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3月例会(第390回)のお知らせ                                 
日時2019年3月30日(土)午後2時半開演 
(午後2時開場)
会場:カーサ・モーツァルト
例会費: 3,500円(会員)・4,000円(一般)全席自由席
=マリステラ・パトゥッツィ氏&上野優子氏のヴァイオリン 及びピアノ デュオ・コンサート=
★スイス(イタリア語圏)と日本の名手のコラボ
 モーツァルトのヴァイオリン・ソナタの傑作とヨーロッパの民俗舞曲をヴィルチュオーゾでお愉しみ頂く特別なコンサートです。天才少女と言われ現在はヨーロッパの若手ヴァイオリニストのホープ、マリステラ・パトゥッツィさんと、片や日本の新進気鋭で、最近は円熟味も増している若手ピアニスト第一人者、上野優子さんとの本邦初演の特別なコンサートです。クラシック・ファンなら聴き逃せないイベントです。
プログラムも充実しており、モーツァルトの傑作中の傑作2曲と後半はヨーロッパの様々な舞曲を中心とした選曲で、お二人の名人芸を大いにエンジョイできるはずです。イタリア・モーツァルト協会と私共モーツァルティアン・フェラインのコラボでもあります。
チケット枚数に限りがありますので、お早目にお申し込み下さい。              会長  澤田 義博

<プログラム>
1.モーツァルト  ヴァイオリン・ソナタ K.304ホ短調 &K.526イ長調
2.パガニーニ   パイジェルロの「水車小屋の娘」から「わが心、もはやうつろになりて」による序奏と変奏
3.バルトーク   ルーマニア民俗舞曲
4.ラヴェル    ツィガーヌ
5.サラサーテ  オペラ「カルメン」によるファンタジー

例会後は恒例の懇親会へのご参加をお待ちしております。 
会場:原宿バールSUNHOUSE/050(3461)4550
(予定会費:4,000円)

 

<カーサ・モーツァルト地図>

 

​会場は上記クリックしてご確認下さい。

 

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今後の例会予定 (OCC:お茶の水クリスチャンセンター)
4月20日(土)田辺 秀樹氏 OCC416号室
5月18日(土)海老沢 敏氏 OCC811号室
6月15日 (土)田村和紀夫氏 (初回)
尚美学園大学 OCC811号室
7月13日(土)山崎 太郎氏 (初回) 東京工業大学 
リベラルアーツ研究教育院 OCC415号室
9月21日(土)宮谷 理香氏 ピアノリサイタル (初回)
代官山チャーチホール 
10月26日(土)加藤 浩子氏 OCC415号室
11月16日または30日(土)西川尚生氏 OCC415号室
12月(日未定)久元 祐子氏 ピアノリサイタル………………………………………………………


第389回例会記録(2019.2.23)
「1778年、マンハイムの邂逅、
モーツァルトの《ツァイーデ》(K. 344)とメロドラム」
講師:池上健一郎
(京都市立芸術大学・音楽学部・音楽研究科・講師)
 
1.マンハイム宮廷という磁場がヨーロッパを縦横に旅していたモーツァルトとザイラー一座を引き合わせた
 1778年11月、モーツァルトはパリ滞在の帰途、父レオポルトの意向に反して大好きなマンハイムを再訪した。マンハイムには当代随一と謳われたザイラー劇団の一座も滞在していた。彼らによるゲオルク・ベンダ作曲のメロドラム《メデア》の上演を聴いて、モーツァルトは大いに感銘を受けた。

2.ドイツで18世紀に流行した劇音楽メロドラム
 1762年頃、ジャン・ジャック・ルソーは、『エミール』を著した後に音楽劇《ピグマリオン》を作曲したが、その際フランス語の抑揚がレチタティーヴォにふさわしくないと判断し、言葉と音楽を分ける手法を取った。
 1774年シュバイツァーはドイツ語で《ピグマリオン》を作曲し、ザイラー一座が上演した。
 ゴータの宮廷作曲家を務めていたボヘミア出身の作曲家ゲオルク・ベンダ(1722-1795)は、その上演を観て刺激を受け、翌1775年に《メデア》と《ナクソス島のアリアドネ》を相次いで作曲した(いずれも同年初演)。彼が確立した「メロドラム」という劇音楽の形態は当時のドイツで高く評価されることになった。19世紀になるとウェーバーの《魔弾の射手》のように、メロドラムはドイツ語オペラの一場面で使用されるようになっていった。
 当時のメロドラムは、言葉・音楽・演技が一体となった総合芸術の形態であるが、特に演技は重要で、台本作家が演技を具体的に図示したスケッチも残っている。

――ドラクロワの絵見ながら、ベンダ作曲《メデア》視聴― 音源:Jiří Antonin Benda, Medea (Melodram). クリスティアン・ベンダ指揮/プラハ室内管弦楽団 NAXOS、1996年。
※指揮のクリスティアン・ベンダは、ゲオルク・ベンダの末裔。

3.未完に終わったジンクシュピール《ツァイーデ》(K. 344)とメロドラムの関係
 マンハイムでベンダ作曲の《メデア》を観たモーツァルトは、すぐさまこの劇音楽のジャンルに着手した。独立したメロドラム作品の形にはならなかったが、その手法はザルツブルクでの初演を目論んで作曲された《ツァイーデ》に活かされた。モーツァルトの生前には上演されなかったが、1799年コンスタンツェがモーツァルトの遺品の中から自筆譜を発見し、1838年アントン・アンドレによる補筆版がオッフェンバッハで出版された。
15曲のアリアの前に台詞が入っていたと考えられるが、第1幕第2曲メロローゴ〈計り知れぬ運命の定めよ〉(ゴーマッツ:テノール)と第2幕第9曲メロローゴとアリア〈ツァイーデが逃げた!〉(ゾーリマン:テノール)がメロドラムにあたる。

――《ツァイーデ》CD視聴――
音源:Mozart, Zaide. ポール・グッドウィン指揮/エンシェント室内管弦楽団 Harmonia Mundi、1998年。 ※ソプラノ(ツァイーデ)リン・ドーソンLynne Dawson
第1幕第2曲ゴーマッツのメロローゴはベンダ作曲のアリアドネ型であり、孤独・不条理な運命・期待と失望を語っている。第2幕第9曲ゾーリマンのメロローゴはメデア型であり、嫉妬・怒り・狂気に満ちている。

――ベンダ作曲《ナクソス島のアリアドネ》視聴――
音源:Jiří Antonin Benda, Melodramas. Ariadne auf Naxos, Pygmalion. クリスティアン・ベンダ指揮/プラハ室内管弦楽団 NAXOS、1996年。
ベンダ作曲の《ナクソス島のアリアドネ》では、オレイアスの宣告を受けて絶望から破局に至る場面で嵐の音楽が使われ、《メデア》では婚礼の祝宴を耳にしてメデアの怒りが頂点に達する場面で嵐の音楽が使われ、破局へと向かっていく。ベンダは、内面の感情の変化や揺れ動きを速度、拍子、楽器法の変化や転調などで表現したが、特にドラマの終盤に嵐の音楽を盛り込んでいるのが特徴である。嵐は主人公の内面(狂気を帯びた絶望や怒り)を映し出しており、ロマン主義的な嵐の表現を先取りしていたと考えられる。

4.《ツァイーデ》をめぐる仮説
・第3幕は存在したのか?
・悲劇的結末か,《後宮》のようなハッピーエンドか?
ベンダのメロドラムの大きな特徴は、女性の心理の揺れ動きが長大なモノローグによって描かれる点と、悲劇的な結末へなだれ込むきっかけとして(当時流行していた)嵐の音楽をドラマの終盤に盛り込んでいる点である。もし《ツァイーデ》が完成していたとしたら、第3幕にツァイーデのメロローゴと嵐の音楽が挿まれ、悲劇的結末を迎えたのではないかと推測される。

――2006ザルツブル音楽祭で上演されたモーツァルト/チェルノヴィン《ツァイーデ》《アダマ》のDVD視聴――
                                                        (文責:松永 洋一)

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