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2001年

 

●2001年12月事務局レター(11/29) 講師;三澤寿喜氏、前回講師;河原奈美氏

●2001年11月事務局レター(11/01) 講師;河原奈美氏、前回講師;井上太郎氏

●2001年10月事務局レター(09/25) 講師;井上太郎氏、前回講師;石津勝男氏

●2001年9月事務局レター(07/01) 講師;石津勝男氏、前回講師;青柳省三氏

●2001年7月事務局レター(07/01) 講師;青柳省三氏、前回講師;礒山雅氏

●2001年6月事務局レター(05/27) 講師;礒山雅氏、前回講師;江端伸昭氏/江端津也子氏

●2001年5月事務局レター(05/01) 講師;江端伸昭氏/江端津也子氏、前回講師;久元祐子氏

●2001年4月事務局レター 講師;久元祐子氏、前回講師;田辺秀樹氏

●2001年3月事務局レター 講師;田辺秀樹氏、前回講師;廣政豊氏

●2001年2月事務局レター 講師;廣政豊氏、前回講師;河原奈美氏

●2001年1月事務局レター 講師;河原奈美氏、前回講師;三澤寿喜氏 

第200回2001年12月フェライン例会

 
事務局レター第74号 2001.12.01

  

 事務局レター/2001.12.1【第75号】

 【編集者】山本廣資 hiro-yamamoto@jcom.home.ne.jp/倉島収pxh04362@nifty.ne.jp/古田佳子 bxp00423@nifty.ne.jp


 ●12月例会(第200回)のお知らせ

 モーツァルトのイタリア・オペラにおける歌詞組(word-distribution、 distribution of syllable)の問題点

お話・・・三澤 寿喜先生(北海道教育大教授)

 日時:12月9日(日)午後2時 

 会場:原宿カーサ・モーツアルト(原宿医院)3Fホール(JR「原宿」下車・徒歩5分/地下鉄「明治神宮前」下車・徒歩3分)

 例会費:¥2500(会員・一般共)

【カーサ・モーツアルト案内図】


 

 私達の例会も200回を迎える事となりました。今月はニューヨークから若松 会長が出席されお話もあります。 初めは三澤寿喜先生(北海道教育大教授) で、ここ数年の年末は先生のお話で締めくくっていただいています。先生には お話の概要を以下のようにまとめていただきました。

 『ドイツ生まれのヘンデルにとって英語は母語ではない。それゆえであろう か、「メサイア」を中心とするヘンデルの英語作品における誤った「アクセン ト処理」や「文節処理」はこれまで数々指摘されてきた。しかし、私の最近の 研究によれば、ヘンデルの声楽曲の大半を占めるイタリア語のオペラやカン タータにおいても、同様の誤りが多数見出だされる。さらに興味深いことに、 生粋のイタリア人であり、バロック・オペラの第一人者、A.スカルラッティ のイタリア語の作品にも、同様の例が数多く見出だされる。このような例か ら、すくなくとも、バロック時代のオペラの作曲家がアリアを作曲する際の姿 勢は以下の様であると推測される。

まず、詩の最も中心的なアフェクトを抽象し、それを表現するために、全体的 な曲調を設定する。すなわち、調性、速度、拍子、書法 (ポリフォニーやホ モフォニー、メリスマやシラビック)などである。次に、細部 (フレーズや 音群) に於いて、特徴的な音程、特徴的なリズム、特徴的な和声、特徴的な 強弱などを駆使して、「魅力的な旋律」を作りあげていく。しかし、常に、詩 の文節やアクセントに厳密に対応するとは限らない。時に、特徴的で魅力的な 音群 (音程、リズム、アーティキュレーシヨン、強弱などの要素を含む) に奉 仕するために、単語や文節が分断されたり、音節処理において誤ったアクセン ト付けがなされる場合も生じるのである。つまり、ここで優先すべきは「特徴 的で魅力的な音群」なのである。

 以上の様なバロック・オペラにおける詩と音楽のどちらかといえば 「大ざっ ぱな」関係は、やがてドイツ・リート、ヴァーグナーの楽劇やヴェルディの後 期オペラにおける 「きめ細かな」関係へと移行していく。ここでは、モー ツァルトのイタリア語のオペラ (「フィガロ」を中心とする) のアリアにおけ る歌詞組の問題点を、その移行の過程の中に位置付けながら、論じてみたい。 これは最終的には、演奏解釈と結び付く重要な問題であると思われる。』

さて、200回ということで、後半の30分間は若松会長に「モーツァルトを 聴くヒント」と題して次のようなお話をお願いします。

 『モーツァルティアン・フェラインの趣旨は、会員が相互に「モーツァルトを 聴くヒント」を与え合うことによって、モーツァルトを広く、深く聴くきっか けを作り出すことにあると考えておりますので、そのあたりを話題にしてみた いと考えております。』

 尚、例会後は三澤先生、若松会長を囲んで、近くの「ステージ・Y2」(渋谷 区神宮前1-13-12 ℡:3418-1031)で懇親会を行いますので、是非ご参加下さ い。(Y)

 

 

●今後の例会のご案内

 2002年1月20日 200回記念特別例会「全員参加型例会」

 2月17日 中村真・澄枝夫妻(本会会員)「カーサ・モーツァルトの歩みと フェライン(仮称)」

 3月10日 田辺秀樹先生(一橋大教授)「テーマ未定」

 4月14日 川端 博氏 (光文社学芸編集部デスク)

 5月26日 久元祐子先生(ピアニスト)「テーマ未定」

 

 

●11月例会の報告(第199回/11月17日)

Piacere di Mozart/河原奈美ピアノリサイタル

 居心地が良く響きの良い小ホールで、ワインによりチョット上気した気分で、 素敵な厚みのあるベーゼンドルファーの快い響きで、少し遅めで1音1音丁寧 に弾かれた透明感あふれるモーツァルトを楽しみました。河原さん、快心の演 奏、有り難うございました。

  初めの「後宮」序曲は、殆どの方はピアノでは初めての筈です。良く耳を澄ま すと、ピアノの響きの中に、オーケストラの色々な音色が聞こえてきたような 気がしました。

  K.283のソナタでは、第1楽章はややゆっくりと、第2楽章は 淡々とつぶやくように始まり、澄んだ綺麗な音が連続して、安心して音楽を楽 しめました。第3楽章の展開部以降の盛り上がりは、これぞモーツァルトと 言った感じがしました。この最初の2曲で、演奏者と聴衆が、多分、一体とな り、信頼感が出来上がって、これ以降は落ち着いた気分で聴けたのではないで しょうか。

  K.310のソナタは、各楽章とも、短調の激しい曲調の感情移入が難しい曲です が、中庸を得て、曲の素晴らしさを良く表現していたと思います。ここでも、 落ち着いたテンポがよく、ベーゼンドルファーの響きの良さを生かしていたと 思いました。

  休憩で用意されたワインやジュースを皆さん楽しまれたと思います。これが サービスでしたので、ますます美味しくいただけましたし、演奏を楽しむ上で も効果的でした。

  K.282のソナタは、ゆっくりした美しいアダージョで始まる変則的な曲です が、ワインが入っていたせいか、6曲の中では一番好きなこの曲が、私には本 日一番の素晴らしく聞こえた曲のような気がします。

  K.511の有名なロンドは、実演で聴く機会が少ないので、とても印象的でし た。一音一音丁寧に弾いているのが良くわかり、素晴らしい盛り上がりを見せ ていました。

  最後のグルックの変奏曲K.455は、実演では初めて聴く曲でした。第2変奏が 少し乱れた感じがしましたが、後半に行くほど調子が出て、第8、第9、第10 変奏は素晴らしい演奏ぶりであったと思います。(K)

 

 

●情報コーナー

 コンサート情報

★12/10(月) 19:00 東京オペラシティCH /シューベルト:「未完成」、 M:「レクイエム」/(sop)高橋薫子、(alt)寺谷千枝子、(ten)井ノ上了吏、 (bs)牧野正人、大賀典雄(!):東京フィル、東京オペラシンガーズ、ソニー・ フィル合唱団 \5000~2000 ℡:℡東京フィル03-5353-9522
 ★12/13(木)、14(金) 19:00サントリーH/野田輝之:交響曲No.2、M:ヴァ イオリン協奏曲No.5、バルトーク:管弦楽の為の協奏曲/(Vn)川畠成道、小林 研一郎:日本フィル、\6200~2700 ℡:日本フィル03-5378-5911
 ★12/19(水)19:00東京文化会館小H/PソナタK.310,311,330,331他(P)伊藤 恵(!) \4500 ℡:日本モーツァルト協会03-5467-0626
 ★12/23(日)15:00 川口リリアH/ロンドK.485、幻想曲K.397、Pソナタ No.12、リスト:ペトラルカのソネットNo.47,104,123、ベートーヴェン:Pソ ナタNo.23「熱情」/(P)梯剛之(!) \3500 ℡:川口リリアH048-254-9900
 ★1/2(水),3(木)15:00 オーチャードH/サン=サーンス:動物の謝肉祭、P協 奏曲No.12 K.414、ラフマニノフ:P協奏曲No.2、ラヴェル:ボレロ、他/(P) 迫昭嘉、清水和音、尾高忠明:東京フィル \7000~3000 ℡: Bunnkamura03-3477-9999
 ★1/15(火)19:00 JTアートH/ヴァイオリン・ソナタNo.1 K.301、No6、 K.306、P三重奏曲No.5 K.542、No.7 K.564/(P)練木繁夫、(Vn)矢部達哉、 (Vc)趙静、\3000 ℡:JTアートH・アフィニス03-5572-4945
 ★1/16(水)19:15第一生命H:弦楽四重奏曲K.458「狩」、フルート四重奏曲 K.285,298、弦楽四重奏曲K.465「不協和音」/(Fl)萩原貴子、ザルツブルク・ モーツアルテウム弦楽四重奏団(Vnマルクス・トマジ!他)\5000 ℡:IVS音楽 出版03-5261-3361・トリトンアーツ03-3532-5702
 ★今月のN響の午後…12/15(土)14:00 NHKホール/ストラヴィンスキー:管弦 楽の為の交響曲、ラロ:スペイン交響曲、チャイコフスキー:交響曲第5番/ (Vn)ワディム・レーピン、(指揮)シャルル・デュトワ、当日券\1520 ※3F舞 台に向かい右側に集合ください。(Y)


 

CD新譜情報 ※外盤の¥は新宿タワー価格

★P協奏曲No.15,23,24/(P)ソロモン、アッカーマン、メンゲス:フィルハー モニアo. TESTAMENT SBT1222\1680
 ★Pソナタ全集/(P)内田光子Universal Mucic C. 468-356-2 \3890(5枚 組)!(既にお持ちの方の怒りを買いそうな価格。お持ちでない方はこの機会 に)
★セレナーデNo.10 K.361「グラン・パルティータ」、セレナードNo.1 K.100 /ジャン=ジャック・カントロフ:タピオラ・シンフォニエッタ キング BIS-1010
 ★「フィガロの結婚」/(S)バルトリ、クベッリ、ロジャーズ、(Br)シュミッ ト、(Bs)トムリンソン バレンボイム:ベルリンpho.RIAS室内合唱団 ワーナー クラシックスWPCS-11167/9 \3600(3枚組)
★「ドン・ジョヴァンニ」/(S)クベッリ、マイヤー、ロジャーズ、(T)ハイ ルマン、(Br)フルラネット、サルミネン、(Bs)トムリンソン、 バレンボイ ム:ベルリンpho.RIAS室内合唱団 ワーナークラシックスWPCS-11170/2 \3600(3枚組)
★「コシ・ファン・トゥッテ」/(S)バルトリ、クベッリ、ロジャーズ、(T) シュトライト、(Bs)トムリンソン バレンボイム:ベルリンpho.RIAS室内合唱 団 ワーナークラシックスWPCS-11173/5 \3600(3枚組)(Y)

 

 

●あとがき

 小生にとって秋の紅葉は蓼科で始まる。毎年、在籍していた会社の音楽仲間と 長野県原村のペンション「ムジカ」にタンノイのオートグラフを聴きに行くか らである。今年は参加者が少なかったので、フェラインのオーディオマニア、 青柳さんと近石さんをお誘いした。

  ムジカの前に原村のパン屋さん「パパゲーノ」に立ち寄ってSPレコードを聴 かせてもらった。会員の端さんが以前からSPレコードを貰ってくれないかと のことで、昨年「パパゲーノ」の主人がSPファンである事が分かったので 持ってゆく事にしたのである。このご主人は英国製の蓄音機を2台もお持ち で、曲によって機械を替えて音の違いを楽しんでおられる。アコースティック 的には非常にしっとりとした音で、ヴァイオリンや声楽はなかなか良い音で あった。ここで驚いた事は竹針の針音があまり気にならないことであった。ク リーニング液をつけてごしごしと磨いた盤は新品同様に黒光りしている。これ をかけるとSP特有の針音が殆どしない。ひとつの発見であった。オートグラ フは相変わらず素晴らしい音で、青柳さん、近石さんを満足させたようであっ た。(Y)


第199回2001年11月フェライン例会

 
事務局レター第74号 2001.11.01

  

 事務局レター/2001.11.1 【第74号】 

 【編集】山本廣資 hiro-yamamoto@jcom.home.ne.jp/古田佳子 bxp00423@nifty.ne.jp 


●11月例会(第199回)のお知らせ

Piacere di Mozart/河原奈美ピアノリサイタル

―オール・モーツァルト・プログラム―

日時:11月17日(土)午後6時

 会場: 中野坂上/ハーモニーホール(ハーモニースクエア3F)/地下鉄丸の内線・都営地下鉄大江戸線「中野坂上」下車・1番出口正面(駅出口から徒歩1分)

 全自由席・ワイン付き/フェライン会員:¥3500(一般:¥4500)

チケットご希望の方、及びお問い合わせは、 【古田佳子】まで。

 

 

今月は河原奈美さんによるモーツァルトのピアノリサイタルです。今年の 1月例会でレチタティーヴォ・セッコについての楽しいお話は皆様も記憶 されている事でしょう。プログラムは下記の通りです。

・オペラ「後宮からの逃走」K.384より序曲
・ソナタ ト長調  K.283
・ソナタ イ短調  K.310
・ソナタ 変ホ長調 K.282
・ロンド イ短調  K.511
・グルックの主題による10の変奏曲 K.455


 河原さんからは以下のコメントを頂きました。

 『モーツァルトの音符には全宇宙が在る、と誰かが言ったか言わない か・・・。わたしはまるでミラーボールの様だと感じます。在る日突然、 モーツァルトが消えてしまい、彼を探す術も見付からない状態に陥ってし まいます。そうなると、ありとあらゆる色、サイズのミラーボール、とい うのかビーズというのかそんなものが部屋中にぶちまけられた中に放り込 まれたようなものです。しかもそのビーズはほうっておくと、曇ってし まったり、ひびが入ってしまったり。

  こんなにも膨大な種類の中から適切なひとつぶひとつぶを選び取り、磨き つつ当て嵌めていくのか、と途方にくれていると、きっとフィガロやブロ ンデ、オスミンやタミーノ、アンナ、デスピーナ、コンテッサ、モノス タートス、クロエにルイーゼ、すみれ(?)まで力をかして、たすけてく れます。オールキャストです!!

そんなこんなで「後宮」から逃げ出しますが、どうなりますやらおたのし み、です。』


 今回は普段はめったに聞けない珍しい曲がはいっていますね。楽しみで す。尚、例会後は河原さんを囲んで恒例の懇親会を、ハーモニー・スクエ アー地下1階で行いますので、是非ご参加下さい。(Y)


 

●今後の例会のご案内

 11月17日(土) 河原 奈美ピアノリサイタル(オール・モーツァル ト・プログラム)

 12月9日   三澤 寿喜先生(北海道教育大教授)「モーツアルトのイタリア語の音節配分(歌詞組)--ヘンデルとの比較--」

 2002年1月20日 200回記念例会(後述)

 2002年2月17日 中村澄江氏(本会会員)「テーマ未定」

 2002年3月10日 田辺秀樹先生(一橋大教授)「テーマ未定」

 

 

●10月例会の報告(第198回/10月14日)

 「モーツァルトとイギリス」・・・井上 太郎先生(湘南モーツァルト愛好会 会長)

 幼年時代の教育の大切さは昔も今も変わらないと思われるが、天才にとっ てはどのような優れた教師にめぐり会えるかが問題である。モーツァルト にとってイギリス旅行の最大の収穫はJ.C.バッハに出会ったことであろ う。

J.C.バッハは大バッハの末っ子でイタリーでカトリックに改宗、兄弟の中 では異色の存在で、イタリー風の美しい旋律を用いた曲を数多く残してい る。幼いモーツァルトをかわいがり、膝の上にのせてチェンバロの即興曲 の練習をしたというエピソードもある。この日は次のような曲を聴かせて 頂いてモーツァルトの成長の後をたどった。

(1)アーベル:シンフォニー ト長調 第1楽章。これはモーツァルトの筆 写譜があったため、交響曲第三番K.18とされていたもの。アーベルはJ. C.バッハと並んで当時評判の高かった音楽家。このような曲を筆写すると いうのは教育上も効果あることと思う。

(2)モーツァルト:シンフォニーK.16、第1楽章。1765年2月に公開 演奏された曲。当時8歳であったが父親が7歳の作品として広告。

(3)J.C.バッハ:シンフォニーOp3-2、第2楽章。非常に綺麗な旋律。

(4)(5)シンフォニーK.16,第2楽章。これは(3)の影響が大きい。

(6)J.C.バッハ:ピアノソナタOp5-1。ピアノ協奏曲K.107の原曲。

(7)~(12)「ロンドンのスケッチブック」K.15a~15ssは父親が大病をし た1796年7月から9月までの間、音を出してはいけないといわれた モーツァルトが楽譜帳に書いた43曲。頭の中で楽器の編成を想定して作 られたものでないかとのお話であった。 

No.1,6,15,25のチェンバロ演奏の他、No.6はオルガンとハープに、No.25 はオーケストラに井上先生が編曲された物を聴いた。この曲集を全部チェ ンバロだけで演奏するのは勿体無い。誰かが楽想に合った編成を考えて編 曲したものを出してほしいなと感じた。

その他(13)ヴァイオリンソナタK.13、(14)シンフォニーK.19、(15)K.19a 第1楽章、(16)同第2楽章(17)4手のソナタK19d、(18)モテットK.20を聴 き、僅かの間に大きく成長したモーツァルトの神童振りがあらためてよく 分かった。

 幼児期の最後は(19)J.C.バッハのト短調シンフォニーOp6-6で、後の モーツァルトに影響があったのではないかとの先生の推測であった。

 晩年の頃のモーツァルトは英国で人気があり、(20)K320のシンフォニー編 曲版は1790年ロンドンで出版されているとのこと。ハイドンを招聘し たザロモンはモーツァルトにも声をかけているので、これが実現していた ら、モーツァルトの「ザロモンセット」も出来ていたかもしれない。ピア ノ協奏曲No.27がロンドンで演奏する事を目的として作曲されたのでな いかという説は、井上先生の御著書で書かれている。

モーツァルトは3人の英国人の弟子が帰国する際にナンシー・ストレース 嬢には(21)コンサート・アリアK.505《如何して貴女が忘れられようか。 心配しなくともよいのです,愛する人よ。》を作曲したほどであるから、 再会も楽しみにしていたのではないかと思われる。そのように考えると、 ピアノ協奏曲No.27の第3楽章は「春へのあこがれ」ではなく、愛弟子ナ ンシー・ストレース嬢の住む「イギリス/ロンドンへのあこがれ」と見る ことも出来よう。(この部分は筆者の私見)

 最後に井上先生作曲の作品を聴かせていただいた。浜松の合唱団が歌った 「落葉松」「溢れひたす闇に」が大変よかった。この方面での今後のご活 躍を期待します。(Y)

 

 

●情報コーナー

 コンサート情報

★11/16(金) 18:30・11/17(土)・18(日)13:00・11/19(月)14:00・ 11/20(火)18:30 新国立劇場『ドン・ジョヴァンニ』フェルッチョ・フル ラネット(16・18・20)、大島幾雄(17・19)、アドリアーネ・ビエチョンカ (16・18・20)、小濱妙美(17・19)、ナターレ・デ・カルロス(16・18・20)、池 田直樹(17・19) 他、新国立劇場合唱団、ポール・コネリー:東京フィル ハーモニーso、演出・ロベルト・シモーネ\18900~3150 ℡:新国立劇場 03-5352-9999
 ★11/16(金)19:00 浜離宮朝日H/M:交響曲No.25、ホルン協奏曲No.4、 交響曲No.40/(Hr)松崎裕、(コンサートマスター)朝枝信彦(!):アマデ ウス・アンサンブル東京、\6000、℡:サウンド・ギャラリー03-3351-4041
 ★11/26(月)19:00 トッパンH メンデルスゾーン:無言歌集より、ショパ ン:練習曲集Op.10、M:PS.No.10 K.330、ロンドK.511、PS.No.13 K.333/(P)坂上美保、\4000~3500 ℡:トッパンH:03-5840-2222
 ★11/27(火)19:00 東京オペラシティCH /M:ディヴェルティメント K.136、P協奏曲No.12 K.414、バッハ:P協奏曲No.3、ショスタコー ヴィッチ:室内交響曲op.110a/(P)小山美稚恵(!)、ベルリン・フィル・ ヴィルトゥオーゾ、\7000~3000 ℡:梶本3289-9999
 ★12/4(火)19:00 すみだトリフォニーH/M:Fl四重奏曲NO.1~NO4、棚 田文紀:新作、ウェーベルン:弦楽三重奏曲/(Fl)エマニュエル・パユ、 ケルビーニ弦楽四重奏曲員 \6000~4000 ℡:トリフォニーH 03-5608-1212
 ★12/5(水)19:00朝日生命H/M:P四重奏曲K.478、フンメル:Cl四重奏 曲(!)、ベルク:クラリネットとPのための4つの小品、シューマン:P四 重奏曲/東京アーツ・アンサンブル \4000 ℡:スズキ・アート・エージェ ンシー 03-5481-4600
 ★12/6(木) 19:00 JTアートH/M:Fl四重奏曲NO.1~4/(Fl)工藤重典、 (Vn)徳永次男、(Vla)豊島泰嗣、(Vc)原田禎夫 \3000 ℡:チケットぴあ 03-5237-9990
 ★今月のN響の午後…11/24(土)14:00 NHKホール『ヴェルディの夕べ』序 曲・アリア・(Sop)アドリアナ・マルフィージ、(Br)ジョルジョ・チュ ブリアン、(指揮)ネルロ・サンティ、当日券\1520 ※3F舞台に向かい右 側に集合ください。(Y)


 

CD新譜情報 ※外盤の¥は新宿タワー価格

★ピアノソナタK.332,333,457、アダージョK.540、/(P)ブレンデル、 蘭・Phil.468-048-2、\1750、日・Phil.UCCP1038、\3059
 ★「魔笛」/ボニー、ストレイト、ジョー他、A.エストマン:ドロット ニングホルム宮廷歌劇場o.ch. 英DECCA 470-056-2、\1850!(2枚組)
★「ドン・ジョヴァンニ」/ボニー、他、A.エストマン:ドロットニン グホルム宮廷歌劇場o.ch.英DECCA 470-059-2
 ★ヴァイオリン・ソナタ集Vol.1、K.301~6、(Vn)大西律子、(P)小倉貴久 子、AYUS GECB-2038、\3800(2枚組)
★弦楽四重奏曲《ハイドン・セット》/ハーゲン弦楽四重奏団、独 DG471-042-2(3枚組)\4390!(Y)


 

●200回記念例会参加者募集中

 現在、応募者は12名です。残り若干名!!この機会に是非発表を!ま た、当日の飛び入りも検討中です。

 日時    2002年1月20日(日)
 募集内容 【1】お話…日頃の思いを短く
       【2】CD&LD…お気に入りやおすすめをかける
     【3】演奏…楽器や歌(ソロでもアンサンブルでも)

 持ち時間  ひとり5分~10分(参加人数により決定)

 締切り   2001年11月20日

 【1】【2】【3】どの部門に参加かを明記の上、口答、葉書、電話、 メールにて、各世話人、もしくは 古田佳子までご連絡ください。(F)


 

●あとがき

先日ヴィドリー音楽工房というアマチュア演奏家の集まりのサロンコン サートに行ってきた。出演者各々の練習の成果が発揮され、初めて聴く作 曲家の曲、生演奏では聴いたことのない曲や難曲もあって楽しめたが、こ こで面白い現象に気が付いた。

15、6人の出演者が20数曲を演奏し、その殆んどがピアノ曲であったのだ が、なんとモーツァルトとベートーヴェンが見当たらないのである。バッ ハやショパンはあった。終わってから後の飲み会でそれとなく聞いてみた ところ、やはりモーツァルトは難しいとの意見が多かった。子供のピアノ 発表会では、モーツァルトは割と良く取上げられるが、確かに「良く出来 ました」程度の評価である。アマチュアとはいえ皆それなりの音楽観を 持っておられるので、その程度の評価では満足できないのであろう。

 他のアマチュア演奏家グループのコンサートが、どのような傾向になるの か知れないが、案外モーツァルトのピアノ曲をこういうところで聴かせて 貰う機会は少ないのかもしれない。(Y)

 

  
第198回2001年10月フェライン例会

 
事務局レター第73号 2001.10.01

  

 事務局レター/2001.10.1 【第73号】 

 【編集】山本廣資 hiro.yamamoto@mx5.ttcn.ne.jp/古田佳子 bxp00423@nifty.ne.jp 


 ●10月例会(第198回)のお知らせ

「モーツァルトとイギリス」

お話…井上 太郎先生(湘南モーツァルト愛好会会長)

 日時:10月14日(日)午後2時

 会場:原宿カーサ・モーツァルト(原宿医院)3Fホール(JR「原宿」下 車・徒歩5分/地下鉄「明治神宮前」下車・徒歩3分)

 例会費:¥2500(会員・一般共)

【カーサ・モーツァルト案内図】


 

今月は、湘南モーツァルト愛好会会長・井上太郎先生から「モーツァルト とイギリス」というテーマでお話を伺います。先生からは以下のコメント を頂きました。

 『モーツァルトとイギリスとの関わりは大きく2つに分けられます。1つ は3年余にわたる大旅行の際の訪問、もう1つは彼の死により実現しな かったイギリス再訪計画です。1つ目のイギリス訪問では、1764年4 月から翌65年8月にわたって1年4ヵ月の長期滞在をしており、この間 にモーツァルトは9歳の誕生日をロンドンで迎えております。

 産業革命の先端を行くイギリスの首都の人口はすでに85万に達しており ました。これはパリの55万、ウィーンの22万に比べて遥かに多く、音 楽家にとって極めて魅力のある市場であったわけです。しかもイギリスの 国家体制は、宮廷よりも市民社会を活気づける方向へと進んでおりまし た。音楽活動もそれに伴っており、宮廷で限られた聴衆のために演奏され た音楽が、ホールで誰でも自由に聴けるようになったのです。

ところが当時のイギリスで主に活躍したのは外国からやってきた音楽家で した。1759年にロンドンで没したヘンデルは死後も最高の尊敬を受け 続けた巨匠であり、又、大バッハの末子で「ロンドンのバッハ」と言われ たヨーハン・クリスティーアン・バッハは、ロンドンにやってきた少年 モーツァルトを愛し、少年も彼から強い影響を受けました。

モーツァルトはロンドンで初めてシンフォニーを書きました。これには先 輩が書いたシンフォニーからの影響がうかがえます。

その他《ロンドン・スケッチブック》といわれる43曲よりなる小品集が あります。これは父親が旅先で重病にかかったときに、楽器を鳴らす事も 禁じられていた環境の中で書かれたもので、さまざまなスタイルの曲があ ります。楽器の指定がありませんので、エリック・スミスの編曲が知られ ておりますが、私が編曲したものもお聞かせしたいと考えております。

またモーツァルトは1787年頃からイギリス再訪を考えておりました が、実現しませんでした。それに賭けたモーツァルトの夢も併せてお話す るつもりです。』


 《ロンドン・スケッチブック》の井上先生編曲版が聴けるとは楽しみです ね。又モーツァルトのイギリス再訪への夢については、初めて聴く話では ないでしょうか。今回も充実した午後となる事でしょう。尚、例会後は井 上先生を囲んで恒例の懇親会を、原宿駅寄りの「ステージ・Y2」(渋谷 区神宮前1-13-12 ℡3478-1031)で行いますので、是非ご参加下さい。 (Y)


 

●今後の例会のご案内

 11月17日(土) 河原 奈美ピアノリサイタル(オール・モーツァルト・プログラム)

 12月9日   三澤 寿喜先生(北海道教育大教授)「テーマ未定」

 2002年1月20日 200回記念例会(後述)

 2002年2月17日 講師未定


 

●9月例会の報告(第197回/9月9日)

 「後宮からの誘拐」の楽しさを探る~その成立事情とレコードによる演奏 史・・・石津 勝男氏(本会副会長)


 石津副会長のお話は、99年11月以来、約2年ぶりになります。この日 は折り悪しく台風の予報があり、影響が心配されましたが、大勢のお客様 がご来場くださいました。

 

お話は(1)「後宮」作曲時の時代背景、成立事情など (2)演奏史 (3)映像による名舞台の鑑賞、の順で進みます。

 (1)おなじみの映画「アマデウス」の中に、ヨーゼフ2世がモーツァル トにドイツ語のオペラを依頼するという、うってつけのシーンがあり、そ れを見てからお話が始まりました。当時のウィーンは、1600年代に 入ってきたオスマン・トルコの影響が100年近くかかって文化として浸 透してきた頃で、まず、1608年作のトルコの古典軍楽と、次いでトル コの影響を受けているといわれるグルックやM・ハイドンの音楽を聴きまし たが、これは先のトルコ音楽とはまったく違い、シンバルや大太鼓に代表 される打楽器を多用した、トルコ風味のヨーロッパ音楽であるということ がよく分かりました。

 

  次に作曲の経過ですが、これは書簡集を引用しなが ら、モーツァルトが台本作家のシュテファニーにかなりの変更を求め無理 を言ったこと、また、当初はほんの脇役程度の扱いだったオスミンが、初 演がフィッシャーという当時の名歌手に決まると、モーツァルトが彼に合 わせて新たに2曲新曲を増やしたことで、そのキャラクターが次第に重要 になっていったことなどの解説があり、「『後宮』ほどモーツァルトが作 曲の原理、創作の理論を言葉によって語っている作品はほかにないのでは ないか」という大変興味深い見解をお話しくださいました。

 

 (2)演奏史は第1幕のオスミンのアリアを中心に、石津さん自慢のオー ディオ・コレクションの中から、SP(これはもちろんテープですが)、 LP、CDによる演奏の移り変わりを聴きました。また、コンスタンツェ のアリアを自分で歌いながら稽古をつけるトーマス・ビーチャムのリハー サル風景という珍しい録音(58年)も披露されました。

 


 (3)最後はビデオですが、演出、歌手、オケと三拍子揃った良いものが なかなかないとおっしゃる中で、石津さんのおめがねにかなった1991 年シュヴェチンゲン音楽祭(ジェルメッティ指揮、ハンペ演出)のライヴ の模様を、1時間以上に渡ってたっぷりと堪能しました。(F)

 

 

●情報コーナー

 コンサート情報
★10/21(日)14:00 フィリアH/ベートーヴェン:弦楽四重奏曲No.4、「不 協和音」、シュ-ベルト:「死と乙女」 ライプツィッヒ弦楽四重奏団 \4500~3500 ℡:フィリアH045-982-9999 梶本3289-9999
 ★10/23(火)19:00 カザルスH/ベートーヴェン:弦楽四重奏曲No.4、「不 協和音」シューマン:P五重奏曲/(P)宮谷理香、ライプツィッヒ弦楽四重 奏団 \5000 ℡:梶本3289-9999
 ★10/24(水)19:00 旧奏樂堂!/K.136、K.370、バルトーク:44の二重奏曲 より、ドヴォルザーク:P五重奏曲 オクーン・アンサンブル \4000 ℡:オ クーン・アンサンブル事務局03-3414-0849
 ★10/25(木)19:00 王子H/ハイドン:交響曲No.6、P協奏曲No.17,K.453 (!)、No.27,K.593/(P・指揮) ラドゥ・ルプー:イギリスcho、\10000 ℡:王子H03-3567-9990
 ★10/27(土)19:00 東京オペラシティ「ブレンデルのモーツァルト~室内楽 の夕べ~」/P四重奏曲No.1,K.478、No.2,K.493、P協奏曲No.12,K.414 (作曲者自身の編曲版!)/(P)A.ブレンデル、(Vn)キャサリン・ガワー ズ、ルーシー・ジール、(Vla)ダグラス・パターソン、(Vc)エイドリアン・ ブレンデル \8000~6000 ℡:東京オペラシティ03-5353-9999
 ★10/30(火)19:00 東京オペラシティ/ハイドン:交響曲No.6「朝」、P協 奏曲No.17!、No.27/(P)ラドゥー・ルプー!\12000~3000 ℡:梶本 3289-9999
 ★10/30(火)19:00 文京シビックH/レクイエム ヤン・クレンツ:ポーラ ンド国立放送交響楽団 \6000 ℡:東京アイエムシー03-3401-9561
 ★11/2(金)19:00 かつしかシンフォニーヒルズ/V協奏曲No.3 K.216、ラ ヴェル:左手の為のピアノ協奏曲、ドヴォルザーク:交響曲No.8 (Vn)戸田 弥生、(P)小川典子、沼尻竜典:東京フィル \3500~2500 ℡:かつしかシン フォニーヒルズ03-5670-2233
 ★11/8(木)19:00 王子H/弦楽四重奏曲No.14、K.387、ヴォルフ:イタリ アン・セレナーデ、ブラームス:Cl五重奏曲 (Cl)ライスター、ブラン ディス弦楽四重奏団 \5000 ℡:王子H03-3567-9990
 ★11/09(金)19:15 三鷹市芸術文化センター/ロドリーゴ:アランフェス協 奏曲、P協奏曲No.23、ベートーヴェン:交響曲No.8 (G)鈴木大介、(P・指 揮) 沼尻竜典:トウキョウ・モーツァルトプレーヤーズ \3000 ℡:三鷹市 芸術文化振興財団 チケットカウンター0422-47-5122(Y)


CD新譜情報 ※外盤の¥は新宿タワー価格
★「ウィーン時代のモーツアルト」m:前奏曲とフーガK.394、6つの変奏 曲K.398、小葬送曲K.6453a、幻想曲K.475、PSK.457コジェルフ:PS Op2-3/(P)小倉貴久子(2000年12月モーツアルト協会Live!) Ayus GECB2081 \2500
 ★モーツァルト・クロンマー:クラリネット協奏曲/(cl)シャロン・カ ム、イェルク・フェルバー:ヴュルテンベルグcho Teldec 3984-21462-2 \1690
 ★大ミサ曲K.427/W.クリスティ:レ・ザルト・フロリサント \1690
 ★モーツアルトではないが英デッカから往年の名歌手によるThe Singersと いうCDが\1280で出ている。(新宿・タワー)(Y)


 

●200回記念例会について

来る12月で例会も200回を迎えます。そこで翌月2002年1月例会 は、200回記念例会とし、広く会員の皆様から参加者を募ることになり ました。アマチュアとしての当会のレヴェルはかなりのもの、という評価 を内外からもいただいています。この機会に是非発表を!

 日時    2002年1月20日(日)2:00
会場    カーサ・モーツァルト
募集内容 【1】お話…日頃の思いを短く
【2】CD&LD…お気に入りやおすすめをかける
【3】演奏…楽器や歌(ソロでもアンサンブルでも)
 条件    モーツァルトに限る
持ち時間  ひとり5分~10分(参加人数により決定)
 締切り   2001年11月20日

 【1】【2】【3】どの部門に参加かを明記の上、口答、葉書、電話、 メールにて、各世話人、もしくは 古田佳子までご連絡ください。多数の参加を お待ちしております。(F)

 

 

●あとがき

 N.Y.では大変な事件がおきてしまいましたが、その翌日には若松会長のホームペー ジで無事であることが報告され、胸をなでおろしました。事件と同時に国 際電話が繋がりにくくなったのに対し、緊急時に威力を発するITに改め て感心させられもしました。

ところで、いつもトップの題字の下に名前を出しているだけの私でした が、今月から少しずつ山本さんのお手伝いをさせて頂くことになりまし た。毎月大好評の山本レターのサポートはプレッシャーが大きく、初回か らもう音を上げています。皆さま、どうかよろしくご指導ください。(F)

 

  
第197回2001年9月フェライン例会

 
事務局レター第72号 2001.09.01

  

 事務局レター2001.9.1/【第72号】 

 【編集】山本廣資 hiro.yamamoto@mx5.ttcn.ne.jp/古田佳子 bxp00423@nifty.ne.jp 


 ●9月例会(第197回)のお知らせ

「後宮からの誘拐」の楽しさを探る~その成立事情とレコードによる演奏史

お話・・・石津勝男氏(本会副会長)

  日時:9月9日(日)午後2時

 会場:原宿カーサ・モーツァルト(原宿医院)3Fホール(JR「原宿」下車・徒歩5分/地下鉄「明治神宮前」下車・徒歩3分)

 例会費:¥1500(会員・一般共)

【カーサ・モーツァルト案内図】


 

 今月は、モーツアルトがウィーンに居を定めて最初に成功をおさめたオペ ラ「後宮からの誘拐」の楽しさについて、石津副会長のお話です。

  『モーツアルトの「後宮からの誘拐」が作曲された時期は、彼にとって短 い生涯の中で最も幸福な時代であった。1782年7月16日ウィーンのブ ルグ劇場で初演が行われたが、そのすぐ後、8月4日に相愛のコンスタン ツェ・ウェーバーと結婚式を挙げている。このジングシュピールは青春の 若々しく清々しい美に満ち溢れていて、モーツアルトの存命中に上演され た回数が、かれのオペラの中で最も多く最大のヒット作であった。

  しかし、台本作家G・シュテファニーから台本を受けとってから初演まで 10ヶ月もかかるという、モーツアルトとしては異例の長さがあったのは なぜか?またこの作品にトルコ音楽が取り入れられている理由などを、国 際都市ウィーンの歴史的背景、音楽事情と共に、あらためて検証してみた いと思います。

  書簡集の中には、モーツアルトのこの曲にかける情熱やオペラに対する鋭 い考え方がよく表れているし、また、モーツアルトのこの曲に影響を与え た当時の作曲家、グルックやM・ハイドンの作品なども、実際にレコード の一部を聴いてご紹介したいと思います。

  後半は、この「後宮」の楽しさを、SP時代の演奏から最新の新しい演奏 まで、レコード・CDで比較し聴いてみます。トマス・ビーチャム指揮に よるこの曲の練習風景の楽しさや、オスミンのアリアのすばらしい名唱の いくつか、そしてK・ベームやエストマン指揮による美しい映像を視聴し て、「後宮」の受容史についても皆様と一緒に考えてみたいと願っており ます。』

  若松さんと森さんが季刊「モーツアルティアン」誌上で対談を始められた のが、「後宮からの誘拐」からでした。これは季刊の25、26号に掲載 されています。お二人の対談も面白かったですが、直接音を聞き、映像を 楽しめる石津さんのお話で「後宮」への興味がより深まる事でしょう。

  尚、例会後は石津さんを囲んで恒例の懇親会は、いつもの「コナ・ファー ム」が改装中のため、原宿駅寄りの「ステージ・Y2」(渋谷区神宮前 1-13-12 ℡3478-1031)で行いますので、是非ご参加下さい。(Y)

 

 

●今後の例会のご案内

 10月14日  井上 太郎先生(湘南モーツァルト愛好会会長)「モーツ アルトとイギリス」

 11月17日(土) 河原 奈美ピアノリサイタル(オール・モーツアル ト・プログラム)6:00、会場:中野坂上 ハーモニーホール
(別掲のように本会世話人中村宏氏が急逝されましたので、上記のように 変更させていただきました。この回は土曜日6:00開催となります)

12月9日  三澤 寿喜先生(北海道教育大教授)「テーマ未定」

※2002年1月20日は、本会の創立20周年と例会200回を記念し た集まりに致します。内容については世話人会で検討中です。ご意見があ りましたら、お寄せください。

 

 

●7月例会の報告(第196回/7月15日)

 (1)モーツァルトの『反抗』について/(2) ヴィデオ「ロヴェレー トと馬車の旅」を紹介・・・・青柳省三氏(本会季刊誌編集長)

  前半はモーツアルトについて、『反抗』という切り口からのアプローチで ある。人間は成長過程で色々な形の『反抗』の相手に出会う。青柳さんは 書簡から見たモーツアルトの成長過程から、反抗の相手と原因を以下のよ うに拾い出し、モーツアルトの人間性や性格の一端を探られた。

  彼にとって、トラブルになる対人関係の相手は以下のようであった。1. 父親との関係、2.音楽家同志の関係、3.主君や宮廷貴族との関係。こ の中では父親との関係が最も深い。これらの対立が生じた原因と性格を仕 分けしてみると、A.人間的な成長過程での自立願望、B.天才的個性と常 識社会との軋轢、C.貴族社会の閉鎖性と個人の尊厳となる。

  モーツァルトにとっては、親であると同時に師匠であり、興行師であり、 プロデューサーであり、付き人でさえあったレオポルドからの自立が最大 の『反抗』であり、ザルツブルク宮廷からの決別が次の『反抗』である。 自分達の立場を守りたい凡庸な音楽家達との対立も少なからず見られる。 これらを克服してゆくモーツアルトの成長の過程を、青柳さんが話された わけで、これはほんのさわりの部分である。この内容はいずれ青柳さんが 季刊「モーツアルティアン」に発表されるのでご期待ください。

  後半は、昨年行われた会員有志の『ロヴェレートと馬車の旅』のヴィデオ 上映。楽しい旅と美しい風景もさることながら、編集の腕前とモーツアル トの音楽がうまく溶け込んでいるのはお見事!さすが青柳さん!でした。

  今回は筆者所用で出席できず、青柳さんの季刊発表用レポートとお借りし たヴィデオによりまとめました。(Y)

 

 

●情報コーナー

 コンサート情報
★9/11(火)19:00 サントリーH/P協奏曲 No23、K.488、ベルリオーズ:幻想交響曲/(P)梯剛之、小林研一郎:読売 日響、\6500~2000 ℡:読響 03-3820-0013
 ★9/17(月)19:00 サントリーH 9/19(水)19:00 オーチャードH /ロッシーニ:「セミラーミデ」序曲、P協奏曲No.21、K.476、プロコフィ エフ:「ロミオとジュリエット」組曲より/(P)小川典子、デイヴィット・ア サートン:東京フィルハーモニーso \8500~2000 ℡:東京フィル03-5353-9522
 ★9/19(水)19:00 JTアートH/弦楽四重奏曲No.14、K.387、ベートー ヴェン:弦楽四重奏曲No.13 Op.130/ハレーSTQR、\3000、℡:JTアート H・アフィニス 03-5572-4945
 ★9/24(月・祝) 15:30 オーチャードH/交響曲No.31「パリ」、オーボ エ協奏曲K.314、メンデルスゾーン:「真夏の夜の夢」より/(Ob)宮本文 昭、広上淳一:N響、\7500~4500 ℡:文化村 03-3477-9999
 ★9/26(水)19:00 サントリーH(小)/ディヴェルティメントK.136、 251、オペラ『ツァイーデ』K.344からツァイーデのアリア、交響曲K.385 「ハフナー」(P四重奏曲編曲!)/(FP・指揮) 武久源造:コンヴェルス ム・ムジクム \4000 ℡:サントリーH 3584-9999
 ★9/27(木)19:00 サントリーH(小)/K.525、オペラ『ツァイーデ』K. 344からツァイーデのアリア、「グラン・パルティータ」K.361(P五重奏 曲編曲!)、ディヴェルティメントK.251/(FP・指揮) 武久源造:コン ヴェルスム・ムジクム \4000 ℡:サントリーH 03-3584-9999
 ★9/30(日)14:00 かつしかシンフォニーヒルズ・アイリスH、小林道 夫が語る「かつしかモーツアルト・マチネー・コンサート」/P三重奏曲 K.564より、P四重奏曲K.478、P協奏曲K.414(P五重奏曲版!)/(P) 小林道夫、PARTIカルテット\2500、℡:葛飾区文化振興財団 03-5760-2233 
 ★10/1(月) 19:00 小石川トッパンH/シューベルト:イタリア風序 曲、メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲、P協奏曲No.24、K.491、交 響曲No.31「パリ」/(Vn)渡辺玲子、(P)野島稔、北原幸男:日本フィル、 \6000 ℡:03-5840-2222
 ★10/6(土)18:00 神奈川県立音楽堂/シュニトケ:ハイドン風モーツ アルト、P協奏曲No23、K.488、交響曲No.39/(P)イングリッド・フリッ ター、井上道義:神奈川フィルハーモニーO、\4000、℡:音楽堂 045-263-2255
 ★今月のN響の午後・・・9/15(土・祝)14:00 NHKホール/ストラヴィンス キー:組曲「プルチネルラ」、ボッケリーニ:チェロ協奏曲、チャイコフス キー:カプリッチョ風小品、ウォルフ:イタリアのセレナード、メンデル スゾーン:交響曲No.4「イタリア」/(Vcl)クラウディオ・ボルケス、(指 揮)準・メルクル(!) 当日券\1520 ※3F舞台に向かい右側に集合くださ い。(Y)


 

CD新譜情報
★PC No.17、K.453('37)、ハイドン:PCニ長調('42)他/(P・指揮)E・ フィッシャー(以下E・Fと略):フィッシャーcho、ウィーンpho 新星堂 SGR-7101
 ★PC No.20、K.466('54)、ベートーヴェン:PPSNo.7('54)/(P・指揮) E・F:フィルハーモニアo、新星堂SGR-7103
 ★M:PCNo.22('35)、25('37)/(P)E・F、J.バルビローリ:バルビロー リcho、J.クリップス:フィルハーモニアo、新星堂SGR-7104
 ★M:PCNo.20、K.466('33)、24、K.491('37)/ (P)E・F、ローレンス・コ リンウッド:ロンドンpho、新星堂SGR-7105
 ★K.330('37)、K.331('33)、幻想曲、PSK.396('34)、K.457('41)、 K.475('47)、ロマンツェK.anh205('38) ('41) ('47)、メヌエットK.1/ (P)E・F、新星堂SGR-7106
 ★交響曲No.33、K.319、Pと管弦楽のためのロンドK.382、バッハ:「アリ ア」、6声のリチェルカーレ、ヘンデル:組曲第3番、シャコンヌ/(P・指 揮)E・F:フィッシャーcho、新星堂SGR-7107
 ★M:PC No.22、K.482、No.25、K.503('46ザルツブルグ・ライヴ)/(P・指 揮)E・F:ウィーンpho、新星堂SGR-7125(以上新星堂「E・Fの芸術」 より。括弧内の数字は録音年。この他バッハの平均率やベートーヴェンの ピアノ協奏曲等新しい復刻になっている)(Y)

 

 

●あとがき

今年の初めから入院治療を続けておられた本会世話人の中村宏さんが、7 月29日に亡くなられました。中村さんはこの事務局レター担当として、 1995年6月5日付けの第1号以来、最近まで青柳さんと(第41号か らは筆者と)交代で編集をしてくださいました。また、古楽器の愛好家で もあり、中村さんが講師としてお話しになった「私の古楽器演奏家事典」 は延べ5回を数え、私達の耳を古楽の響に啓いてくださいました。このシ リーズは季刊「モーツアルティアン」にも掲載され、その造詣の深さに感 心させらたものです。これからもまだまだ活躍していただきたいと思って おりましたし、ご本人も11月の第6回での完結前に逝かれたのはさぞ心 残りであったろうと思います。享年71歳でした。ご冥福をお祈り申し上 げます。合掌。


 尚、30日のお通夜の晩は集まった有志の方々一同で、「憂陀」に行き、 期せずして中村さんと憂陀の閉店を同時に偲ぶ会となりました。(Y)

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