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第238回 モーツァルティアン・フェライン例会 2005年5月22日

  
 事務局レター【第113号】/2005年5月

 【編集者】栗田久暉/塙雅夫/山本廣資/古田 佳子 bxp00423*yahoo.co.jp(スパムメールが増えてきましたのでリンクを外しました。お手数ですが*を@に替えて送信願います) 

●5月例会(第238回)のお知らせ 

「モーツァルトにおけるフルートとオーボエの用法」

お話…江端 伸昭氏(作曲家)/山田 恵美子氏(神奈川フィル・フルート)/小川 綾子氏(東フィル・オーボエ)

 日時:2005年5月22日(日)午後2時

 会場:原宿カーサ・モーツァルト(原宿医院)3Fホール(JR「原宿」下車・徒歩5分/地下鉄「明治神宮前」下車・徒歩3分)

 例会費:¥2500(会員・一般共)

例会会場;原宿【カーサ・モーツァルト案内図】


 

今月は久しぶりに作曲家の江端先生をお招きいたしました。木管楽器についてお話しいただけるそうですが、江端先生からは以下のようなメッセージを頂戴しています。


  ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


フルートやオーボエの話というのは、モーツァルトに関してはある意味で穴場かもしれません。木管楽器というとつい、「最愛の楽器」クラリネットに目が行ってしまうからでしょう。しかし、クラリネットだけでは足りないのです。モーツァルトは、オペラや管楽アンサンブルの場合とは違って、交響曲などのオーケストラ作品では、普通はクラリネットを使いません。特に、ピアノ協奏曲というきわめて重要なジャンル、木管楽器とピアノの対話をとおしてモーツァルトが自分自身をもっとも深いところから表現したこの領域でも、同様です。

 今回は、フルートの山田恵美子さん(神奈川フィル)、オーボエの小川綾子さん(東フィル)のお二人の協力を得て、フルートとオーボエについて、モーツァルトがこれらの楽器をいかに愛し、知り尽くし、絶妙にうまく使っているかについて、実際に目の前で音を出しながら語って行きたいと思います。お二人と私でピアノ協奏曲17番ト長調K453の一部を演奏し、また「フィガロ」や「魔笛」などからもさまざまな実例を説明します。お楽しみ演奏も予定しています。コンサートとはぜんぜん違う種類の生演奏を味わっていただけることと思います。 


  ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


ピアノを弾きながら、熱心に語ってくださる江端先生のお話は毎回好評なのですが、今回はフルートとオーボエの生演奏も聞けるということで、大変楽しみです。大勢の皆様のお出かけをお待ちしております。例会後は懇親会へもどうぞご参加ください。(F)

 懇親会場:ステージY2(渋谷区神宮前1-13-12 TEL:3478-1031)

 

●今後の例会のご案内

 6月12日 倉島 収氏(本会副会長)

 7月10日 安田 和信氏(杏林大学講師)

 8月      ――― 夏休み ―――

 ※以後、9月11日・10月16日・11月13日・12月11日の予定です。

 

●4月例会の報告(第237回/2005年4月10日)

ウィーンで出会った作曲家たち     ピアノとお話…久元 祐子氏(ピアニスト)
 

 


 今回は、恒例の年一回の久元祐子先生のピアノ・コンサートでした。暖かくかすかに香る桜満開の、吉祥寺・井の頭公園近く、ラ・フォルテで行なわれたのは今年で四回目。モーツァルトのピアノ・ソナタを中心に、彼と交際の深かったウィーンで出会った大勢の作曲家の内、クレメンティ、パイジェルロ、コージェルーホ、ヨーゼフ・ハイドン、四人の作品が取り上げられました。

①モーツァルト :ピアノ・ソナタ ハ長調 K545。
②モーツァルト :ボーマルシェの「セヴィリアの理髪師」のロマンス/私はランドールによる12の変奏曲 変ホ長調 K354。
③クレメンティ:ピアノ・ソナタ 変ロ長調 作品47の2の第一楽章。
④パイジェルロ :ピアノ・ソナタ 
⑤モーツァルト :ピアノ・ソナタ ハ長調 K330の第一楽章と第二楽章。
⑥モーツァルト :幻想曲 ニ短調 K397
          ‐‐ 休憩をはさんで ‐‐
⑦モーツァルト :ロンド イ短調 K511
⑧コージェルーホ:ピアノ・ソナタ 変ホ長調 作品26の3  第一楽章。
⑨ハイドン :ピアノ・ソナタ 変ホ長調 Hob.XVI‐49 第一楽章。
⑩モーツァルト :クラヴィア・ソナタ ニ長調 K284 デュルニッツ」 第三楽章。
⑪モーツァルト :ピアノ・ソナタ イ長調 K331 「トルコ行進曲つき」。
⑫アンコール曲として ショパン:ノクターン Op9‐2 。

 


これだけの盛り沢山の名曲に満ち溢れた作品を、毎回のように各曲目ごとに久元先生のくわしいレクチャー付き、ただ聴いて楽しんだ、というよりも出席した会員及びその他の方々にとっては実に素晴らしい勉強会であったともいえるのではないでしょうか。久元先生の非常にかろやかなピアノ・タッチは、ポピュラーな初心者用の最初のK545から、おや!と首を傾げるほどごく自然にスルスルとスマートな演奏を始められ、筆者にとっても、あゝ、これが本当のモーツァルトなのだ……、としばし感慨無量の境地でした。

 3曲目のクレメンティと9曲目のハイドンの曲は、今までにどこかで聴いた記憶がありますが、4曲目のパイジェルロと8曲目のコージェルーホの作品は筆者は始めてでした。しかし何れも非常に親しみやすい名曲と感じました。最後のアンコールはショパンの有名なノクターンOp9‐2、一同割れるような拍手で終了。その後、久元先生を囲んで一同揃って同ラ・フォルテの一階で和やかに懇親会が行なわれました。何はともあれ、心にひびく効果は格別のものがある印象深いレクチャー・コンサート、1999年9月8日付の朝日新聞・天声人語にも取り上げられたほどの名ピアニスト、久元先生には、今後も毎年4月にはぜひ引き続きお願いしたい次第です。

なお最後に一言、久元先生が去る1月30日(日)に銀座のヤマハのサロンにてフラツ・リストの曲を演奏された際、アンコールでモーツァルトのピアノ・ソナタ ハ長調 K545の第一楽章を又もや緑のたすきで目隠し演奏をされ聴衆一同びっくり。フェラインの例会でも以前このような演奏ご披露をして頂いた事がありましたが、モーツァルトの生れ変りかと思われるほどの先生を我々は誇りに思っております。(H.K)

 

 

 

 

 

●情報コーナー

 コンサート情報

★5/24(火)18:45/東京文化(小)/日本モーツァルト協会/M:K113、K156、K292、K205/ラ・バンド・サンバ/\4500 学¥2000 日本モーツァルト協会03-5467-0626
 ★5/24(火)18:45/かなっくH(JR東神奈川駅前)/M:「雀のミサ」「戴冠ミサ」/牧野成史指揮、横浜モーツァルトアカデミー(合唱)、バッハ・アカデミー(管弦楽)、山田英津子S、小関奈々Ms、 岡田泰寛T、井口和彦Br、栗島和子オルガン/\2800アカデミー事務局 04-2922-8429
 ★5/29(月)14:00/フィリアH/ドレスデン歌劇場室内管弦楽団/ハイドン:交49番、M:「アイネ・クライネ・ナハトムシ゛ーク」、ヴァイオリンとヴィオラの協奏交響曲/H・ブラニー指揮/\6000~¥5000、フィリアH 045-982-9999
 ★5/29(日)14:00/第一生命H/モーツァルト・アンサンブル・オーケストラ定期/M:交38番、40番、P協奏曲27番(R・ゲーラ)/¥2000 新演奏家協会 03-3561-5012
 ★6/1(水)19:00/東京オペラシティH/ドレスデン歌劇場室内管弦楽団/M:交29番、オーボエ協奏曲(宮本文昭)、ヴァイオリンとヴィオラの協奏交響曲/\7000~¥4000学¥3000ジャパンアーツ 03-5287-7711
 ★6/3(金)19:00/紀尾井H/M:Pソナタ K284、K309、K310、K311/寺田悦子/\5500~¥3500ジャパンアーツ 03-5287-7711
 ★6/5(土)14:00/調布市グリーンH/M:「フィガロの結婚」より、モテット「踊れ喜べ」、P協奏曲20番、「ジュピター」他/本名徹次指揮、東響、森麻季S、伊東恵P/\6000~¥2500調布市グリーンH 0424-81-7222
 ★6/11(土)18:30/サンパール荒川/M:P協奏曲23番、レクイエム/森山泉指揮、東京国際芸術協会管弦楽団、垣岡敦子S、矢崎恭子A、田大成T、岩本貴文Br/¥3500東京国際芸術化協会 03-3822-7414 (H) 

CD情報(※外盤価格は新宿タワー価格)

★M:Famous Serenades!(No.13・K.525、No.7・K.250 ハフナー、No.9・K.375 ポストホルン、No.10・K.361 グランパルティータ、No.12・K.388 ナハトムジーク、No.5・K.215、No.6・K.239 セレナータノットゥルノ)/アーノンクール!:コンセントゥス・ムジクス・ウィーン、シュターツカペレ・ドレスデン他 Teldec 4509-95986-2 \3490(5CD)!
★M:ピアノ協奏曲全集(+2台、3台のピアノ協奏曲)/(P)バレンボイム!:イングリッシュCho.、ショルティ、シフ、WP 2564 61919 2 \3990(9CD)!
★M:ピアノ協奏曲第9番K.271、第19番K.459/(P)ハスキル、シューリヒト:シュトゥットガルト放送s.o.(1952,56 Live)Hanssler CD 93 153 \1990
 ★M:ヴァイオリン協奏曲第3番K.216,第5番K.219/(Vn)ムター、カラヤン:ベルリンPho. DG DGO 076 \1390
 ★M:協奏交響曲K.297b、K.364/(Vn)ブランディス、(Va)カッポーネ、(Ob)シュタインス、(Cl)ライスター、(Hr)ザイフェルト、(Fg)ピースク、ベーム:ベルリンPho. DG DGO 090 \1390
 ★M:フルートとハープのための協奏曲、ライネッケ:ハープ協奏曲、ロドリーゴ:セレナード協奏曲/(Hp)サバレタ、(Fl)ツェラー、メルツェンドルファー:ベルリンPho.他 DG DGO 097 \1390
 ★Mozart Lives! ピアノソナタK.331(2Version!)、K.332、K.333、K.457/(P)F.グルダ!! Amadeo CD 986 535-0 \2510(2CD)
 ※1999年8月ヴァイセンバッハでの録音。グルダのモーツァルトといえば装飾音のたっぷり入ったK545の演奏が有名でありその他の演奏も期待されていたがなぜか録音がなかった。今回のCDは初出(多分)の4曲であるが、今年一番の話題盤と言って良いのではないだろうか。特にK331はピアノとクラヴィノーヴァの2つものヴァージョンがありいづれも賛否両論を招きそうな面白い演奏であり、その他もグルダならではの装飾音を楽しめる。(Y) 


 

●あとがき

 友人から「よくテレビで流れるのだけれど、モーツァルトの“ウィーンソナチネ”という曲について教えて欲しい」という質問を受けた。

 「モーツァルトの○○」については、しばしば訊ねられることがある。手っ取り早く調べるのはK番号がいちばん簡単だが、そこまで分かって聞いてくる人はまずいない。以前はかなり苦労したものだが、今はインターネットという便利なものがあるので、即座に調べがついた。

 問題の曲は、3本のバセットホルンのために書かれたもので[K.Anh.229(439b)]、ハンス・カンがピアノ練習用に編曲した、ピアノを学んでいる人には、かなりポピュラーな曲らしい。もともと録音の少ないオリジナルより、さらにCDの数が少ないピアノ編曲版を使用するというのは、この番組の音楽担当者がピアノを弾くか、ピアノを学んでいた家族がいたせいではないかと、会ったこともないTV製作者の背景が垣間見えた気がした。(F)

  

 
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第236回 モーツァルティアン・フェライン例会 2005年4月10日

  
 事務局レター【第112号】/2005年4月

 【編集者】/塙雅夫/山本廣資/古田 佳子 bxp00423*yahoo.co.jp(スパムメールが増えてきましたのでリンクを外しました。お手数ですが*を@に替えて送信願います) 

●4月例会(第237回)のお知らせ 

「ウィーンで出会った作曲家たち」   お話…久元 祐子氏(ピアニスト)

 日時:2005年4月10日(日)午後2時

 会場:コンサートスタジオ「ラ・フォルテ・カフェ」(JR吉祥寺公園口下車・徒歩10分) 

 例会費:¥3000(会員・一般共)

例会会場;吉祥寺【「ラ・フォルテ・カフェ」案内図】(もし文字化けしましたら、表示→エンコード→日本語(自動選択)をクリックしてください。)


 

毎年この時期は、新緑の香り爽やかな井の頭公園に会場を移しての、久元先生のお話です。久元先生からは以下のようなメッセージを頂きました。


  ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


私はこれまでの例会で、ヨハン・クリスティアン・バッハ、カール・フィリップ・ エマヌエル・バッハ、ハイドンといったモーツァルトと同時代の作曲家たちを取り上げてきました。

 今回の例会では、モーツァルトが本格的な音楽活動を行ったウィーン時代に焦点を当て、モーツァルトと同じ時代に活躍した作曲家たちを取り上げたいと思います。

 皇帝ヨーゼフ2世の前でモーツァルトと競演したクレメンティ、このとき即興演奏のテーマとして渡された旋律の作曲者でオペラ作曲家のパイジェルロ、ボヘミア出身で出版活動も行っていたコージョルーホ、そしてヨーゼフ・ハイドンです。この4人の、いずれもピアノ・ソナタをお聞きいただき、モーツァルトの作品と聴き比べていただければと思います。

そして併せてウィーンに移り住んでからのモーツァルトの作風の変容やその特徴についても考えてみたいと思います


 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


例会後の懇親会は同じくラ・フォルテで行います。ぜひご参加ください。(F)


●プログラム

 モーツァルト:ピアノ・ソナタ ハ長調 K545 
モーツァルト:「私はランドール」による12の変奏曲  変ホ長調 K354(299a)から
 クレメンティ:ピアノ・ソナタ 変ロ長調 作品47の2 
パイジェルロ:ピアノ・ソナタ  
モーツァルト:ピアノ・ソナタ ハ長調 K330 第1楽章
モーツァルト:ピアノ・ソナタ ハ長調 K330 第2楽章
モーツァルト :幻想曲 ニ短調 KV397(385g)

モーツァルト:ロンド イ短調 KV511 
コージェルーホ:ピアノ・ソナタ 変ホ長調 作品26の3 第1楽章
ハイドン :ピアノ・ソナタ 変ホ長調 Hob.ⅩⅥ-49 から 第1楽章
モーツァルト:ピアノ・ソナタ ニ長調 K284 「デュルニッツ」から 第3楽章
モーツァルト:ピアノ・ソナタ イ長調 K331「トルコ行進曲つき」から (全曲)


 

●今後の例会のご案内

 5月22日 江端 伸昭氏(作曲家)

 6月12日 倉島 収氏(本会副会長)

 7月10日 安田 和信氏(杏林大学講師)

 8月      ――― 夏休み ―――

 

 ●3月例会の報告(第236回/2005年3月13日)

ドン・ジョヴァンニの魅力   お話…田辺 秀樹氏(一橋大学教授)
 

 名作オペラシリーズの5回目として、今年は「ドン・ジョヴァンニ」の魅力についてお話し頂きましたが、その内容を要約してお伝え致します。

このオペラは、スペインの蕩児の行状と末路を描くドラマ・ジョコーゾである。ドラマは主人公による騎士長の殺害をもって始まり、主人公の地獄落ちをもってクライマックスに達する、死で始まり死で終わる劇である。

 主人公ドン・ジョヴァンニのキャラクターは、哲学的思考を誘い、キルケゴールをも興奮させた。19世紀ロマン派の人々を魅了してやまなかった。

また文学でも、ドイツの作家、作曲家ホフマンは、このオペラを「あらゆるオペラの中のオペラ」と呼び、彼自身大変なモーツァルティアンであったという。「旅路のモーツァルト」を書いたメーリケを始め、スタンダール、バイロン、プーシキンなどにも影響を与えた。

モーツァルトのこのオペラには、超自然的、デモーニッシュなところがあるが、その八ヶ月前に、ヴェネツィアで作曲されたガッツァニーガの「ドン・ジョヴァンニ」と比べると、いかにモーツァルトの作品が常軌を逸し、超越した内容になっているか、理解できよう。

 作曲の背景には、モーツァルトの父レーオポルトの死が深く陰を落としていること、また親友バリザーニや医師ハッフェルト達が、若くして死んだことなどが、モーツァルトを刺激したのだろう。

またこのオペラでは、主人公「ドン」のソロアリアが少ないようだが、それはエルヴィラやレポレロやツェルリーナなど、周辺の人々が歌うことによって、その存在を浮かび上がらせる仕組みになっているからで、ドンのアリアの少なさが、成功の秘密になっている。

ドン・ジョヴァンニとツェルリーナの二重唱(第1幕第9場)の場面では、譜面を見ながらの解説があり、例えば、愛の二重唱が休む間、オーケストラの伴奏が、半音階を効果的に、また複雑な音型で進行し、女性が誘惑される様子が描かれるなど、モーツァルトの工夫の仕方がうかがえた。

 後半は、五年程前にCS放送で放映された「リアル・ドン・ジョヴァンニ」というチェコの作品を鑑賞する。

このオペラが初演されたティル劇場を舞台に、トマス・アレンが案内役を務め、ドン(フィクション)とカサノヴァ(実在)の関係をさぐるストーリーである。同時代人であったカサノヴァはモーツァルトと会ったのか、更にはダ・ポンテとも会って「ドン」の台本についてアドヴァイスをしたのか・・・。

オペラの進行と実際の殺人事件を、ドキュメンタリー風に同時進行させながら、ボヘミア地方にあるカサノヴァ博物館の内部や、資料などを登場させ、モーツァルトとカサノヴァの関連性を追っていく。真相は謎のままだが、私達としては、やはりカサノヴァの影響はあったのではないかという気にさせられた。

 休憩時間を経て、恒例の田辺先生ご自身によるピアノ演奏を聴かせて頂いた。

カールマン、レハール、R・シュトルツなど、ウィーン・オペレッタの楽しい曲、R・シュトラウスの「ばらの騎士」のワルツに見られるデカダンスな雰囲気、そして、最後に披露してくださったジーツィンスキーの「我が夢の街ウィーン」を、田辺先生がアレンジした音楽留学生の夢と現実を描いた作品が、楽しいながらペーソスがあり、会場の一同が思わずほろりとさせられた。

 田辺先生のピアノは技術的にもプロ級ですが、更にウィーン風の味付けが素晴らしく、例会終了後のパーティのワインが待ち遠しく感じられるほどでした(I)

 


  懇親会でのこの日のワインの味は格別で、先生を囲んでウイーンの香りがするような楽しい話が続き、皆さんとてもご機嫌でした。写っていない方、ご免なさい。(K)

 

 

 


 

●情報コーナー

 コンサート情報(4/11~5/22)

 ★4/25(月)19:00/東京文化(小)/M:フルート四重奏曲K285b、ピアノと木管のための五重奏曲K452、ディヴェルティメントK287/金昌国、上野由恵、アンサンブル・アマデー/\3500アンサンブルofトウキョウ03-3426-2010
 ★4/27(水)18:45/東京文化(小)/花岡千春ピアノ変奏曲集Ⅱ/M:K485、K511、K179他/\4500学2000日本モーツァルト協会03-5467-0626
 ★5/5(木)/グリーンホール相模大野/M:レクイエム/M・レスベランス指揮、東京ニューシティ管、東京インターナショナルシンガーズ/\4000、044-833-9258
 ★5/7(土)18:00/ミューザ川崎H/M:「後宮よりの誘拐」序曲、V協奏曲5番、ベートーヴェン:交響曲「田園」/広上淳一指揮、東響、漆原朝子V/\6000~3000ミューザ川崎イープラス03-5749-9984
 ★5/21(土)18:00/トッパンH/M:幻想曲ハ長調、PソナタK331、歌曲「クローエに」、交響曲41番(フンメルによる室内楽用編)/上尾直毅fp、松永知子S、前田りり子fl、荒井優子vn、多井智紀vc/\3500学2000境企画042-750-8160(H)

オペラ情報

★新国立劇場「フィガロの結婚」4/11(月)、14(木)18:30、17(日)15:00、新国立劇場03-5352-9999(H)

CD情報(※外盤価格は新宿タワー価格)

★M:ピアノ協奏曲第9番(P)ストイラー、第23番(P)ステファンスカ、ホルン協奏曲(Hr)ステチェック/カレル・アンチェル:チェコPho. Sup.SU 3698-2001
 ★M:弦楽4重奏曲第14番~23番(ハイドンセット、ホフマイスター、プロシャ王セット)/アルバンベルク弦楽4重奏団 Teldec 4589-95495-2 \2790(4CD)!
★M:レクイエムK.626、プフューガー:モメント・モリ/独唱者省略、ディーター・クルツ:ヴュッテンベルグ室内合唱団、ヴュッテンベルグPho. Cadenza CAD 800-855 \2720 
 ★M:ヴァイオリンソナタNo.32/K.377、No.27/K.303、No.28/K.304、No.42/K.526/(P)内田光子!、(Vn)マークス・スタインバーグ Phil 1103 \2448
 ※人気のある演奏家の新しい盤が国内先行発売や国内のみの発売となることがあるが、商業主義が表に出てあまり好きではない。この盤のように買いたい組み合わせの場合はなおさらである。関心のある安い外国盤が売れて国内盤の売れ行きが落ちるのはレコード会社にとって面白くないのは分るが、ミエミエのやり方である。
 内田光子はファンであるし、モーツアルトのヴァイオリンソナタだからいつかは買うであろうが、以前出たザンデルリングとのベートーヴェンのピアノ協奏曲のように外国盤が出た頃には関心が薄れて結局は買わなかったということもある。演奏家にとっては良いことなのかどうか疑問である。僕の場合は誰かが買って事務所のCDコンサートに持ってきてくれることを期待している。(Y) 


 

●モーツァルティアン・フェライン新規会員募集中

モーツァルティアン・フェラインは1982年10月に、全国のモーツァルティアンのふれあいの場を提供する目的で設立されました。設立以来、多くの会員諸氏のご尽力により、2002年には20周年を迎えるほど回を重ねて参りました。これまで会の発展にご協力頂いた皆さまに、厚く御礼申し上げます。

モーツアルトが大好きな皆さま!フェラインの会員になって、ご自分でお好きなモーツアルトを発信できる場をお持ちになりませんか。フェラインには、同好の仲間が沢山おられ、例会で専門の講師のお話を聞いたり、ご自身で発表する場が用意されております。また、機関誌に投稿したり、HPでご自分のメッセージを直接発信したりすることも出来ます。

めんどうな会員資格は特にありません。モーツァルトの音楽を深く愛する心を持ち、真摯にモーツァルトを聴き続けているモーツァルティアンなら、どなたでもご入会になれます。

 【役員紹介】
 会長:若松 茂生/副会長:石津 勝男、倉島 収、山本廣資

 【主な活動内容】
・季刊「モーツァルティアン」の発行
・例会の開催
・月報「事務局レター」の発行
・ホームページによるご案内
・ホームページ「メッセージ集」への参加

 【会費】(入会金はありません)
・正会員/年会費:¥5000・・・季刊「モーツァルティアン」を発行の都度郵送し、例会案内として月報「事務局レター」を毎月お送りします。なお例会費は別途実費が必要となります。
・家族会員/年会費:¥6000・・・夫婦、親子など家族2人
 毎年度後期(10月から翌年3月)の間にご入会の方は、いずれも上記会費の半額となります。

 【会費振込先】
 郵便振替:00140-9-178747 加入者名「モーツァルティアン・フェライン」   

  

 
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第236回 モーツァルティアン・フェライン例会 2005年3月13日

  
 事務局レター【第111号】/2005年3月

 【編集者】倉島収/塙雅夫/山本廣資/古田 佳子 bxp00423*yahoo.co.jp(スパムメールが増えてきましたのでリンクを外しました。お手数ですが*を@に替えて送信願います) 

●3月例会(第236回)のお知らせ 

「ドン・ジョヴァンニ」の魅力  お話…田辺 秀樹氏(一橋大学教授)

 日時:2005年3月13日(日)午後2時

 会場:原宿カーサ・モーツァルト(原宿医院)3Fホール(JR「原宿」下車・徒歩5分/地下鉄「明治神宮前」下車・徒歩3分)

 例会費:¥2500(会員・一般共)

例会会場;原宿【カーサ・モーツァルト案内図】


 

毎年3月にお話しくださる田辺先生には、オペラをシリーズで取り上げて頂いていますが、今年は「ドン・ジョヴァンニ」の登場です。田辺先生からは以下のようなメッセージを頂戴しています。


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昨年はモーツァルトの名作オペラの④として『フィガロの結婚』を取り上げました。5回目の今年は、順番で『ドン・ジョヴァンニ』ということになります。

19世紀ドイツの作家・作曲家のホフマンが「あらゆるオペラの中のオペラ」と呼んだこのオペラについては、もうすでに言われるべきことは言われ尽くした観がありますが、何度見ても聴いても、その都度新たに魅了され、震撼させられる、じつに内容豊かな名作だと思います。

 私は今のところ、『ドン・ジョヴァンニ』についてとりたてて新たな見解とか新解釈といったものを持っているわけではありませんが、近年このオペラのいろいろな舞台やヴィデオで見て、思ったこと、感じたことなどを、ヴィデオ等でご紹介しながらお話ししてみたいと思います。

 後半では、また例によって、顰蹙をかえりみず、「酒席ピアニスト」としての怪しい活動の一端を披露させていただこうかとも考えております。


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「怪しい活動」とご謙遜の先生ですが、その見事な腕前はNHKラジオでもお馴染みだと思います。先生の生演奏を聴ける年に一度の機会ですので、皆さま是非お出かけください。
 例会後、先生を囲んだ懇親会にもどうぞご参加ください。(F)

懇親会場:ステージY2(渋谷区神宮前1-13-12 TEL:3478-1031)

 

●今後の例会のご案内


 4月10日 久元 祐子氏(ピアニスト)

 5月22日 江端 伸昭氏(作曲家)

 6月12日 倉島 収氏(本会副会長)

 7月10日 安田 和信氏(杏林大学講師)

 8月      ――― 夏休み ――― 

 

 


 

 ●2月例会の報告(第235回/2005年2月20日)

モーツァルトと「ソナタ形式」~その2~   お話…三澤 寿喜氏(北海道教育大学教授)

 「ソナタ形式」(提示部、展開部、再現部からなる)は古典派の時代に成立され、モーツァルトの活動時期と重なるが、モーツァルト自身においてはどのような過程を経て「ソナタ形式」が確立されていったのかを諸作品の分析を通じて、明らかにして頂いた。

 前回では「その1」として「幼少期の作品におけるソナタ形式」についてのお話で、クラヴィーアの小品、ごく初期のシンフォニーなど1767年までの作品を次の6つの枠組みに分類し、分析した結果では、既にソナタ形式と言える作品が多くの場合に認められているが、展開部の処理がまだまだ平面的なものであることを確認した。

 A:ソナタ形式の基本的枠組みを持たないもの。
①型(単一主題型)=バロック舞曲の2部形式。
②型(複主題型)=展開部のないソナタ形式とも解釈可能。
③型(多主題型)=同上。

 B:ソナタ形式の基本的枠組みを持つもの=一応、ソナタ形式と認められるもの。
④型(単一主題型)=バロック舞曲からソナタ形式への移行過程に位置するもの。萌芽的ソナタ形式。
⑤型(複主題型)=基本的にソナタ形式の枠組みをもつ。
⑥型(多主題型)=同上。

 


 今回は「その2」として、1768年から1772年までの交響曲(K.45(第7番)からK.134(第21番)まで)23曲について年代順に各楽章の上記の分類を行い、両端の快速楽章については、フィナーレがロンド形式になっている僅かの例を除いては、殆ど全てがソナタ形式の枠組みをもつ⑤型(複主題型)であり、中には⑥型(多主題型)のものも数例見られた。特に1772年の作品には、異形は殆ど見られなくなっているので、この頃にモーツアルトの交響曲においては、「ソナタ形式」がほぼ確立されたと考えることが出来る。

 例会では、交響曲K.45(第7番)の第一楽章から、展開部に焦点を当てながら、ホグウッドのCDで先生の解説で楽譜を見ながら聞いていったが、1768年代の初期の作品では反復記号がないなどの異形が見られ、展開部も概して短く、平面的な単純な構造のものが多かった。

しかし、1771年のころから交響曲ヘ長調K.75では展開部はまだ短いものの弦3部において音型模倣による展開が始まっており、モーツアルトがポリフォニックな音楽に関心を持つようになった兆しがある。また、71年末の交響曲ヘ長調K.112(第13番)でも短い展開部であるが切迫感のある音型模倣が初めて導入され、存在感を示すようになってきている。

さらに、72年5月の交響曲ト長調K.129(第17番)では、第三楽章のアレグロにおいては、79小節の提示部に対し56小節の長い展開部がおかれており、ここでは頻繁に転調が行われて変化や緊迫感を与える工夫が凝らされている。

 展開部の処理がより充実してきたと見なされる作品は、72年の交響曲ニ長調K.133(第20番)であり、この曲の第一楽章の展開部では、長さが78小節の提示部に対し46小節と充実している。内容的にも各楽器間のモチーフの対応関係が鮮明になり、弦楽器だけの展開に管楽器が参加してきたり、異声部間での切迫模倣が加わるなど、立体的な処理が観察され、展開部の充実度が増している。この楽章は⑥型(3つの主題をもつソナタ形式)であるが、再現部での主題再現は、第二、第三、第一と倒置されている。

 以上の結果を要約すれば、68年から72年までの交響曲23曲について年代順に各楽章の形式分類を行った結果、71年から72年の交響曲において「ソナタ形式」の形式的枠組みはほぼ確立され、展開部においても立体的な処理が試みられるようになってきたことが明らかになった。

 展開部の立体的な処理という観点からは、モーツアルトの全交響曲中、ハ長調K.551(第41番)「ジュピター」の終楽章が頂点にあるとされる。終わりにその楽章をホグウッドの演奏で聴いて、21番から41番にわたるおよそ20曲の間における構造的な変化の大きさを皆に実感して貰った。

 馴れない譜面を見るのに忙しかった例会であったが、今回の例で「ソナタ形式」の基本的な枠組みはほぼ理解できたような気がする。しかし、名曲とされる曲は複雑に出来ているので、応用例として次回以降がどのように展開されるか期待したい。(K) 

 


 

●情報コーナー

 コンサート情報

★3/18(土)18:45/東京文化(小)/日本モーツァルト協会/M:K37、K266他/\4500学2000日本モーツァルト協会03-5467-0626
 ★3/29(火)19:00/ミューザ川崎シンフォニーH/M:ディヴェルティメントK138、モテット「踊れ、喜べ、汝幸いなる魂よ」、ベートーヴェン:交響曲6番「田園」/ハンス=マルティン・シュナイト指揮、神奈川フィル、S.臼木あい/\4000~3000学1500神奈川フィル045-331-6699
 ★3/30(水)19:00/JTアートH/M:弦楽四重奏曲「狩」、ディヴェルティメントK563、ベートーヴェン:セレナード0p/アフェット・カルテット/\2000学1000アフィニス文化財団03-5532-1424
 ★4/1(金)19:00、4/2(土)18:00/紀尾井H/紀尾井シンフォニエッタ東京/ハルトマン:クラリネット、弦楽四重奏、弦楽オーケストラのための室内協奏曲、M:「エジプト王タモスK345(336a)より幕間の音楽、交響曲35番「ハフナー」/H・ヘンヒェン指揮、P・メイエ(CL)、Kioi Quartet/\5500~3500学2000、1500紀尾井HチケットC03-3237-0061
 ★4/2(土)18:00、フィリアH045-982-9999、\5000~4000、4/5(火)19:00浜離宮朝日H03-3257-9990、\5000/堀米ゆず子V、児玉桃P演奏会/M:ソナタ26番、32番、25番、40番
★4/3(日)14:00/横浜みなとみらいH/M:フルート協奏曲1番、オーボエ協、クラリネット協、ピアノ協20番/荒川洋FL、古部賢一Ob、山本正治CL、A・ピサレフP,新日本フィルメンバーによるアンサンブル/\5000神奈川芸術協会045-453-5080
 ★4/9(土)17:30/彩の国さいたま芸術劇場/川上敦子Pソナタ全曲演奏会(4)/M:Pソナタ15番~18番他/\5000デイリークラシカルミュージック044-02-9990(H)

オペラ情報

★新国立劇場「コジ・ファン・トゥッテ」3/21(月・休)15:00、3/23(水)18:30、3/25(金)19:00、3/27(日)15:00、3/29(火)14:00、新国立劇場03-5352-9999
 ★新国立劇場「フィガロの結婚」4/7(木)18:30、4/9(土)17:00、新国立劇場03-5352-9999(H)

CD情報(※外盤価格は新宿タワー価格)

★M:交響曲第32番K.318、第1番K.14、シベリウス:ヴァイオリン協奏曲/(Vn)ユヴァル・ヤロウ、クラウス・テンシュテット:バイエルンSO. Profil Hanssler PH 0500K \2190
 ★管樂合奏によるオペラ名場面集/M:「フィガロの結婚」、「ドン・ジョヴァンニ」、「コシファントゥッテ」(M.ベルナルディーニ編曲)/アンサンブル・ゼフィーロ amb9962 \2625
 ★M:ピアノ協奏曲第21番,23番、ロンドK.382.386/(P)M.ペライア:イギリスcho. Sony SMK 89876 \1290!
★M:ヴァイオリン協奏曲第1~5番、ロンドK.269,373/(Vn)チョー・リャン・リン、R.レッパード:イギリスcho. Sony SM2K89983 \1290(2CD)
 ★M:ピアノとヴァイオリンのための協奏曲ニ長調K.App.56(K.315f)![フィリップ・ウィルビー補完]、ピアノ協奏曲第16番、ヴァイオリンソナタ第35番/(Vn)ダニエル・ホープ、(P)セバスティアン・ナウアー、ノリントン:カメラ-タ・ザルツブルグ
★M:ホルン協奏曲第1~4番、ロンドK.371/(Hr)アラン・シヴィル、ルドルフ・ケンペ:ロイヤルpho. EMI CAPO-2015 \1300(タワー・新星堂・山野共同企画!)
★M:ピアノソナタK.331,310,576,545,457,475,533/(P)J・P・ポミエ Virgin 7243 4 82064 2 8 \1390(2CD)
★ルース・スレンチェスンカの芸術Ⅲ/①ショパン:夜想曲Op.9-1、スケルツォ第1番、M:ピアノソナタ第12番K.332/②M:ピアノソナタ第9番K.310、ショパン:ワルツOp.63-4、即興曲第2番、ピアノソナタ第2番、エチュードOp.25-1、Op.10-3/Liu Mifune LIU-1005/06 \4200(2CD)
★ルース・スレンチェスンカの芸術Ⅱ/シューマン:ロマンス、謝肉祭、M:ピアノソナタ第3番K.281、ショパン:夜想曲Op.9-2、エチュードOp.25-7,12、Op.10-8,9,5、他/Liu Mifune LIU-1003/04 \4200(2CD)(Y) 

  

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第235回 モーツァルティアン・フェライン例会 2005年2月20日

  
 事務局レター【第110号】/2005年2月

 【編集者】栗田久暉/塙雅夫/山本廣資/古田 佳子 bxp00423*yahoo.co.jp(スパムメールが増えてきましたのでリンクを外しました。お手数ですが*を@に替えて送信願います) 

●2月例会(第235回)のお知らせ 

 モーツァルトと「ソナタ形式」~その2~  お話…三澤 寿喜氏(北海道教育大学教授)

 日時:2005年2月20日(日)午後2時

 会場:原宿カーサ・モーツァルト(原宿医院)3Fホール(JR「原宿」下車・徒歩5分/地下鉄「明治神宮前」下車・徒歩3分)

 例会費:¥2500(会員・一般共)

例会会場;原宿【カーサ・モーツァルト案内図】


 

今月はおなじみの三澤先生のお話です。昨年に引き続き、ソナタ形式という大きなテーマについての講演です。三澤先生からのメッセージをご紹介します。


  ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


古典派の時代に確立された「ソナタ形式」は西洋音楽の中で最も重要な形式のひとつであることはご承知のとおりです。モーツァルトも交響曲、種々の室内楽(弦楽四重奏曲、五重奏曲、ピアノ三重奏曲など)、種々のソナタ(ピアノ・ソナタ、ヴァイオリン・ソナタなど)、協奏曲など、器楽曲の急速楽章においてこの形式を使用しています。したがって、モーツァルトの器楽曲をより深く理解するためには、ソナタ形式の理解が欠かせません。

 昨年の第1回においては、「ソナタ形式」の起源、基本構造、種々の異形などについて確認したのち、モーツァルトの1767年までの器楽曲~~「クラヴィア小品」、「クラヴィアまたはクラヴィアとヴァイオリンのためのソナタ」」、「クラヴィア、ヴァイオリンまたはフルートとチェロのためのソナタ」、「交響曲」第1番~第6番~~を通じて、幼少期のモーツァルトがこの形式とどのように向き合っていたかを検証しました。その結果、幼少期のモーツァルト作品においては、展開部の処理がまだまだ平面的なものであることを確認しました。

 今回は、それに続く第2回として、1767年から1770年代初めまでのピアノ協奏曲、交響曲、弦楽四重奏曲などにおけるソナタ形式の分析を試みます。10代のモーツァルトがソナタ形式に習熟していく過程、特に展開部の立体的な処理に習熟していく過程を、観察してみたいと思います。


  ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


1767年から70年代初めというと、イタリア旅行を挟んでということになるのでしょうか。モーツァルトの成長の過程をつぶさに見ることが出来そうです。例会後は三澤先生を囲んだ懇親会へもどうぞご参加ください。(F)
 懇親会場:ステージY2(渋谷区神宮前1-13-12 TEL:3478-1031)

 

●今後の例会のご案内

 3月13日 田辺 秀樹氏(一橋大学教授)

 4月10日 久元 祐子氏(ピアニスト)

 5月22日 江端 伸昭氏(作曲家)

 6月12日 倉島 収氏(本会副会長)

 7月10日 安田 和信氏(杏林大学講師)

 8月      ――― 夏休み ―――

 

 ●1月例会の報告(第234回/2005年1月16日)

 第4回 会員有志による参加型例会

 新年恒例の参加例会も第4回。今年の参加者は12人で演奏をされたのが6人、お話が6人という見事なバランスで、石津・倉島両副会長の司会による楽しい例会でした。

 (1)端直明さんはお嬢さんの伴奏によるチェロ(K618)とリコーダー(K315)の演奏。それぞれ原曲はコーラスとフルートによるものですが、楽器を自分の馴染みのあるものに変えて弾いてみるというだけで、アマチュアでも気軽にモーツァルトに親しむことが出来るという好例を示してくださいました

 


(2)昨年に続く真部淳・洋父子によるヴァイオリンとピアノのデュエット。K261はなかなか難しいアダージョですが、曲が進むにつれて音も伸び伸びとしてきて、カデンツァもなんのその、堂々たるエンディングのもとに終了しました。

 (3)ザルツブルクのモーツァルト週間は、毎年モーツァルトの誕生日を中心に開かれますが、2004年の録音を聴かせて下さった近石晋さん。演奏は勿論ですが、FMからとは思えない素晴らしい音質に二度びっくり!FMも捨てたものではありません。録音のコツをお伺いしなくては、と心に決めたお話でした。

 


 (4)肥沼きよさんは、K152(210a)「静けさは微笑みながら」と「恋とはどんなものかしら」、そして旅行中にお世話になった会員の隅田さんに捧げる曲として、石川啄木の「初恋」の三曲を、素晴らしいソプラノで聴かせて下さいました。

 (5)福地勝美さんは「ハ短調ミサ曲の第1ソプラノ・ソロを歌ったのはマルガレーテ・マルシャンではないか?という仮説の提唱」という新説を披露して下さったのですが、35分という短すぎる時間ではもったいなさすぎました。デジタル時計とにらめっこしながら、まさに駆け足で、これは再登場の機会もそう遠くないのでは、と感じさせるお話でした。

 (6)箱根仙石原に「箱根ガラスの森」というヴェネチアングラスの美術館があるのを今回私は初めて知りました。ここで開かれたグラスハーモニカの演奏CDを聴かせて下さったのは栗田久暉さんです。K617aのアダージョなどは有名で、聴いた事がある方も多いと思いますが、びっくりしたのは2台のグラスハーモニカによるK331のトルコ行進曲です。こればかりは「百文は一聴に如かず」。聴いて頂かないことには想像もつかないでしょう。

 


 (7)休憩を挟んで第二部では、田中進氏が見事なバリトンで二曲、夕べの思い(K523)とクローエにて(K524)を歌われました。本来ならば女性による歌曲ですが、同氏はシュワルツコップのものを聴きながら習われたとの事。バリトンによる同氏の朗々たる歌いっぷりには先ずは脱帽!

 (8)次は宮崎氏の"曲への想い"。テープとお話でピアノ 協奏曲第1番第一楽章(K37)、メヌエット(K1a)、レジナチェリ(K108)、6つのドイツ舞曲(K600)、ピアノ協奏曲第25番第三楽章(K503)、交響曲ハフナー(K385)、戴冠式ミサ曲の一部(K317)、自動オルガンのためのアンダンテ(K616)、フリーメイソン・カンタータ(K623)、という盛り沢山のご披露。

 


 (9)九番目には広部知久氏の愛聴盤、春への憧れ(K596)でしたが、これはエリー・アメリングによる歌と、グラス・ハーモニカ(青島広志指揮のオーケストラ伴奏付・高橋美智子の演奏)によるものの二種類の比較演奏という、新春を迎えるにふさわしい発表。

 (10)十番目は船矢久樹氏のモーツァルトと私と題したピアノ演奏付のお話しで幻想曲ニ短調(K397)、同氏のピアノ演奏は正に原曲に忠実にゆったりとしたアンダンテにて中々お見事。

 


(11)十一番目は古田佳子さんのソプラノでオペラ『フィガロの結婚』(K492)の一部をご披露、これが…CDのオーケストラ伴奏付きのソフト・ソプラノ、つまり"カラオケ"スタイル。フェラインの例会でカラオケを聴いたのはこれが初めてであったと大評判、ワンダフル!

 

 (12)最後は倉島収氏が"私の新愛聴盤"、「やっと見つけましたK449です」とご紹介され、ピアノ協奏曲第14番の第二楽章を聴かせて頂きました。これは室内楽でも良いというモーツァルトの書き遺しに基づく、渡辺陽子のピアノとコダーイ・カルテットによるCDでした。曲のスタイルも演奏も録音もバランスよく、これぞ三位一体の最高のCDと言うふれ込みでしたがどうでしたでしょうか。 

 

このようにして今月の会員参加型例会は、学研的なもの、親しみやすいもの、愛らしいもの等バラエティに富んだ楽しいひとときでした。 (第一部・Y.F & 第二部・H.K 共同執筆)

 

  二次会もステージY2で、とても盛大に行われました。幹事のミスでどうしたのか福地勝美さんの写真だけ撮り忘れしてしまいましたが、二次会の写真では福地さんのご機嫌な姿が写っており、とても助かりました。福地さんにはこの場を借りて、失礼の段、厚くお詫び申し上げます。(K)

 

 

 

●情報コーナー

 コンサート情報

★2/21(月)19:00/四谷区民H/オペラ・レクチャーコンサート(癒しのモーツァルト四大オペラ入門講座)/案内人.田辺秀樹、Ms.ヴェルケル、T.ラウベンバッハー、Br.レフ、P.久元祐子/¥3000新宿文化センター03-3350-1141
 ★3/2(水)19:00/東京オペラシティ・リサイタルH/早春のモーツァルト癒しのメロディ/Pソナタ11番、「フィガロの結婚」より他/S.千田二実代、平野華子、P.細谷桜子、FL.平山佐和子/\2500國際芸術連盟03-3356-4140
 ★3/6(日)14:00/紀尾井H/M:交響曲29番、39番、P協奏曲24番/指.G・ボッセ、P.伊藤恵、神戸室内合奏団/\3000カジモト・イープラス03-5749-9960
 ★3/13(日)14:30/北とぴあ/M:「フィガロの結婚」序曲、交響曲41番、ヴィヴァルディ:「四季」/指.内藤彰、V.若林暢、東京ニューシティ管弦楽団/\5000~3000東京ニューシティ管弦楽団03-5933-3222(H)

オペラ情報

★二期会オペラ劇場「魔笛」3/4(金)18:30、5(土)13:00、18:30、6(日)14:00/新国立劇場/\15000~1500二期会チケットセンター03-3796-1831
 ★新国立オペラ研修公演「ドン・ジョヴァンニ」3/10(木)18:00、11(金)18:00、12(土)14:00/新国立(中)/\3000新国立劇場03-5352-9999(H)

CD情報(※外盤価格は新宿タワー価格)

★M:交響曲第29番、38番「プラハ」/モーリス・ジャンドロン!:読売日響1976LIVE Tower-RCA BMG TWCL-1004 \1050
 ★M:交響曲第28番、35番「ハフナー」、ベートーヴェン:交響曲第5番/小沢征爾:ニューフィルハーモニア、シカゴSO.  Tower-RCA BMG TWCL-1001 \1050
 ★M:ピアノ協奏曲全集/(P)ルドルフ・ブッフビンダー:ウィーン交響楽団、Profil-Hanssler PH 04001、\15530(9CD)
★M:ヴァイオリン協奏曲第3番、第4番/(Vn)シモン・ゴールドベルグ!、W.ジュスキンド:フィルハーモニアO. TOCE 15001 \1500
 ★M:ピアノソナタNo.8、12、16/(P)A.シュナーベル!TOCE 15016 \1500
(以上2枚はEMIクラシックス・グレート・アーカイブシリーズ。このシリーズにはフランツ・シャルクのベートーヴェン交響曲第6,8番、ヨハンナ・マルツィのメンデルスゾーンとブラームスのヴァイオリン協奏曲、イダ・ヘンデルのチャイコフスキー:VC、リリー・クラウスのモーツアルトピアノソナタ等がある)
★M:ヴァイオリン・ソナタ全集/(Vn)ヨーゼフ・シゲティ、(P)M.ホルショフスキー、ジョージ・セル Col. COCQ 83885-8 \3990(4CD)(Y)

 

●あとがき

 フェラインで大分前から話題になっていた「モーツァルト・イン・トルコ(原題 Mozart in Turkey)」が先頃放映されました。イギリスBBCによる2000年制作のドキュメンタリーですが、マッケラス指揮の番組サウンドトラックがいち早く発売され、肝心の映像に関する情報は全く入ってこなかったのです。

 3年以上待たされやっと見る事が出来たのは、トプカプ宮殿でロケをした、さすがBBC制作というべき見事な音楽ドキュメンタリーでした。またいつか忘れた頃に再放送があるかもしれませんので、NHK-BS金曜深夜の番組表のチェックをどうぞお忘れなく。(F)

  

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第234回 モーツァルティアン・フェライン例会 2005年1月16日

  
 事務局レター【第109号】/2005年1月

 【編集者】石津勝男/塙雅夫/山本廣資/古田 佳子 bxp00423*yahoo.co.jp(スパムメールが増えてきましたのでリンクを外しました。お手数ですが*を@に替えて送信願います) 

●1月例会(第234回)のお知らせ 

「第4回 会員有志による参加型例会」

 日時:2005年1月16日(日)午後2時

 会場:原宿カーサ・モーツァルト(原宿医院)3Fホール(JR「原宿」下車・徒歩5分/地下鉄「明治神宮前」下車・徒歩3分)

 例会費:¥1500(会員・一般共)

例会会場;原宿【カーサ・モーツァルト案内図】


 

あけましておめでとうございます。年明けの恒例となりました会員参加の例会も4回を迎えました。毎年楽しみにして下さっている方も増え、企画担当者も張り切っております。どうぞご期待ください。
 以下は出演者のご紹介です。(順不同、出演順ではありません)(F)

 【演 奏】
●端 直明/アルトリコーダーとチェロでK315他
●田中 進/バリトン独唱とお話、K524他
●古田 佳子/ソプラノ独唱でK492
●肥沼 きよ/ソプラノ独唱でK210a他
●船矢 久樹/ピアノ独奏でK397
●真部 淳/ピアノとお話、VnとPのためのアダージョ 

【お 話】
●広部 知久/私の愛聴盤(「春への憧れ」他)
●近石 晋/ザルツブルク・モーツァルト週間2004
●福地 勝美/仮説「ハ短調ミサ曲」(献呈・廣政豊さん)
●宮崎 宇史/モーツァルトへの思い
●栗田 久暉/CDとお話(曲目は当日のお楽しみ)

 例会後は新年会も兼ねた懇親会へどうぞご参加ください。
 懇親会場:ステージY2(渋谷区神宮前1-13-12 TEL:3478-1031)

 

●今後の例会のご案内

 2月20日 三澤 寿喜氏(北海道教育大学教授)

 3月13日 田辺 秀樹氏(一橋大学教授)

 4月10日 久元 祐子氏(ピアニスト)

 以下、5月15日・6月12日・7月10日の予定です。

 

●12月例会の報告(第233回/2004年12月12日)

 「ハ短調ミサとその周辺」お話…牧野成史氏(横浜モーツァルト・アカデミー主宰)

 牧野先生は長年ザルツブルクで暮らし、ご自身がテノール歌手として、また教会で客演指揮をされた経験をふまえてのお話です。お話はハ短調ミサの中から7曲を選び、1991年から2002年に渡って、牧野氏とその師であるツィフラ氏の指揮で演奏された実況録音のテープを聴きながら進められた。

ハ短調ミサはモーツァルトがコンスタンツェとの結婚後、里帰りの際に1783年10月26日ザルツブルクの聖ペーター教会で初演。その後、長期間大聖堂では演奏されなかった理由として、未完の作品の為、大聖堂で行うミサに適さないことや、初演をした聖ペーター教会で頻繁に演奏されているからなど、理由はいくつかあるようだ。

 1991年10月20日、ザルツブルク大聖堂で初めて、演奏会ではなくミサとして、J・ツィフラ氏の指揮で初演されたが、その時の実況録音からキリエを聴く。中間の「クリステ」はコンスタンツェを想定した典雅なソプラノ独唱。低い音から高い音まで、技巧的にもかなりのもので、コンスタンツェ自身も優秀な歌手だったと思われる。

 「グロリア」は、1998年5月鎌倉芸術館で牧野氏が指揮した横浜モーツァルト・アカデミー設立演奏会の記念的な録音を聴いたが、晴れやかな四部合唱は素晴らしいものであった。

 「ラウダムス・テ」は比較的平坦な印象を受けるが、モーツァルトはコンスタンツェには「エト・インカルナートゥス・エスト」のような難しい曲を歌わせて、他の歌手と比較させてみたのではないかと思われる。またこのハ短調ミサはキリエ、グローリア、ベネディクトゥスは完成されたが、アニュス・デイは欠けている。

クレードについては、合唱のバスは完成しているがオケの部分は少なく未完であるし、エト・インカルナートゥス・エストも弦の伴奏が大部分欠落している。モーツァルトの時代、この曲の演奏にあたって欠けている部分は適当にアドリブで行ったりオルガンでカバーしていたと考えられる。牧野氏が現在演奏する際には1983年の<エーダー版>を採用しているとのことである。

 「クウィ・トーリス」は二重合唱で荘厳と成熟した世界を現出させ、カルル・ドニも語っているように、このハ短調ミサが完成品であればバッハのロ短調ミサ、ベートーヴェンの荘厳ミサにも比肩できると言えるのではないか。「イエズ・クリステ」から「アーメン」では、終語の合唱フーガが聴きどころ。モーツァルトがウィーンへ来てからのバッハ体験の影響が感じられる。

 「クレード」に入り、いよいよ「エト・インカルナートゥス・エスト」が始まる。木管とソプラノの織りなす対話と、カデンツァには何ともいえない美しさが湛えられている。歌というものを熟知して書かれており、モーツァルトの天才性が証明された名作と言えるのではないか。

この曲について、牧野氏が1998年から2002年にかけて演奏した3つの公演から、本島阿佐子、石原千歳、シャルロッテ・ピストアのソプラノ独唱を聴かせて頂き、それぞれの歌唱を味わうことが出来たが、特に最後のピストアの安定感のある美しい声に感銘を受けた。

この後、今年10月に神奈川県立音楽堂で開催された横浜モーツァルト・アカデミー第8回定期演奏会から、「ティトの慈悲」序曲と「レジーナ・チェリ K127」、そして2004年7月、所沢ミューズ・アークホールで行われた所沢バッハ・アカデミー演奏会から、「テ・デウム K141」の録音を聴かせて頂いたが、モーツァルトには比較的知られていない名曲がまだ沢山あり、演奏家も聴衆ももっと知る努力が必要ではないか。またモーツァルトを勉強してからハイドン、シューベルトを演奏すると、同じウィーン原語(方言)が感じられ、音楽がより深く見えて来るとのことだった。(I)

 

 


 

●情報コーナー

 コンサート情報

オペラ情報

CD情報(※外盤価格は新宿タワー価格)

 

●若松会長より新年の挨拶

 頌 春 2005  若松 茂生

モーツァルト生誕250年まであと1年という2005年が明けました。今年も相変わらず「会長元気で留守がいい」というような具合ですが、よろしくお願い申し上げます。

 東京の正月は雪模様だったそうですが、ここニューヨーク郊外の小さな町グレン・ロックは、暖かく穏やかな日和の正月になりました。もっとも暮の12月28日の朝の気温はマイナス11.3度、日中もマイナスでした。それが急に季節外れの暖かさになり、元日の朝の気温はプラス3.6度、日中は15度にもなりました。元日の朝裏庭に出ますと野ウサギが足元から飛び出し、まさに脱兎のごとく逃げていきます。新年早々そんなにあわてて逃げなくてもいいのにと思うのですが、畑に悪さをするこの野ウサギを夏に随分追い掛け回したからナァと新年早々反省。リスは暖かいので活発に動き回り、巣の手入れをしているのもいます。木の枝では四十雀が囀っています。

 年末はクリスマス前後にバッハの《クリスマス・オラトリオ》をフレーミッヒ盤、ヴェルナー盤、リリンク盤、コルボ盤と聴き、モーツァルトは、初期の宗教曲を次々に聴きました。大晦日は、昼間バッハの《マニフィカート》と《ロ短調ミサ》、そして夕食の時にケルテス指揮の「オペラ・フェスティバル」2枚組を堪能し、夕食後、恒例のフリッチャイ指揮による《ハ短調ミサ》で2004年の聴き納めとしました。元日の朝は、ペーター・マーク指揮の「フリーメーソンの音楽」全集(2枚組)が聴き初め。フリーメーソンの音楽は、自由な精神を音楽で表現したモーツァルト教音楽とも言うべきものです。

かくて平和そのもののグレン・ロックですが、インド洋津波の死者の数は毎日万単位で増え続け、暗澹たる気持ちになります。しかし〈不幸には寿命と限界がある〉とうモンテーニュの言葉を信じつつ、一日も早く事態が好転することを祈るのみです。

 我が家の家訓は『苦しい時は上り坂』というもので、苦しいと感じていた時を後から振り返ると人生の上り坂であったことに気づきます。一生苦しい時が続いたらどうなるのかとカミサンがいいますが、人生の最高地点で死ぬということに違いありません。楽だと感じているとすると、きっと人生の下り坂です。注意しなければと自戒しています。 モーツァルティアン・フェラインの皆様のご多幸とご健康を心よりお祈り申し上げます。 

 

  

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