第206回2002年6月フェライン例会

 
事務局レター第81号 2002.06.01.

  

 事務局レター   2002.6.1 【第81号】 

 【編集者】山本廣資 hiro-yamamoto@jcom.home.ne.jp / 古田佳子bxp00423@nifty.ne.jp 


 ●6月例会(第206回)のお知らせ

「私のビデオコレクションから…その1」 お話・・・倉島 収氏(本会副会長)

 日時:6月16日(日)午後2時

 会場:原宿カーサ・モーツァルト(原宿医院)3Fホール(JR「原宿」下車・徒歩5分/地下鉄「明治神宮前」下車・徒歩3分)

 例会費:¥1500(会員・一般共)

例会会場;原宿「カーサ・モーツアルト」案内地図 

 

 当会副会長の倉島収さんがモーツァルトのビデオ蒐集家であることは皆様もご存知のことと思います。今回はそのとっておきのコレクションを垣間見る機会となりました。倉島さんからは以下のコメントを頂いております。


  『モーツァルテイアン・フェライン の6月例会については、昨年の6月に講師を依頼した礒山雅先生にかねてお願いを続けて来たが、先生の余りの超多忙のため、何か良いネタが揃ったときに随時やって頂くということで今年は見送りになった。そのため穴埋め的に良いビデオがあったらと言うことで、急遽小生に講師の順番が回ってきた。以前にも講師の都合で穴埋め的にビデオ鑑賞を行ったことがあったが、今回は時間的に余裕があったので、小生のコレクションの中から、会員の皆さんに喜ばれそうなものはと考えてみた。その結果、次のように「懐かしいビデオ」、「最新の素晴らしいビデオ」、「珍しい貴重なビデオ」に分けて、楽しみながら役割を果たしたいと考えている。

 「懐かしいもの」としては、今年はフェラインの創設20周年なので、91年のモーツァルトイヤーの年にフェラインの例会風景などを目玉にしたNHK製作のビデオ「熱烈なファンです。"私のモーツァルト"」の抜粋を、特に新しい会員に見て頂く積もりである。またザルツブルクのモーツァルト週間が、クラシカジャパン(UNITEL)で放映されたり、毎年会員同士で訪問するなり身近なものになりつつあるが、私が初めて参加した97年のモーツァルト週間で、私が直接聴いたコンサートの演奏の一部が放映されたのでご紹介したい。これは私自身の貴重な本場経験の「懐かしいビデオ」になっている。 

 「最新の素晴らしいビデオ」としては、私のホームページのソフト紹介2月分に報告した、内田光子のピアノ協奏曲20番ニ短調の弾き振りの演奏を見て頂く。2001年3月収録の最新のもので、本場のザルツブルクのモーツァルテウムの大ホールで、大観衆を沸かせた熱演である。「珍しいもの」としては、第一に4月分で紹介したシュヴァルツコップとジェラルド・ムーアのリート集の映像(1968)の抜粋を、また第二に1月分で報告したガッザニーガの「ドン・ジョバンニ・テノーリオ」の面白いところを抜粋して見て頂き、皆さんの率直なご意見をお聞きしたいと思う。いずれもとても珍しい映像である。

  D-VHSで収録したものをS-VHSにダビングするなど厄介な面があるが、幸い当日のレジュメはホームページで紹介した原稿をそのまま流用できるので有り難い。時間があれば、ちょうど3年目に入った私のHP"mozartian449"についてもお話ししたいと考えている。』 

 今回も楽しい例会になりそうです。尚、例会後は近くの「ステージ・Y2」(渋谷区神宮前1-13-12 ℡3418-1031)で倉島さんを囲んで懇親会を行いますので是非ご参加下さい。(Y) 


 

●今後の例会のご案内

7月14日 野村満男氏(元東邦音大講師・チェンバロ研究家)「モーツァルトのクラヴィア曲に調和する調律法」

 8月     ―――――― お休み ―――――――

9月8日  牧野成史氏(横浜モーツァルトアカデミー、所沢バッハアカデミー主宰者)「ザルツブルク、モーツァルトあれこれ」

 10月20日 「モーツァルティアン・フェライン創立20周年記念例会」井上太郎先生・石津勝男副会長・江端津也子さん


 

●5月例会の報告(第205回/5月26日)

 「モーツァルトにおける即興とカデンツァ」  お話・・・久元祐子氏(ピアニスト) 

  先月のレジュメにあるように、弾かれるべきすべての音をスコアに書き込む習慣がなかった時代に作られたモーツァルトの作品は、どのように演奏されれば作曲者の意図を忠実に表現したことになるのか。ピアニストにとって永遠の課題である。

  装飾音についてはピアノソナタK.332に装飾音の少ない自筆譜と装飾音のついた初版譜があり、これを比べることでモーツァルトの装飾音が研究できる。両方を聴くと、自筆譜でもこまやかな息づかいと優雅な展開に満ちているが、初版譜になるとこれがより素晴らしいものになる。装飾音は聞いたことがある感じなので、普通のCDではこの中間の演奏が多いのであろうかと思われた。

  モーツァルトの即興性を示すものとしてカデンツァやアインガングがあるが、ソナタにもカデンツァがあることは今回のお話で始めて知った。LP/CDの解説にはあまりかかれていない。これらの事例としてピアノソナタK.311(284c) 第3楽章、 K.332(300k)第2楽章、K.333(315c)第3楽章を聴いた。

  クラヴィーア協奏曲のカデンツァはK.271、K.488、K.466 のものを聴いた。複数のカデンツァが残されているK.271については、第1楽章の2つのカデンツァを弾き分けていただいた。カデンツァにその楽章のテーマを持ってくるのは、もう一度聴きたいという欲求を満足させるもので、回想部の自然な流れが美しい第2カデンツァが特に印象に残った。又、第三楽章の3つのアインガングでは、自筆がのこっているもの、ウイーンに移り住んだ後書いた自分用、ナンネル用("プレストが大変なので、休みを入れましょう"とでも言うかのように、フェルマータが5回もある)それぞれについて、作風の違いがモーツァルトの成熟度・内面の変化として示されているとのことであった。誰がどのカデンツァを使っているかはLP/CDで確認する楽しみが出来た。

  モーツァルトのピアノ協奏曲は人類の偉大な遺産であるとおっしゃる久元さんは、K.488の第1楽章のモーツァルト自作のカデンツァを最も完成度が高いと評された。経過句から始まる展開は変幻自在であり、色合いも豊富で優雅、どこをとっても自然な流れ、異物は挟み込まれておらずカデンツァの見本であることを、実際の音で示された。これに対しK.397の補作を行ったミュラーのカデンツァはモーツァルトのまがい物で無意味な音が多く、モーツァルト特有の音階も練習曲のように聞こえこの程度のカデンツァしか出来ないものが補作とはとんでもないというお話には、実際の音で納得させられた。

  モーツァルトの自作のカデンツァが残されていないK.466については、以下の4人のカデンツァを聴かせて頂いた。初めのベートーヴェンのもの(この曲のLP/CDの半分近くこれを使っている)はモーツァルトへの尊敬と憧れが表れており、始まりのトリル+和音・リズムから無駄な音がない。緊張の糸が張ったようなピゥ・プレストの部分など、さすがベートーヴェンである。しかしその後の長いトリルを弾きながら左手が激しく駆けめぐる箇所では、モーツァルトならこんなことはしないであろうという思われ、ベートーヴェンを通してモーツァルトに対峙している感じであるとのことであった。

  弟子のフンメル作のものについては、同じ音型が延々と引き延ばされているという厳しい評価であった。始まり方はダサイ・乱暴・けたたましい感じで総じてうるさい技をひけらかしている。モーツァルトは技のための技はかいておらず、次のパッセージへの移り方、変化のさせ方は大胆ではあっても、あくまでも自然である。フンメルのカデンツァは強引に引っ張られる感じでランドフスカの「カデンツァの役割を卑俗化したのはフンメルだった。勝ちほこる征服者の騒々しい音でもってカデンツァを開始する習慣は、彼から始まったのである。言うまでもなく、この卑俗化はカデンツァの本来の意味を歪めてしまった。」という批評に納得させられた。(アニー・フィッシャー盤で聴ける) 

  K.466は沢山のCDを持っているので上記以外に演奏者自作のカデンツァを色々聴いているが、今回初めて聴いたのがクララ・シューマンのものであった。(このカデンツァを弾いたCDは知らない)ロマン派真っ只中のこのカデンツァ、実に長く、十分に歌いこまれており、表情記号も沢山書き込まれている。終わりの部分はベートーヴェンへの尊敬か殆んど同じ音形が使われている。某チェリストがあまりに長いカデンツァの途中で眠ってしまったというエピソードが紹介され、クララ・シューマンだからこそ許されたものだと思われる。(でも一度は本番で聴いてみたい。後で久元さんにこれをやらないかと聞いたら、やはりベートーヴェンがよいとのことであった。)最後はケンプのカデンツァ。経過句から入り、第2主題を使った遊びはメンデルスゾーン風。モーツァルトの同時代人が作るものとは明らかに違いがあり、それはロマン派や近代の音の洗礼を受けた後でモーツァルトを見ると言うことだと思う。それぞれの時代の特徴が現れており、カデンツァは生き物で長すぎるカデンツアは考えものであるとの認識を新たにさせられたとのことであった。

  最後はK.511のロンド。音型の変化はプリズムのように色合いが変わり、透明な美しさをたたえた主題は、登場するたびに少しづつ微妙に違っている。ため息のモチーフを入れて全体の雰囲気をメランコリックにしたり、うねり・装飾・トリル・跳躍など色合いと息づかいの変化に富むモーツァルトの魅力が存分に発揮されている。おそらくモーツァルトはこれを演奏するたびに、毎回違った変化をさせて弾いたと思われるが、モーツァルトになれない我々は残された楽譜どうりに弾くしかなく、モーツァルトがやったと思われることと違っているのが大変な矛盾である。数少ない手がかりを用いて他の曲にも応用してゆくのが、我々演奏者の課題であろうというのが結論であった。

  K.511については、いい曲だなと何気なく聴いている曲にこんなにも豊富できめ細かなニュアンスが盛り込まれているとは初めて認識させられた。今回は感性だけでなく知的にも興奮させられたひと時であった。他の曲についてもいい話が沢山あるのだが、スペースの都合で割愛するのが残念である。
カデンツァと言えばピアニストの腕の見せ所・聞かせどころである。久元さんにはこんなに沢山やっていただきお疲れさまでした。今回のようにオーケストラがいない場合でもカデンツァを弾くと終わりの部分で自然に指揮者の方角に"ハイどうぞ"と自然に顔が向いてしまうなどのユーモアで皆を笑わせたり、大変楽しい解説であった。来年も例会に出ていただけるとのことで、今から楽しみである。(Y)


 

●第2回会員参加型例会出演者募集 

 大好評だった200回記念例会ですが、「短すぎる!」という声にお答えして、今回は大幅に持ち時間を増やしました。このため、出演受付は先着順とし、希望者多数の場合は次回に繰り延べさせていただきますので、ご了承ください。(Y)

 日 時:2003年1月19日(日)
 募集内容:
 【1】お話:日頃の思いを熱く語る
【2】CD&映像(LD、VTR):お気に入りやおすすめをかける
【3】演奏:楽器や歌(ソロでもアンサンブルでも)
 持ち時間:1人30分以内、10分でも15分でもOK。(応募時におおよその出演時間を自己申告して下さい)
 条 件:モーツァルトに限る
締  切:2002年7月末日
 【1】【2】【3】どの部門に参加かを明記の上、Eメールにて、下記世話人までご連絡ください。

 Eメール…川口ひろ子 kawaguchi-h@mug.biglobe.ne.jp


 

二次会の懇談風景 

もし写っていない方があればごめんなさい。


第205回2002年5月フェライン例会

 
事務局レター第80号 2002.05.01

  

 事務局レター  2002.5.1 【第80号】 

 【編集者】山本廣資 hiro-yamamoto@jcom.home.ne.jp/古田佳子bxp00423@nifty.ne.jp 


 ●5月例会(第205回)のお知らせ 

「モーツァルトにおける即興とカデンツァ」

お話・・・久元祐子氏(ピアニスト)

 日時:5月 26日(日)午後2時

 会場:コンサートスタジオ「ラ・フォルテ・カフェ」(JR吉祥寺公園口下車・徒歩10分)

 例会費:¥3000(会員・一般共)

吉祥寺 【「ラ・フォルテ・カフェ」案内図】


 

 今月は会場を替えて、グランド・ピアノのあるサロンコンサート会場に、ピアニスト久元祐子さんの登場です。この会場は世話人の楠さんの紹介によるもので、オーナーは国立音大、玉川大学の講師大澤健一氏で、若い演奏家達の集まりである「ハーツ室内合奏団」の代表もされています。久元さんからは以下のコメントをいただきました。


 『現代においてモーツァルトのピアノ作品を演奏するとき、スコアにどこまで忠実でなければならないか、逆に言うと、演奏者の判断でどこまでスコアに修正、追加が許されるのかという興味深い問題があります。

ごく大ざっぱに言うならば、演奏者に対するスコアの拘束力は、現代に近づくほど強くなります。現代の作品では、スコアの指示が総じて細かく、詳しく示されていることが多いと思います。 テンポなどが数字ではっきりと書き込まれている作品も少なくありません。

モーツァルトの作品を弾くときは、そうはいきません。 今日使われているスコアの多くは、自筆譜や初版譜をもとにして今日まで受け継がれ、弾かれてきたものですが、これらのスコアをそのまま弾いていいのかについては、なかなか簡単な問題ではありません。

このような疑問が生じるのは、ひとつにはスコアについての信憑性の問題がありますが、より重要な背景は、モーツァルトの時代には弾かれるべきすべての音をスコアに書き込む習慣がなかったという点にあります。そのような習慣を前提として書かれた作品では、そのスコアに書かれてあるとおりに弾いても作曲者の意図を忠実に再現したことにはならないのかも知れません。

とりわけモーツァルトは天才的な即興の名人でしたから、無数の曲を即興で演奏し、それはただ弾かれるままに宙に消えていきました。同時に、今日スコアとして残されている作品を弾くときにも、自由自在に装飾したり、 場所によってはカデンツァやアインガングを入れたことは間違いありません。それらはほとんど書き留められることはありませんでした。

 幸いなことに、モーツァルトは同時代のほかの作曲家に比べ、比較的多くの即興的な装飾やカデンツァ、アインガングを書き残しており、モーツァルトの即興的な演奏を知る上での貴重な手がかりを提供します。

 今回の例会では、モーツァルトの残したいくつかの即興的装飾やカデンツァの例を取り上げ、また、後世の音楽家がつくった例をあわせて弾きながら、スコアの再現のありようという観点から、モーツァルト演奏について考えてみたいと思います。』


   <プログラム>

モーツァルト:幻想曲 ニ短調 K.397(385g)
   〃   :クラヴィーア協奏曲 変ホ長調 K.271 カデンツァ
  〃 :クラヴィーア・ソナタ ニ長調 K.311(284c) 第3楽章
   〃 :クラヴィーア・ソナタ ヘ長調 K.332(300k) 第2楽章
   〃 :クラヴィーア・ソナタ 変ロ長調 K.333(315c)第3楽章
   〃 :クラヴィーア協奏曲 イ長調 K.488 カデンツァ
  〃 :クラヴィーア協奏曲 ニ短調 K.466 カデンツァ
  〃  :ロンド イ短調 K.511

K.466のカデンツァについては、以前筆者が色々な演奏家の聞き比べを行いましたが、今回はどんな演奏が聴けるのでしょうか。大変楽しみです。

 尚、例会後は、会場に併設のカフェで先生を囲んで懇親会を行いますので是非ご参加下さい。(Y)


 

●今後の例会のご案内


 6月16日 倉島 収氏(本会副会長)「ビデオコレクションから(1)」

 7月14日 野村 満男氏(元東邦音大講師・チェンバロ研究家)
      モーツァルトのクラヴィア曲に調和する調律法」

 8月     ―――――― お休み ―――――――

9月8日 牧野 成史氏(横浜モーツァルトアカデミー、所沢バッハアカデミー主宰者)
       「ザルツブルク、モーツァルトあれこれ」

 10月20日「モーツァルティアン・フェライン創立20周年記念例会」
      井上太郎先生・石津副会長・江端津也子さん


 

●4月例会の報告(第204回/4月14日)

 「脱線版・パリのモーツァルト」 お話・・・川端 博氏(光文社学芸編集部デスク)


  パリに関しては、モーツァルトがそこで得たもの、失ったもの、作品に与えた影響等、モーツァルトの作品や成長過程に眼を向けた見方が殆んどである。今回はそのパリでモーツァルトがどのように受け入れられているかについて、実際に川端さんが見聞きした経験に基づいたお話であった。

モーツァルト自身はパリをあまり誉めていないし、どちらかといえば毛嫌いし悪口も言っている。名曲も作っているが屈折した出会いであるようだ。3回目の訪問時に母親がここで死んだことにより、パリの意味合いが大きくなった。

 大都会がお好きで、アムステルダムに3回、イタリアにはあちこち行き、ロンドンも素晴らしいが、大都市という意味では唯一の都市はパリであるとおっしゃる川端さんは、25年前のパリ体験からお話を始められた。コンセルバトワールの作曲部門の学生である友人宅にヴァイオリニストがやってきて、アップライトのプレイエルと弾いたK.304が終わった時、近くの教会の鐘が鳴り、この音色がピアノと同じだった。これが音楽だなと思ったとのこと。この曲に始まり、珍しいCDと、川端さんのパリでのモーツァルト体験を聴かせて頂いた。

 【CD・1】 K.304第2楽章/(Vn)ローラン・シャルミー(P)ペルルミュテール:モーツァルトはパリに行ってから有名曲ができており、パリに行った意味合いは大きい。この曲の第1楽章はマンハイムで、第2楽章はパリで出来たのではないか。いやパリでしか作れない。一言で言えば『群衆の中の孤独』である。

 【体験】バスティーユの裏で聴いたピアノ伴奏の「フィガロ」(ピアノ演奏者は日本人):省略なしの2時間。これはすごかった。モーツァルトのレティチタティーボが如何に良く出来ているかわかった。歌手が合唱に加わったり、装置を一緒に動かしたりして、大変楽しく、こんなのを生で聴ける人は幸せである。

 【体験】1991年パリから電車で1時間ぐらいの町で聴いた変なモーツァルト:レクイエムとバスティアンの組み合わせで、レクイエムで始まりパパゲーノが出てくる。薄暗がりの中でモーツァルトが一生懸命書いて居る。明るくなると「バスティアン」になり、最後はレクイエムで終わる。ウィーンやザルツブルクでは原作の重みが大きく、ここまで自由に読み替えてしまうことは出来ないのではないか。

 【CD・2】 男性テナーが歌う『恋とはどんなものかしら』:1オクターブ下げたテナーの歌唱、一寸気味が悪い。「こんなことまでやるか」という感じであるが、自分たちのモーツァルトという自信があるのか、そのままに楽しんでいる。客観性又はリアリズムの観点からすれば "ケルビーノの半ズボンソプラノはリアルでない" とフランス人が感じているのもうなずけないことではない。

 【CD・3・4】 K.282、397(P)マドレーヌ・マルマレーケ(マルセイユ生れ):新鮮であると同時にフレーズ感覚がすばらしい。CD・5 ディヴェルティメントNo.17 K.334/パリ八重奏団(これは良かった、中古レコード屋で是非見つけたい)

  【CD・6 ジェラール・フィリップ「モーツァルトを語る」(ジェラール・フィリップを好きな古田さんが喜んだ)

 【CD・7】K.330:A・ワルター作のハンマーフリューゲルをデムスが演奏したもの。

 【CD・8】 きらきら星変奏曲/(P)P.アロンスキー

【CD・9】 エジプトのモーツァルト:はじめはギターのような楽器によるエジプト音楽に始まり、そのうちに「後宮からの逃走」序曲に変わってゆくといった珍しいCD。こんなものが出ているのがパリの多様性というべきか?

  お話はフランス人のモーツァルト論からプルースト、印象派の絵画にまで幅広く多岐に亘り、大変内容豊富なお話であった。出席出来なかった方々のためにも、今回の内容を季刊「モーツァルティアン」に発表していただきたいものである。又次回は、ご自身のプロデュースになるEMIの「月刊モーツァルト倶楽部」のCDについて、いろいろな話をお伺いしたい。

  お話を聞き、パリに行ったら是非モーツァルトを聞かねばならない気になった。今後パリに行く時が楽しみである。(Y)


 

●情報コーナー

 コンサート情報

★5/28(水)19:00東京文化会館小H<モーツァルト室内楽傑作選>/M:フルート四重奏曲No.1 K.485、クラリネット五重奏曲K.581、オーボエ四重奏曲K.370、弦楽六重奏曲(K.364の編曲版!!)/チェコ・フィルハーモニー六重奏団+プラハ五重奏団メンバー \5000 ℡ムジーク・レーベン5458-7777
 ★5/30(木)19:00 紀尾井H/サリエリ !!:「ファルスタッフまたは3つのいたずら(字幕付)/鈴木敬介・演出、若杉弘:東京室内歌劇場管 他 \14000~3000 ℡東京室内歌劇場03-5642-2267
 ★5/30(木)19:00 カザルスH<モーツァルト・アーベント>/M:フルート四重奏曲No.1、No.2、歌劇「魔笛」によるフルート四重奏曲!!(ヴェント編)/(Fl)佐藤和美、ウィーン・フィルハーモニア弦楽三重奏団 \6000 ℡カメラータ東京03-5790-5560
 ★5/31(金)19:00王子ホール/M:「劇場支配人」より序曲、「魔笛」より僧侶の行進、夜の女王のアリア、J.シュトラウス:祝典行進曲、春の声他/ウィーンアンサンブ"11"(木管五重奏+金管五重奏+打楽器) \6000 ℡王子ホール03-3567-9990
 ★6/3(月)19:00 浜離宮朝日ホール/M:幻想曲K.397、変奏曲K.265(キラキラ星)、シューベルト:PSNo.13、ベートーヴェン:ピアノソナタNo.23「熱情」、他/(P)パウル・バドゥラ=スコダ ¥6500~4500 ℡浜離宮朝日ホールチケットセンター03-3267-9990
 ★6/10(月)19:00 浜離宮朝日ホール/M:弦楽三重奏のための6つのプレリュードより、No.4,5、FL四重奏曲No.1、ディヴェルティメント変ホ長調/ウィーン弦楽トリオ+藤井香織 \5000
 ★今月のN響6/1(土)14:00ベルツ:ストリンドリ組曲(日本初演)、M:ピアノ協奏曲No.24 K.491、ニルセン:交響曲:第2番「4つの気質」/(P)パウル・バドラ・スコダ! 当日券3階席\1520 


CD情報 ※外盤単価は新宿タワー価格 

★交響曲No.39、40,41/O.スイトナー:ベルリン・シュターツカペレ(来日公演LIVE!)Tokyo-fm TFMC-001 \1990
 ★ドン・ジョヴァンニ/カイルベルト:ミュンヘンフィル、ロンドン、フリック、ユリナッチ、ゲッダ、ローテンベルガー他Golden MERODORAM GM 5-0041(3枚組) \3890
 ★ドン・ジョヴァンニ/G.セル!:メトロポリタン歌劇場o. ピンツァ、コルドン、クルマン他Golden MERODORAM GM 5-0043(3枚組) \3890
 


●お知らせ

今年1月の200回記念は大変好評でした。このような会員の発表の場を是非!という希望が多く、来年の1月19日を「第2回会員参加型例会」にしたいと思います。詳細は次号にて発表しますので、皆様ふるってご参加ください。(Y)

 

 

二次会の懇談風景 

もし写っていない方があればごめんなさい。

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第204回2002年4月フェライン例会

 
事務局レター第79号 2002.04.01.

  

 事務局レター 2002.4.1  【第79号】 
 
 【編集者】山本廣資 hiro-yamamoto@jcom.home.ne.jp/古田佳子 bxp00423@nifty.ne.jp 


 ●4月例会(第204回)のお知らせ

「脱線版・パリのモーツァルト」

お話・・・川端 博氏(光文社学芸編集部デスク)

 日時:4月14日(日)午後2時

 会場:原宿カーサ・モーツァルト(原宿医院)3Fホール(JR「原宿」下車・徒歩5分/地下鉄「明治神宮前」下車・徒歩3分)

 例会費:¥2500(会員・一般共)


•原宿【カーサ・モーツァルト案内図】

 
今月はモーツァルトに関して幅広く活動しておられる光文社学芸編集部デスクの川端博さんのお話です。

 『4月の例会で、あつかましくもお話させていただくことになり、たいへん恐縮・恐怖しております。タイクツな独演会にならなければよいのですが...。タイトルは、「脱線版・パリのモーツァルト」。

 脱線はともかく、「パリのモーツァルト」とは、どこかで聞いたことがおありでしょう。でも、あのオリジナルLP・全7枚ン十万円、のことではありません。ソレもちらっと出てくるかもしれませんが、とにかくいちおうの内容は、「パリで出逢ったモーツァルト」「パリに出逢ったモーツァルト」、そして「なぜフランス人はモーツァルトを書きたがるか」というような、どうにでも受け取れる(自由度の高い)ものにするつもり、です。

 私の数少ないパリでの体験から、どんなモーツァルトを聴いたか(どんなヘンな、そしてすてきなモーツァルトに出逢ったか)を、まずはご参考までにお話しし、それから、果たしてモーツァルトはパリで何を見てしまったのか、などと大げさなことを推理、ついでにスタンダールやオカール、ゲオン、ジューヴ等の熱狂的な愛好家が出現した理由、あるいはその特徴などを、独断と超・偏見に満ちた解釈で、お披露目しようかなどと思っております。具体的な知識は何もないので、「変わった聴き方」をする珍種を見るようなおつもりで、ご参加いただければ幸いです。 

ささやかながら、モーツァルトがらみの「仕事」もしましたので、ご参考までにお伝えします。 

 1991年、モーツァルト・イヤーに合わせて、東芝EMIから、「月刊モーツァルト倶楽部」をプロデュース。これは、CD10枚のシリーズで、砂川しげひさ「音楽の冗談」、辻邦生「孤独と憂愁の対話」、桂三枝「モーツァル亭の一夜」など、それぞれの「監修者」選びと選曲、演奏選びまで行いました。当時の初CD化としては、ローラ・ボベスコ他のK364、スメタナQのモノラル版のK421、「劇場支配人」のピーター・ユスチノフのセリフ入りバージョンなどを入れました。

また、1992年、JICC出版局より、ピーター・デイヴィス著の「人間モーツァルト」を翻訳。これは注づくりが大変で、かつ面白い作業でした。そのほか、ペンネームや本名で、CDの解説、演奏会のプログラム執筆などを行っています。みな、たいしたものではありません。』 

 興味深い切り口からのモーツァルトで楽しみですね。お仕事を通じてのこぼれ話等も聞かせていただけるものと思います。御期待下さい。尚、例会後は近くの「ステージ・Y2」(渋谷区神宮前1-13-12 ℡3418-1031)で先生を囲んで懇親会を行いますので是非ご参加下さい。(Y) 

 

 

●今後の例会のご案内

 5月26日 久元祐子氏(ピアニスト)「モーツァルトにおける即興とカデンツァ」(※会場:吉祥寺/ラ・フォルテ・カフェ)

 6月16日 倉島 収氏(本会副会長)「ビデオコレクションから(1)」

 7月14日 野村満男氏(元東邦音大教授・チェンバロ研究家)「モーツァルト時代の楽器の調律(仮題)」

 8月     ―――――― お休み ―――――――

9月8日   牧野成史氏(横浜モーツァルトアカデミー、所沢バッハアカデミー主宰者)「ザルツブルク、モーツァルトあれこれ」

 

 

●3月例会の報告(第203回/3月10日)

 「後宮からの逃走」の魅力と今日性/お話・・・田辺 秀樹先生(一橋大学教授)

  始めに昨年のザルツブルクのお話。この音楽祭でオペラを見たのは初めてで、コシ、こうもり、マクベス、アリアドネと4日連続であったそうだ。モルティエがやりたい放題をやった「こうもり」初日には怒号が起こり、半数近くの方が帰ったそうである。「アリアドネ」も変わった演出であったが、「コシ」には満足、これからもちょくちょく行きたいとの事である。

 『後宮からの逃走』のお話は、脇役オスミンを中心に、作品の背景にある、モーツァルトの人生との関係を以下のようにお話しいただいた。

モーツァルトがウィーンに出て来てから、「後宮」の初演までには、コロレード大司教との決裂、コンスタンツェとの結婚に対する父親の反対という2つの問題が起きており、「この作品と人生が重なり合っているのは間違いない」。 又、啓蒙君主であるヨーゼフ2世の、理性と寛容を称揚するという、新しい文化政策路線にぴったりの作品となっている。しかし実際にはきれい事を拒否し、建前は受け付けない本音の生き方が魅力的に描かれていることがこの作品の成功の原因である。モーツァルトはこの台本には深くかかわっており、自分の意見を作品に反映させている。これは父親に宛てた手紙に詳しく書かれている。

 一般にアリアの多くは愛をテーマにしているが、怒りのアリアは珍しく、この背景には大司教や自分の恋愛の行く手を阻む父への反感がある。自分の抱えている問題点がオスミンのアリアに反映されており、脇役をこんなに膨らませたのはモーツアルトがこんな事を語らせたかったのではないかと考えられる。この裏づけとして、先生は同じ音や音型の繰り返し・半音階・三打音等をピアノ演奏で示しながらモーツアルトがこれらにこめた意味を解説された。

 人生と芸術が重なっている部分としてのコンスタンツェの扱いについても、現実とオペラを重ね合わせる事により得られたインスピレーションが相当なラブソングを生んでいるとの事。現実を作品に反映させたのでなく、音楽に触発されて現実のコンスタンツェを愛するようになったのが真実でないかという説も披露された。

 97年版の「後宮」の演奏者については、先月のレターにあるが、アラブ系演出家のフランソワ・アブ・サレムは普通は大物の歌手がやる太守役にアクラム・ティラヴィというアラブ人を当て、トルコ訛りのドイツ語をしゃべらせる等の他、随所に面白い仕掛けや工夫があった。これを解説していただきながら見たヴィデオは大変楽しかったし、アリアも大変良かった。又、昨年の同時多発テロ以後関心がもたれている、イスラム世界と西洋という観点からの解説にも大変興味をそそられた。

 「後宮」のエピソードとして、ウィーン留学時代にベームの後宮を見に行ったら、米ソ和解をテーマとして会談中のカーター大統領とブレジネフ首相が来ていたそうである。この2人はまだ喧嘩の真っ最中である第1幕の終わりで帰ってしまったので、最後の和解のテーマのところまで見たら、歴史は変わったのではないかとの感想であった。昨年の「イドメネオ」に始まり、これから毎年オペラを取り上げたいとの事で、来年以降も楽しみである。

 最後に自称一橋大学「酒席」ピアニストで、将来はサロンピアニストを夢見ておられる先生のピアノで、グルダが良く弾く「ウィーンの辻馬車」をはじめとするウィーン物をたくさん聞かせていただいた。今後先生が来ていただくときは、2次会場はピアノのあるところを選ぶことにしたい。(Y)

 

●情報コーナー

 コンサート情報

★4/13(土)14:00サントリーH 土曜サロン「ザルツブルクの小径」第1回愛の人「モーツァルト」/お話:小塩節 M:大ミサ曲より、マーラー:「子供の魔法の角笛」より、他 \4000 ℡サントリーH 03-3584-9999
 ★4/25(木)19:00 文京シヴィックH/M:ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲、ボッケリーニ:チェロ協奏曲、ベートーヴェン:交響曲No.8/(Vn)西野ゆかり、(Va)吉田有紀子(Vc)林峰男、堤俊作:ロイヤルメトロポリタンO. \5000~2000 ℡ロイヤルメトロポリタン03-5443-5031
 ★4/25(木)19:00 東京文化会館小H/M:ディヴェルティメントK.251!、ハイドン:2フルートのための協奏曲他/アンサンブルofトウキョウ \3500 ℡アンサンブルofトウキョウ03-3426-2010
 ★5/4(土・祝)15:00 サントリーH/M:交響曲No.39 K.543、ベートーヴェン:交響曲No.9!/シャルル・デュトワ:NHKs.o.\8000~4000 ℡カジモト・イープラス03-5749-9960
 ★5/12(日)14:30 秦野市文化会館/M:「フィガロの結婚」序曲、ピアノ協奏曲No.17 K.453!、ピアノ協奏曲No.20 K.466/(P・指揮)V.アシュケナージ!:イタリア・パドヴァO. \9000~7000 ℡秦野市文化会館0463-81-1121
 ★5/18(土)19:00 浜離宮朝日ホール/M:交響曲No.35「ハフナー」、ファゴット協奏曲K.191、交響曲No.41「ジュピター」/(Fg)岡崎耕治、(C.M.)朝枝信彦:アマデウス・アンサンブル東京 \6000 ℡サウンド・ギャラリー03-3351-4041
 ★5/18(土)19:00 東京文化会館/ヘンデル:「アルチーナ」組曲、M:ピアノ協奏曲No.21 K.467、J.S.バッハ:ピアノ協奏曲No.1、ハイドン:交響曲No.92「オックスフォード」/(P・指揮)マレイ・ペライア:アカデミーcho. ℡都民劇場03-3572-4311
 ★5/19(日)14:00東京文化会館大H/M:「ドン・ジョヴァンニ」序曲、ピアノ協奏曲No.12 K.414!、ベートーヴェン:ピアノ協奏曲No.1!/(P・指揮)V.アシュケナージ!:イタリア・パドヴァO. \15000~5000 ℡東京文化会館03-5815-5452


CD情報 ※外盤単価は新宿タワー価格 

★ピアノ協奏曲No.9,25//(P)ブレンデル、マッケラス:Sattish cho. Phil.470 287-2 \1750
 ★ピアノ・ソナタ全集//(P)内田光子Phil468 356-2 \4890!
 ★2~3台ピアノ協奏曲/(P)ラドシュ、コチシュ、ラーンキ、シフ、F.シャンドール:F.リストcho.、フェレンチェック:ハンガリア国立O.


 

●あとがき

 クラシック音楽であれば何でもBGMにしている小生であるが、やはり聴きやすい曲とBGMには向かない曲がある。最近ではARTE NOVAから出ている「MannheimerSchule」という5枚組みがお気に入りである。

 半分以上の曲が初めての録音であるが、年代的にはモーツァルトのお友達の曲であるので非常に聞きやすい。曲によってはモーツァルトのオペラのアリアやピアノ協奏曲の一部によく似た旋律がでてきたりして、どちらが先か興味を惹かれるところである(英文の解説を読むのが面倒なので調べてはいない)。

 以前に大田哲弘さんがマンハイム学派についてお話された時のレターのあとがきに、モーツァルトにとってこの町の魅力はアロイジアだけではないと書いた覚えがあるが、これらの作曲家に影響を受けたことは間違いないと思われる。CDのNo.は74231 37327 2(5枚組)である。尚、以前にアルヒーフから出ていた「マンハイム学派の音楽」(3枚組)もよいレコードであったがCD化は不明である。(Y)

 

 

二次会の懇談風景 

もし写っていない方があればごめんなさい。


第203回2002年3月フェライン例会

 
事務局レター第78号 2002.03.01.

  

 事務局レター【第78号】2002.3.1  
 
 【編集者】山本廣資 hiro-yamamoto@jcom.home.ne.jp/古田佳子 bxp00423@nifty.ne.jp 


 ●3月例会(第203回)のお知らせ 

「『後宮からの逃走』の魅力と今日性」

お話・・・田辺 秀樹先生(一橋大学教授)

 日時:3月10日(日)午後2時

 会場:原宿カーサ・モーツァルト(原宿医院)3Fホール

(JR「原宿」下車・徒歩5分/地下鉄「明治神宮前」下車・徒歩3分)例会費:¥2500(会員・一般共)


•原宿【カーサ・モーツァルト案内図】

 

 
 ここ数年3月は一橋大学の田辺秀樹教授の興味深いお話を伺っております。今回のお話については先生から下記のコメントを頂いております。


  昨年はモーツァルトの名作オペラの(1)として『イドメネオ』を取り上げましたが、今年は、引き続き(2)として『後宮からの逃走』についてお話しをし、ヴィデオ・ソフトでみなさんと一緒に鑑賞したいと思います。

 『後宮からの逃走』は、他愛もないストーリーではありますが、モーツァルトの生前からドイツ各地で上演されて人気を博し、死後も今日にいたるまで、少なくともドイツ語圏では非常によく上演される人気オペラです。ウィーン進出後の最初のオペラに注いだモーツァルトの意欲が並大抵なものでなかったことは、作曲時期にザルツブルクの父親と交わした書簡の数々からも窺えます。同じ頃ワイマールでドイツ語ジングシュピールの創作に力を入れていたかの文豪ゲーテをして、「我われの努力は、モーツァルトの『後宮からの逃走』」の出現ですべて水泡と化した」と言わしめた、このオペラの魅力はどこにあるのか、考えてみたいと思います。

また、このオペラは、昨年9月11日のニューヨークでの同時多発テロとそれに続アフガン空爆という事態のなかで、はからずも少なからぬアクチュアリティーを帯びることになったと言えると思います。そうした観点から、アラブ系の演出家による1997年ザルツブルク音楽祭での上演のヴィデオを見ると、予言的とも言えて、ひじょうに興味をそそられます。ちょっと風変わりな『後宮からの逃走』ですが、少なくとも音楽面に関してはすばらしく高水準な上演です。

 指揮:マルク・ミンコフスキー/演出:フランソワ・アブ・サレム/歌手陣:クリスティーネ・シェーファー(コンスタンツェ)、ポール・グローヴス(ベルモンテ)、アクラム・ティラヴィ(太守)、フランツ・ハヴラタ(オスミン)、マリン・ハルテリウス(ブロンデ)、アンドレアス・コンラート(ペドリルロ)/管弦楽:ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団(1997年8月/ザルツブルク音楽祭)

 前回同様面白いお話が伺えるものと思います。御期待下さい。尚、例会後は近くの「ステージ・Y2」(渋谷区神宮前1-13-12 ℡3418-1031)で先生を囲んで懇親会行いますので是非ご参加下さい。(Y)


 

●今後の例会のご案内

 4月14日 川端 博氏 (光文社学芸編集部デスク)

 5月26日 久元 祐子氏(ピアニスト)※ 吉祥寺にて開催予定

 6月16日 倉島 収氏(本会副会長)「ビデオ・コレクションから」

7月14日 (交渉中)

 

●2月例会の報告(第202回/2月17日)

 「カーサ・モーツァルトの歩みとフェライン」中村 眞・澄枝ご夫妻

  先日、このレターの準備をしていて気がついたのですが、フェラインにとって今年は「2」に縁があるようです。まず、「2002年」最初の例会が「200回」記念例会、さらに、今年はフェライン創立「20周年」であるとともに、毎月の例会場のカーサ・モーツァルトのオープン「20年」でもあるのです。そして「2002年2月」の例会は、カーサ・モーツァルトのオーナーである中村眞・澄枝夫妻をお迎えして、20年前のオープニングのエピソードと、ライフワークでもあるモーツァルト・ライゼのお話を伺いました。

  お話に先立ち記念品の贈呈がありました。これはフェラインからご夫妻に対して、日頃の御礼としてお贈りしたモーツァルトのリトグラフです。額装と共に1793年の制作のもので、このリトグラフの入手には石津副会長がご尽力くださいました。ご夫妻のコレクションの仲間入りとなり、例会場のホールに飾られるそうですので、例会にお越しの際には忘れずご覧になってください。

  さて、当日のお話は2部構成で、最初に、オープニング後に取材のあったNHKラジオ「マイク・リポート」の録音テープを聞きました。カーサ・モーツァルトを建てることにしたいきさつをお話ししながら、館内を案内して回るご夫妻の生き生きとした様子が目に見えるような楽しいリポートでした。次に20年前のオープニングの模様と、その後カーサを訪れたボストン・シンフォニー(K185、K213)とシュツットガルト室内オーケストラ(K137)の2つの楽団の演奏の模様をビデオで鑑賞。オープニングのビデオでは20年前の若松茂生会長や高橋英郎先生、また、おなじみの江端津也子さんのピアノ演奏などもあり、若かりし頃の皆さんの姿が映るたびに会場から歓声が起こりました。

  さて、ご夫妻がライフワークとおっしゃるモーツァルト・ライゼ(モーツァルト紀行)は1976年にザルツブルク音楽祭へ行ったのが最初だそうです。その際には今のようなハンディカメラは開発されておらず、8mmカメラを携えていったとのことですが、ビデオの進歩と小型化によって旅の記録は格段に増え、モーツァルトに関する貴重な映像がたくさん残されることとなりました。その中からまずオランダ(デンハーグ、ハーレム)・ドイツ(ルードヴィヒスブルク城、シュベチンゲン城、ウォルムス、キルヒハイムボランデン)・フランス(ストラスブール)紀行が映され、特にドイツのルードヴィヒスブルク城では、後にカーサでの演奏会に繋がるシュツットガルト室内オーケストラのコントラバス奏者、ネアンダ氏との出会いのシーンがあり、モールァルト・ライゼを続けることで知り合った人々によって広がって行く交流の様子を垣間見ることができました。

  休憩を挟んで後半に、ナポリを中心としたイタリア紀行が紹介されました。アヴェルノ湖、ポルティーツィ、ポンペイ、カゼルタ、ナポリのコンセルヴァトワールなど、1770年にこの周辺を訪れたモーツァルトの足跡を、手書きの大きな地図と共に説明してくださいました。

  モーツァルトが宿泊した場所、モーツァルトが弾いたオルガンなど、座したままビデオで見ることができる私たちは幸せで、ご夫妻のライゼの陰には普段のお仕事を犠牲にして長期間の休暇を取って出かける苦労や、モーツァルトの手紙の記述だけを頼りに、200年以上前の、残っているのかいないのか分からない場所や建物を探しに行く苦労など、一言では言えない大変な思いがたくさんありました。そんなことは微塵も感じさせないご夫妻のお話はユーモアたっぷりで、みずからを「凸凹コンビの珍道中」などと言いながら、楽しいエピソードで会場をたびたび笑いの渦に巻き込んでいました。(F)


 

●情報コーナー

○コンサート情報

★3/8(金)19:00 紀尾井H 「モーツァルト・グランド・ガラ・コンサート第1日」/交響曲K.81,75,84、ホルン協奏曲No.1 K.412、No.3 K.447、交響曲No.39 K.543/(Hr)ラデク・バボラク、ゲルト・アルブレヒト:読売日響 \6000 Tel読響03-3820-0013
 ★3/9(土)14:00 サントリーH「モーツァルト・グランド・ガラ・コンサート第2日」/(第1部) 交響曲K.95,97,196、モテットK.165、ピアノ協奏曲No.20 K.466、ディヴェルティメントK.136、(第2部)P、Ob、Cl、Hr、Fgのための五重奏曲、交響曲No.1 K.16、No.7 K.45、No.17 K.129、「ドン・ジョヴァンニ」序曲とアリア、「魔笛」序曲とアリア、フルート協奏曲No.2 K.314、交響曲No.40 K.550/(P)横山幸雄、(Fl)ロマン・ノヴォトニー、ゲルト・アルブレヒト:読売日響他\15000~6000 Tel読響03-3820-0013
 ★3/15(金)19:15 第一生命ホール/交響曲No.1 K.16、ヴァイオリン協奏曲No.5 K.219、「フィガロ」序曲、交響曲No.40 K.550/(Vn)千葉純子!プラハcho. \8000~7000 Tel.トリトン・アーツ・チケットデスク03-3532-5702
 ★3/15(金)19:00 JTアートホール・アフィニス/弦楽五重奏曲K.516、クラリネット五重奏曲K.581、フルート四重奏曲/東京シティフィル・メンバー \2000 ℡アフィニス文化財団03-3431-4211
 ★3/19(火)19:00東京文化会館(小)/ドホナーニ:弦楽三重奏曲「セレナーデ」、ラヴェル:ヴァイオリンとチェロのためのソナタ、ディヴェルティメントK.563!/(Vn)堀込ゆず子、(Va)店村眞積、(Vc)堤剛 \3000 ℡日本演奏家連盟03-3437-6837
 ★3/20(水)19:00 東京文化会館/ピアノ協奏曲No.23 K.488、マーラー:交響曲No.5/(P)仲道裕子、金聖響:都響 \6000~2000 ℡都響ガイド03-3822-0727
 ★3/22(金)東京芸術劇場/ハイドン:交響曲No.88「V字」、ピアノ協奏曲No.20、交響曲No.36「リンツ」/(P)園田高弘、ゲルハルト・ボッセ:新日本フィル \3800~1800 ℡日本演奏家連盟03-3437-6837
 ★3/28(木)19:00サントリーH/ピアノ協奏曲No.27、ブルックナー:交響曲No9(ノヴァーク版)/(P)野島稔、尾高忠明:札幌交響楽団 \6000~3000 ℡カジモト・イープラス03-5749-9960

 

○CD情報 ※外盤単価は新宿タワー価格

★Mozart Deluxe 40CD \6580!!!(定評ある過去の色々な演奏家の寄せ集め。モーツアルト全集以外にも何かと言う方にお勧め。他のシリーズを持っているが音はそんなに悪くない)
★交響曲No.35,40,41/ビーチャム:ロイヤルpho. Son. SMK89809 \1690
 ★交響曲No.31,レクイエム/ビーチャム:ロイヤルpho. Son. SMK89808 \1690
 ★M:交響曲No.36「リンツ」、メンデルスゾーン:交響曲No.4「イタリア」、ブラームス:交響曲No.2、他/F.ブッシュ:ロンドンpho.他 英EMI7243 5 75103 2 5 \1490(2枚組)!(20世紀の偉大な指揮者シリーズの1枚)
★K.525,239,136,137/(V、指揮)ヤン・スタニエンダ:トゥルーズcho. Accord DICA24040 \0000
 ★ピアノ協奏曲全集/(P)イェネ・ヤンドー、アンタル他:コンツェントス・ハンガリクスNAXOS 8.50113・11CDS \3890!
★P協奏曲No.21,24/(P・指揮)P.アンデルツェフスキー:シンフォニア・ヴァルソヴィア Virgin 7243 5 45504 2 3 \1750
 ★「ドン・ジョヴァンニ」/ベーム:1977ザルツブルク・ライブ DG eloquence 469 743-2 \1390(3枚組)!

 


 

●あとがき

朝比奈さんの39番が見つかったから気がついたわけではない が、モーツァルトの交響曲特に三大交響曲の中で39番だけに 際立った特徴がある。それはベートーヴェンやブラームス、ブ ルックナー等を録音している指揮者で、モーツァルトをあまり 録音(または演奏)していない指揮者でも、この曲のLP/CDだ けは残されていることである。念のためモーツァルト・ディス コグラフィーと手持ちLP/CDで確認したら以下のような結果と なった(最近のCDでの見落としはご容赦を)。ワインガルトナ ー:先頃新星堂からの復刻全集ではこの曲は3種類!の録音が あるのに他の曲は入れていない。フルトヴェングラー:2種( 他には40番)、モントゥー:コンサートホール版に1種(他 に35番)、ムラヴィンスキー:モーツァルトはこの曲だけ3 種!何れも個性あふれる指揮者たちである。変わったところで は斎藤秀雄氏にリンツと一緒になったLPがある事と、シューリ ヒトにこの曲の録音がないことである。 

 変ホ長調の曲といえばベートーヴェンの「英雄」や「皇帝」、 シューマンの「ライン」(朝比奈さんのCDはこの曲との組み 合わせ)に代表されるように雄大・壮麗な調性である。最初に して最後となったモーツァルトの録音がこの曲であったところ に、指揮者朝比奈さんの音楽性が良く現れていると思われる。 (数種あるものは全部でないが、ここにあげたものは全部持っ ている。この機会に聴き比べをしているところである)(Y) 

 

 

二次会の懇談風景 

 今回は全員写っているはずですが、もし写っていない方があればごめんなさい。

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第202回2002年2月フェライン例会

 
事務局レター第77号 2002.02.01

  

 事務局レター2002.2.1 【第77号】 

 【編集者】山本廣資 hiro-yamamoto@jcom.home.ne.jp/古田佳子bxp00423@nifty.ne.jp


 ●2月例会(第202回)のお知らせ

「カーサ・モーツァルトの歩みとフェライン」

お話・・・中村 眞・澄枝ご夫妻(本会会員)

 日時:2月17日(日)午後2時

 会場:原宿カーサ・モーツァルト(原宿医院)3Fホール(JR「原宿」下車・徒歩5分/地下鉄「明治神宮前」下車・徒歩3分)

 例会費:¥1500(会員・一般共)

 

•原宿【カーサ・モーツァルト案内図】


 
今月も200回記念例会の続きのような形になります。いつもお世話になって いる、例会場「カーサ・モーツァルト」の中村眞・澄枝ご夫妻に下記のテーマ でお話していただきます。ご夫妻からは以下のようなコメントを頂きました。


 『第1部:カーサ・モーツァルト誕生の目的と、1983年10月22日の開 会式の模様を一部ビデオで見て頂きます。

カーサ・モーツァルトを訪れてくださった方は沢山いらっしゃいます。その中 でここでモーツァルトを演奏してくださったボストン・シンフォニー(199 3年6月13日の映像)とシュツットガルト・カンマ・オーケストラ(199 9年5月5日の映像)をごらん頂きます。又、私たちのライフワークというべ きモーツァルトライゼの中から(オランダ・ドイツ・フランス)ビデオでご紹介 します。

 第2部:1770年5月、モーツァルトは父と共にナポリとその近郊を旅して います。1993年5月、私たちはここを訪れて幼時のモーツァルトが見た地 をまわって来ました。イタリアを旅してもなかなか行くチャンスがないと思い ますので、映像でご紹介したいと思います。』


モーツァルティアン・フェラインの第1回例会の様子が見られるのは大変楽し みですね。若き日の若松会長や石津副会長もみられるのでしょうか。尚、例会 後は近くの「ステージ・Y2」(渋谷区神宮前1-13-12 ℡3418-1031)で懇親 会行いますので是非ご参加下さい。(Y)


 

●今後の例会のご案内


 3月10日 田辺 秀樹氏(一橋大教授)

 4月14日 川端 博氏 (光文社学芸編集部デスク)

 5月26日 久元 祐子氏(ピアニスト) 


 

●1月例会の報告(第201回/1月20日)


 200回記念特別例会「全員参加型例会」

 昨年12月で200回を迎えた例会を記念して、1月は会員の有志の方々に演 奏やお話をしていただく全員参加型の特別例会となった。個人的な都合もあっ て、エントリーされた方で出られない方もおられたが、下記のように予想外に 多数の方に参加していただき、歌あり、ピアノあり、CDあり、お話に隠し芸 までありの大変楽しい3時間であった。少し長くなるが当日の出演者のモー ツァルトへの入れ込みぶりを紹介する。

 


 先ず始めは、①江端津也子さんのピアノ独奏によるファンタジー:ニ短調 K 397。江端さんはカーサ・モーツァルトでの第1回の例会でもピアノ演奏を されているので201回目の幕開けに最もふさわしい方。選曲も演奏も幕開け にふさわしいものであった。

 

 

 

②田中進さんのバリトン独唱(ドンジョヴァンニ・K527「窓辺におい で」)は、50歳からはじめられた(現在60代半ば)との事であるが、なか なか良い声である。伴奏は江端さん。

 


③宮崎宇史氏はモーツァルトへの想いを以下の7曲に託された。a.K167 「三位一体主日ミサ曲」:初日の出の後新年最初に聴く曲。天に上る祈りに聞 こえる。b.ピアノ協奏曲No.19:ピアノ協奏曲の最高峰。c.交響曲第 1番:若さ、瑞々しさ、初々しさ。d.「魔笛」序曲。e.ピアノ協奏曲No 23:若き日の思い出につながる、避けてとおれない哀しみのイ長調。f.K 243 リタニア「聖体の祝日の連祷」。

④山崎博康氏は「例会、出会いの窓口」と言う題で話された。仕事で行ったア フガンでの見聞を話され、「人生は様々な音で成り立つ和声である」と多様な 価値観を認め合うことの大切さを話された。モーツァルトについてはハスキル の演奏によるピアノ協奏曲20番で脳天を割られたとの事である。

 

⑤佐藤梓さんは「人生観を変えた曲」としてK337のクレドをあげた。2年 前の2月ウィーン訪問のときの日曜日、いきなり鳴り出したこの曲。又元旦に 目の前にあったCDをかけたらこれもこの曲。詳しくは季刊「モーツァルティ アン」第33号を。

⑥仕事柄明かりに関係深い梶浦基次郎さんは武蔵野音大の楽器博物館にある昔 のピアノや譜面台にあるローソク立てや明かりの置き台に目をつけられ、音楽 と明かりについて「18世紀の明かり」と言う題で話された。

⑦楠英児氏はモーツァルトのピアノ協奏曲へのアプローチの仕方として、CD を聴きながら以下の7つをあげられた。音楽論・大家のコンチェルトの流れ・ オペラのアリアから・オブリガード・別の楽器でのアレンジ・即興演奏・唄/ 声楽。(小生の意見ではこれにカデンツァをいれてほしい)

 

⑧前半の最後はゲストの久元祐子さん。まずはモーツァルトと鉄腕アトムの両 方を愛好する京都のお坊さんからの依頼による、広瀬量平氏作曲の「鉄腕アト ムによる幻想曲K466」の本邦初演!この曲については久元さんは初めは許 せないと思ったとの事であったが、(聴いている皆さんも途中で吹き出すほど であった)モーツァルトの手紙を読んで、おふざけや、お遊び等の自由な精神 を感じられ、今回の初演となったとの事である。

 


その後、モーツァルトがやったような後ろ向きの演奏や、目隠ししてのトルコ行進曲といった隠し芸まで披露していただき皆を喜ばせた。

 

 

 

 


 後半は⑨真部淳氏は交響曲39番その他をピアノで弾きながら、変ホ長調の曲 について感じていることを話されたほか、K.457の第2楽章を弾いて、素人とは思えない出来であった。

 

 

 

⑩小滝博さんは真部さんのお嬢さんをケルビーノに見立てて、フィガロから 「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」のバス独唱で喝采をはくした。ピアノ伴奏は真 部さんであった。

 

 

 


⑪高橋朝子さんはウィーンのフィガロハウスを訪問した際、帰りがけに聴いた グルダの弾くピアノ協奏曲20番に感動した話をされ、この第1楽章を聴い た。この曲でモーツァルトを発見・再発見される方は多いようである。

 

 

 

⑫小林守さんは「愛好会とフェライン」と言う題で、そもそもの始まりである 昭和40年11月発足したモーツァルト愛好会についての話をされた。ここで 機関紙「すみれ」の編集をしていた若松氏が、モーツァルトをもっと深く研究 したいと、愛好会から分かれて独立したのがモーツァルティアン・フェライン と言うことで、われわれの知らないころの興味あるお話をであった。これはい つか「モーツァルト愛好家グループの変遷」とでも言う題で「季刊モーツァル ティアン」に発表していただきたいと思った。

⑬栗田久暉さんはシュトラウス協会の友人からモーツァルティアンの皆さんに 聞かせてほしいといわれた、KIMIKO YUMIさんと言う方の演奏でピアノソナタのプライヴェート盤のCDを紹介された。この方の名前は皆さん知らなかった が、リリー・クラウスの弟子で、ピアノはクラウスゆかりのシュタインウエイ との事であった。栗田さんは経歴も良く分からない方を聴いていただいてと恐 縮していたが、会場のピアニスト3人を含め、概ね好評の演奏であった。

 

⑭先頃入会されたばかりの小池一広さんは遠い沼津から、CD持参でやって来 られ、「音楽ファンの戯言」として、中学2年生の時に聞いたライナー指揮の ベートーヴェンの「運命」初めとしてモーツァルトを含むいろいろな音楽遍歴 を語っていただいた。LPから編集したCDROMのうち、上記のほかシベリ ウスの交響曲1番の第4楽章、ベートーヴェンのピアノソナタ第1番を聴い た。(シベリウスがこの会で鳴ったのは初めてでないだろうか)

⑮小生(山本)は、K488のピアノ協奏曲でモーツァルト作があるにもかか わらず、あえて自作または他の作曲家の作のカデンツァを弾いて「モーツァル トに挑んだ演奏家達」の演奏(ホロヴィッツ:ブゾーニ作、ハイデシェック: 自作、ステファンスカ:自作)を聴いてもらうつもりであったが、昨年暮れに 亡くなられた朝比奈さんをしのんで、交響曲39番の第1楽章を聴いて頂い た。朝比奈さんのモーツァルトのCDはこれしかなく、先日N響の帰りに買っ たものである。


⑯第1回のイタリアオペラ来日を初めとして、外国の来日公演は必ず行ったと おっしゃる、オペラファンの塙雅夫さんは「モーツァルトのオペラ」に着いて 珍しい体験を述べられた。年20~30回入っていたオペラの演奏会に最近は 7回程度しか行っていない。これは最近モーツァルトのオペラを聴いていない せいで、原因としてはベームが亡くなる前のフィガロを聴いたら「もう、これ 以上のものは聴けないな」との感想を得、ベームが亡くなると共に熱がさめた と言うことであった。最近はワグナーも聞くようになったが、晩年になったら 友達は一人でよいと言われているので、そろそろモーツァルト一人にしぼろう か考えておられるそうである。


⑰最後は大田・河原夫妻によるK299(FlとHpの協奏曲)のFlソナタ版の演 奏で幕を閉じた。お二人の音楽漫才(?)は時間の都合で演奏の始まり部分少し だけであったのは残念であった。とにかく大変楽しい会で、200回の記念と しては意義あることであった。こられなかった何人かの方のお話や演奏を含 め、こういった機会をもう少し持ちたいなというのが正直な感想である。

 


この後の2次会では朝比奈さんの交響曲39番全曲とシューマンの「ライ ン」、KIMIKO YUMIさんのピアノソナタを聞いた。(Y)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●情報コーナー

 コンサート情報

★2/16(土)15:00旧奏楽堂/モーツァルト、ブラームス:Cl五重奏曲/(Cl)磯 部周平、他N響メンバー、\3000、Tel旧奏楽堂3824-1988
 ★2/22(金) 19:00、2/23(土)18:00 紀尾井ホール/「劇場支配人」序曲、P協奏曲 No.25 K.503、セレナード「ハフナー」/(P)田部京子、尾高忠明:紀尾井シン フォニエッタ東京、\5500~3500、℡紀尾井H3237-0061
 ★2/23(土)16:00・24(日)14:00・25(月)18:30・28(水)18:30 東京文化会館/二 期会創立50周年記念「フィガロの結婚」(字幕付・原語)/(演出)宮本亜門、パス カル・ヴェロ:東京フィル他、\15000~2000、Tel.二期会オペラ振興会 03-3796-1831
 ★2/24(日)15:00 第一生命ホール/ハイドン:交響曲No.38「めんどり」ト短 調、L.コジェルフ:交響曲ト短調、モーツァルト:交響曲No.40ト短調(第一 稿)?/(指揮)諸岡範澄、(お話)安田和信:オーケストラシンポシオン(!) \5000~2000、Tel.トリトン・アーツ・チケットデスク03-3532-5702
 ★3/2(土)19:00 新宿文化センター/二期会オペラ公演 「フィガロの結婚」 (字幕付・原語)/(演出・指揮等)上記に同じ、\7000~3000、Tel新宿文化セ ンター03-3350-1141
 ★読売日響創立40周年記念としてモーツァルト・グランド・ガラ・コンサート が3/8(金)~3/10(日)3/9,10はサントリーホールで歌・管弦楽曲・協奏曲・交響曲 による14:00~21:00のマラソンコンサート、¥15000~6000 ℡読売日響 03-3820-0013 サントリーH 03-3584-9999(Y)


 

●あとがき

200回記念特別例会で聴いていただいた、朝比奈隆氏のCDを紹介する。1 995年10月20日オーチャードホールでのライブで、オケは新日フィル、 同じ変ホ長調のシューマンの交響曲第3番「ライン」が入っている。(fontec  FOCD3411、\3059)演奏はフルオーケストラを堂々と鳴らした立派なもの。 古楽器風の小編成の物よりこういう風な演奏の方が好みに合う。もう少し長生 きされたら今年3大交響曲が演奏予定に入っていたので残念である。晩年はブ ルックナー主体の演奏会が多く、モーツァルトの演奏のCDがあるのか不明で あったが、これだけでもあった事を良しとしたい。ご冥福を祈ります。(Y)

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第201回2002年1月フェライン例会

 
事務局レター第76号 2002.01.01

  

 事務局レター/2002.1.1【第76号】 

 【編集者】山本廣資 hiro-yamamoto@jcom.home.ne.jp/古田佳子  bxp00423@nifty.ne.jp 


 ●1月例会(第201回)のお知らせ 

200回記念特別例会「全員参加型例会」

お話と演奏・・・会員有志

 日時:1月20日(日)午後2時

 会場:原宿カーサ・モーツアルト(原宿医院)3Fホール(JR「原宿」下 車・徒歩5分/地下鉄「明治神宮前」下車・徒歩3分)

 例会費:¥1500(会員・一般共)


•原宿「カーサ・モーツアルト」案内地図 

 

 
1982年12月に発足した、モーツァルティアン・フェラインの例会も、昨 年12月で200回を数える事となりました。これを記念して、今月は会員の 有志の方々に演奏やお話をしていただく全員参加型の特別例会とすることに致 しました。参加者が集まるか懸念されましたが、下記のように予想外に多数の 方に参加していただけることになりました。当日は下記の皆様による演奏とお 話があります。(順不同)


《演奏》小滝 博:バス独唱(フィガロ・K492「もう飛ぶまいぞ」)/真部  淳:ピアノ独奏(K573(デユポール変奏曲またはK511)/江端津也子:ピアノ 独奏(ファンタジーニ単調 K397)/田中進:バリトン独唱(ドンジョヴァン ニ・K527「窓辺においで」)/大野康雄:ピアノ演奏(ロンドン雑記帳K15  a-ss 1・2・3・4・5・6のどれか)


《お話》高橋朝子:ウイーンに旅して(グルダのCDを聞いてください)/塙  雅夫:モーツァルトのオペラ(オペラファンとして~)/梶浦悌次郎:18世 紀のあかり(あかりの研究を始めて~)/木塚洋二:J.C.バッハとモーツァル ト K.478、K.485の接点について/小池一広:音楽ファンの戯言(遠い沼津か ら、CD持参でやって来ました)/小林守:愛好会とフェライン(そもそもの始 まりは~)/佐藤梓:人生観を変えた曲(私の人生観をかえたモーツァルト) /栗田久暉:ピアノソナタのCD(リリークラウスゆかりのシュタインウエイ で聴きます)/山本廣資:K.488のカデンツァ(モーツァルトに挑んだ演奏家 達)/宮崎宇史:モーツァルトへの想い(新参者が汗顔のいたりですが~)/ 山崎博康:例会、出会いの窓口(フェラインは、毎回刺激になります)/楠 英 児:お話+CD (ピアノ協奏曲について)/大田・河原:音楽漫才(好評につき 今年もジャジャン!〔P+FL〕)。

この他、ゲストの久元祐子さんやその他の会員の飛び入り発表もご期待下さ い。楽しい例会になることでしょう。尚、例会後は新年会もかねて、200回 記念の懇親会を近くの「ステージ・Y2」(渋谷区神宮前1-13-12 ℡ 3418-1031)で行いますので是非ご参加下さい。(Y)


 

●今後の例会のご案内

 2月17日 中村眞・澄枝ご夫妻(本会会員)「カーサ・モーツァルトの歩み とフェライン(仮称)」

 3月10日 田辺秀樹先生(一橋大教授)

 4月14日 川端 博氏(光文社学芸編集部デスク)

 5月26日 久元裕子先生(ピアニスト)

 

 

●12月例会の報告(第200回/12月9日)


 「モーツァルトのイタリア・オペラにおける歌詞組(word-distribution、 distributionof sy11ab1e)の問題点」

お話・・・三澤 寿喜先生(北海道教育大教授)


お話はヘンデルのメサイアに於ける事例の紹介から始まった。先生の専門であ るヘンデルの声楽曲には、不自然な歌詞組が見られ、これは英語を母国語とし ないヘンデルの誤りとされて、アクセントに合わない部分を英国人は変えて 歌っているという事は初めて聞いて驚かされた。しかし先生の研究では、ヘン デルはそれを知っていて音楽として魅力的な「アクセント処理」や「文節処 理」を行っており、当時のバロック・オペラにも共通して見られる現象である とのことであった。

これら「アクセント処理の誤り」や「文節と音群の不一致」の事例について は、メサイアを初めとする声楽曲やA.スカルラッティの作品を具体的な楽譜 での説明を聞いた。又東京芸術大学大学院生の中盾有起さんに先生のピアノで 楽譜の事例を歌い分けて頂いた。結果として音楽の表情・魅力がどのように変 化するかが良く分かり、音楽に合わせて歌詞のアクセントを変えている例にも 納得させられた。勿論当然の事であるが作曲者の意図を変えてはいけないこと がよく分かった。

 

これらの事例から、先生はモーツァルトにも同様の傾向が見出だされるのでは ないかと、《フィガロの結婚》を調べ(先月の事務局レターに概要を書かれて いた頃は見込みであったそうな)、「不自然な歌詞組」事例を多く見つけられ た。これらは譜例で18も挙げられ、夫々について実際のアクセントと歌われ 方の違いについての解説を聞いた。モーツァルトがイタリア語を得意としてい た事は良く知られている。したがってこれらは勿論音楽の流れやリズムの方 が歌詞より大切であるという考えの表れで、同じよ うな主旨の事は書簡でも述べられている。


イタリア語のアクセントが分からない大部分の日本人にとっては、モーツァル トのオペラの所々にある「歌詞組み」上の違和感について味わわずにすむとい うことはある意味では幸せな事であると感じた。一方日本語訳の歌詞を付けた 場合の問題点も明らかになったわけで、訳詞者のご苦労は別として日本語のア クセントとメロディーとの違和感はどうしても避けられない事といえる。日本 語訳のオペラを聞いたときの方が違和感が多いのもなるほどと納得させられた 事であった。

 

 毎年のことであるが三澤先生のお話には目(耳?)を開かされることが多 い。譜例として挙げられた資料もまとめるだけで大変である。大変ありがとう ございました。


 中盾さんには楽譜の歌い分けの他、フィガロの伯爵夫人のアリア(「愛の神 様」)を聴かせていただいた。若々しく張りのある美しい声であった。今年か らドイツに留学されるとの事で、今後の活躍を期待致します。(Y)

 

 

 

●「モーツアルトを聴くヒント」・・・ お話し;若松茂生会長

 

ニューヨーク在住の若松会長は、二年前からホームページを開かれ、E-メール での交流もあって、皆様とはいつも会っているような気持ちであるといってお られる。今回の200回記念のためにわざわざ帰国(訪日?)され、上記のお 話を伺った。モーツァルトを聴くようになってから30年以上も経つと、何を 聴こうかな、誰の演奏にしようかなと決めるのが大変だそうである。(LPの 数も沢山お持ちです)そこで思いついたのが今日この日にモーツァルトは何を やったかで(ネタ本はあるとの事)、これによりその日のモーツァルトと一緒 の気持ちになれるとのことで、詳しくは会長のホームページにある。

モーツァルトを聴くためのヒントを分け合うのが会の存続意義であり、評論家 はその時その時の判断で良し悪しを云々しているが、我々会員は何十年も聴い ていて良いよといっているのだから、そこには何か良いと言わせる物がある筈 であるとの主旨であった。

これからは何を聴こうか迷ったら、会長のホームページを参考にすることとし たい。(Y)

 

 

●情報コーナー

 コンサート情報
★1/27(日)14:00 東京オペラシティCH /「モーツァルトへの恋文」交響曲No.31 「パリ」K297、ピアノ協奏曲No.9 K271「ジュノーム」、交響曲No.41「ジュピ ター」/(P)花房晴美、パスカル・ヴェロ:東京フィルハーモニーso \5500~2000 ℡東京フィル03-5353-9522
 ★読売日響創立40周年記念としてモーツァルト・グランド・ガラ・コンサート が3/8(金)~3/10(日)まで行われる。特に3/8,9はサントリーホールで歌・管弦 楽曲・協奏曲・交響曲による14:00~21:00のマラソンコンサート、¥15000~ 6000 ℡読売日響03-3820-0013 サントリーH 03-3584-9999 ここまでのモーツ アルト漬けにはめったになれない。モーツァルティアン必聴!?(Y)

 

 

●若松会長からの新年の挨拶

 

頌 春/2002


 21世紀は景気後退と9月の同時テロ、炭そ菌事件とテロに対する戦争で幕を 開け、2001年は騒然たる年になりました。ニューヨーク近郊の静かな町、 グレン・ロックも軒並み星条旗が掲げられ、戦時という雰囲気になっておりま すが、季節は確実に移り変わり、美しい紅葉の秋を見せてくれました。

バックヤードの隅ではじめた畑仕事は2年目を迎え、大豊作でした。大小様々 な種類のトマトは、7月から10月までたわわに実をつけ、毎日がトマト三 昧。朝、昼、晩とトマト、トマトで、You are what you eat. ですから、二人 ともすっかりトマト味になりました。丸々とした枝豆は緑そのものを賞味して いるようで、大収穫のナスの生姜焼きに舌鼓を打ち、キューリもトゲトゲ、自 然の味がしました。

 2000年10月末にリタイヤしてから1年が過ぎましたが、幸い2001年 7月から非常勤顧問の職につき、それまでの翻訳の仕事と相まって、8月以降 は週末の休みもないという予想外に多忙な生活になりました。晴耕雨読、悠悠 自適とは程遠いものの、週の半分は庭の緑を見ながら仕事ができ、仕事の合間 を縫って畑仕事、芝刈りなどの庭仕事に精を出し、食事時はモーツァルトや バッハを聴くという、充実した生活パターンが出来上がりました。

 週1回はヒマラヤならぬウラヤマで、朝飯前の山歩き2時間、1年間で通算2 8回の山歩きとなりました。冬と夏にはスイス・アルプスでの山歩きをし、 マッターホルン近くで、標高差1600メートルを4時間で登るという新記録 (?)を達成。まだ元気です。

 玄米中心の食生活も2年目を迎え、ほとんどベジタリアンのオバタリアン、オ ジタリアンとなりました。我々の目標は「ピンコロリ」。ピンピンしてコロリ と死ぬことであります。

 2001年10月19日、長女朋代に女の子が生まれ、我々にとっては初孫と なりました。名前は幸田文にあやかって、文(あや)、ミドルネームはセレス ト(天空)、21世紀人、文・セレスト・ブルーキーの誕生です。

 2002年は平和で穏やかな年となるよう祈願しつつ、皆様のご多幸を心より お祈り申し上げます。

 若松茂生(2002.01.01)

 

 
●あとがき

 クラシックCDのベストセラーがどのぐらい売れるのか知らないが、新譜が店 頭からなくなってしまうとすれば、よく売れているということになろう。

 最近では珍しい、なかなか手に入らなかったCDをご紹介する。残念ながら モーツァルトではない。NAXOSからでている「日本作曲家選輯」 (8.55507IJ)である。レコード芸術の広告で見てレコード屋に行ったら既に 売り切れ。2、3軒回ってもどこも品切れ。長年LP/CDを買っているがこんな 現象は始めてである。結局入手するまで1ヶ月以上かかった。近衛秀麿から吉 松隆まで8人の現代日本作曲家の選集である。一部LPで持っているのもある が、こういうふうにまとめて1000円ならば買わないわけにはいかない。オ ケ物ばかりだが、日本人の耳にはなじみやすく楽しめる。モーツァルティアン の方もたまにはこんなのもいかがでしょうか?

 尚、これを皮切りに日本人作曲家のシリーズが続けて出るそうである。日本の レコード会社の企画でないのが残念であるが、忘れられた日本人作曲家に目を 向かせる企画を喜びたい。今年もどうぞ宜しくお願いします。(Y)

 

 

 二次会のご機嫌な写真です。写っていない人はごめんなさいね。

写真-1、若松さんを囲んで、 

 

写真-2、白水社の元会長さんもお顔を見せました。 

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