タワー価格

★ピアノ協奏曲K.271、K.466、K.488、K.491/(P・指揮)ミハイル・プレトニエフ:ドイツカンマーo.  Virgin 7243 5 62176 2 1 \1490(2枚組み)
★ヴァイオリン協奏曲第1~5番、ヴァイオリンとオーケストラのためのロンドK.269,373/(Vn)チョー・リャン・リン、R.レパード:イングリッシュcho. SM2K 8998 3 \2290(2枚組み)
★ピアノソナタK.533/494、K.310,311、ファンタジーK.397/(P)ブレンデル Phil473-689-2 \1750
 ★ピアノ協奏曲K.488、K.595/(P)クリフォード・カーゾン、ジョージ・セル!:ウィーンPho!. 英DECCA 473 116-2 \3590 (4枚組、①ベートーヴェン:「皇帝」、チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番、セル:ロンドンPho.他、②シューベルト:即興曲 D935、ピアノソナタニ長調 D850、③フランク:交響的変奏曲、リトルフ:スケルツォ、ボールト:LPO、ファリャ:スペインの夜の庭 エンリケ・ホルダ:新交響楽団他、ピアノは全てカーゾン)


 

●あとがき

 モーツァルト=ピアノ協奏曲である小生にとって、好きな理由は殆んど第2楽章にある。以前にBGM用にピアノ協奏曲の第2楽章だけを入れたカセットテープを作って、愛用したほどである。このときは9番以降の全ての曲の第2楽章を入れた。

 栗田さんが挙げた第2楽章も勿論気に入っているが、どちらかと言えば交響曲を外して、室内楽やピアノソナタの第2楽章を入れたい。クラリネット五重奏曲は勿論、ハイドンセットは全ての曲の第2楽章。ピアノソナタやヴァイオリンソナタは曲が多い事もあって選ぶのに困るほどである。ヴァイオリン協奏曲も3,4,5番は勿論外せない。結局小生にとってモーツァルトの第2楽章は何でも良いという事とになってしまった。(Y)


  

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第213回2003年2月フェライン例会

 
事務局レター第88号 2003.02.01 モーツアルテイアン・フェライン

  

 事務局レター【第88号】/2003.2.1  

 【編集者】山本廣資/古田佳子

●2月例会(第213回)のお知らせ 

「究極の第2楽章コレクション」 お話:栗田久暉氏(本会会員)

 日時:2月9日(日)午後2時

 会場:原宿カーサ・モーツァルト(原宿医院)3Fホール(JR「原宿」下車・徒歩5分/地下鉄「明治神宮前」下車・徒歩3分)

 例会費:¥1500(会員、一般共)

例会会場;原宿【カーサ・モーツァルト案内図】


 

 今月は季刊「モーツァルティアン」創立20周年記念号の特集《夢のモーツァルト・コンサート》に「究極の第二楽章コレクション」をあげられた栗田久暉氏のお話です。氏は『"究極の第二楽章コレクション"にて皆様と共にミュージック・セラピーを!』というタイトルで下記のコメントを寄せられました。

 〈ここ十数年余り前から新聞、TV等の情報筋にて"音楽療法"(ミュージック・セラピー)という用語がしばしば見かけられつつあります。私自身、丁度その頃からこの分野に深く興味を持ち始め、1995年頃から専門の先生から講義を伺ったり、各種文献に目を通しつつ、勉強とまでは行っておりませんが、この道を徐々に開拓してゆくべく目下時間をかけて努力中です.この分野は本来は"聴く"という受け身のみならず、むしろ自ら"楽器を演奏"もしくは "一緒に演奏する"という能動的な方法で人の心を癒すことのほうが多いようです。

しかし、今回は私がモーツァルティアン42号14頁にモーツァルトの"究極の第二楽章コレクション"と題したものを投稿しましたものが、ヒーリング・ミュージックとして非常にふさわしい事から、この二つのテーマをコンバインし、各種の資料を元にして私の独自(!)というより、独断と偏見にて見解をまとめ、この奥の深いミュージック・セラピーを皆様と共に"聴く"という受け身の形にて楽しむ計画を立てました。 

 音楽療法とは一体どのようなものか、この非常に幅の広い多角的な療法分野の入門的な"根源"と、この世界的に大変古い歴史を、その要点のみを簡単に、実際に皆様が音楽をお楽しみになる前後に挿入し、素人ながらもお話させていただきます。前述の"第二楽章コレクション"の8曲に、冒頭(プロローグ)にお話させていただく際のバック・グラウンド・ミュージック(多少小さめの音量)を含めて2曲追加し(追加分の曲名はその時のお楽しみ)、あわせて10曲程といたします。

 曲の前後に、夫々を選曲したいきさつ等を簡単にお話しながら、各全曲を今回のテーマの性格上、時間にゆとりを持たせてくつろいだ気分と共に、静寂な雰囲気の中に聞きましょう。 そのため、皆様なるべく開始のお時間に遅刻されませんようにお願いできれば幸いです。

そのあと、もし時間的にゆとりがありましたら、私のモーツァルト切手コレクションに関連するもののごく一部をコピーではありますがお見せしながら、これも簡単にお話できれば・・・と予定を立てております。〉

 会員の皆様は夫々「究極の第二楽章」をお持ちでしょう。栗田さんの選曲と一致するのもあれば、私はこちらの方がという方もあるでしょう。いずれにしてもわれらがモーツァルトの第二楽章です。《アダージョ・クリタ・・・栗田版アダージョ・モーツァルト》を楽しむ午後としましょう。尚、例会後は近くの「ステージ・Y2」(渋谷区神宮前1-13-12 ℡3418-1031)で懇親会を行いますので是非ご参加下さい。(Y)

 

●今後の例会のご案内

 3月9日 田辺秀樹先生「「劇場支配人」のあれこれ(仮称)」

 4月13日 久元祐子氏「テーマ未定」

 5月11日 大町陽一郎氏(予定)「テーマ未定」

 

●1月例会の報告(第212回/2003年1月19日) 

 第2回全員参加型例会 お話と演奏・・・会員有志

 今年の第2回「全員参加型例会」も昨年1月に行われた200回記念の時と同様大変楽しいものであった。昨年より一人当たりの時間を若干長くしたので会員の皆様のお話も充実し、まとまった演奏も聴く事が出来ました。

①会員番号K456の佐藤梓さんのお話しは「私の十八番」。ピアノ協奏曲18番への想いを語られて、"究極の愛聴盤是非聴いて下さい"と、20数枚の手持ちのCDから選んだのはアシュケナージ盤!確かに一つ一つ音を確かめているようなしみじみと聴かせるいい演奏であり、タンノイのGRFメモリーから流れる音にウットリとした幸せそうな佐藤さんの顔が印象的であった。近くの席から誰かの「イイナ」という声もあった。

②副会長の倉島収さんは「幻のピアノソナタ(今は聴かれないソナチネ)-新全集の功罪-」と題して、ソナチネK.547a、(Anh.135)について話された。ピアノ初心者用のソナタ集に掲載され、ピアノソナタとして長らく愛されてきたこの曲は、新全集によりヴァイオリン・ソナタのピアノパートとして位置付けられ自筆譜がないことから、ピアノソナタとしては疑問視されるようになって、殆んど弾かれる機会がない曲となってしまっているとのことであった。演奏は江端津也子さんのピアノによるPS版とクーレン/ブラウティガムによるVS版(CD)を聴いた。 

③広部知久さんは私の愛聴盤として"大好きなヴェスペレ・K.339"をあげられた。お話の後、この第5楽章:ラウダーテ・ドミヌム(主をほめたたえよ)をイギリス室内管弦楽団・タリス室内合唱団(Sop:エディット・マティス)の演奏とフルート・オルガンの二重奏への編曲版を聴いた。何れも愛聴盤にふさわしい演奏であった。

④篠田滋さんはこの日のためわざわざ岐阜県からお出でになった。19歳の時の交響曲25番との出会いに始まり、15年前のザルツブルグ・ウィーン音楽祭の旅(石津副会長とホテルが同室であったそうだ)の思い出、LDでオペラを見、小学館のモーツァルト全集を聴く日々、イタリアの旅、ミュンヘン・プラハの旅と大きく引き伸ばした写真を示しながら「モーツァルトを聴き続けて30年」を語られた。母上が亡くなられた際にはモーツァルトの音楽が心の支えであったと話された。最後にレオポルドの生家のシュタイン製ハンマーフリュ-ゲルによるロンドK.485を聴いた。

 前半の最後は⑤大田哲弘・河原奈美夫妻のフルートとピアノによる魔笛K.620の第1幕。序曲から7番二重唱まで通常40分くらいかかるものを10分程度にまとめた「大慌て」の演奏。

 6曲目は⑥河原さんの伴奏で小滝 博・古田佳子お二人の二重唱「愛を知るものは~」。歌の部分だけでなくせりふの掛け合いも面白かった。息のあったフルートの二重奏とあわせ、当時の西欧の家庭やサロンでモーツァルトの「魔笛」を楽しむ雰囲気もかくやと想像されるものであった。

 

 後半は⑦真部 淳:デュポール変想曲K.573の演奏。これも素晴らしかった。演奏前に二冊の本の紹介があった。「名曲の旋律学」ルードルフ・レティ著水野信男・岸本宏子訳(音楽の友社)によれば交響曲やソナタの各楽章には第1楽章に使われた音形と緊密な関係があり、同じ調性の別な曲の楽章と組み合わせてもうまく行かないとのことであった。もう一つは「モーツァルトの音符たち」池辺晋一郎氏著(音楽の友社)。

⑧山田健二さんのお話は『山田流モーツァルトの楽しみ方(こんな聴き方をしています)』であった。初めに「クラシック音楽鑑賞歴」。小学校4年生の時、音楽鑑賞の時間に聞かされたスプリングソナタでえもいわれぬ恍惚感を味わったこと(ずいぶん早熟ですね)に始まり,モーツァルティアンフェライン入会までのお話。次に「いつどこでどのようにモーツァルトを聴いているのか」。通勤電車内はウォークマンでつり革をもって電車のゆれにカムフラージュして曲に合わせて身体を揺らす。通勤自転車上は同様ウォークマンだが安全のため良く知っている曲を聴くが、朝はアレグロ、帰宅時はメヌエットがのぞましい。
 自宅の風呂場ではウォークマン等のヘッドフォン端子にFMトランスミッターをつけ、防滴ラジオを持ち込んで聴くとのこと。ここまでの方は中々いない。全く脱帽である。その上「どんな聴き方をしているのかと」いうと、頭の中でその曲から感じられる状況をイメージに描いているとのことで、交響曲第7番K.45、交響曲第36番リンツ、協奏交響曲K.364、教会ソナタK.67について具体的なイメージをあげられた。このイメージのユニークな事に皆さんはビックリ。最後に実験として映画「ファンタジア2000」の「運命」の映像(抽象動画)の部分が交響曲第7番K.45に結びつけられるとの実験を行った。身振り・手振りと表現力豊かな山田さんのお話は大変楽しかった。


⑨小生(山本廣資)はモーツァルトへの挑戦者達(K.488のカデンツァ)と題し、モーツァルト作のカデンツァがあるにもかかわらず、あえて自作又は他の作曲家のカデンツァを弾いて「モーツァルトに挑んだ」演奏家たちの演奏(ホロヴィッツ:ブゾーニ作、ハイデシェック:自作、ステファンスカ:自作?)を聴いてもらった。モーツァルト作はカーゾン/クーベリック盤。その他最近出たマイラ・ヘスのライブ盤が第2楽章に装飾音をたくさん入れているので、これも紹介した。

⑨田中 進さんは去年に続いてバリトン独唱。江端津也子さんの伴奏で魔笛・K.620「恋人か女房が~」を唄い、昨年同様皆を魅了させた。 

 最後は⑩小高根真里子さん/江端津也子さんによるヴァイオリン協奏曲第3番K.216全曲。(カデンツァはオイストラッフ作)ピアノ伴奏のK.216を聴くのは初めてであったが、この日の終わりにふさわしい熱演であり、あまり弾いたことがないだろうと思われるピアノのパートもオケの雰囲気をよく表しており流石プロと感心させられた。

お話しされた方々は殆んどの皆さんが、自分の話のレジュメを作成して来られ、この例会での発表への意気込みを感じさせられた。(Y)

 

●情報コーナー

 コンサート情報

★2/10(月)19:00東京オペラシティCH /プラハ国立歌劇場オペラのソリストたちによる「楽しいモーツァルト・オペラガラコンサート」/指揮ヤン・ハルベツキー:プラハ国立歌劇場o、他 \10000~6000 ℡チケット・ムジカ03-3255-3636
 ★2/11(火)18:30大宮ソニックシティ/指揮ヤン・ハルベツキー:プラハ国立歌劇場o、他 \10000~4000 ℡大宮ソニックシティ048-647-7722 ★3/7(金)19:00浜離宮朝日ホール/M:「第1戒律の責務」K.35! \6~5000 ℡朝日ホール03-3267-9990 


CD情報※外盤価格は新宿タワー価格

★ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番、ピアノ協奏曲K.488、アダージョ K.540、ロンド K.485/(P)マイラ・ヘス!、ボールト:ロンドンpho. BBC BBCL4111-2 \1890 
 ★ピアノ協奏曲K.488(P)F・グルダ、ヴァイオリン協奏曲K.218(Vn)A・グリュミオー、ホルン協奏曲K.447(Hr)デニス・ブレイン/H・ロスバウド、エルンスト・ブール:バーデン・バーデンso. Hanssler CD93.064 \1490 
 ★ヴァイオリンソナタ全集-1/(Vn)ジュリアン・オレゥスキー!、(P)ケルセンバウム DOREMI DHR-7821~5 \10390(5枚組)
★ホルン協奏曲K.447、ディヴェルティメントNo.17 K.334、五重奏曲(P,Ob,Hr,Cl,Fg)K.452/(Hr)オーブリー・ブレイン!他、ボールト:BBCso Pearl GEM-0183 \1890


 

●あとがき

1月27日はモーツァルト247歳の誕生日である。今年は府中の森芸術劇場でのモーツァルト・バースデー・コンサートを聴きに行った。これは「アンサンブル憧美音(どみね)」が主催しているもので、今年が12回目である。ここのウィーンホールは約500席。ほぼ満席であった。改めてモーツァルトファンが沢山いることを認識させられた。(Y)

 

 

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第212回2003年1月フェライン例会

 
事務局レター第87号 2003.01.01 モーツアルテイアン・フェライン

  

 事務局レター【第87号】/2003.1.1  

 【編集者】山本廣資/古田佳子

●1月例会(第212回)のお知らせ

第2回 会員有志による参加型例会

 日時:1月19日(日)午後2時

 会場:原宿カーサ・モーツァルト(原宿医院)3Fホール(JR「原宿」下車・徒歩5分/地下鉄「明治神宮前」下車・徒歩3分)

 例会費:¥1500(会員、一般共)

例会会場;原宿【カーサ・モーツァルト案内図】


 

皆様明けましておめでとうございます。 

 昨年1月に行われた200回記念の「会員参加型例会」は大変好評でした。このような愉しい企画を是非又やって欲しいとの会員の皆様のご要望により、今後は毎年一回このような会を行う事となりました。今回は昨年より一人当たりの時間を若干長くしました。下記の方々による演奏とお話が楽しみですね。(出演順序不同)

《演奏》 
 小滝 博・古田佳子:二重唱(魔笛・K.620「愛を知るものは~」、伴奏:河原奈美)・・・この二人の二重唱は聴き物。
 田中 進:バリトン独唱(魔笛・K.620「恋人か女房が~」、伴奏:江端津也子)・・・昨年皆を魅了した声が又聴けます。
 大田哲弘・河原奈美:フルートとピアノによる魔笛K.620(序曲から7番二重唱まで大慌てで。)
 小高根真里子:ヴァイオリン演奏(協奏曲K.216全曲、伴奏:江端津也子)・・・ピアノ伴奏のK.216を聴くのは初めて
真部 淳:デュポール変想曲K.573(演奏前にお話あり)
《お話とCD》
 広部知久:私の愛蔵版(大好きなヴェスペレ・K.339)
 山田健二:山田流モーツァルトの楽しみ方(こんな聴き方をしています)
 篠田滋:モーツァルトとの出会い(南ドイツとプラハへの旅)
 倉島収:幻のピアノソナタ(今は聴かれないソナチネ)演奏:江端津也子 
 山本廣資:モーツァルトへの挑戦者達(K.488のカデンツァ)
 佐藤 梓:私の十八番。(究極の愛聴盤を是非聴いて下さい)
《司会進行》
 石津勝男・倉島収

 演奏、お話何れも愉しいものとなる事でしょう。尚、例会後は近くの「ステージ・Y2」(渋谷区神宮前1-13-12 ℡3418-1031)で新年会を兼ねた懇親会を行いますので是非ご参加下さい。(Y)


 

●今後の例会のご案内

 2月9日 栗田久暉氏(本会会員)「究極の第2楽章コレクション」

 3月9日 田辺秀樹先生「テーマ未定」

4月13日 久元祐子氏「テーマ未定」


 

●12月例会の報告(第211回/12月8日)

 「映画『アマデウス』の楽究的鑑賞法」/お話:三澤寿喜先生(北海道学芸大学教授)  

 第1級の娯楽作品である映画「アマデウス」は、音楽の迫力で聴衆を圧倒しようとの製作の意図がうかがわれるとの事。

 始めに登場人物の紹介、次に先生がまとめられた「アマデウス使用曲一覧」をもとに、ヴィデオ(旧版)を見ながら各場面ごとの見所・聴き所を解説していただいた。ディレクターズ・カット版(以下DC版と略)の違いや、ヨーゼフ2世の文化政策等も場面に合わせてお話しされた。この使用曲一覧の資料は、場面ごとに曲と簡単な解説がある非常な力作で、これを映画の解説書にすればモーツァルト・ファンがもっと増えるであろうと感じた。

・冒頭の「ドン・ジョヴァンニ」序曲はワグナーのライトモチーフ的に使われて何回か登場するが、父親に対する1つのメッセージが伝えられている。

・サリエリの自殺未遂のシーンで、転調するたびに場面が変るのが非常にテンポ感が良い。

・グランパルティータの部分でDC版では「これは偶然」とサリエリが自分を納得させる部分が入ったが、後にモーツァルトに自筆譜を見て偶然でない事を思い知らされる。 

・モーツァルトにオペラ依頼をする場面では、ヨーゼフ2世のドイツ化政策に伴う、深い文化的背景が表れて興味深い。

・皇帝との初対面の場面。この映画ではヨーゼフ2世は茶化されている。あんなに弾けないはずはないが、教える側のサリエリの気持ちはよく表れている。モーツァルトはサリエリの主題による変奏曲K.180(これは聴いた)を作曲しているのだから「へんてこなメロディー」云々はおかしい。

・「後宮」で「音が多すぎる」云々は実際にあったことである。

・DC版では「後宮」の初演後、楽屋で主演女優カヴァリエリとモーツァルトとの言葉のやり取りから、サリエリが二人の関係を確信し、それが以後のコンスタンツェの誘惑につながる。

・自筆譜のシーン(この部分はモーツァルトの名曲シリーズである)からコンスタンツェが夜にサリエリを再訪問する場面まで、DC版は大幅に場面が増えているが、服を脱ぐ場面は下品な感じで、彼女を貶めている。(これは小生も同感でこの場面はなくてもよかったと思う。その場合は後の場面が難しいが・・・。)この場面により後に作曲を手伝ったサリエリに対するコンスタンツェの冷たい態度(最初見たときは何であんなによそよそしいのかと思った)の伏線がよく分かった。

・この他サリエリに借金を申し込む場面や、金持ちの無能な娘へのレッスンと後で借金を断られる等、レクィエム作曲依頼へ飛びつく伏線となるエピソードもDC版にあった。

・この映画のドン・ジョヴァンニは中々いい演出である。(同感)

・パロディー・オペラについては、ロンドンでもヘンデルのパロディーがあったそうで、同様の事があったのであろう。又庶民小屋の雰囲気はよく出ている。

さて1996年12月の例会でのレクイエムのお話の際の解説も面白かったが、コンフターティスの作曲をサリエリが手伝う場面では、楽譜のコピーを元に細かい場面毎に解説して頂いたのは非常に良かった。作曲家が音楽を作る作業、推測の手順がよく出来ており、製作の過程を示したのは面白いが、音楽を知っている人ならやらないような誤訳があるとの事で、これについても詳細な説明があった。画面の流れの中では気がつかない部分も、先生の正しい訳でよく理解できた。この部分は、出来たら正しい訳の版で通して見たいものである。

 最後に精神病院でサリエリが「偉大なる凡人達よ」と呼びかけるシーンに出てくる精神病患者が主要な登場人物(皇帝及び取巻達)に似てるようだがという先生の疑問に対しては、映画に造詣の深い古田さんから、この映画がアカデミー賞の特殊メークアップ賞をとってるので間違いないでしょうとのサポートがあった。

 先月のレジュメに"『アマデウス』を、「より多様に楽しむ」ための視点を1つでも2つでも提供できれば"とあったが、ここでは先生のお話の半分も伝えられず、残念である。 

 又、先生からは参考資料として10ページもの 《「アマデウス」鑑賞法》を頂いた。「アマデウス使用曲一覧」、「主な登場人物」、「ヨーゼフ2世の文化政策」の3部から成る大変価値ある資料であり、私達の会のお話のためにここまでして頂いてと大変感謝する次第である。(文責Y)

 

 

●若松会長の新年の挨拶

 

頌 春 2 0 0 3
 

 2001年9月11日のテロ事件以来、近所の家々には星条旗が掲げられましたが、2002年もその旗が垂れ下がったままでした。イラクとの戦争勃発で再びテロ事件がおこるのではないかという不安がアメリカに住む人々の目の前にはいつも垂れ下がっています。大国の動きを見ていると、その背後には石油の利権をめぐる争いが見え隠れし、政治も政党の「利害関係」によって動かされている。21世紀は輝かしい人類の平和の時代ではどうもなさそうです。経済面でも、企業の不正が明らかになり、株式市場は暴落、史上最低の金利が続き、21世紀は世界的なデフレの世紀となるかもしれません。経済倫理が「見えざる手」として働いたスミスの時代以前に逆戻りしている感があります。

 世の中は不安な時代の中にありますが、われわれグレン・ロックの2002年は幸い平和で実りある1年でした。庭の畑を2割ほど拡張してはじめた3年目の家庭菜園は、苗から育てた苦労が報われ、トマト20株、ナス20株が見事に育ち、天候にも恵まれて大豊作でした。8月から連日トマト、ナスの大饗宴(?!)。やわらかレタスやとげとげキュウリ、こりこり枝豆、それにいんげん、大根、ニンジンと、とれたての野菜を十二分に堪能しました。

スイス・アルプス山登りも3月初めは好天に恵まれ連日の雪山歩き。夏は雨模様の日が多かったものの、ヴェッターホルンの小屋とシュレックホルンの小屋への難しいルートを無事こなせ、グレン・ロックのウラヤマでの毎週2時間の「朝飯前の山歩き」が役立っているようです。

モーツァルティアンのホームページは3年目。6月から全作品をK1aから1曲づつ聴いてゆく試みをはじめ、山を登ように倦まずたゆまず毎日モーツァルトを聴いています。ザスロー著「モーツァルトのシンフォニー」の《パリ・シンフォニー》から後半の部分の翻訳をお手伝いする機会にも恵まれました。内容も英文も難しく苦労しましたが楽しくもあり、アマチュア・モーツァルティアンとして意義深い仕事のおてつだいができたことは望外の幸せでした。

 2002年は、これまで夏目漱石ぐらいしか小説を読んだことのない人間が、本格的に小説を読み出した年となりました。6月以降宮本輝を少しずつ読み続け21冊目で年を越しそうです。「〈やさしさ〉というものがかつて人間の哲学に組み入れられたことがあっただろうか。〈やさしさ〉がイデオロギーになったことがあったろうか」などと言う小説の一節から、モーツァルティアンの音楽の本質は〈やさしさ〉なのではないかという示唆を受けたりしました。

 先ずは近況をお知らせしましたが、コネチカットにいる上の娘夫婦と孫(文ちゃん、10月19日で1歳)、それにマンハッタンにいる下の娘も元気でおります。

 皆様にとりまして2003年が素晴らしい年になりますよう心からお祈り申し上げます。

若松 茂生

 


 
●情報コーナー

「CD情報」 ※外盤価格は新宿タワー価格

★「ドン・ジョヴァンニ」/1977ザルツブルク音楽祭LIVE、ミルンズ、マコルディ、シントウ、シュライヤー、ベリー、マティス、他 ベーム:ウィーンpho DG469-743-2 \1390!(3枚組)
★M=エーレンフリート:「魔笛(フルート四重奏版)」/(Fl)ヒュンテラー、(Vn)R・クスマウル、(Vla)J・クスマウル、(Vc)ディルティーンズ MDG MDG 311 1138-2 \2190
 ★VnソナタK.377,380,379,376,481,454,526/(FP)J・V・インマゼール、(Vn)ミドリ・ザイラー HM ZZT 021001 \3290(2枚組)
★P協奏曲第25番、16番、「魔笛」序曲/(P)R・ゼルキン、ミトロプーロス:NYPho.他(Live) DISCANTUS 189.615-2
 ★P協奏曲第20番(P:ミケランジェリ)、第22番(P:スカルピーニ)/ミトロプーロス:NYPho.他(Live) DISCANTUS 189.616-2 \1190
 ★Vn協奏曲第5番(Vn:オイストラッフ)、第3番(Vn:コーガン)、「魔笛」、「フィガロ」、「イドメネオ」序曲/ミトロプーロス:NYPho.(Live) DISCANTUS 189.617-2 \1190 

 

 


  

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