第342回 モーツァルティアン・フェライン例会 2014年11月15日
 
 

 事務局レター【第217号】/2014年11月

 【編集者】澤田義博/川口ひろ子/高橋徹/笠島三枝子/大野康夫/倉島 収 mozartian_449*yahoo.co.jp  (スパムメールが増えてきましたのでリンクを外しました。お手数ですが*を@に替えて送信願います) 

 

●11月例会(第342回)のお知らせ 

演題:「フルート作品の不幸」

   お話: 西川尚生氏

 日時:2014年11月15日(土)午後2時(午後1時30分開場)

 会場:お茶の水「クリスチャンセンター」(JR「お茶の水」下車・徒歩3分) 

 例会費:¥2500(会員・一般共)


――――― 西川尚生氏からのメッセージ

 モーツァルトはフルートが嫌いだったと言われています。その根拠として「ぼくは我慢できない楽器 のために書かなくてはならないときは、いつもたちまち気が乗らなくなります。」(1778年2月14日付 の父宛書簡)という手紙がよく引用されますが、これに対しては、「依頼されたフルート作品をいつま でも書かないことを父に叱責されたモーツァルトが、本心を偽って書いたのだ」とか、「彼はフルートが 嫌いだったのではなく、作品の依頼主であるドジャンのフルート演奏が気に入らなかっただけだ」とか、 さまざまな反論があります。
  ところがフルート愛好家にとっては残念なことに、近年、モーツァルトがフルート嫌いだったことを示唆 する、新たな資料が発見されました。これは断片的な記述ではありますが、同時代者がモーツァルト から直接聞いた内容を記したもので、モーツァルトの「フルート嫌い問題」に新たな光を投げかける 資料として注目されます。
  ところで、モーツァルトのフルート作品としては、一般に《フルートとハープのための協奏曲》K.299、 2曲のフルート協奏曲(K. 313、314)と単独のアンダンテ(K. 315)、4曲のフルート四重奏曲 (K. 285、298、K6. 285a、285b)が知られています。
  このうちK.299を除く7曲は、従来、マンハイム滞在中にアマチュア音楽家のフェルディナント・ドジャン の依頼で作曲されたと信じられてきました。しかし、その後の研究で、それらのほとんどがドジャンとは 関係がない(あるいは関係が証明できない)作品であることが判明しました。
  そもそもドジャンが モーツァルトに何曲の作品を依頼したのか、モーツァルトがそのうち何曲を完成できたのかは謎に 包まれており、上記の作品には、質の良い楽譜が全く残されていないものや、作曲年代と成立背景が 不明なもの、さらには本当にモーツァルトの曲かどうかがわからないものが、少なからず含まれて います(とりわけK6. 285bは真贋論争の真っ只中にあり、この作品をめぐって、近年、数多くの論考が 発表されています)。
  以上のような意味で、モーツァルトのフルート作品は「問題だらけ」なのですが、今回の講演では その辺のお話をしたいと思っています。
 (西川尚生記)  

 


 例会後は恒例の懇親会へのご参加をお待ちしております。
会場:「デリ・フランス」お茶の水店/03(5283)3051

 

 

●今後の例会のご案内(会場記載のないものはお茶の水クリスチャンセンターです)

 12月20日(土) 磯山雅氏
  1月17日(土) 新年会 

 

 


< お知らせ♪ >必ず読んで下さいね! 

この度、我々フェラインは下記コンサートの協賛団体になりました。
 多くの会員のご出席をお願い致します。フェラインのみの協賛です。後援:フランス大使館
♪コンサート:マエストロ・プーレと川島余里さんの All Mozart Concert ♪
日時:12月2日火曜日 19:00開演
 場所:原宿教会(外苑前駅徒歩5分、150席)
チケット料金: 4,500円(フェライン会員特別価格)
♪プログラムの内容:
All Mozart Program
 ①ヴァイオリン・ソナタ イ長調 KV Anh.48 (480a/385 E)(Fr 1784b) (単1楽章) [ロバート・レヴィン版]
KV Anh.48 (480a/385 E)(Fr 1784b) A-dur um 1784  Erganst von Robert D. Levin 2012
 ②ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調 K.380 K.380 Sonata Es-dur
 ③ヴァイオリン・ソナタ ハ長調 K.403(385c) [ロバート・レヴィン版]K.403 (385c) C-dur
 Wien, August oder September 1782 3 Satz erganst von Robert D. Levin
 ④ヴァイオリン・ソナタ イ長調 K.526 K.526 Sonata A-dur

特に①と③はマエストロ・プーレの友人で、モーツァルト研究家・ピアノフォルテ奏者として知られている ロバート・レヴィンによって校訂・出版されます。今回はレヴィン版が演奏されます。滅多に演奏される ことが少ないソナタ2曲です。モーツァルティアンは聴きのがせません。
② レヴィンは先日、岡本さんが優勝したバッハ・コンクールの審査委員長でもあります。 マエストロ・プーレも審査員でした。マエストロ・プーレとレヴィンはこれらのソナタを来年3月にフ ランスで録音予定。
     澤田義博

チケットは、11月例会に準備しています。お問い合わせ先
 澤田会長090(2223)8101        石津副会長090(5191)3404 


 

 

 
●10月例会の報告(第341回 / 10月4日)

♪上野優子ピアノリサイタル♪
ピアノ 上野優子氏

  上野優子ピアノリサイタルは、台風の接近を思わせる蒸し 暑い10月初めの土曜日、銀座、十字屋ホールで開催されました。以下、その概要です。

ライラック色のドレスのよく似合う上野さんが登場してい よいよ開演です。
  上野さんは、桐朋学園大2年次に渡欧、イタリア、フランスで約10年学び、その間多くのコンクール に入賞、各地でソリストとして活躍した後、2009年に帰国、積極的な演奏活動を展開する傍ら、 各種コンクールの審査や昭和音楽大学にて後進の指導も行っています。
  今回のリサイタルは、前半は古典派のモーツァルト、後半は、ロマン派のリストの作品を中心に、 武満徹などの前衛音楽を加え、アンコールはショパンの小品、という構成、豊かなレ パートリーを持つ彼女ならではのプログラミングです。
  前半はモーツァルトの3曲で、今回はベーレンライター版での演奏です。 

★「グラスハーモニカのアダージョ」K356。
ゆったりとしたテンポ、妙なる調べは私たちを遥かロココの世界に誘ってくれます。 

★ソナタ11番イ長調「トルコ行進曲付き」K331
 第1楽章は、ボヘミア民謡を主題に持つ6つの変奏スタイルです。上野さんは、実に丁寧に演奏して 下さいました。見事な音楽の推進力、反面、繊細な部分の細やかな指使いも素晴らしく、 一つ一つの音が粒立っています。
 第2楽章の優雅なメヌエットは、ゆったりと演奏されました。
 第3楽章はトルコの軍楽隊の音楽を取り入れたモーツァルトの最もポピュラーな曲。早めのテンポが 小気味よく、まことに活きの良い演奏です。現代感覚あふれる新鮮な響きに聴き入りました。 

★ソナタ18番ニ長調K576
第1楽章の冒頭、狩猟のホルンを思わせる音形が現れます。これが対位法的に処理され、装いを 変えて次々と現れます。
 第2楽章はしんみりとしたアダージョ、上野さんの繊細な部分の音色が何ともいえず美しく、うっとりと 聴き惚れました。
 第3楽章は軽快なロンドですが、第1楽章のホルンの音形がまだ頭の中をクルクルと廻っていて、 私は、どうにもならない酩酊状態です。

  しっかりと古典の様式を守りながらも、音色、表情、など微妙な変化をつけた演奏で、後半に演奏された、 ロマン派のリストやショパンとの違いをきっちりとつけている点は、彼女の10年間の勉学の確かさと、 センスの良さを物語っています。 
  演奏された2曲は、モーツァルトが自分の才能を世に問うために渾身の思いで作曲したピアノソナタで、 本日の名演奏に相応しい曲だと思いました。 

  休憩の後の、ドブロウエンと武満徹の前衛2曲は、馴染みのない現代曲もじっくり聴くと素晴らしいこと を教えてくれました。
  続いて、超絶技法を駆使したリストやショパンを、なんなく演奏してくれたのには驚いきました。 華奢な指が、信じられないスピードで鍵盤の上を行き交っています。 

  終演後「この様な響きのよいホールで、皆さんの温かい応援の下に演奏できました」と謝意を述べ、 そして「ふとパリのサロンでの演奏会を思い出しました」と感慨深そうに話してくれました。
 限りない可能性を秘めた若いピアニストの前途を祝って、100人余り聴衆の喝采が長い間続いて いました。
  文責 川口 ひろ子 

 

 

 

 

●例会・懇親会 写真コーナー

 今回の懇親会場は、銀座のイタリアンレストランで、趣旨に賛同する有志一同で、ピアニストの 上野優子氏を中心に飲み会に早変わり。ビールで乾杯後、楽しく質疑・応答、懇親が行われた。 懇親会においては、皆さん元気いっぱい、話題も豊富で、楽しい賑やかなひとときを過ごすことが 出来た。

     なお、写真を削除して欲しい方がおられたら、直ぐに担当宛てメールして頂くか、電話でもよいので、 いつでも連絡して欲しいと思います。削除するのは実に簡単なので、作業は直ぐ実施します。 

  なお、写真が欲しい方は、原版はHP担当の倉島が全て保管していますので、例えば、懇親会4列 の右側の写真の場合は、例えば、 懇上から4・右と言うように写真を特定して、 下記にメールしていただければ、次回例会までにお届けするようにしたします。ただし、恐縮ですが、 Lサイズで30円/枚のご負担をお願い致します。

 容量不足のため、09年の3年前の写真から、順番に削除しています。

お問い合わせ:ホームページ担当;倉島 収: メールはここから 

 

第341回 モーツァルティアン・フェライン例会 2014年10月4日
 
 

 事務局レター【第216号】/2014年10月

 【編集者】澤田義博/川口ひろ子/笠島三枝子/大野康夫/倉島 収 mozartian_449*yahoo.co.jp  (スパムメールが増えてきましたのでリンクを外しました。お手数ですが*を@に替えて送信願います) 

 

●10月例会(第341回)のお知らせ 

♪  ピアノリサイタル ♪
       上野優子氏


 日時:2014年10月4日(土)午後2時30分開演(午後2時開場) 
←開始時間に注意! 


会場: 十字屋ホール(東京都中央区銀座354)03-3561-5250

料金:¥4,200 全席自由席 1ドリンク付

  チケット販売開始しています。枚数に限りがあります。早めに下記へ電話またはメールでご連絡下さい。 当日いらしても、席がご用意できない場合があり得ますので、必ず事前の予約をお願い致します。 現在まだ若干数残っています。予約は澤田会長、石津副会長までご連絡お願いします。

 澤田 090-2223-8101
 石津 090-5191-3404
 澤田義博   ysawadaamadeus.jp*nifty.com
(スパムメールが増えてきましたのでリンクを外しました。お手数ですが*を@に替えて送信願います) 


――――― 上野優子氏プロフィール

 桐朋女子高校音楽科を経て同大学2年次に渡欧、イモラ国際ピアノアカデミー(伊)ピアノ科 ディプロマ取得、パリ・エコールノルマル音楽院ピアノ科コンサーティスト課程ディプロムを アルゲリッチ、エル=バシャ、カツァリス各氏に認められ取得。
 09年同音楽院室内楽科コンサーティスト過程ディプロムを首席・審査員満場一致で取得。 

 全日本学生音楽コンクール、浜松国際ピアノアカデミーコンクール、フンメル国際ピアノコンクール他 入賞多数。
これまでストレーザマッジョーレ湖音楽祭、都民芸術フェスティバル、ラフォルジュルネ「熱狂の日」 エリアコンサートなど国内外でソリストとして出演する他、モルドヴァ共和国ナショナルオーケストラ、 スロヴァキアfヒルハーモニー管弦楽団、日本フィルハーモニー交響楽団と共演。
また国際的に活躍する多数の音楽家と室内楽での共演、福祉施設や学校訪問コンサートなど 積極的な活動を展開する傍ら、コンクール審査や昭和音楽大学にて後進の指導も行っている。 

パリ・サルコルトー、ブルージュ・サンボネ劇場など海外での演奏活動も継続し、イタリア国営テレビ RA13、スロヴァキアFMに出演。‘08年デビューCDが「レコード芸術」誌準推薦盤に選出。
これまでにピアノを鬼村弘子、鍵岡眞知子、深沢亮子、有賀和子、F.スカラ、L.マルガリウス、 B.ペトルシャンスキー、故G.ムニエ、M.リビッキー、J.Mルイサダ各氏に、フォルテピアノを S.フィウッツィ氏に、室内楽をG.マルティーニ氏に師事。
 日本演奏連盟、全日本ピアノ指導者協会(PTNA)、日本ショパン協会、日本・ロシア音楽家協会各 正会員。 


♪演奏予定曲目♪

 ★モーツァルト:グラスハーモニカのためのアダージョハ長調 K.356(617a)

★モーツァルト:ソナタ第11番イ長調「トルコ行進曲付き」 K.331(300i)

★モーツァルト:ソナタ第18番ニ長調 K.576

★ドブウェン:ソナタ第2番 Op.10

★武満徹:雨の樹 素描

★リスト:愛の夢 3つのノクターン S.541 R.211

★グレー=リスト:ファウストワルツ S.407R.166

 

 


♪リサイタルの後、パーティを予定しています。会場は当日ご案内します。 

 


 
●今後の例会のご案内(会場記載のないものはお茶の水クリスチャンセンターです)

  11月15日(土)  西川尚生氏
  12月20日(土)  磯山雅氏
   1月17日(土)  新年会

 

 


♪ 新年会のお知らせ♪

 ◇モーツァルティアン・フェライン新年会出演者募集

   ◎日時     2015年1月17日(土)

   ◎募集内容  お話・・・20分程度
            演奏・・・5分~8分

   ◎条件     モーツァルトに限る

新人の方大歓迎!
 例会出席率良好の方優先です

  ◎お問合せ 
 川口  電話 03-3485-4680
川口  メールアドレス fortuna-h*kuf.biglobe.ne.jp (スパムメール対策です。*を@にかえてください)

 

 


 9月例会(第341回)

 「モーツァルト・即興演奏と創作の間」
 ~西洋音楽における即興演奏の歴史から~
お話   森垣桂一氏
の例会報告は、今回来月の例会との間がないので、 来月レターに掲載いたします。楽しみにして下さい。 

第340回 モーツァルティアン・フェライン例会 2014年9月20日
 
 

 事務局レター【第215号】/2014年9月

 【編集者】澤田義博/笠島三枝子/大野康夫/倉島 収 mozartian_449*yahoo.co.jp  (スパムメールが増えてきましたのでリンクを外しました。お手数ですが*を@に替えて送信願います) 

 

●9月例会(第340回)のお知らせ 

演題:「モーツァルト・即興演奏と創作の間」~西洋音楽における即興演奏の歴史から~ 

   お話: 森垣桂一氏

 日時:2014年9月20日(土)午後2時(午後1時30分開場)

 会場:お茶の水「クリスチャンセンター」(JR「お茶の水」下車・徒歩3分) 

 例会費:¥2500(会員・一般共)


――――― 森垣 桂一氏からのメッセージ

略歴
 東京芸術大学卒業。1975年より、パリ国立高等音楽 院で音楽理論と作曲を、オリヴィエ・メシアン氏等に師 事する。第42回日本音楽コンクール作曲部門第1位受 賞、第27回ヴィオッティー国際音楽コンクール作曲部 門入賞。オーケストラ・プロジェクト’99の作曲者と して平成12年度芸術祭優秀賞受賞。1998年、サン クトペテルブルク音楽院オペラ・シンフォニー指揮科卒 業。ヴラジスラフ・チェルヌシェンコ、ユーリ・ガマレ イ各氏に師事する。東京芸術大学、桐朋学園大学講師を 歴任。現在、国立音楽大学および大学院教授、東京学芸 大学特任教授。 


皆さんは、クラシック音楽における即興演奏をお聴きになったことがありますか。J.S.バッハ、 モーツァルト、ベートーベン、ショパン、リスト等も即興演奏の大家でした。 
 現在、大作曲家がある種のインスピレーションに満ちた即興演奏をして、その傑作が次々に 創り出されていったというようなロマンティックな神話は終わってしまいました。 バロック時代、古典派、ロマン派の即興演奏とは、どのようなものだったのでしょう。 当時の作曲家にとって即興演奏と、楽譜に書かれた作品とはどのような関係に あったのでしょうか。
 即興演奏は「音楽の原点」でした。音楽のテクニックや作曲形式で、即興演奏の実践から発して いないものは一つもないと言えます。今日、クラシック音楽の演奏家が、即興演奏を披露する 機会はなくなりました。なぜ当時は即興演奏が重要だったのでしょうか。 また、どのようにその技術を学んだのでしょうか。
このように重要な即興演奏の歴史を、モーツァルトの時代(古典派)を中心に、バロック時代から ロマン派までを演奏、音源、映像等によりご紹介したいと思います。 

 


 例会後は恒例の懇親会へのご参加をお待ちしております。
会場:「デリ・フランス」お茶の水店/03(5283)3051

 

 

●今後の例会のご案内(会場記載のないものはお茶の水クリスチャンセンターです)

 10月4日(土)上野優子氏 (銀座十字屋ホール)
 11月西川尚生氏、12月磯山雅氏 

 

 


●お知らせ 

事務局よりお知らせ

1、10月4日の銀座十字屋との共催で、ピアニスト上野優子さんのリサイタルが予定されており、 チケットは9月20日の例会で販売されます。奮ってご参加下さい。

 2、夏休みを利用して、会員名簿の更新を行っています。まだ年会費を振り込まれていらっしゃら ない方、一般の方の年会費は、¥5,000となっております。お手続きいただきますよう よろしくお願いします。また退会なさる場合は、一言お知らせいただければ幸いです。

 3、メール会員の皆様で、メールアドレスが変更になり、メールが届かない方がいらっしゃいまし たら笠島までご連絡下さい。

 4、フェラインでは、新規会員を募集しています。是非ともご友人など興味のある方をお誘い いただきたいと思います。ご友人に季刊を差上げたいなどご希望の方には、1部500円でお分け しています。事務局までご連絡下さい。

             事務局 笠島 三枝子 

 

 

 
●7月例会報告( 第339回 /7月5日)

 演題:モーツァルトのオペラにおけるリアリズム
 お話:伊藤 綾 氏 

 伊藤氏は哲学博士で、専門分野は声楽作品における音楽の言葉と関係、拍節法。 現在は横浜市立大学、明治学院大学、慶應義塾大学、東京工業大学、埼玉大学において 非常勤講師として勤務されている。専門家としての興味深い解説を頂いた。


イタリアのオペラセリアから当時の世相を反映したブッファに重心が移っていく過程で、 モーツァルトなりの人間観察がある。ドン・ジョヴァンニはブッファからも逸脱した新しいスタイルである。 ロマン派につながる美学が感じられる。 

 


 1、モーツァルトの主要なオペラ作品におけるテーマ

 ・≪後宮からの逃走≫K384(1782年)…東洋と西洋を比較して、西洋の啓蒙主義を賛美している。 女性の貞操を疑うなど、人間的な感情を舞台で見せてしまう。モーツァルトのオペラの魅力である。 
・≪フィガロの結婚≫K492(1786年)…伯爵が特権を乱用して初夜権の復活を謀るが、 非難される。男性が理想とする従順な女性から進化。
・≪ドン・ジョヴァンニ≫K527(1787年)…自らのフェロモンで女性を誘惑していく。主役なのに悪者、 それでいて魅力があり、人の心を捉えるデモーニッシュなものの魅力がある。自由人でわが道を行く ところが近代的。ドン・オッタービオは模範性だが非人間的であり、ドンナ・アンナは直ちに結婚する ことをためらう。ドンナ・エルヴィーラは失望して修道院へ入ってしまう。ツェルリーナは庶民で 人生経験豊富であり素直に結婚する。
・≪コシ・ファン・トゥッテ≫K588(1790年)…人間はこうしたもの。女性は貞操観念が低いというが、 ためした男性も非道徳的。社会道徳の二重性を指摘。
・≪魔笛≫K620(1791年)…善と悪の表裏一体性
・≪皇帝ティートの慈悲≫K621(1791年)…弱さゆえによる過ちを許してあげること。 

 2、オペラにおける音楽語法

 楽譜や映像を見ながら解説頂いた。
・減七の和音(シ、レ、ファ、ソ♯)はネガティブな事柄を表わす。
 例≪ドン・ジョヴァンニ≫前奏曲と騎士長の石像が「ドン・ジョヴァンニ」と名指しする第2幕第15場 冒頭は類似したメロディーであるが、後者はトロンボーン3本が加わり、減七の和音により一層 不気味さを強調している。
・不安定な音楽(音程、拍節等)は不安定な心理を表わす。
 例≪ドン・ジョヴァンニ≫第2幕第10場ドンナ・エルヴィーラの捨てられたと嘆き歌う場面のアリアは、 胸騒ぎを音楽で表現している。半音階下降の細かい揺れ動く音符は、楽器の音が小さくなり 不安定なアリアで難しい。
・ユニゾンの通じ合う心。
 例≪コシ・ファン・トゥッテ≫第2幕第29場フェランドとフィオルデリージの二重唱「あの方の胸に」 は同じメロディーのユニゾンで歌い、通じ合う心を表わしている。 

 3、≪魔笛≫におけるリアリズム

物語に矛盾性があるが、リアルな人間像があり、興味深い作品である。
・俗物的な「賢者」ザラストロ…権力への顕示欲が強く、6頭の獅子とともに登場する。男尊女卑の 態度があり、教団のメンバーは全て男性である。「女が出しゃばるとろくなことが起こらない」と、 夜の女王を誹謗中傷している。「お前は他の男を大変愛している」とパミーナへの横恋慕がある。 
・3人の童子とは何者なのか?…最初、タミーノとパパゲーノをザラストロから守るために、 夜の女王が遣わした。後にザラストロの名において、魔笛とグロッケンシュピールが返された。 第1幕では夜の女王、第2幕ではザラストロの側につき、よくわからない。タミーノ、パミーナ、 パパゲーノを助ける完全に独立した存在なのではないか。ギリシャ神話やディズニーの手法 として使われる、主人公がピンチになった時、現れてハッピーエンドに導き観客をホッとさせる 役割を果たしているのではないかと考えられる。
・善と悪は表裏一体…一幕ではパミーナを誘拐された夜の女王が被害者で、ザラストロが加害者。 2幕では夜の女王は混乱の元凶であり、ザラストロがそれらを静めていく。パパゲーノは初めから 本質が見えている。「俺は人間で、タミーノも、モノスタートスも同じ人間」と。タミーノは家柄、 地位に弱く、偉いザラストロになびいてしまう。

  力の強いものが善、弱いものが悪、多数意見の方が善、となりがちな人間社会の問題点が 横たわっている。シカネーダーもモーツァルトもそれらを知っていたのではないか?  だから、現代でもモーツァルトのオペラが時代遅れにならないすばらしさがあるのではないか、 と考える。(記載 大野康夫) 

 

 

 

 

 ●例会・懇親会 写真コーナー

 今回の懇親会場は、いつもの「デリ・フランス」お茶の水店に戻り、趣旨に賛同する有志一同で、講師の 伊藤綾氏を中心に飲み会に早変わり。ビールで乾杯後、楽しく質疑・応答、懇親が行われた。 懇親会においては、皆さん元気いっぱい、話題も豊富で、楽しい賑やかなひとときを過ごすことが 出来た。

     なお、写真を削除して欲しい方がおられたら、直ぐに担当宛てメールして頂くか、電話でもよいので、 いつでも連絡して欲しいと思います。削除するのは実に簡単なので、作業は直ぐ実施します。 

  なお、写真が欲しい方は、原版はHP担当の倉島が全て保管していますので、例えば、懇親会4列 の右側の写真の場合は、例えば、 懇上から4・右と言うように写真を特定して、 下記にメールしていただければ、次回例会までにお届けするようにしたします。ただし、恐縮ですが、 Lサイズで30円/枚のご負担をお願い致します。

 容量不足のため、09年の3年前の写真から、順番に削除しています。

お問い合わせ:ホームページ担当;倉島 収: メールはここから            トップに戻る

 
 

第339回 モーツァルティアン・フェライン例会 2014年7月5日
 
 

 事務局レター【第214号】/2014年7月

 【編集者】澤田義博/山崎博康/川口ひろ子/笠島三枝子/大野康夫/倉島 収 mozartian_449*yahoo.co.jp  (スパムメールが増えてきましたのでリンクを外しました。お手数ですが*を@に替えて送信願います) 

 

●7月例会(第339回)のお知らせ 

演題:モーツァルトのオペラにおけるリアリズム

  お話:伊藤 綾氏

 日時:2014年7月5日(土)午後2時(午後1時30分開場)

 会場:お茶の水「クリスチャンセンター」(JR「お茶の水」下車・徒歩3分) 

 例会費:¥2500(会員・一般共)


――――― 伊藤 綾氏からのメッセージ

略歴
 山形大学教育学研究科修士課程修了(教育修士)
ドイツ、カールスルーエ大学人文学研究科博士課程修了(哲学博士)
 専門研究分野は声楽作品における音楽と言葉の関係、拍節法。
 現在は、横浜市立大学、明治学院大学、慶應義塾大学、東京工業大学、埼玉大学において 非常勤講師として勤務。 

オペラは1600年の成立当初から、悲劇であれ喜劇であれ善悪が明確に書き分けられ、道徳的な内容 であることが通例でした。
 18世紀に入るとそれは啓蒙思想とあいまって、より理想化された人間や社会が描かれるようになりま す。
しかしそのような時代にありながら、モーツァルトのオペラの多くは、人間および社会の多面性を描き、 単純に善悪に分けることができない世の中の現実を暗示しています。
 本講演では、その「曖昧さ」をモーツァルトがいかに表現したのかを、彼のオペラ作品における言葉と 音楽の関係から分析し、そこからロマン主義の萌芽についても考察してみたいと思います。 

 


 例会後は恒例の懇親会へのご参加をお待ちしております。
会場:「デリ・フランス」お茶の水店/03(5283)3051

 

 

●今後の例会のご案内(会場記載のないものはお茶の水クリスチャンセンターです)

 8月お休み
9月20日(土)森垣桂一氏
 10月4日(土)上野優子氏 (銀座十字屋ホール)
 11月西川尚生氏、12月磯山雅氏 

 

 


●お知らせ 

会員へのお知らせ

 ♪今月は例会の前に恒例の会員総会を開催いたします。
  時間:12:30~13:30。
  内容は
  1.会計報告
   2.2013年度活動報告
   3.2014年度、15年度の活動予定
   4.新役員のご承認
   5.その他

 「7月例会開始前に会員総会を開催いたしますので、奮ってご参加下さい。
 例年参加会員が少ないので、今年は多くの会員の方のご出席をお願い致します。
 会長 澤田 義博」 

 

 

 
●6月例会報告( 第338回 /6月14日)

 演題:<モーツァルトが愛したピアノ  シュタインとヴァルター聴き比べ>
ピアノとお話:久元祐子氏 

  ことしのレクチャー・コンサートは立川市のセレモアコンサートホール武蔵野で行われました。
 今回はモーツァルトが活躍した時代のピアノフォルテ2台による生演奏が味わえる極めてユニークな 企画です。

 

 使用楽器はモーツァルトの父レオポルトの故郷アウグスブルクのヨハン・アンドレアス・シュタインが 制作したモデル(1788年)とウィーンのアントン・ヴァルターが制作したモデル(1795年)。
いずれも忠実に復元したもので、18世紀後半の世界にタイムスリップし、当時の演奏会に立ち会ったか のような貴重な機会となりました。
 案内にある先生のコメントによると、当時は鍵盤楽器が大きく変わろうとしていた時期。1777年に、 シュタインの工房を訪ねて最先端のピアノフォルテの性能に驚愕したモーツァルトですが、ウィーンに 移り住んで自ら購入したのはヴァルターのピアノフォルテでした。
 実際に彼が演奏に使用した楽器は1781年頃に制作されたと考えられているそうです。今回の2台は ほぼそうした時期に重なります。

 

サロン風の会場だったこともあり、モーツァルトの奏でたであろう繊細にして優美かつ典雅な響きを 間近に堪能することができ、至福の時間でした。
なによりも、モーツァルトの魂が乗り移ったような先生の演奏のおかげであることは言うまでもありま せん。
 楽器、楽曲にまつわるエピソード、説明の数々も、いつものさりげないユーモアを交えた先生のトークで、会場は何度も笑いに包まれました。

  ピアノフォルテは鍵盤の深さが現代のピアノの半分とのこと。それゆえ、タッチも微妙に異なります。 それらを軽やかに弾きこなす先生は極めて稀有な演奏家ではないでしょうか。
 18世紀と21世紀とをつなぎ、当時の豊かな響きを蘇生させて今の時代に送り届ける重要な役割も 果たしていらっしゃることを感じました。
シュタインは40年以上前の制作。ヴァルターは2年ほど前とのこと。歳月とともに熟成を重ねると、 響きも深みを増していきそうです。そうした魅力を追求する先生のますますのご活躍を願ってやみま せん。 

 鑑賞した作品は以下の通りです。
▽モーツァルト 幻想曲(久元祐子補筆)ニ短調 K397
▽クレメンティ ソナタ op47-2 第1楽章
▽モーツァルト ボーマルシェの「セヴィリアの理髪師」のロマンス、私はランドールの主題による
変奏曲 変ホ長調 K354
▽モーツァルト ロンド ニ長調 K485 (解説)
▽モーツァルト ピアノ・ソナタ K331 イ長調 


  プログラム前半の3曲はシュタインのピアノフォルテ、後半はヴァルターのピアノフォルテで行われ、 最後のピアノ・ソナタ(トルコ行進曲付き)は第3楽章をヴァルターのあと、シュタインでも弾いてくださり、 まさに聴き比べの饗宴でフィナーレを飾りました。

 各曲に関する先生のお話の概要は以下の通り。

モーツァルトは21歳の時にシュタインの工房で接したピアノフォルテに大感激していかに優れているが 父親に長い手紙(1777年10月17日付)を送っている。
 「強く叩いたときはたとえ指を残しておこうと上げようと、ぼくが鳴らした音は一瞬にして消えてくれ ます。どんなふうに鍵盤に触れようと音は常に一様です」と。とりわけ、エスケープメントに着目した。
これはタッチをして、それを逃してくれる、次のタッチに行けるようにする機能。ピアノの原型は1770年 頃にイタリアのクリストーフォリが発明したといわれて、この楽器はグラーヴェチェンバロ・コル・ピアノ・ エ・フォルテ(gravecembalo col piano e forte)、強音、弱音の出る大型のチェンバロと呼ば れた。
これを改良したのがドイツのジルバーマン。その甥のところで修業したのがシュタインだった。 

 幻想曲 ニ短調 K397 自筆譜が残っていない。何の目的で誰のためにつくったのか資料も ない。 初版譜は中途半端に終わった形のままだったため、出版社がモーツァルトの死後、最後の10小節を 勝手に付けて出版した。お馴染みの補筆部分はモーツァルトにはあずかり知らぬこと。今日はためし に「久元祐子補筆」ということで演奏した。たのしい終わり方ではなくて、もうひとつの有名なハ短調の ファンタジー、K475の終わり方を使って終わらせた。珍しい演奏。 

クレメンティ ソナタop47-2 第1楽章  モーツァルトは自分の楽器を持たない音楽家だった。 その彼を助けてくれたのが下宿先のウェーバー家にあるチェンバロ、そしてトゥーン伯爵夫人の 持っているシュタインのピアノフォルテを借りて、演奏会に出ていた。
 1781年のクリスマス・イヴに、ヨーゼフ2世が彼を宮廷に呼び弾き比べをさせた。
 相手はイタリアの人気作曲家クレメンティ。モーツァルトにとって非常に脅威だったかもしれないが、 この腕比べはモーツァルトの圧勝だったといわれている。その理由は、クレメンティが当時チェンバロ を主に使い、ピアノフォルテにはまだ慣れていなかったのに対し、モーツァルトは普段から使い慣れて いるので、最初から分があったとも言える。
モーツァルトはクレメンティを「趣味も感情のかけらもありません。単なる…いかさま師です」と評したが、 これは言い過ぎでは?冒頭のメロディーは「魔笛」の序曲にちゃっかり使っている。自分の地位を 脅かすかもしれない才覚を持った作曲家として評価していたのかもしれない。
 今ではこの作品は「魔笛」ソナタと言われている。

ボーマルシェの「セヴィリアの理髪師」のロマンス、私はランドールの主題による変奏曲 変ホ長調  K354 人生で最初に挫折を味わったパリ滞在だったが、いくつかの名曲のほか、当時流行っていた メロディーを基に変奏曲を作り、味付け、盛り付けの妙で楽しませた。
 弾き比べ対決ではこの曲を使ったといわれる。12の変奏は3という数字にこだわっていたこともあって、 4つずつきれいに分かれる、それぞれにワンセクションの4曲目で一つの山場を迎える。
 4曲目では交差をする。当時は5オクターブしかないため、難しいテクニックが要る。光と影を対比させ、 華やかなもののあとに短調で陰りをつくる。

 

ヴァルターのピアノフォルテを復元したのはウルバーノ・ペトロゼッリというイタリア人の制作者。美しい 楽器をつくることで知られている、側板は象嵌でできている。現在はあまりいい木材はないが、父親の 代からストックしている良い材料を使っている。ワルターはシュタインに比べすこし楽器が頑丈になって いて、大きな音が出る。一番大きな特徴はバックチェック機能が付いていること。ハンマーが打ち上げ たあと2度打ちになる可能性がシュタインにはあるが、それを防ぐ機能がヴァルターにある。そのため に非常になめらかな動きが正確に出せる。楽器はこちらに来て2年。楽器としてはこれから鳴ってくる と思う。 

ロンド ニ長調 K485 モーツァルトは年を追うごとにピアノフォルテへの熟練度を増し、細やかな ニュアンスも出せるようになっていく。よく「移ろいの美学」と言われるが、ロンドは一つのメロディーが 何回もまわってくる、少しずつ色を変えながら。 最初はニ長調K485。祝祭的な雰囲気の曲を書くときにニ長調を使う。それがロ短調になり、同じ リズムを使っていながら光の部分が影になる。違う調が出てくることで人の心に違う印象を与える、 心を動かすずば抜けた才覚をモーツァルトは持っていた。 

ピアノ・ソナタ イ長調 K331 ウィーンで最初に書いたオペラはトルコを舞台にした「後宮からの 誘拐」。これはそのピアノ・バージョン。第3楽章はアレグレット(やや快速に)という表示をしている。 その理由は今もって分からないが、比較的易しいソナタとして愛好家の方にも聴いていただけます ようにという願いを込めて楽譜を出版したという説も。あるいは細かなニュアンスを出してほしいと いう意図か。ソナタの第1楽章が変奏曲という形式はほんとうに画期的。
 第1楽章はアンダンテ・グラジオーゾ。アンダンテにどういう言葉が付くかによって雰囲気が変わる。 これは「優雅に」。最後にトルコマーチで勇ましくなる曲の出だしとして優雅に、勇ましいのとは対照的 な雰囲気で始めてほしいということだろう。 

シュタインは若いモーツァルトが弾けたような感じ。ヴァルターのほうは晩年の円熟した世界を表現 するのに合わせた楽器と感じる。(文責 山崎博康) 

 

 

 

 


●例会・懇親会 写真コーナー


 今回の懇親会場は、立川駅北口伊勢丹裏のイタリアンレストラン「ウエストエンド」に集まり、趣旨に 賛同する有志一同で、講師の久元祐子氏を中心に飲み会に早変わり。ビールで乾杯後、楽しく質疑・ 応答、懇親が行われた。懇親会においては、皆さん元気いっぱい、話題も豊富で、楽しい賑やかな ひとときを過ごすことが出来た。

     なお、写真を削除して欲しい方がおられたら、直ぐに担当宛てメールして頂くか、電話でもよいので、 いつでも連絡して欲しいと思います。削除するのは実に簡単なので、作業は直ぐ実施します。 

  なお、写真が欲しい方は、原版はHP担当の倉島が全て保管していますので、例えば、懇親会4列 の右側の写真の場合は、例えば、 懇上から4・右と言うように写真を特定して、 下記にメールしていただければ、次回例会までにお届けするようにしたします。ただし、恐縮ですが、 Lサイズで30円/枚のご負担をお願い致します。

 容量不足のため、09年の3年前の写真から、順番に削除しています。

お問い合わせ:ホームページ担当;倉島 収: メールはここから      写真はこちらをクリックして下さい。

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