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第185回7月フェライン例会

 
事務局レター第60号2000.7.1

  

 事 務 局 レ タ ー/【第60号】2000.7.1

 【編集者】中村宏 hakushu@pop21.odn.ne.jp/古田佳子 bxp00423@nifty.ne.jp

 ●7月例会(第185回)のお知らせ

  フルートとモーツァルト

お話・・・端 直明氏(本会会員)

 日時:7月16日(日)午後2時

 会場:原宿カーサ・モーツァルト(原宿医院)3Fホール(JR「原宿」下車・徒歩5分/地下鉄「明治神宮前」下車・徒歩3分)

 例会費:¥1500(会員・一般共)


  端直明氏は、確か3度目の登場で、管楽器に造詣が深く、前回はクラリネットについて興味あるお話を伺いました。今回も、モーツァルトとフルートについて、フレッシュな話を存分に聴くことが出来ると思います。端氏からのメッセージをご紹介します。

 『モーツァルトは1777年12月、オランダ人医師ドゥジャンからフルート曲の依頼を受け作曲中、父レオポルドに宛てた手紙の中で、フルートについて「耐えがたい楽器」と呼び、「この仕事にうんざりする」と書いています。これがモーツァルトがフルートを好まなかったとする通説の根拠になっています。
  モーツァルトが実際にフルートについてどう考えていたか、現在では知るすべも有りませんが、当時ドイツで使われていた1鍵のフラウト・トラヴェルソの、しばしば生じる(楽器の造りと奏者の演奏技術に起因する)音程の悪さが、気に入らなかったことは確かで、「一つのフルートほど音程の悪いものはない、二つのフルートはもっと悪いが」とも書いています。にもかかわらず、フルート音楽史上もっとも美しい協奏曲を遺しました。
  ドゥジャンの依頼によるフルート協奏曲2曲と幾つかのフルート四重奏曲は1778年初め、マンハイムで作曲されましたが、その後の4月にパリで作曲されたフルートとハープのためのの協奏曲は、使われている音の種類や音域から判断して、少なくとも6鍵の、より進化した楽器のために作曲されたと考えられています。
  今回は、前半で西洋クラッシック音楽における、リコーダーから始まり、ルネッサンス・フルート、フラウト・トラヴェルソ、更にはベーム式フルートに至る、フルートの歴史および現状について整理し、後半でモーツァルトのフルートのための音楽、および編曲を含めたフルートに関連した作品を鑑賞します。』

 当日を大いに期待しましょう。尚、例会後は、講師を囲んだ恒例の懇親会を「コナ・ファーム」で予定しておりますので、是非、ご参加ください。(N)


●今後の例会ご案内

 8月 ――― 休会 ―――

9月10日 倉島 収氏(本会会員)「モーツアルトのオブリガードのさまざま」

10月22日 井上太郎氏(湘南モーツァルト愛好会会長)「モーツアルトと木管楽器」

11月12日 中村 宏氏(本会会員)「私の古楽器演奏家事典(5)カウンター・テナー(6)/ハープシコード」

12月10日 三澤寿喜氏(北海道教育大学教授)(テーマ未定)

 

●6月例会 [第184回:6月11日(日)] の報告

第1部:モーツアルトライゼ/第2部:最新旅行報告(バッハゆかりの地)

お話…中村澄枝氏(本会会員)

  モーツァルティアン・フェラインの例会場である「カーサ・モーツァルト」は、17年前の昭和58年(1983年)10月22日オープンした。音楽愛好家でなくとも、その頃「モーツァルト好きのお医者様が原宿にモーツァルトハウスを作ったそうだ。」という話を見聞きした事であろう。かく言う小生も、当会入会以前にカフェサロンに何回か顔を出したことがある。世の中に音楽好き・モーツァルト好きは大勢いるが、ここまでの愛好家は珍しい。(電話番号も1756を確保されている)
  今回は、初めにモーツァルトハウスのオープン時に、NHKのラジオ(第2放送)で放送された『ひょっこり訪問』のテープを聞かせていただいた。「モーツァルト愛好家のためのコミュニケーションの場がほしい」と言うのが、この建物を作るに至ったそもそものいきさつで、開館当初は、「1F:カフェサロン、2F:資料館、3F:ホール」となっていた。資料館の資料は、中村真・澄枝ご夫妻の長年にわたるモーツァルトライゼの成果、その他の資料が展示されてあった。現在はホールのみの使用であるが、モーツァルティアン・フェラインの記念すべき第1回目の例会もここで行なわれ、現在も例会場として有難く使わせて頂いており、所期の目的を果たしている。
  お二人のライフワークであるモーツァルトライゼについては、今までにフェラインのレターや会報誌上で紹介されているが、今回はモーツァルト家発祥の地アウクスブルクと、レクイエムを依頼したF.Aヴァルゼック伯爵家を訪ねた旅を、ヴィデオで見せて頂いた。

  第1部では、先祖が住んだ場所を記入したモーツァルト家の家系図を基に、10代前のエンドリス・モーツァルト(以下Mと略)の住んだフィッシャッハのハインベルクにある500年前の家に始まり、モーツァルト家及びモーツァルトゆかりの地に付いてお話を伺った。アウクスブルクにはレオポルド・Mの住んでいた家(2階が資料館)、祖父フランツ・Mが住んでいたという記念碑のある社会福祉施設等がある。その他順不同で挙げると、
・アンハウゼン:曽祖父の兄の立てた教会、
・ディリンゲン:祖先が建てた塔(バジリカ)、
・ビーベルバッハ教会:10歳のヴォルフガングが12歳の少年と一緒に演奏したオルガン、
・ライトハイムの城(シュロスライトハイム・現ツワーン男爵邸):此処の天井の絵から夜の女王のイメージが生まれた、
 等々、我々には余りなじみのない貴重な足跡もあった。また北イタリアの旅のヴィデオも見せて頂いた。

  第2部は、初めにモーツァルトにレクイエムを依頼したフランツ・アントン・ヴァルゼック伯爵の邸を発見した時のいきさつについて聞き、最後にバッハ没後250年にちなんで、今年の5月にお二人が訪問したバッハゆかりの各地を紹介して頂いた。今回はリューネブルグとケーテンには寄らず、アウグスブルグから入って、ライプツィッヒ、ヴァイマル経由フランクフルトに抜ける旅で、途中の各都市には下記のようなゆかりがある。
  年代の古い順に列記すると、
(1)ヴェヒマール:祖先の住んだ所。家は博物館。
(2)アイゼナッハ:生誕の地、博物館とゲオルグ教会の像。
(3)オーベルドルフ:教会に勤める兄に引き取られた所。教会の記念塔がある。
(4)ワイマール:聖歌隊にいた。
(5)アルンシュタット:ノイキルヘ(バッハ教会)に勤務。教会,バッハ像、博物館。
(6)ミュウルハウゼン:ザンクトブラジウス教会勤務。マリア・バルバラと結婚。教会他。
(7)ワイマール:赤い城の音楽監督。住居跡に銘碑と近くに胸像。
(8)ライプチッヒ:ザンクトトーマス教会勤務。バッハ博物館、記念像、教会の墓。
  以上の他バッハが訪れた教会として、アルテンブルグの城内教会、ワイセンヘルスの教会、ナウムブルグのベンツェル教会といった余り人の行かない所まで紹介して頂いた。お元気な事である。何れも、丁寧に手書きした地図をパネルにしたもの使ってのお話で、中村夫人のモーツァルトやバッハへの熱い想いが感じられた。小生もその内ゆとりが出来たら、是非このような旅をしたい。 (Y)

●情報コーナー

◇コンサート情報 
★7/8(土)19:00 武蔵野市民文化会館(小) Cl五重奏曲シュタードラー、弦樂四重奏曲プロシャ王第1番/ウィーン・アルティス・カルテット\5000 TEL:0422-54-2011★7/13(金)19:00東京オペラシティー/アイネ・クライネ他 ベルリン・フィル・サロン・オーケストラ \12000,6000 TEL:3207-8833★7/20(木・祭)19:00津田ホール 幻想曲K475他、大谷真美子Pリサイタル \4000 TEL:3561-5012

 ◇CD新譜情報 
※今月7月のモーツァルト関係新譜は無かった。レコ芸では、5/24発売のブレンデルのソナタ集を取り上げている。(N)


 ◇CD新譜情報の輸入盤について
毎月の新譜情報のうち、輸入盤の入手方法について、問合せがあったのでお答えする。
 小生の場合は新宿タワー、渋谷HMVに時々行って、輸入盤のコーナーを確認し、モーツアルトの新しいものを見つけたら紹介するようにしている。従って、これらの支店で問合せるか、支店がない場合は、手近の店でCDの番号と曲名を言って注文してください。(Y)


●あとがき

 今年の5月、6月はベンツをレンタルし、ミディ・ピレーネ/ラングドックからアンドラ・ラ・ヴェリアまで足を伸ばし、10世紀末から12世紀、西欧に広まったキリスト教美術によるロマネスク様式の古い教会を見て歩いた。そして写真も沢山撮った。ボルドゥからスタートし、ピレーネの山間で10日間,そしてリヨン、デジョン、ゴルドなど都市のロマネスク寺院を見て、ストラスブールでレンタカーとフランスと別れ、鉄道の旅となった。
  今回の旅で印象深かったのは、ストラスブールに入る前、葡萄畑の大平原の中のボジョレイ村や、石造文化のロマネスクの回廊など、20カ寺に及ぶ古き教会であった。
  べネルクス3国の首都は、サッカー欧州選手権で、どこのホテルも超満員であった。ホテルをとるのに大変苦労したわけで、これからは大都市のホテルは予約すべきと痛感した。ルクセンブルク、ドイツのアーヘン、デン・ハーグ、そして最後はアムステルダムで、ここでは待望のコンセルトへボーの上席でNY PHIL/K.Masurでショスタコーヴィッチの第7交響曲を聞くことが出来た。音響効果が良いことで世界屈指のホールだけに、素晴らしい演奏であった。そして最後の夜はアムステルダムのオペラハウス、ムジークテアターでJ.S.Bach ProgrameでHET国立バレーを見て、25日に及んだ今回の旅を締めくくった。
  毎年この季節、3~4週間、ヨーロッパ旅行をしているが、そろそろ限界が迫り、歳相応の旅の設計が必要なのかも知れない。今回は、毎日のように車で移動したので、スーツケースのつみ下ろしで腰痛が悪化し、帰国後、息も出来ぬ痛さで苦しんだ。しかし、これにめげず、来年も懲りずに二週間くらいの旅には出たいと思っている。そんなわけでフェラインの6月の例会は欠席した次第である。(N)


●お知らせ:新規会員募集
フェラインでは、新規の会員を募集しています。入会ご希望の方は、フェラインのご案内を参照され、古田佳子(bxp00423@nifty.ne.jp)までメールして下さい。

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2000.6

第185回6月フェライン例会

 
事務局レター第59号2000.06.01

  

 事 務 局 レ タ ー/【第59号】2000.6.1 

 【編集者】山本廣資 hiro.yamamoto@mx5.ttcn.ne.jp/古田佳子 bxp00423@nifty.ne.jp

 ●6月例会(第184回)のお知らせ 

◎第1部/モーツァルト・ライゼ、◎第2部/最新旅行報告(バッハゆかりの地)

お話…中村 澄枝氏(本会会員)

 日時:6月11日(日)午後2時
 会場:原宿カーサ・モーツァルト(原宿医院)3Fホール(JR「原宿」下車・徒歩5分/地下鉄「明治神宮前」下車・徒歩3分)、(「ラフォーレ原宿」裏、「東京中央教会」向かい)
 例会費:¥1500(会員・一般共)

  フェラインのように、どこかに集まって何かをすると言うような趣味の会にとって、会場の確保が一番大変なことです。最近では公共の物を初めとして、色々な集会施設があちこちに出来ていますが、それでも、公共の安いところは、申し込み時に早く行って並ばなければいけないとか、抽選とかがあって、どこの会でも、会場を確保するのに幹事さんたちが四苦八苦しているのが現実です。当会は中村ご夫妻のご好意で、定期的に集まれる会場が決まっており、大変ありがたいことで、当会が長続きしているのもこのおかげであると思います。今回は、例会の会場主である中村ご夫妻の内、中村夫人のお話を伺います。中村夫人からは次のようなメッセージを頂きました。

 『私達夫婦のライフワークともいうべきモーツァルト・ライゼをはじめてから、20数年がたちました。その間に訪れた国や街、そして、モーツァルトを通して知り合った人々も各地に出来ました。今回は、その中からドイツとイタリアの足跡の一部をお目にかけたいと思います。

  第1部:モーツァルトの父レオポルド・モーツァルトの生家のあるアウクスグルグのモーツァルト・ハウスと、アウクスブルグの近郊に住んでいたモーツァルトの祖先と、モーツァルトの足跡について。つづいてミュンヒェンからの列車の旅で訪れたインスブルック、ベローナ、ロヴェレートなど、ビデオでみて頂きたいと思います。
  第2部:モーツァルトにレクイエムを依頼した、フランツ・アントン・ヴァルゼック伯爵の邸を発見した時のいきさつについて。最後にバッハ生誕200年にちなんで、この連休の「バッハゆかりの地」訪問の旅についてご報告をしたいと思っています。
  何卒、二人三脚の旅ですので、お見苦しいビデオかと思いますが、皆様にあまりおなじみでない足跡をお目にかけたいと思っています。』

 尚、例会後はいつもの様に会場近くの「コナ・ファーム」での懇親会を予定しております。どうぞご参加ください。(Y) 


●今後の例会ご案内

 7月16日 端 直明氏(本会会員)「モーツアルトのフルート音楽について」

 8月 ――― 休会 ―――

9月10日 倉島 収氏(本会会員)「モーツアルトのオブリガードのさまざま」

10月22日 井上太郎氏(湘南モーツァルト愛好会会長)(テーマ未定)

11月12日 中村 宏氏(本会会員)「私の古楽器演奏家事典(5)カウンター・テナー/(6)「ハープシコード」

12月10日 三澤寿喜氏(北海道教育大学教授)(テーマ未定)

 


●5月例会(第183回/5月14日)の報告

 『クラヴィコードによるモーツアルト再発見』・・・筒井一貴氏(日本クラヴィコード協会会員)
 鍵盤楽器には色々な種類があるが、その音の小ささゆえ、普通の演奏会ではまずお目にかかれないのが、クラヴィコードである。クリスティアン・バッハやモーツァルトに愛されたこの楽器は形も小さく、馬車に乗せられて旅のお供をしたように、今回も筒井さんがタクシーで運び、自分でカーサ・モーツァルトの3階まで持ってこられ、その手軽さに驚かされた。
  今回は筒井さんの解説を聞きながら、クラヴィコードならではのかそけき音に、耳を澄ませた午後であった。初めにK.356のアダージョ。以下K.1、K.2、K.9a。このあたりでは、耳をそばだて真剣に聴かないと聴き取れない程であったが、進むにつれ耳も慣れてきて、筒井さんが表現する、鍵盤楽器ではクラヴィコードにしか出来ないビブラートや、クレッシェンドも分かるようになり、K.315gの「8つのメヌエット」では、色々な表現の響きを楽しませて頂いた。多様な表現が出来ると言うことは、それなりの表現力、技術力を要求されるわけで、甘いタッチでは弾き返される程で、決して簡単な楽器ではないとの事でした。
  クラヴィコード全盛期に、この楽器を好んだC.P.E.バッハの作品からは、Wq50-3のソナタの第1楽章。クラヴィコード向きの作品とはいえ、こんな好い曲があったのか思われるほど。ピアノでの演奏も聴かせてもらったが、雰囲気がなくつまらなく聞こえた。この辺りが、クラヴィコードに特化された作品の多いC.P.E.バッハの評価が低い理由であろうとのことであった。ちなみにC.P.E.バッハの作品には、ビブラートの記号があるとの事でした。かけたい時にビブラートをかけられるということは、それだけ楽器の表現力が豊かであり「クラヴィコードを弾いた事があるチェンバロ奏者と、弾いた事のないチェンバロ奏者とは聴けば分かる」とまでいわれていたそうである。
  その他聴いた曲を並べると、J.C.バッハ:作品5-3(K.107-2の原曲)。ヨハン・クリストフ・フリードリッヒ・バッハと、モーツァルトの「キラキラ星変奏曲」。後者をクラヴィコードでひくのは難しいとの事。K.511。ハイドンからHob16-13。リクエストに応えてK.545/2movと、K.310/1mov。前者がこの楽器に非常に良くマッチしていた。弟子フンメルの作品がクラヴィコードに合うか、と言うことで、作品13、変ホ長調のソナタの第1楽章。さすがにこれは無理で、楽器に出来ることを逸脱している感じであった。最後に、K.33B。これだけ音に集中して聴いたのも初めてで、普段は余り気にならないエアコンの音も気になる程、最初はずいぶん小さな音だな思っていても、終わりのほうでははっきり聞こえてくるようになり、集中力の大切さを教えられた。18世紀のサロンで、いと妙なる音に耳を傾けると言った得難い音楽体験であった。今回は楽章ごとの演奏が多かったので、次回はぜひ、全楽章通したまとまった曲の演奏を期待したい(Y)

 

●情報コーナー

◇コンサート情報 
★6/16(金)19:00 旧奏樂堂、SPA東京定期:P四重奏曲K.493、ブラームス:P五重奏曲、\3000 (平野音楽企画 0120-63-6681 ★6/16(金)19:00大田区民ホールアプリコ(小):「コシ・ファン・トゥッテ」レクチャーコンサート/(指)新田(中村)ユリ、(P)河原奈美!他 ヴォーカル、\3000、(大田区民オペラ振興会 3757-3965 ★6/18(日)15:00昭和女子大グリーンH Rコルサコフ:室内オペラ「モーツアルトとサリエリ」!! /(BB)A・ワシーリエフ、(T)W・イスリャイキン他(P)E・マクリャルスカヤ \2500 (ヘラルドの会 045-544-0933 ★6/30(金)19:00 紀尾井H:紀尾井シンフォニエッタ東京定期:ディヴェルティメントK.137、 Fl協奏曲No.1、Ob協奏曲K.314、交響曲No.39/(指)尾高忠明、(Fl)W・シュルツ、(Ob)H・シェレンベルガー!、\5500-3500 (紀尾井H 3237-0061 ★6/30(金)19:00 カザルスH、ヨーロピアン・ソロイスツ・アンサンブル:Fl四重奏曲No.3、Cl・Va・Pの為の三重奏曲「ケーゲルシュタット・トリオ」、バルトーク:Cl・Vn・Pの為のコントラスト、他\5500 (神原音楽事務所 3586-8771 ★今月のN響の午後6/24(土)14:00 NHKホール,武満徹:ノヴェンバー・ステップス、バルトーク:P協奏曲No.3、ベートーヴェン;交響曲NO.7 /(尺八)横山勝也、(琵琶)中村鶴城、(P)A・ヘフリガー、(指)デュトワ、当日券\1520 ※3F舞台に向い右側に集合下さい。(Y)

◇CD新譜情報 
★ピアノ協奏曲全集/(P)A.シュミット/マズア:ドレスデン(レーベル?)82124 01502 10枚組\2590!(新・TOW)-若松さんのホームページに町田氏の推薦と若松氏の感想が載っていた。値段はメチャ安。★Cl協奏曲(K.622),ベートーヴェン:Cl協奏曲(!)(Vn協奏曲の編曲版)/(Cl)M. コリンズ/ プレトニョフ:ロシア国立O.独Gram28945 76522\1690★2台のPS K.521、K.448、シューベルト:アンダンティーノ、ドビュッシー:白と黒/P)リヒテル、ブリトゥン 英BBC 466 821-2 \1290★交響曲No.39、40/ブリトゥン:ECO英BBC 466 820-2 \1290★In Der Bauermusik(田舎の音楽)(ハープとDBの編曲物)ampanella C-130076 \2390★ピアノ協奏曲No.22/(P)アニ-・フィッシャー/クレンペラー:ACO(L)、ベートーヴェン:ピアノ協奏曲No.3/(P)同/フリッチャイ:ベルリン放送o(L) 加PALEXA CD-0515(Y)

 

●フェラインの公式ホームページ開設のお知らせ

 フェラインでは、このたび待望の会としての公式ホームページを開設いたしました。まだ、出来たばかりのヨチヨチ歩きの状態ですが、これから毎月の事務局レターを中心に、会員の皆さんに発信して行きたいと考えておりますので、どうかよろしく御願いします。ホームページには「会員の広場」を設け、皆さんの生のご意見を受信できますし、NYからは若松会長の「アルフォンゾの部屋」でメッセージが届くようになっています。これからは、会員個人のホームページやEメールとのリンクによる会員ネットワークも徐々に整備して行きたいと考えておりますので、メールが可能な方は、是非、会員広場の方にアクセスし、メールアドレスを登録していた だきたく、お願い申しあげます。
●ホームページアドレス  http://www.geocities.co.jp/MusicHall/4498/
(ホームページ担当:倉島/メールアドレス pxh04362@nifty.ne.jp) 

 

●あとがき

 上記の公式ホームページ、及び会長その他のメンバーにより、今までに開設されたホームページのアドレスを挙げると、下記のようになる。

☆モーツァルティアン・フェライン 「http://www.geocities.co.jp/MusicHall/4498/

☆若松会長(モーツアルテイアン626) 「http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Stage/6260/

☆倉島副会長(モーツァルティアン449)「http://www.geocities.co.jp/MusicHall/4493/

☆山本世話人(モーツァルティアン488y) 「http://www.geocities.co.jp/MusicHall/4037/

  若松会長のホームページには「i.am/mozartian」(httpもwwwも不要)これだけで簡単にアクセスできるので、ここをひらいて「お気に入りのサイト」にある公式ページや、倉島さんや小生のページ(上記の括弧内の名前になっている)をクリックすると、こちらのページも開ける。是非、訪問してください。(Y)

 

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2000.5

第183回5月フェライン例会

 
事務局レター第58号2000.05.01

  

 事 務 局 レ タ ー【第58号】2000.5.1 

 【編集者】中村宏hakushu@pop21.odn.ne.jp/古田佳子bxp00423@nifty.ne.jp

 ●5月例会(第183回)のお知らせ 

『クラヴィコ―ドによるモーツァルト再発見 (生演奏付き)』

 演奏とお話…筒井 一貴氏(日本クラヴィコード協会会員)


 日時:5月14日(日)午後2時
 会場:原宿カーサ・モーツァルト(原宿医院)3Fホール(JR「原宿」下車・徒歩5分/地下鉄「明治神宮前」下車・徒歩3分)
 例会費:¥2000(会員・一般共)

  筒井氏は昨年6月、楠氏の会員フォーラムの際、山野辺暁氏製作のクラヴィコードを持参しての登場でしたが、是非、今一度、数少ない古楽器の演奏を聴きたいという会員の希望に応え、再度出演していただく事になりました。当日の公演の主旨は、クラヴィコード演奏の解説として、凡そ次のようなお話を伺う事になると思います。

  『Wolfgangは生涯を通じてクラヴィコードに触れており、旅行の際にも、常に小型のクラヴィコードを携えていたと思われます。晩年の〈魔笛〉〈コシ〉〈皇帝テイート〉の一部はプラハヘの馬車の中で、クラヴィコードを使って作曲されたものでした。Wolfgangの生きた時代は、チェンバロの役割が急速に衰え、フォルテピアノの性能が飛躍的に向上し、しかし、クラヴィコードの評価が著しく高かった時代でした。これを端的に示しているのは、C・P・E・Bachによるこのような表現です。(要約)「クラヴィコードを上手に演奏できる者なら、誰でも同じ事をチェンバロでも行う事が出来るであろう。しかしその逆は不可能である。従って、良い演奏を身につけるためにはクラヴィコードを、必要な指の強さを獲得するためにはチェンバロを用いなければならない。良いフォルテピアノは、クラヴィコードに匹敵する表現ができる。」 また、レーオポルドは1778年4月の手紙に「もしお前がパリで、私たちのものと同じように良いクラヴィコードを見つけられたなら、お前にはその方がチェンバロより好ましいし、また合っているだろう」と書いています。レーオポルドの教育方針にクラヴィコードは叶っており、その結果時代の寵児となったWolfgangの"芸風"にも合っていたことが伺えます。』

  例会終了後は恒例の懇親パーティを予定しておりますので、どうぞご参加 下さい。(N)

 

 ●今後の例会ご案内

 6月11日(日) 中村澄枝氏(本会会員)「第一部;モーツァルト・ライゼ、第二部;最新旅行報告--バッハゆかりの旅」

 7月9日(日) 端 直明氏(本会会員)(テーマ未定)

 8月 ――― 休会 ―――

9月10日(日) 倉島 収氏(本会会員)「モーツアルトのオブリガードのさまざま」

10月22日(日) 井上太郎氏(湘南モーツァルト愛好会会長)(テーマ未定)

11月12日(日) 中村 宏氏(本会会員)「私の古楽器演奏家事典(5)カウンター・テナー/(6)チェンバロ」

12月10日(日) 三澤寿喜氏(北海道教育大学教授)(テーマ未定)

 

●4月例会の報告

  今月は、久々にフルーティストの大田哲弘氏とピアニストの河原奈美氏ご夫妻の演奏付き講演で、第1部がオブリガード付きピアノ・ソナタの変遷というテーマ。モーツァルトがパリ、ロンドンを旅行した1763年から66年にかけて作曲されたソナタには〈ヴァイオリン、又はフルートの伴奏を伴って演奏 する事ができるクラヴサンの為の6曲のソナタ。8歳のヴォルフガング・モーツァルト作曲。作品III>と題されており、もう一つの版には<ヴァイオリン、またはフルート、及びチェロの伴奏を伴って演奏することが出来るクラヴサンの為の6曲のソナタ K10/15>と記されている。大田氏は、K15とK11のソナタを演奏しながら、専門的註を細かく説明された。何れもヴァイオリンないしはフルートの参加を認めているのだが、旋律楽器のパートには重音や、かなり低い音が使用されているので、モダン・フルートでは物理的に演奏する事が出来ないと嘆いておられた。
  モーツァルトは、本来ヴァイオリンを想定してこの曲を作曲したものと思われる。そして、チェロの参加により、K10/K15のソナタは<トリオ・ソナタ>として、新モーツァルト全集では分類編集している。モーツァルトの初期の作品故に常に取り上げられ、同時代の作曲家の作品と比較されている。当日は、J・C・Bachの1778年に作曲したソナタの第1楽章、第2楽章、更に、J・N・Hummelの作品50のソナタ(フルートとクラヴィア)と、J・K・Vanhalのソナタ、最後にMozartのK454のヴァイオリン・ソナタをフルートとピアノで演奏していただいた。
  第2部は、<オペラは大変だァ>というテーマで、実際にご夫妻が「大田区 民オペラ協議会」主催で行われるオペラ公演に参加されて、公演が形をと、演奏出来るまでの苦労話を夫々の立場からご披露くださった。それは我々が想像もつかない、色々な事柄があるようだ。正指揮者と演出家との折り合い、どちらをメインに考えるか。稽古開始は通常3ケ月前から。登場人物の個性、舞台の照明、アリアや合唱の音程の間違いの指摘や、全て音楽関係は副指揮者が映画作りの助監督のように指導し、責任を持たされているようである。そしてオーケストラは一週間位前からリハーサルに入るようで、その間の譜割り、セリフ、言葉の訓練、特に言葉の問題は大きいようだ。その点モーツァルトは的確にイタリア語に精通しており、音符に的確に言葉を入れているのが解り感心するとのことだ。今後も大田氏はオケのフルート、奥様はピアニスト(コレペティトゥーア)として大田区民オペラに参加され、6月16日の「コシ」のレクチャー・コンサートに向けて、目下練習に励んでおられる由。尚、本公演は10月14、15日に行われる。(N)

※大田区民オペラ公演〈コシ・ファン・トゥッテ〉◎「レクチャー・コンサート」6/16(金)19:00 大田区民ホール(JR蒲田駅前)¥3000 ◎「オペラ本公演」10/14(土)、15(日) 大田区民ホール ¥8000~¥4000 (03(3757)3965【大田区民オペラ協議会】 


●情報コーナー

◇コンサート情報 
★5/12 19:15 三鷹市芸術センター 木管五重奏団とPの世界/P五重奏曲K452他¥2000、学¥1000 TEL:090-4048-3089(ラフォリア)★5/16 19:00 津田H 塩崎文子Pリサイタル/ロンドK485他 ¥3500 TEL:3351-4041(サウンド・ギャラリー)★5/17 19:00 紀尾井H 新東京室内orc/交#35他 サリエリの歌劇 ¥5000~¥3000 TEL*3446-1223(前田事務所)
★5/18 19:00 東京オペラシティ 深沢売子Pリサイタル/幻想曲K397、 ソナタ#11 ¥5000 TEL:3561-5012(新演奏家協会)★5/18 19:00 藤沢リラホール/イェルク・デームス、幻想曲K397他 Bach, Beethoven,Schumam、Chopin ¥5500、学¥3 500 TEL:0466-22-2721(同ホール)★5/19 19:00 埼玉芸術劇場 アルバン・べルクSQ/弦楽四重奏曲#20他 ¥6000、¥40 00 TEL:048-858-5511(同劇場)★5/23 19:00 紀尾井H アルバン・べルクSQ/弦楽四重奏曲#20他 ¥7000、¥6000 学 ¥3000 TEL:3237-0061 ★5/27 19:00 王子H アフラートゥス五重奏団プラハ/幻想曲K608、フィガロ序曲他 ¥5000 TEL:3567-9990★5/30 19:00 東京文化会館 ザルツブルク・モーツァルト・アンサンブル/ディウ゛ェルティメントK136、#11、Hr協#4他 ¥6000~¥3000 TEL:5721-4621

◇オペラ・フェスティヴァル(2000/2002年)
★ウィーン国立歌劇場がミラノ・スカラ座に続いて来日。6月11日チケット発売、10月に来日するが演目は(1)グルベローヴァが魅力のドニゼッティの『シャモニーのリンダ』(2)R・シュトラウスの『ナクソス島のアリアドネ』そして3つ目は華やかなオペレッタ(3)レハール『メリー・ウィドウ』指揮者はB・カンパネッラ、ジュセッペ・シノポリ、メルクルの3人。★先陣のミラノ・スカラ座の方はオール・ヴェルディで『リゴレット』NHKホール 9月10、13、15、17、20日 S¥55000、A¥50000、B¥40000・・・F¥13000/『運命の力』東京文化会館 9月16、19、21、24日 S¥58000、A¥52000、B¥45000・・・F¥15000/ 『レクイエム』NHKホール9月22、23日(都民劇場共催) S¥20000、A¥18000、B¥15000、C¥12000、D¥10000、E¥8000 指揮は全てリッカルド・ムーティ。チケットは既に発売中(4月2日より)詳細はNBS (3791-8888)
★今年は最後にザルツブルク・イースター・フェスティヴァル初の引っ越し公演がある。クラウディオ・アバドがべルリン・フィルハーモニーを率い11月23、27日・12月1日東京文化会館で『トリスタンとイゾルデ』。スタッフは1999年のザルツブルクと多少変わるが、イゾルデ役は同じデボラ・ポラスキ。料金はS¥65000、A¥52000、B¥38000、C¥25000、D¥12000 (3586-8771(神原音楽事務所)、前売り開始は5月13日(土)。

◇CD新譜情報
★5/24発売 Cl協他 コリンズ(c1):プレトニョフ(指揮) ユニバーサル POCG-10273 ¥3059★Pソナタ第11、16番他 ブレンデル、ユニバーサル PHCP-11198 ¥3059★レクイエム/ヴァイル(指)、ウレヴィッツ(Sp)SME SRCR-2533 ¥2520★Vn協第1番他 オイストラフ MGM BVCC-37082/3 ¥2854


●お知らせ
 昨年の10月のフェライン例会は「江端津也子ピアノ・リサイタル」でしたが演奏者急病のためリサイタルを急遽取りやめ、チケットを購入された会員の皆様には大変ご迷惑をおかけ致しました。ご本人からも公演中止のお詫びと現在は元気になりレッスンを再開し、近い将来のリサイタルに備えている旨のメッセージが届いております。フュラインとしましても、津也子女史の一日も早い復帰とご健康をお祈りしたいと思っております。(フェライン世話人一同) 


●あとがき

 今の日本は景気回復の遅れと、経済成長率の低さで政府、経済界ともIT革命こそが21世紀の日本経済発展の決め手として、新聞テレビにこの2文字「IT」が記事にならない日はない。アメリカに比べパソコンの普及率が1/3であるとか、日本は携帯電話のドコモのiモードで、インターネットでの株の売買から預金の入出金まで可能で、Eメールは基よりあらゆるIT革命に対応し、何れ2003年位にはアメリカに追いつき、しかもパソコンと異なり携帯できることが勝ると言うのである。将来のことは全く筆者には解らないが、ともかく乗り遅れては不味いと、実は昨年8月にパソコンと携帯電話なるものを所有することになった。パソコンは9ケ月経ち、漸く国外のホームページを読む処まで、携帯電話は外出時携帯と相成ったが、その価値と便利さは?まだ筆者自身の解答は出していない。フェラインのメンバーの中にはパソコンを早くから始めた方も多く、最近始めた方もおられ、「フェラインのホームページを作ろうョ」との話もあります。NewYorkの若松会長は、この3月にプライべートのホーム・ページ「モーツァルティアン」を開きました。パソコンをお持ちの方は、是非、一度開いてみて、お祝いのメッセージを送ってみて下さい。(URL)ホームページ・アドレスは『i.am/mozartian』です。(N)

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2000.4

第182回4月フェライン例会

 
事務局レター第57号12.04.01

  

 事 務 局 レ タ ー【第57号】2000.4.1 

 【編集者】山本廣資 /古田佳子 

●4月例会(第182回)のお知らせ 

◎ 第1部/フルート演奏付のお話(オブリガード付ピアノソナタの変遷)
◎ 第2部/オペラは大変だぁ

演奏とお話…大田 哲弘氏(フルーティスト)/河原 奈美氏(ピアニスト)

 日時:4月9日(日)午後2時
 会場:原宿カーサ・モーツァルト(原宿医院)3Fホール(JR「原宿」下車・徒歩5分/地下鉄「明治神宮前」下車・徒歩3分)
 例会費:¥2000(会員・一般共)


 一昨年11月の「マンハイム時代のモーツァルトと同時代の音楽家」以来の大田哲弘氏の登場です。今回も奥様の河原奈美さんのピアノ演奏に、大田さんのフルート演奏を加えてのプログラムです。大田さんからは次のようなメッセージを頂きました。

 【第1部:当時(モーツァルトからべートーヴェンヘと流れて行くオブリガード付ピアノソナタの変遷)の流れを、下記のソナタを実演しながら考えてみます。まずは、モーツァルト8歳のKV15。このソナタ(1762年作)と、モーツァルトが真似したJ.C.バッハの1777年作の6つのソナタ集から、No2。KV15はKV10~15の6つのソナタの中では、オブリガードがなければソナタの形態をなし得ない唯一のものです。一方、C.F.バッハは45歳の時の作品で、デュオ・ソナタとしての形が形成されています。J.C.バッハの作品は、15年程、8歳のモーツァルトから現在に近くなっていますが、面白い比較が出来るでしょう。Mozart VS ..Bach!!次に、1784年作(モーツァルト28歳の作)KV454のソナタから第1楽章と、当時モーツァルトの同僚で、ウィーン宮廷の作曲家であるJ.B.ヴァンハル(1739~1813)のソナタとの比較。商業的に売れるとか売れないとかの比較にもなりますが、聴覚的にも芸術的にも、またアマチュアの演奏家では手におえない世界も見えてきます。そして最後にモーツァルトのクラヴィーアの弟子J.N.フンメル(1778~1837)《彼は1786~7にモーツァルトからクラヴィーアのレッスンを受けている》のフルートとピアノのソナタから第1楽章。これはオリジナル(フルートとピアノ)編成の曲です。作曲家の天分は何かと考えてしまいます。
  以上、前半の曲目は・・・(1)モーツァルト/ソナタ B:KV15(2)J.C.バッハ/ソナタ G (3)モーツァルト/ソナタ B:KV454より 第1楽章 (4)J.B.ヴァンハル/ソナタ G (5)J.N.フンメル/ソナタ D:Op.50より 第1楽章・・・となります。

  後半は、「オぺラは大変だぁ」と題して、オケサイドから実際にオケピットで演奏するオケマンの実情に迫ってみます。制作サイドはお金の面で大変ですが、今回はその話はナシでゆきます。具体的にはオケのパート譜、例えばフルートとかホルン、そしてヴァイオリンのパート譜のコピーを用意しますので、そのパート譜から全体像を描いている我々はまさにパレットの中の1つのものである事を実証してゆきます。指揮者のコメントも紹介したいと考えておりますので、ご期待下さい。】

  前回と同様、ご夫妻の面白いお話が聴けるのが楽しみです。尚、例会後は会場近くの「コナ・ファーム」で懇親会を予定しております。どうぞご参加ください。(Y)

 

●今後の例会ご案内

 5月14日 筒井一貴氏(日本クラヴィコード協会会員)「クラヴィコードによるモーツァルト再発見(生演奏付)」

 6月11日 中村澄枝氏(本会会員)「第1部:モーツァルト・ライゼ、第2部:最新旅行報告-バッハゆかりの地」

 7月9日 端 直明氏(本会会員)(テーマ未定)

 8月 ――― 休会 ―――

9月10日 倉島 収氏(本会会員)「モーツアルトのオブリガードのさまざま」

10月22日 井上太郎氏(湘南モーツァルト愛好会会長)(テーマ未定)

11月12日 中村 宏氏(本会会員)「私の古楽器演奏家事典(5)カウンター・テナー(6)/ハープシコード」

12月10日 三澤寿喜氏(北海道教育大学教授)(テーマ未定)

 

●3月例会(第181回)の報告

  レコード芸術誌の2月号に、海老沢敏氏、長木誠司氏と田辺秀樹先生による『賢者の石』についての鼎談が掲載されたので、今月のお話はこれになるのではないかと期待していたのだが、果してその通りであった。モーツァルトが関与した可能性のあるシカネーダー台本のこの作品は、1996年に米国北アイオワ州のD.J.ブッフ教授によって、モーツァルトが作曲した部分が明らかにされた。これは1997年6月12日にニューヨーク・タイムスで報道され、我国の新聞などでも取上げられて話題となった事は、モーツァルト・ファンである皆様は良くご承知でしょう。早くも次の年('98年)の10月30日にはボストンで復活上演(演奏会形式)され、CDは昨年発売 になった。このようなホットニュースに関して直ぐにお話を聴かせて頂けるとは大変幸せである。既に上記鼎談を読んでおられる方も多いと思われるので、当日の先生のお話を中心に、前月の『事務局レター』やレコ芸誌の記事と重複しない様に纏めました。

  はじめに、前述のNYタイムスの記事について。この会の為に、わざわざ田辺先生が翻訳されたA4版2ぺージ余の内容は、この作品の概要・時代背景やモーツァルト作曲部分の発見の経緯等が詳しく述べられており、NYタイムス、及び記事を書いたE.ロスシュテイン氏(経歴等不詳)の見識の深さを感じさせられた。この作品は「魔笛」初演の約1年前(1790年9月11日)に初演され、配役は作品の内容が類似している事もあって、「魔笛」の初演時と殆ど同じメンバーである。その後、19世紀初頭にかけて各地で上演され、そのとき作成された手書きの楽譜が各地に存在しているとの事で、ブッフ教授は、この曲の殆どのナンバーに作曲者の名前が記入された手書き楽譜をハンブルグで発見したわけである。
  モーツァルト作と記入されている部分は3曲で、合計しても6分に満たない。この内、第2幕第4場の「二重唱」については(小生は今回が初聴)、従来からモーツァルトの作品とされ、K625(K529a)の番号もあるが、今回の発見で裏付けられたわけである。したがってこれについてのアインシュタインの見解、ニッセンによるエピソード等から、モーツァルトが当時から親しく出入していたシカネーダー一座の協同作品であるこのオぺラを手伝った可能性は十分にある。 このオぺラの内容や「魔笛」との類似点については、台本上や音楽面での類似点について解説して頂いた。台本上では文体や用語法の類似ばかりでなく、擬声語の多用、魔法の趣向の他、何よりも登場人物が2組の恋人達を始めとして、魔笛そっくりであり驚かされた。又、第1幕序曲から第2幕フィナーレに至る各ナンバーそれぞれの作曲者を記した作曲担当表(作曲者の記入されていない曲もかなりある)を見ながら、アリアや合唱・重唱等を聴かせて頂いたが、モーツァルトの作品に何となく似ている部分も多く、他の作曲家の部分でも作品やオーケストレーションに手を入れるとか、何らかの形でモーツァルトが関わっていた形跡が見うけられた。この作品の成功に味をしめたシカネーダーが、次回は合作でなく、モーツァルトに全曲を依頼したのが「魔笛」であることは十分に考えられる。ともかく、新発見のこの作品に対する好奇心を充分満足させて頂いた上、今後西欧のどこかの図書館等で、又何か発見されるのではないかとの期待迄抱か せてくれるお話でした。
  第2部として、前号のレターにあるようにフリードリッヒ・グルダの追悼として、彼がアンコールでよく取上げた『ウイーンの辻馬車』を、先生の演奏でお聞きした。この曲の原曲とグルダ自身の演奏も併せて紹介され、グルダによるモーツァルトの演奏がもう聴けなくなったという事実をしみじみ感じさせられた事であった。(Y)

 

●情報コーナー

◇コンサート情報 
★4/14(金)19:00 紀尾井H 《愉しくクラシック~モーツァルトの手紙》「ハフナー」セレナーデ/語り:中村メイコ、朝枝信彦(コンサートマスター):アマデウス・アンサンブル東京、¥6000~4000 TEL:3351-4041(サウンド・ギャラリー)★4/16(日)14: 00 サントリーH 《2000年祭モーツァルト・スぺシャル》交38・41、演奏会用アリアK582、モテットK165/足立さつき(S)、ルカーチ・エルヴィン(指)日本フィル ¥6000~3500 TEL:5378-5911(日フィル)★4/17(月)19:00 JTアートホール 弦楽5重奏K515(!) ヴォルフ:イタリアンセレナーデ、メンデルスゾーン:弦楽8重奏/アフィニス弦楽アンサンブル ¥2000 TEL:3431-4211(アフィニス文化財団)★4/26(水)東京文化会館(小)《桑島すみれハープリサイタル》ソナタK331他、へンデル:シャコンヌ、ファンタジア他 ¥4000 TEL:3561-5012(新演奏家協会)(Y)

◇CD新譜情報 
★《交響曲全集》 A.アリゴーニ:イタリア・フィル [20.3300GA]10枚組¥2890(!)(新・TOW)★《P協#12(K414)、P四重奏#2(K493)》ブレンデル(P)、アルバン・べルグSQ [EMI 7243 5 56962 2]¥1890★《P協#12(K414)、#14(K449)他》M.キルシュネライト(P)、F.べールマン:バ ンベルクSO [ARTENOVA 74321-74117]¥990★《ピアノデュオの音楽(K19d、358、381、448、497、501、521、594、608)》エッシェンバッハ、ユストス・フランツ [DG 459475 2(2枚組)]¥1690(!)★《ピアノソナタ全集》J.B.ポミエ [Virgin 7243 5 61684 2(5枚組)]¥3490(Y)

●あとがき

 私事であるが3月15日に会社を定年退職した。遊んで暮らせるわけではないので、長年の経験と知識を生かして建築設備に関するコンサルタントを行う積りである。しかしとりあえずは手元不如意となるので、今までと比べ趣味の世界で若干不自由となるのはやむを得ない。ここでものを言うのが40年間のストックである。若松会長ほどではないが、何時の間にか集まったLP/CDが沢山あるし、物によっては殆ど聴いていないものもある。1月に発表した「他の作曲家が編曲したモーツァルト」のリストを作成する際に古いレコードをひっくり返していたら、聴きたい物がいっぱい出てきた。自由時間も増える事でもあるし、これらを聴きながら、やりたいと思っていた手持LP/CDのリストを作って行くのも楽しみである。手始めにモーツァルトから始めたい。(Y)                 

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第181回3月フェライン例会

 
事務局レター第56号2000.03.01

  

 事 務 局 レ タ ー【第56号】/ 2000.3.1 

●3月例会(第181回)のお知らせ 

 テーマ:新発見の歌劇『賢者の石』について

 お話・・・田辺 秀樹氏 (一橋大学教授)

 日時:3月19日(日)午後2時

 会場:原宿カーサ・モーツァルト(原宿医院)3Fホール(JR「原宿」下車・徒歩5分/地下鉄「明治神宮前」下車・徒歩3分)
 例会費:¥2000(会員・一般共)

ここ数年、年度末の3月は田辺先生にご足労をお願いしていますが、今回はレコード芸術2月号でも、座談会形式でこのテーマを取り上げており、田辺先生も海老沢敏氏と出演されておりましたので、先生には専門家の立場から、興味あるお話をお伺いできるのではないかと期待しております。先生からは、歌劇『賢者の石』について、次のようなメモを頂きました。
 【 昨年末、モーツァルトが一部を作曲したと見られるジングシュピール『賢者の石』のCDが発売になりました。こは『魔笛』初演の一年前、『魔笛』が初演されたのと同じシカネーダーの「アウフ・デア・ヴィーデン劇場」で初演された魔法歌劇です。作曲にはへンネべルク(『魔笛』の初演でモーツァルトに引き続いて指揮を担当した座付き作曲家)、シャック(『魔笛』でタミーノを歌ったテノール歌手兼作曲家)、ゲルル(『魔笛』でザラストロを歌ったバス歌手兼作曲家)のほか、モーツァルトも部分的に参加していると考えられます。モーツァルトの関与は分量的にはごく少ないようですが、いずれにせよ、台本の面でも音楽の面でも『魔笛』と関連が深いことがわかるだけに、興味の尽きないCDです。これを聴きながら、『魔笛』と聴き比べたりしてみましょう。
それから、私の大好きなピアニストのグルダが1月27日(モーツァルトの誕生日)に亡くなりました。追悼の意味を込めて、グルダがアンコールでよく弾いた『ウィーンの辻馬車の歌』を、(グルダとは月とスッポンの怪しい演奏ですが)演奏させていただきたく思います。乞う、ご寛容!】

 当日はいつものように、例会終了後、会場近くの「コナ・ファーム」にて先生を囲み、懇親パーティを開催しますので、会員の皆様は多数ご参加下さい。(N)


 ● 今後の例会ご案内

 4月9日 大田哲弘氏、河原奈美氏「第1部:FL演奏付のお話(オブリガード付ピアノソナタの変遷)/第2部:オペラは大変だぁ」

 5月14日 筒井一貴氏(日本クラヴィコード協会会員)「クラヴィコードによるモーツァルト再発見(生演奏付)」

 6月11日 中村澄枝氏(本会会員)(テーマ未定)

 7月9日 端 直明氏(本会会員)(テーマ未定)

 8月 ――― 休会 ―――

9月10日 倉島 収氏(本会会員)「オブリガードについて」

10月22日 井上太郎氏(湘南モーツァルト愛好会会長)(テーマ未定)

11月12日 中村 宏氏(本会会員)「私の古楽器演奏家事典⑤カウンター・テナー⑥/ハープシコード」

12月10日 三澤寿喜氏(北海道教育大学教授)(テーマ未定)


●2月例会の報告

 今月は、ピアニストでモーツァルトの研究家の久元祐子女史の『モーツァルトのクラヴィーア曲と同時代の作曲家たち』という講演。研究者や評論家ではなく、実際ピアノを弾く演奏家の立場から、ピアノ演奏も交えたお話で、追力と説得力のある講演会になりました。演奏データは事務局レター第55号で詳しく説明してありますので、重複を避けます。
 久元氏はモーツァルトに最も影響を与えた同時代の作曲家としてクリスティアン・バッハを選び、その時代背景、鍵盤楽器の変革、イタリア、ロンドン、パリでの夫々の活動と影響など詳しく説明されました。ロンドン時代バッキンガム宮殿でのクリスティアンとの初めての出会いから、ピアノ演奏では、まず、モーツァルトの作品として、『ロンドンの楽譜帳』からト短調K15Pが演奏されました。次にC・バッハのソナタ ト長調 0p5-3(素人向けに作曲したもの)と、モーツァルトがこの曲作品5-3をクラヴィーア・コンチェルトK107に編曲したものをCDで聴きました。さらにC・バッハの作品5-3とモーツァルトのト長調ソナタ K283との比較。モーツァルトのイ短調ソナタ K310は名曲ですが、この曲の片鱗を8歳のモーツァルトは冒頭の『ロンドンの楽譜帳』で既に試みていると久元氏はその天才ぶりを讃えていました。
 C・バッハのハ短調ソナタ 作品17-2は短調の緊張感が明るい方ヘ転調し、笑いで曲を終わらせますが、これはC・バッハの性格であり、長所であり、短所でもあると結論づけられました。これに対しモーツァルトのK310はカテンツァの繰り返しによる緊張感の持続や、コーダの巧みな処理など作曲法もモーツァルトのテクニックは、素晴らしいと絶賛。そしてモーツァルトとC・バッハとの曲を比べるのは不可能だと言う結論で終わりました。
 因みに、『モーツァルトと同時代の作曲家たち』はニルンベルクのクラヴィーア楽譜出版ハフナーの記録によると67人の作曲家がいたということです。(N) 

 

 ●情報コーナー

◇コンサート情報 
★3/9(木)19:00 紀尾井ホール:山岡優子 Pリサイタル/幻想曲 K397、ソナタ#10他 \7000~5000 (3561‐5012(新演奏家協会)★3/1l(土)14:00 越谷サンシティ小ホール 佐藤美枝子ソプラノリサイタル/モテット踊れ喜べ他 へンデル、ヴェルディ、ドニゼッティ \3500~3000★3/17(金)l9:00 サントリーH、3/18(土)14:00 東京芸術劇場 ハインツ・レグナー指揮:読売日響/「後宮」序曲、ハフナー交響曲他 \6500~3500 (3820-0013(読響)★3/17(金)19:00 カザルスH 永木早知 Pリサイタル/ソナタ#16 \3500~3000 (3944-1581(東音ショップ)★3/24(金)19:00 東京文化会館小ホール 堀江志麿 Pリサイタル/ソナタK457、Chopin他 ¥3000 (0471-72-4946★3/29(水)19:00 津田H 長島達也 Pリサイタル/ソナタ#9、Beethoven他 \4000(学生\2000)★4/1(土)14:00 紀尾井H 「ウィーンの華(はんまーふりゅげるのひびき)/宮坂純子スプリングリサイタル」ロンド K511他 ※フェライン会員の方は、\3500を¥3000に。(3309-6331(渋谷洋子さんまで)★4/16(日)18:30 中央会館銀座 『三大協奏曲の夕べ』Cl協K622、P協K488、交響協奏曲K297b/S・Dangain(Cl)、B・Lerouge(pf)、堤俊作指揮、ロイヤル室内オーケストラ S\6000・A\5000・B\4000 (5237-9990(チケットぴあ)

◇ CD新譜情報 
★4/26発売 Cl協K622、カルボナーレ、チャルネッキ King KKCC-4296 \2854 【以下再発売】★「パリのMozart」生誕200年記念フランスの演奏家による。各\1700=FlとHpの協奏曲 TOCE-11472★キラキラ星変妻曲他 T0CE-11473★ピアノ・ソナタK33l他 TOCE-11475★ピアノ・ソナタK310 他 T0CE-11477★交響曲「パリ」4楽章版他 T0CE-11478 ★4/l発売 交響曲#29・4l他/クレンペラー、フィルハーモニア POCC-3010 \2100 ★同 /交響曲#38、39他 POCC-3011 \2100★3/24発売 カラヤン交響曲#40、41/ケルテス、ウィーンフィルによる6大交響曲 KICC-9361・2 \2000 ★アイネ・クライネ・ナハトムジーク/ ボスコフスキー、ウィーン・モーツァルト合奏団 KICC-9371・2 \2000★レクイエム・フリーメーソンの為の音楽/ケルテス、ウィーンフィル KICC-9385・6


●あとがき

正確にはl950年代から、"0riginal Instruments"『オリジナル楽器』という言葉が使われたが、50年後の2000年の今日では死語になったと言っても過言ではない。 今や、バロック時代からロマン派時代までの作品は、"Period Instruments"『時代楽器』で演奏するようになった。そして、苦しい永い時代を古楽器で通したヴィルトゥオーゾが、今度はモダン・オーケストラで演奏したりしている。そうした録音、CDが出回っている。筆者のような純粋培養、1950年代からオリジナル楽器を標榜しコレクションに努めてきた愛好家に対し、どのような説明をするのだろうか。
レコード芸術3月号に興味ある特集が載っている。『演奏スタイルの最前線~交信する「古楽」と「モダン」』。この中で、モダン楽器オケを振りたい指揮者:アーノンクール、ガーディナー。時代楽器オケを振りたい指揮者:ラトル、ジンマン、小沢、ハーディング。歌い手では:オッター(MS)、ボニー(S)、シェーファー(S)、バルトリ(MS)。器楽では:ヨーヨーマ(C)、クレーメル(V)、ムローヴァ(V)、ガロワ(Fl)、シフ(P)他。そして具体的にオーケストラ名と何を演奏したいかが出ている。先ほどは純粋培養と書いたが、こうして新しい試みをするのは素晴らしいことだと思っている。
 音楽現代2月号には『モーツァルト演奏の20世紀』(26人が選ぶ今世紀のモーツァルト名演奏etc.)の特集だ。これはMozartの音楽に最も貢献した演奏家を選ぶのだが、これがなかなか難しい。そして選んだ理由を解説せねばならない。評論家、音楽学専門家、作家など多くの方が参加している。リストアップ20人にモダン、古楽器オケの指揮者が混じっているが、これが興味ある。
 一昨年暮れに古楽器の研究評論家の第一人者である佐々木節夫氏が急逝した。佐々木さんは知る人ぞ知る古楽の専門家で、来日演奏家ヘのインタヴューや、新譜CDのライナーノーツや専門誌への古楽器に関する寄稿等、古楽器愛好家にとって、大変貴重な拠り所であった。この訃報は古楽器愛好家にとっては大きな損失で、ショックであったろうと思う。 さて、この佐々木氏の遺稿を、ポリドール時代に机を並べていた同じく古楽器の音楽評論家の歌崎和彦氏や、ワーナーミュージックの峰尾昌男氏が中心になって編集し、『古楽の騎手たち』(音楽之友社/2000年1月発行)という一冊の本にした。内容が大変貴重で、これまで来日した著名な演奏家の対談が面白い。古楽以外のモダン楽器の演奏家も取り上げているので読みがいがある。(N)

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第180回2月フェライン例会

 
事務局レター第55号2000.02.01

  

 事 務 局 レ タ ー【第55号】/2000.2.1 

●2月例会(第180回)のお知らせ

 モーツァルトのクラヴィーア曲と同時代人の作曲家たち(その1)

お話…久元 祐子氏(ピアニスト)

 日時:2月13日(日)午後2時
 会場:原宿カーサ・モーツァルト(原宿医院)3Fホール(JR「原宿」下車・徒歩5分/地下鉄「明治神宮前」下車・徒歩3分)
 例会費:¥2000(会員・一般共)

 久元祐子さんは、著書の『モーツァルトのクラヴィーア音楽探訪』で皆さんも良くご存知の方です。今回は上記のテーマによる第1回目のお話で、ヨハン・クリスチャン・バッハを取上げます。久元さんからは以下の講義概要とプログラムを頂きました。
 『モーツァルトの作品を聴くと、私たちはそこに完成された美を感じる事が多いと思います。モーツァルトの作品は、たとえ少年時代のものであっても、不自然な箇所、いびつな部分、けばけばしく過剰な色彩はまずない、といって差し支えないだろうと思います。究極の音楽美を示すモーツァルトの作風とうらはらに、彼の生きた時代は、大きな時代の転換点であり、激動の時代でした。
とりわけ、鍵盤音楽について見ますと、モーツァルトが生きた30年あまりは、チェンバロが中心であった時代から、ピアノフォルテが使われ始め、むしろピアノフォルテが主として使われる時代に変わっていった時代でした。しかしモーツァルトが晩年に使っていたピアノフォルテは、現代のグランド・ピアノとはほど遠い楽器であり、モーツァルトは、本格的なピアノの時代を見ることなくこの世を去りました。
このような鍵盤音楽の時代の転換点にあって、多くの音楽家、楽器製作者が、音楽の変化に関わりました。そしてモーツァルトは、ザルツブルクという小都市に生まれ、その宗教社会に仕える音楽家であったにもかかわらず、早くから外の世界を歩き、成功を重ねていたため、変化の担い手たちの中の一流の人々と知り合い、また、最先端の動きを知る事ができたわけです。モーツァルトも時代の子でした。同時代の、あるいはそれ以前の音楽を学習し、吸収しながら、音楽家として成長していきました。楽器のみならず、音楽様式の転換期でもあったこの時代、モーツァルトは、同時代の音楽家の音楽を研究し、取り入れながら、自らの作風をつくりあげていったわけです。
 今回の例会では、その中の最も重要な人物、ヨハン・クリスチャン・バッハとその作品を取り上げます。モーツァルトがヨハン・クリスチャン・バッハから受けた影響は、クラヴィーア音楽の分野にとどまらないと思いますが、クラヴィーア音楽の分野でもモーツァルトはヨハン・クリスチャン・バッハから直接的な影響を受けていると思います。 今回はあまり演奏される事のないヨハン・クリスチャン・バッハのソナタを弾かせていただきながら、具体的なモーツァルトヘの影響について考えてみたいと思います。』

 < プログラム >
 * モーツァルト:「ロンドンの楽譜帳」から ハ短調 K15p
* ヨハン・クリスチャン・バッハ:クラヴイーア・ソナタ ト長調 作品5の3
 * モーツァルト:クラヴィーア協奏曲K107から 第2曲(CD)
 * ヨハン・クリスチャン・バッハ:クラヴイーア・ソナタ 変ホ長調 作品5の4
 * モーツァルト:クラヴイーア・ソナタ ト長調 K283から
* ヨハン・クリスチャン・バッハ:クラヴイーア・ソナタ ハ短調 作品17の6から
* モーツァルト:クラヴイーア・ソナタ イ短調 K301から

尚、例会後はいつもの様に会場近くの「コナ・ファーム」での懇親会を予定しております。どうぞご参加ください。(Y)

 

●今後の例会ご案内


 3月19日 田辺秀樹氏(一橋大学教授)(テーマ未定)

 4月9日 大田哲弘氏、河原奈美氏「第1部:FL演奏付のお話(オブリガード付ピアノソナタの変遷)/第2部:オペラは大変だぁ」

 5月14日 筒井一貴氏(日本クラヴィコード協会会員)「クラヴィコードによるモーツァルト再発見(生演奏付)」

 6月11日 中村澄枝氏(本会会員)(テーマ未定)

 7月9日 端 直明氏(本会会員)(テーマ未定)

 

●1月例会(第179回)の報告

モーツァルトの作品を他人が編曲した作品については、ケッヒェルによるモーツァルト作品目録の付録Bに詳しい。沢山の曲が色々な編成の曲に編曲されているが、その数と種類の多さに驚かされた。どの程度LP/CD化されているかは不明であったので、どんなLP/CDがあるか、自分の物だけでなく、倉島さんや端さんの手持との分も一緒にして纏めてみたら、曲数にして100曲近くと思いのほかの数になった。当日はこれらの中から厳選(?)した物を皆さんに聴いて頂いた。
 簡単に紹介すると、(Ⅰ)ハーモニームジークから「ドン・ジョヴァンニ」。(Ⅱ)著名な作曲家の編曲物として、①「ドン」の中の『お手をどうぞ』(この曲の編曲が最も多かった)のべートーヴェン(Fl・Vn・Va版)、ビゼー(P版)及び17歳のショパン(先月の続き:P+管弦楽版)の編曲、と、②「レクイエム」。これは季刊「モーツァルティアン」最新号に栗田さんが紹介された弦楽四重奏版、リスト(コンフターティス・ラクリモーサ)、タールべルグ(ラクリモーサ)のピアノ版。③ヨーゼフ・ランナーがモーツァルト作品の中から有名旋律をウィンナワルツ風に纏めた「モーツァルティアン」(大変楽しい曲・・・こんな名前の曲今回始めて知った)。(Ⅲ)曲のジャンル別の編曲として、①交響曲No35(フンメルによるFp・Fl・Vn・Vcl四重奏曲版)、交響曲No40・38(クレメンテイによる同上編成版)。②協奏交響曲(編曲者不明の弦楽7重奏のコンチェルタンテ)。(Ⅳ)現代の演奏家による編曲として最後は評論家宇野功芳氏による「秋の想い」。これはK596・595、バルバリーナのアリア、K488(第2楽章)を合唱組曲にアレンジした物でモーツァルトの魅力をたっぷり味わった。当日の評判はこれが一番良かった。時間の都合で用意した曲の幾つかが聴けなかったのは残念であった。
 LP/CDになっている編曲は全てを付き合わせて調べたわけではないが、上記の付録Bに記載されていない物の方が多い。と言う事は、まだCD化されていない編曲が沢山あると言う事である。(ライネッケによるピアノ協奏曲のピアノ独奏曲版などは誰かにCD化して欲しい)古楽器の演奏者にとっては昔の編曲は宝の山であろうし、その上、現在の演奏家達が自分達用に編曲する物が加わる。モーツァルトを愛する作曲家・演奏家たちによる交響曲からフラグメントに至るまでの編曲のCDが、今後とも増えつづけるであろう事は想像に難くない。今後時間ができたら、系統的に整理する積りである。(Y)


 ●情報コーナー

◇コンサート情報 
★2/20(日)14:00 横浜MMホール ピアノ協奏曲K488、ブルックナー:交響曲#7 シュテファン・ヴラダー(P!)、シャイイー:ロイヤル・コンセルトへボーO \16000~14000(B・C・D売切れ)(045-682-2000(横浜MMホール) ★2/22(火)19:00 サントリーH 曲目、演奏者上記に同じ \27000~5000 (3289-9999(梶本) ★2/25(金)18:30、2/26(土)15:30、2/27(日)13:30 東京文化会館 二期会「魔笛」/演出・実相寺昭雄、天沼裕子:新星日響他 \13000~2000(二期会オぺラ振興会) ★2/27(日)14:30 フイリアホール 交響曲「プラハ」、4管楽器の為の協奏交響曲、べートーヴェン:交響曲#1/川本貢司:アンサンブル・コンセール・クラシック \2500 (03-5258-7881(ツインズ) ★3/7(木)19:00 調布市市民会館(くすのきホール)オーボエ四重奏曲、フルート四重奏曲#1、クラリネット五重奏曲他 茂木大輔(Ob)、赤坂達三(Cl)、藤井香織(Fl) SAWA Quartet \3000 (0424-41-6177(調布市文化会館) ★今月のN響の午後は2/26(土)14:00 NHKホール、ウェーバー:オイリアンテ序曲、バーバー:チェロ協奏曲 スティーヴン・イッサーリス(Vc)、チャイコフスキー:交響曲#5、レナ―ド・ストラキン(指)当日券\1520 ※3F舞台に向い右側に集合下さい。(Y)

 ◇CD新譜情報 
★P協#25、べートーヴェン:ピアノ協奏曲#1 アルゲリッチ(P!)、ゴールドべルグ、ワルべルグ:アムステルタム・コンセルトへボウ EMI TOCE55101 \2800 ★弦楽四重奏曲K421、ピアノ四重奏曲K478、カガン(Vl)、リヒテル(P)他 ライヴ・クラシックス DICC24549 \2447 ★弦楽四重奏曲K387・465他/シネ・ノミネ弦楽四重奏団 Claves 50 9903 ★オペラ・アリア集(フィガロ、コシ、DG、魔笛他)ルート・ツィーザク、マーカス・クリード べルリン・ドイツSO Capriccio 10824 (Y)


 ●あとがき
昨年の11月から、イギリスの「Gramophon」誌の日本版(以降G-Jと略)が新潮社から発行されるようになった。
 「ディスク」、「LP手帖」の廃刊以来、わが国におけるクラシック音楽専門のレコード雑誌は「レコード芸術」(以降レコ芸と略)だけと言って良かったが(「音楽の友」はコンサート中心であるし、「ステレオ」はクラシックの記事が少なくオーデイオ誌に近い)、ここに来て強力なライバルが現れたわけである。レコ芸より大判の変形A4版横書きである。レコ芸の「新譜月評」欄に相当する「Reviws」欄で取上げられる曲数はG-Jの方が多く、当然の事乍ら外盤・輸入盤の情報が多い。レコ芸は国内盤主体であるから仕方がないが、取上げられる曲が少ない分、面白みに欠けるが、「海外盤試聴記」欄が面白く充実している。G-JのCDの評論・解説は英「Gramophon」誌記事の翻訳ばかりでなく、日本人評論家の解説もある。国内盤と外盤の両方のNo.が併記されているのも便利である。推薦盤等の表示はない。巻末の新譜情報(NewRelease)は、UKリリース、輸入盤リリース、国内盤リリースとあり、UKリリース分がレコ芸より情報が多いことになる。その代わり、特集等はレコ芸の方が面白いし、広告もレコ芸誌のほうが多い。G-J誌の巻末にはRecommended Recordings[最初に聴くならこの1枚]と言う名曲推薦のコーナーがあり、どれにしようか迷ったとき便利である。いずれにしても、どちらかに決めるのは難しく、小生にとっては大いに困ったことである。(Y)

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第179回1月フェライン例会

 
事務局レター第54号2000.01.01

  

 事 務 局 レ タ ー【第54号】/2000.1.1 

●1月例会(第179回)のお知らせ 

 モーツァルトの曲の編曲者―――モーツァルトを愛した作曲者・演奏家達

お話…山本 廣資氏(本会会員)

 日時:1月23日(日)午後2時
 会場:原宿カーサ・モーツァルト(原宿医院)3Fホール(JR「原宿」下車・徒歩5分/地下鉄「明治神宮前」下車・徒歩3分)
 例会費:¥1500(会員・一般共)

 今月は『モーツァルトの曲の編曲者――モーツァルトを愛した作曲者・演奏家達』と言うテーマでお話をさせて頂きます。
 『LPやCDの無い頃は人々がモーツァルトを手軽に楽しめる様に、編曲と言う形がとられました。既にモーツァルトの生前からオぺラがヨーゼフ2世お気に入りのハーモニームジークに編曲されています。他人に編曲されない内に自分で編曲しなければいけない忙しさが父親への手紙に残されています。モーツァルトの死後も、その音楽を愛する人達が色々な組合せの曲に編曲しました。この中には有名な作曲家もいますが、残された大部分の編曲物は誰の編曲か分かっていません。ケッヒェルによるモーツァルト作品目録の付録に他人の編曲した作品のリストが載っていますが驚いた事に殆んどの曲が色々な形に編曲され出版されています。モーツァルトを愛した作曲家や演奏家達が沢山いたと言う事になります。これらの編曲の演奏の一部はLPの時代にも発売はされてはいましたが、CDの時代になってよく目にするようになりました。大きなレコード店ではモーツァルトのコーナーにハーモニームジークの一画さえあります。調べてみたら小生の知り得た範囲内でも結構沢山のCDがあるのが分かりました。当日はこれらを紹介し、その中から、ハーモニームジーク、著名な作曲家の作品、ポピュラーな作品の編曲版、現代の演奏家の自分用の編曲版等を聴いて頂く予定です。「モーツァルトの作品ぐらい、他の楽器に編曲してもその魅力を失わない例は少ない」とは音楽評論家、宇野功芳氏の言葉です。モーツァルトの別の魅力を味わって頂けたらと思っております。』

 尚、例会後はいつもの様に会場近くの「コナ・ファーム」での懇親会を予定しております。どうぞご参加ください。(Y)

 

●今後の例会ご案内

 2月13日 久元祐子氏(ピアニスト)「モーツァルトのクラヴィーア曲と同時代の作曲家たち(その1)」

 3月19日 田辺秀樹氏(一橋大学教授)(テーマ未定)

 4月9日 大田哲弘氏、河原奈美氏「第1部:FL演奏付のお話(オブリガード付ピアノソナタの変遷)/第2部:オペラは大変だあ」

 5月14日 筒井一貴氏(クラヴィコーディスト)(テーマ未定、生演奏付)

 6月11日 中村澄枝氏(本会会員)(テーマ未定)

 7月9日 端 直明氏(本会会員)(テーマ未定)

 

●12月例会(第178回)の報告

 今月の三澤先生のお話は『早熟の天才達』。モーツァルトに限らず"双葉より芳しい"天才作曲家達は沢山いたわけですが、その幼少の頃の作品は残念な事に記録として残されていません。一桁台の年齢の作品が残されているのはショパンだけです。その点では楽譜(作品)の管理者でもあった熱心な教育パパを持っていたモーツァルトは大変幸せであったわけです。当日は前半はモーツァルト以外の作曲家について、お話を伺いました。聴かせて頂いた各作曲家の10代初期の作品を列記すると、べートーヴェン:「ドレスラーの行進曲に基づく9つの変奏曲」WoO63(11歳)、歌曲「娘の描写」WoO107(12歳)、「ロンドハ長調」WoO48(12歳)、歌曲「みどりごに」WoO108(13歳)、ピアノ協奏曲変ホ長調WoO4(13歳)。ロッシーニ:弦楽合奏の為の6つのソナタより第1番ト長調(12歳)。シューべルト:ピアノ連弾の為の幻想曲ト長調D1(13歳)、歌曲「弔いの幻想」D7(14歳)、20のメヌエットD41(16歳)。メンデルスゾーン:「レチタチーヴォ ニ長調」(ピアノ曲)(11歳)…三澤先生のピアノによる本邦初演(?)。ショパン:「ポロネーズ ト短調」(7歳)。シューマン:歌曲「憧れ」(自作の詩)(17歳)。リスト:「ディアべッリのワルツによる変奏曲」。
いずれも早熟の天才達にふさわしい出来で、後の名曲に通じる個性の片鱗の一端を解説付で聴かせて頂きました。特に最後の変奏曲はリストだけでなく、ディアべッリのテーマ、フンメル・F.X.モーツァルト(!)・シューべルトの変奏曲とツェルニーのコーダを先生の生徒さんに弾いてもらった珍しいもので、先生の熱意が感じられました。後半は「モーツァルト初期作品におけるソナタ形式」というテーマのお話でモーツァルトの成長の後を辿りました。一応LPは持っていても滅多に聴かない初期の作品ですが、K.1から先生の弾き語りでの解説を聴くと改めてモーツァルトの天才性が再認識されます。特にK.2からK.15までの作品(及び楽章)を、4つのソナタ形式のタイプに分類し、その年齢に応じた内容についての解説・評価は、楽譜を見ながら聴いた上での事なのでとても分かりやすく、ソナタ形式についての勉強にもなりました。まだ幼い頃の恐らく無意識の内にソナタ形式になっている曲(K.3,6歳)には驚かされましたし、K.6以降のソナタでも単一主題のソナタ形式の素晴らしさについてもよく分かりました。今回のテーマについてはいつか季刊「モーツアルティアン」に書いて頂けたらと思います。今回は本当に中身の濃い午後でした。(Y)

 

 ●情報コーナー

◇コンサート情報
★1/27(木)19:00 府中ウィーンホール/モーツアルト・バースデー・コンサート(第10回)「バスティアンとバステイエンヌ」、P.S K.570、2本のC1とFgの為のディヴェルティメント K.anh.229-2 0b四重奏曲/アンサンブル憧美音 ¥3000 (042(360)4044(府中の森チケットセンター)★1/28(金)19:00 東京芸術劇場 K.525、0b協奏曲、交響曲#40/宮本文昭(0b)、M・バーメルト:ロンドン・モーツアルトO ¥8000~3000 (03(3499)9990(ジャパン・アーツ)★今月のN響の午後は・・・2/5(土)14:00 NHKホール ブラームス:ハンガリー舞曲#11,21、VnとVc1のための協奏曲#2、ストラヴィンスキー:「火の鳥」/J.エーネス(Vn)、ミクローシュ・ぺレーニ(Vc1) イヴァン・フイッシャー(指) 当日券¥1520 ※3F舞台に向い右側に集合下さい。

◇CD新譜情報 
★P協#21/揚原祥子(P)、T.ザンデルリンク:大阪シンフォニカー 音楽の友社 OCD-0012 ¥1905("憂陀"の金森さん推薦!)★V協#1~5、セレナード(ハフナ―より)/パメラ・フランク(Vl)、D.ジンマン:チューリッヒ・トーンハレO ARTE NOVA74321 72104 2(2枚組) ¥1350 ★V協#1~5、協奏交響曲他/フランコ・グッリ(!)(Vl)、B・ジュランナ:パドヴァcho キング CLAVES KICC-9308~10(3枚組) ¥3000 ★ホルンボーン協奏曲(ホルン協奏曲のトロンボーン編曲盤)/リンドべルイ(Tb)、カントロフ:タピオラ・シンフォニエッタ BIS CD1008/国内盤 KKCC-2289¥2854 ★魔法のヴァイオリン〈「魔笛」より(10曲:キャトル・ヴィオロン編)、他〉/キャトル・ヴィオロン Era.WPCS-10283¥2520 ★"私のうるわしい恋人よ"コンサート・アリア集(K.582,583,272,578,505,369,492,577,119,528,383)/ユリアーネ・パンゼ(Sop)、クリストフ・ポッぺン:ミュンヒェンcho Tudor CD7073 (Y)

 

●若松会長からの新年の挨拶

 何事もなく2000年を迎え、まずはおめでとうございます。モーツァルティアンは、どんな曲を聴いて年をしめくくるか、どんな曲で新たな年を始めるか思案するものですが、小生は1999年大晦日、「レクイエム」を聴いて過ごしました。次々とLPを引っ張り出し聴いて行くと、創作部分も含めて「レクイエム」の素晴らしさ、新しさに触れる事ができました。古い録音ではビーチャムがよく、ケンぺには感動しました。新しいマリナーの録音には失望し、最後の最後、すでにマンハッタンのタイムズ・スクエアでカウント・ダウンが始まろうとする時聴き終えたシェルヘン盤(2種類ある後の方の録音)は僕のモーツァルトのテンポに合いませんでした(前の録音の方がいい)。
さて、一夜明けた元日は暖かく穏やかな天気で、まるで春がきた様(気温が15度)。朝日の中、ワルター・ニューヨーク・フィルによる交響曲が2000年の聴き初めです。フィリップス・モノラルのヨーロッパ盤を揃え次々に聴いていきました。38・41・39・35・40・25・28・29番(38番だけヨーロッパ盤で持っていません)と聞きつづけ、ワルターによってモーツァルトを直接感じる事ができ、至福の時を過ごしました。モーツァルトを聴きはじめて35年、レコードを通して耳が選んだ名演奏を何度も聴く中で、モーツァルトへの感覚が成熟し、充実したモーツァルト体験が得られる様になりました。その体験を通じて純化して行く感覚(直感による洞察力)によって、「私のモーツァルト」が定義できるようになった気がします。このきわめて個人的体験の積み重ねによる「私のモーツァルト」が、普遍性を持ちうるに違いないと思えてきています。モーツァルティアン・フェラインは、この個人的体験が集う場であり、普遍性を確認させてくれる出会いがある場ともなることを念じています。
2000年代に入った今、2006年のモーツァルト生誕250年に向けて、モーツァルトへの驚きを新たに感じ直すというモーツァルト体験をさらに重ね、モーツァルトの魂を直接感じ、一人一人別のルートで孤独に登ってきた仲間達が、この2006年に、頂上で一堂に会することを夢見ています。それこそ個人的体験が普遍性につながる瞬間です。フェライン会員の皆様にとって、今年も良き年であります事を、心から御祈り申し上げます。2000.1.3 / 若松 茂生


●あとがき

昨年の秋も会社の音楽愛好家達と一緒に蓼科(長野県原村)のぺンション「ムジカ」に行ってきた。一泊し、銘機タンノイの『オートグラフ』の音を深夜まで楽しむのが10年位前から毎年の秋の行事となっている。今回はここへ行く途中で『ミュージック・ミュージアムAmadeus』(0551・20・5596)という喫茶店を見つけた(川口さんに教えて頂いた)のでここに紹介する。中央高速を「長坂」で降りて北へ(八ケ岳周回道路・天女山方面)向かい、甲斐大泉駅の脇の陸橋を越えると数分で左側にモーツァルトのシルエットの看板がある。柳生博氏の「八ケ岳倶楽部」の少し手前である。モーツァルトの全作品(全集版)とバッハのカンタータ全集があり、B&Oのオーディオ装置がきれいな音を聴かせてくれる。自然に囲まれた中で飲むコーヒーも勿論美味い。あちら方面に行かれたら是非お立ち寄り下さい。本年も宜しくお願い致します。(Y)

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