1月例会(第400回)のお知らせ 

日時2020年1月19日(日)12時~14時

場所ホテルグランドパレス 2階チェリールーム

前売りのみ

ご希望の方は、あと4名しか入れませんので必ずご連絡

下さい。

今後の例会予定 (OCC:お茶の水クリスチャンセンター)

 

●2月22日(土)  森垣 桂一氏  (OCC416号室)

●3月14日(土)  山崎博康氏・当会会員(OCC415号室)

●4月18日(土)  田辺 秀樹氏 (OCC416号室)

●5月16日(土)  コンサート(会場:代官山教会ホール)

                 ジェラール・プーレ氏・川島氏

●6月20日(土) 樋口隆一氏 :ハフナー交響曲(OCC415号室)

 

口座名:モーツァルティアン・フェライン

モーツァルティアン・フェライン2019年11月例会報告

最近のモーツァルト研究から ―オペラ、教会音楽、交響曲を中心に―

西川 尚生 慶応義塾大学教授

 

今回の西川先生のご講演では次のような先生のお考えで最近のモーツァルト研究の最先端の学会の動きを中心にお話し頂いた。我々アマチュアにとっても大変貴重なテーマである。

 「モーツァルトに関しては毎年、新しい研究成果が学会の口頭発表や学術論文として公表されていますが、一般の愛好家の方々がそうした最新情報を知る機会はほとんどないと言っていいでしょう。今回の講演では、近年発表された研究の中から、とくに興味深いと思われるものを選び、現在、世界でどのような研究が行なわれ、従来の定説が塗り替えられているのかをご紹介したいと思います。ジャンルとしては、オペラ、教会音楽、交響曲の事例をとり上げる予定です。」

 

ご講演の構成は次の通りであった。

はじめに

1.中期交響曲の作曲年代

2.チェンバロかフォルテピアノか ―― ウィーン宮廷劇場のオペラ上演をめぐって

3.ミサ曲のニックネームとその由来

結び

 早速、ご講演の内容について述べたい。

 

1.中期交響曲の作曲年代

「クランツ・バント第3巻」

9曲の交響曲の自筆譜合本を示す。ライプツィヒの楽譜出版社アウグスト・クランツがかつて所有していたため、「クランツ・バント」と呼ばれる。現在ニューヨークの

モルガン・ライブラリー蔵。作曲年が故意に消されており、判読困難。

 

①作曲年代の従来説(ケッヘル第6番、新モーツァルト全集、アイゼン、コンラート)

第3回イタリア旅行後(1772.10.24—1773.3.13)に書かれた次の4曲

第26番 ニ長調 K.184 1773.3.30

第27番 ト長調 K.199 1773.4.10 (16日?)

第22番 ハ長調 K.162  1773.4.19 (29日?)

第23番 ニ長調 K.181 1773.5.19

第3回ウィーン旅行後(1773.10.3—9.26)に書かれた次の5曲

第24番 変ロ長調 K.182  1773.10.3

  第25番 ト短調 K.183   1773.10.5

  第29番 イ長調 K.201   1774.4.6

  第30番 ニ長調 K.202   1774.5.5

  第28番 ハ長調 K.200  1774(73年?).11.12

  上記9曲の作曲地はいずれもザルツブルク

 

②        J.アーサーの新説(2015年)

第3回イタリア旅行後

 第22番 ハ長調 K.162 1773.4.19(29日?)

 第23番 ニ長調 K.181 1773.5.19

第3回ウィーン旅行後

 第24番 変ロ長調 K.182 1773.10.1

  第25番  ト短調  K.183  1773.10.5

  第26番 ニ長調  K.184 1773  日付は判読困難、おそらく10月または11月

 第27番 ト長調  K.199 1774.1

  第28番 ハ長調  K.200  1774.2.13

 第29番 イ長調  K.201 1774.4.6

  第30番 ニ長調  K.202 1774.5.16

この新説のポイント

・レオポルトはおそらく作曲年代順に「クランツ・バンド」を製本した。

・従来考えられてきたより、ウィーン旅行後の交響曲は作品数が多く、内容も多彩。

 室内楽的緻密さを感じさせる。

・イタリアの影響とウィーンの影響を改めて見直すべきである。

西川先生のご意見

・1773年を機にモーツァルトの音楽は大きく変化する。

・25番の「小ト短調」と29番の2つの傑作の間の26-28番の重要性を指摘したい

・26番―28番はフーガで終わっているのは、ヨーゼフ2世がフーガが好きだったこ

とによるのではないか。

・イタリア旅行中に作曲したと伝えられていた全9曲のうち、確実にモーツァルト作と言えるのは3曲のみ。

 

2.チェンバロかフォルテピアノか?

①18世紀ドイツ・オーストリアの一般的用語法

Flugel, Clavicembalo, Cembalo--チェンバロ

Clavicord--クラヴィコード

Fortepiano, Pianoforte-フォルテピアノ

Clavier, Klavier-クラヴィ―ア(鍵盤楽器の総称、上記3種類の楽器のどれを指すかは不明

注)但し、モーツァルトは、明らかにフォルテピアノを想定したウィーン時代作品でもCembalo という表記を自筆譜上で、頻繁に使った。この場合、モーツァルトはCembalo という言葉をKlavier という意味で使っていたのではないか。 ②宮廷劇場会計簿の徹底的な調査

 1785/86シーズン及び1787/88シーズンに支払われた金額から判断するとフォルテピアノの値段より安すぎるので、1780年代の宮廷劇場のオペラ公演では依然として、チェンバロが使われたと思われる。一方、モーツァルトの言では、「オペラ劇場ではフォルテピアノが相応しい。」と言っている。当時の広告から判断すると、やはり、チェンバロが1780年代は多い。

 

3.ミサ曲のニックネームとその由来

 

①シュパウアー・ミサはどのミサ曲だったのか?

(筆者注:シュパウアーはモーツァルト家と親しい、ザルツブルク主席司祭である。その叙任式を祝って、このミサ曲は作曲された)

従来の研究では、K.257,K.258, K.262のいずれかということで、決定的な結論は出ていなかった。然しながら、2009年にH.フェルマン=シュナイダーが新たな筆

写パート譜を発見し、K.257が「シュパウアー・ミサ」であることが証明された。結果的にタイソンの仮説が正しかったことになる。

 

②「戴冠式ミサ」はどのミサ曲か? 

従来、一般的にはK.317 が「戴冠式ミサ」だと言われて来たが、David Ian Black著の“Mozart and the Practice of Sacred Music”(2007)によれば、ウィーンの宮廷礼拝堂が最初に入手したモーツァルトのミサ曲の楽譜がK.337であったことから、1792年7月14日にフランクフルトで行われた戴冠式の際、K.222と共に演奏されたのではないかと推論可能。またサリエリがヴィオラのパートを加筆していることもその推論の根拠となり得よう。従って、K.337が本当の「戴冠式ミサ」と言えるのではないか?という有力な主張である。

 

 以上が、西川先生のご講演の要旨であるが、いずれも大変示唆に富む興味深いテーマである。我々もモーツァルト研究最先端のテーマの一部に触れることが出来て、大いに参考になった。今後の西川先生の世界的なご活躍を祈り、エールをお送りしたい。    (文責:澤田義博)

 

 

 

 

 

2019年12月例会の報告(第399回)

「ヴァイオリンとピアノによる冬のロマンティック・コンサート」

出演:久元祐子(p)、永峰高志(Vn)

今回の例会は久元先生のお陰で、初めてベーゼンドルファーのホールをお借りして行われた。ベーゼンドルファー・アーティストの久元先生は今回初めて、ベーゼンドルファーの最新のモデル、280VCをコンサートでお弾きになり、また永峰先生は国立音大所有のストラディヴァリウス「ヨアヒム」をお弾きになるという事で、それだけでも、大いに期待を持たせる例会であった。これらの素晴らしい楽器をお二人の名手がお弾きになるのだから・・・と期待感は高まるばかりであった。各曲の感想は次の通りである。

 

1.モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ ホ短調 KV.304

この曲は以前、母のパリでの客死の際に書かれたと言われていたが、最近の自筆譜の研究によりマンハイムで着手され、パリで完成されたという説が有力である。モーツァルトのヴァイオリン・ソナタの中で、唯一の短調の曲であり、最高傑作の一つである。緊張感にあふれた悲劇的な第1楽章。憂愁という言葉がぴったりとする第2楽章である。この曲については、いまだにクララ・ハスキルとグリューミオーの演奏を超えた演奏はないと思う。お二人の演奏はこのハスキル+グリューミオーの演奏に勝るとも劣らない素晴らしい出来栄えだったと感じた。思わず “Vravi!!!”と筆者は叫んでしまった。

次の3曲は3人の作曲家による「ロマンス」の聴き比べであった。

 

2.ヨーゼフ・ヨアヒム:ロマンス 作品2-1

ヨアヒムはブラームスのヴァイオリン協奏曲を初演したことでよく知られている名ヴァイオリニスト。作曲家としても優秀との評価を得ていたが、現代では彼の曲が演奏される機会は比較的稀である。その中では、このロマンスはその美しい旋律の為か、採り上げる演奏家も多い。その意味で、本日の永峰先生の演奏は貴重である。先生が使用されるヴァイオリンは期せずしてストラディヴァリウス「ヨアヒム」である。美しいメロディを持つ小曲だと感じた。

3.クララ・シューマン:ロマンス 作品22-3

ロベルト・シューマンの妻. 天才ピアニストとしてデビューし、その後大活躍した。ナンネル・モーツァルトの時代と同様、彼女の時代も女性作曲家は認められておらず、37歳の頃作曲は断念したが、現在でも彼女の曲は演奏されることが多い。その一つがこのロマンスである。クララ・シューマンらしい、女性的な優しさにあふれた旋律をもつ美しい曲だった。

4.ロベルト・シューマン:ロマンス 作品94-2

「ピアノ伴奏によるオーボエのための3つのロマンス」として作曲されているが、クラリネット、またはヴァイオリンによる演奏

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