第355回 モーツァルティアン・フェライン例会 2016年1月16日
事務局レター【第230号】/2016年1月
【編集者】澤田義博/石津勝男/川口ひろ子/高橋徹/笠島三枝子/大野康夫/倉島 収 mozartian_449*yahoo.co.jp (スパムメールが増えてきましたのでリンクを外しました。お手数ですが*を@に替えて送信願います)
●1月例会(第355回)のお知らせ
モーツァルティアン・フェライン新年会
日時:1月16日(土)午後2時 (午後1時30分 開場)
会場:お茶の水「クリスチャンセンター」(JR「お茶の水」下車・徒歩3分)
例会費:¥2000(会員・一般共)
「出演順ではありません」
第1部 お話しの部
1 沢田義博 新年のご挨拶 今年も宜しくお願い申し上げます。
2 伊藤 敬 私のモーツァルト モーツァルトのイタリア旅行やオペラのあれこれについてお話します。
3 中村 澄枝 今、サロンコンサートの時代。音楽を愛する人のための場所・原宿カーサ・モーツァルトのこと。
4 山崎 博康 季刊100号(2017年3月)記念特集版の準備を開始します。皆様のお知恵を貸して下さい!
第2部 演奏の部
1 渡辺 勝 ピアノ独奏 ピアノソナタハ長調K439b 第1楽章 編曲もしました。
2 大野 康夫 ギター独奏 ギターで弾くモーツァルト ロンドン楽譜帳よりK15mm、 K492恋とは他
3 笠島三枝子 ソプラノ独唱 魔笛K620夜の女王のアリアNo4「ああ、恐れおののく・・・」 伴奏真部淳
4 田中 進 バリトン独唱 K524 クローエに ピアノ伴奏 真部淳
5 笠島・田中 二重唱 喜劇的二重唱「いざ、いとしきおとめよ・・・」 ピアノ伴奏 真部淳
6 真部 淳 レクイエム雑考 CDとピアノ演奏を伴ったミニトーク
7 松永洋一 バス独唱 フィガロの結婚より「若し踊りをなさりたければ・・・」 他 ピアノ伴奏真部淳
曲目は変更することがあります。
司会と設営 石津勝男
司会とオーデオ 倉島 収
企画進行 川口ひろ子
例会後は恒例の懇親会へのご参加をお待ちしております。
会場:「デリ・フランス」お茶の水店/03(5283)3051
●今後の例会のご案内(会場記載のないものはお茶の水クリスチャンセンターです)
2月27日(土) 伊藤 綾氏
3月26日(土) 森垣桂一氏
4月30日(土) 田辺秀樹氏
●お知らせ (重要)
来年度より会計の仕事軽減のため、フェラインの年会費をフェラインの銀行口座へお振込みいただくように現在準備をすすめています。
郵便局の現在の口座は、平日の営業時間内で ないと取扱いが出来ないため、会計の高橋さんが大変ご苦労されました。
振込手数料をご負担いただくことになります。今まで通り例会の会場でも年会費を受け付けます。
モーツァルトを愛する皆様と共にモーツァルトのためにフェラインの活動は、すべてボランティアで行われています。皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
モーツァルティアン・フェライン事務局
笠島 三枝子
●12月例会報告( 第354回 /12月19日)
演題ピアノを伴う室内楽曲の楽しみ ~モーツァルトのピアノ三重奏曲をめぐって
お話:石津勝男(本会副会長)
この度の講演の要旨を報告致します。
〈はじめに〉
標題のピアノ三重奏曲についてお話をする前にその先がけとなったピアノ四重奏曲、五重奏曲の存在がある。1784年、モーツァルトは演奏家、作曲家として人気の絶頂にあった。ブルク劇場で自ら主催した公開演奏会でピアノ協奏曲K450やK451と共に新作のピアノと木管のための五重奏曲変ホ長調K452が演奏されたがこれはモーツァルト自身「今までに書いた最良の作品」と語り、大変な評判を得た。次のピアノ四重奏曲ト短調K478は、Aアインシュタインが「運命的なモティーフ」と名付けた様にドラマティックで緊密な内容をもつ。しかし注文主のホフマイスターが一般の大衆にはむずかしすぎると難色を示したので、モーツァルトは自ら契約を破棄してしまった。
翌年に作曲された変ホ長調K493は前作に比べて肩の力を抜いた作風でのびやかな美しさがあるが決して平板ではなく両作品と共に新しい響きの可能性を追求している。しかしこの作品はアルタリア社から出版することになった。以上のピアノを伴う室内楽曲は、ピアノと管楽器又は弦楽器が親密な対話を交わす新しいジャンルを創作し始めたのである。
〈モーツァルトをとりまく音楽的環境について〉
a)演奏会での活動
モーツァルトは1781年からウィーンに定住したが、フリーランスでこの帝都で生計を立てていくのは容易ではなかった。オペラなどの作曲のほかに公開型や私的演奏会でピアノ奏者として演奏、貴族や裕福な子女たちのピアノ教師などが収入源であった。
b)楽譜出版社、写譜工房
貴族や市民階段において家庭音楽が盛んになったのでアマチュア音楽家のためにホフマイスター社やアルタリア社など次々開業を始めたが、印刷譜の普及にもかかわらず従来通り手書き楽譜も流通していた。
c)モーツァルトの晩年の経済状況と借金問題
1788年以降の作品を語る上でこの問題に触れないわけにはゆかないが、詳しくはまだ議論の余地があり謎も多い。但し従来伝えられている様に貧困のうちに生涯を終えた「悲劇の天才」というイメージとは少し違う様である。裕福な商人で友人でもあったプフベルクに宛てた借金を申し込む手紙の内容は確かに悲痛なほど切実感がある。この様な状況に陥った原因の一つに例えば住居に関しては節約しているものの生活水準は落とせないことや、他にも出費が多かったことが挙げられている。
〈モーツァルトのピアノ三重奏曲について〉
このテーマについてはザルツブルグ時代のK254とウィーン時代の1786年の3曲、1788年の3曲が完成作といわれるが、私は2年前の季刊誌第86号(2013年9月号発行)に総論と各曲の説明や感想を述べてある。この度の講演ではその時の拙文を参考にさせて頂いた。
今回はモーツァルトが何のために、誰のためにこれら三重奏曲を書こうとしたのかという疑問からスタートしました。
a)ピアノ三重奏曲変ホ長調「ケーゲルシュタット・トリオ」K498
「九柱戯」に興じながら作曲したというエピソードに由来しているが詩人で作家のピヒラーが語るように親しい集いのために作曲した説が有力である。ジャカンの妹のフランチェスカのピアノ、友人のA・シュタードラーのクラリネットそしてモーツァルトのヴィオラで家庭的な団欒の折に演奏され「親密さ、愛、友情、芸術の作品」であるとアインシュタインはとらえている。
1786年に作曲されたK496やK502も同様の目的で作曲され演奏されたと推測されている。
b)1788年の3曲(K542、K548、K564)
この頃、モーツァルトはウィーン郊外の「三つ星の家」と称される静かで環境の良い館に移住する。そこでは3大交響曲やディヴェルティメントK563の様な後世に残る傑作が生まれたが、その間にあまり知られていないピアノ三重奏曲も3曲されていた。これらはプフベルク家での演奏が目的だったが、その頃、彼への借金の申込の手紙と共にこの音楽会へのお誘いの文章もある。
今回の私からのお話の間にこれらの曲をCDやDVDで鑑賞していると晩年のモーツァルトの親しい友人たちとの親密さや友情が伝わってくるようでありました。
ご静聴頂き、心から感謝申し上げます。
使用CD:
ピアノ五重奏曲K452、ブレンデル(ピアノ)と管楽奏者(Ph)
ピアノ四重奏曲K478、K493、ボザール・トリオとB・ジュランナ(ヴィオラ)(Ph) ケーゲルシュタット・トリオK498 A・シフ(ピアノ)と仲間たち(ワーナークラシック)
ピアノ三重奏曲K496、K548 L・クラウス、ボスコフスキー、O・ヒューブナー仏・DF盤(CDRに転写)
使用DVD ピアノ三重奏曲 K542 A・S・ムター(Vn)、A・プレビン(ピアノ) D・ミュラーショット(チェロ)独DG(DVD)
ピアノ三重奏曲K502 平野玲音(チェロ)とドイツの演奏家たち(バーデン・ライブ)DVD
参考CD:ディヴェルティメントK563パスキエ・トリオ(エラート、ワーナーミュージック)
(文責 石津勝男)
●例会・懇親会 写真コーナー
今回の懇親会場は、いつもの「デリ・フランス」お茶の水店に戻り、趣旨に賛同する有志一同で、講師の 石津 勝男氏を中心に飲み会に早変わり。ビールで乾杯後、楽しく質疑・応答、懇親が行われた。 懇親会においては、皆さん元気いっぱい、話題も豊富で、楽しい賑やかなひとときを過ごすことが 出来た。
なお、写真を削除して欲しい方がおられたら、直ぐに担当宛てメールして頂くか、電話でもよいので、 いつでも連絡して欲しいと思います。削除するのは実に簡単なので、作業は直ぐ実施します。
なお、写真が欲しい方は、原版はHP担当の倉島が全て保管していますので、例えば、懇親会4列 の右側の写真の場合は、例えば、 懇上から4・右と言うように写真を特定して、 下記にメールしていただければ、次回例会までにお届けするようにしたします。ただし、恐縮ですが、 Lサイズで30円/枚のご負担をお願い致します。
容量不足のため、09年の3年前の写真から、順番に削除しています。
お問い合わせ:ホームページ担当;倉島 収: メールはここから
第354回 モーツァルティアン・フェライン例会 2015年12月19日
事務局レター【第229号】/2015年12月
【編集者】澤田義博/石津勝男/川口ひろ子/高橋徹/笠島三枝子/大野康夫/倉島 収 mozartian_449*yahoo.co.jp (スパムメールが増えてきましたのでリンクを外しました。お手数ですが*を@に替えて送信願います)
●12月例会(第354回)のお知らせ
演題 「クラヴィーアを伴う室内楽の楽しみ」 ~モーツァルトのピアノ三重奏曲をめぐって
お話:石津勝男氏(本会副会長)
日時:2015年12月19日(土)午後2時( 12時20分開場)
会場:お茶の水「クリスチャンセンター」(JR「お茶の水」下車・徒歩3分)
例会費:¥1500(会員・一般共)
――――― 〈お話の内容について〉
モーツァルトの室内楽曲の中で、比較的地味な存在であるピアノ三重奏曲、しかし完成作といわれる7曲の中でもピアノ協奏曲風の華やかさをもつK502や三大交響曲の前後に作曲されたK542、K548などを聴くといずれも親しみやすく魅力に満ちていることに気付かれることと思います。その少し前に作曲された2曲のピアノ四重奏曲との関係や時代背景、モーツァルトの友人達との関係を探り皆様と共にピアノ三重奏曲の楽しさを再認識してみます。
珍しいCDのほかにA・ゾフィー・ムターとA・プレビンらによる演奏のDVDも用意してありますのでご期待下さい。
●会員総会のお知らせ
12月の例会前に年次会員総会を開催いたします。積極的にご参加下さい。
日時:12月19日(土) 12:30-13:30
場所:クリスチャン・センター内、例会開催予定の部屋
議題:会計報告、新役員の紹介、例会、その他行事について、等々
例会後は恒例の懇親会へのご参加をお待ちしております。 会場:「デリ・フランス」お茶の水店/03(5283)3051
●今後の例会のご案内(会場記載のないものはお茶の水クリスチャンセンターです)
1月16日(土) 新年会
2月27日(土) 伊藤 綾氏
●11月例会(第353回)報告
♪下山静香ピアノリサイタル(2015年11月21日)
ピアノ演奏ではスペイン音楽、中南米音楽に軸足を置いて活動する傍ら、書評や楽譜の校訂等の執筆や大学講師としてもご活躍の下山静香さんを迎え、ピアノリサイタルが開催された。フェライン例会への登場は3回目となる今回は前半モーツァルト、後半はモーツァルトの音楽を高く評価していたプーランク、そのプーランクが無人島に持って行きたい音楽として挙げた5人の作曲家のうちの一人シューベルトの曲でプログラムを構成。場所はフェラインゆかりの原宿カーサ・モーツァルト、約100年前に製作されたベヒシュタインピアノによる演奏となった。
最初はアダージョ ロ短調 K540でスタート。この曲は、1788年に作曲されているが、注文により作曲する事が多かったモーツァルトにしては珍しく動機が不明である。この事が晩年の貧窮状態と相まって、聴く者には深い暗さや捉えどころのない不安な気持ち、悲しさといった感情を一層増長させるようである。下山さんの演奏は、特段深刻ぶる事なく自然な演奏スタイルで、ベヒシュタインの透明感溢れる音色によって「冷たさ」の表現に成功していた。モーツァルトが悲しいのではなく、下山さんが悲しいのでもない、慰めのない悲しさの本質に触れた気がした。
2曲目はロンド ヘ長調 K494である。1786年作曲のこの曲はロンド単独として1787年に出版されているが、1788年にホフマイスターから出版されたピアノソナタ(K533)の終楽章として27小節付け加え仕上げられた。1曲目とは対照的にチャーミングな曲で、一息つけるような感覚である。大部分を鍵盤の高いところで弾き、下山さんの演奏は繊細さと軽さが際立ち、まるでフォルテ・ピアノの演奏を聴いているようであった。
3曲目はピアノソナタ 変ロ長調 K333である。以前は1778年パリでの作曲とされてきたが、現在ではプラート/タイスンの自筆譜筆跡、透かし模様の研究結果により1783年作曲と考えられている。モーツァルトのピアノソナタでは正しく円熟の作であり、最高傑作と評価する方も多い逸品である。下山さんはすでに「PERLA」という素晴らしいオールモーツァルトのCDをリリースしておられるが、次の機会には是非K333を入れたいと演奏前にコメントされていた。プログラム前半の見せ場である。第一楽章はソナタ形式の提示部から気取らず、控え目な始まり方であるが、どこを取っても楽しげな希望に満ちた旋律に溢れている。ところが展開部に来ると対照的に驚く程荒々しい。下山さんは、この対比を鮮やかに表現していた。第ニ楽章は非常に優しく情緒溢れる音楽であるが、展開部では半音階的手法によって緊張感が高められる。終楽章は3つのエピソードによるロンドである。そして最後のエピソードは素晴らしい効果を発揮するカデンツァへと開花する訳だが、下山さんの演奏はショウピースとしてのこの曲の価値を明らかにする熱演であった。
約10分の休憩を挟み再開された後半はプーランクの即興曲から第7番。1933年作曲。ハ長調4分の4拍子。途中4分の2拍子、4分の3拍子に変化する個所があったり、適度な半音の使用など色彩豊かな音楽でフォーレに似た感じがある。第10番「音階賛」は1934年作曲。ヘ長調4分の4拍子。3つの声部からなり、それぞれが前半で主に音階を扱っている。音階の響きの違いが大変面白い。第12番は「シューベルト賛」1941年作曲。変ホ長調。ワルツを用いる事でシューベルトを讃えている。下山さんはこの3曲を続けて演奏し、プーランクの多彩な音楽の魅力を凝縮して伝えてくれた。ここでも、ベヒシュタインの美点である輝かしい中音、高音が非常に効果をあげており作曲当時の雰囲気を想像する事ができた。
次は、シューベルトの「楽興の時」D780 1823年~1828年作曲。6曲構成のピアノ曲である。第1番ハ長調で始まり、第2番は変イ長調8分の6拍子。嬰ヘ短調のエピソードが2回挿入されるが、下山さんの演奏では2回目のやや激しい表現が印象に残った。第3番はラジオ番組のテーマに使用されるなど一番有名である。ヘ短調4分の2拍子。第4番は嬰ハ短調4分の2拍子。右手の無窮動の旋律と単調な伴奏が特徴。中間部は変ニ長調の伸びやかな旋律が聴かれる。第5番ヘ短調4分の2拍子。行進曲風の主題で劇的な要素を含んだ曲である。下山さんの演奏も一層熱を帯びていた。第6番は変イ長調4分の3拍子の間奏曲。落ち着いた雰囲気のメロディーが続く。下山さんは時には力強く、時には優しく最後を惜しむかのように演奏していた。
大きな拍手の中、一旦退場された下山さんを更なる拍手で迎えてのアンコールとなった。 シューベルトの「3つのピアノ曲」D946 1828年シューベルト死の年の曲である。死後、忘れられていたが、ブラームスがその価値を認め1868年に出版している。
アンコールはその中から第1曲変ホ短調。情熱的なタランテラの主題が印象的な曲である。中間の華やかな音階の部分との対比が素晴らしく、印象に残る曲であった。最後を締めくくる素晴らしい演奏に拍手が鳴りやまなかった。
その後は、質問コーナーで、素足のピアニスト誕生秘話、椅子の高さ、座面の材質と音の違い等を気さくにお話頂いた。全体的には、プログラムが非常に魅力的であった事、特徴あるピアノを上手にコントロールして独特の世界を表現していた事などで会員一同楽しませてくれた事に感銘を受けた。
参考文献:モーツァルト全作品事典(ニール・ザスロー著)他
(文責:高橋 徹)
第353回 モーツァルティアン・フェライン例会 2015年11月21日
事務局レター【第 228号】/2015年11月
【編集者】澤田義博/石津勝男/川口ひろ子/笠島三枝子/大野康夫/ 倉島 収 mozartian_449*yahoo.co.jp (スパムメールが増えてきましたのでリンクを外しました。お手数ですが*を@に替えて送信願います)
●11月例会(第353回)のお知らせ
♪下山 静香 ピアノリサイタル♪
日時:2015年11月21日(土)午後2時開演(午後1時30分 開場)
←土曜日です! 開始時間に注意!
会場: 原宿 カーサ・モーツァルト (JR山手線「原宿」徒歩5分、東京メトロ千代田線「明治神宮前」徒歩2分
ラフォーレ原宿裏東京中央教会前 電話03-3402-1756
例会費:¥3500(会員・一般共)「自由席 当日券あり 会員以外の方も大歓迎」
主催 モーツァルティアン・フェライン
お問い合わせ 090-2223-8101(澤田) 090-5191-3404(石津)
チラシ:その1
――――― プログラム
モーツァルト
● アダージョ K.540
● ロンドK.494
● ソナタ K.333
プーランク
● 即興曲第7番
● 第10番[音階讃]
● 第11番[シューベルト讃]
シューベルト
● 楽興の時D.780
曲目は変更になることがございます。
先生のコメント
再びモーツァルティアン・フェラインの例会にお招きをいただき、嬉しく思っております。モーツァルトは、いま一番弾きたい曲を選びました。後半は、「音楽でモーツァルトに勝るものはない」と語ったプーランクと、彼がモーツァルトを筆頭に「無人島に持っていきたい音楽」として挙げた5人の作曲家のうちの一人、シューベルトを演奏します。《楽興の時》というタイトルから、モーツァルトを連想するのは私だけでしょうか。ベヒシュタインピアノのある、 その名も「カーサ・モーツァルト」でお待ちしております。
下山静香 プロフィール
桐朋女子高等学校音楽科、桐朋学園大学卒業。同室内楽研究科修了。99年、文化庁派遣芸術家在外研修員としてマドリードへ。故R.M.クチャルスキのもとで研鑽。
その後バルセロナのマーシャル音楽院にて、C.ガリガ、故C・ブラーボ、故A.デ・ラローチャに師事。マドリード、アランフェス、バルセロナほかに招かれリサイタルを行い、「スペインの心を持つピアニスト」と賞される。
ソロのほか、室内楽・二重奏も重要な活動軸とし、あらゆる楽器と質の高いアンサンブルを実現することに定評がある。これまでにウィーン・ヴィルトゥオーゾ、チェコフィルハーモニー六重奏団、S.フッソング(acco).M.ホッセン(vl)、A.ニクレスク(vc)、R.シメオ(trp)など数々の海外アーティストと共演。06年、スペインと中南米の室内楽を紹介する主宰コンサートシリーズを開始、これまでにない斬新な切り口が話題となっている。
録音活動歴も長く、NHKスペシャルやドラマ、美術展などにおいてピアノ演奏を数多く担当。また、NHK-BSプレミアム「クラシック倶楽部」、NHK-BS「ぴあのピア」、NHK・Eテレ「ららら♪クラシック」、TBS-BS「本と出会う」、NHK・FM「土曜リサイタル」「名曲リサイタル」、フランス国営放送ラジオなどに出演している。
現在、幅広いレパートリーで精力的な演奏活動を展開するかたわら、翻訳・執筆・朗読・・・とそのフィールドは進化し続けている。執筆分野は、共編著書1冊、共著7冊、翻訳書1冊、解説・校訂楽譜2冊のほか、新聞や月刊誌における書評、エッセイなどオールマイティに手がける。2012年より、NPO法人JMLセミナーにて「スペイン音楽演奏講座」を開講。桐朋学園大学音楽学部、東京大学教養学部 各非常勤講師。
★CD:《アランフェス》(Virgo/Art Union)《ファンダンゴ》(N&F/Art Union)《PERLA ~マイ・フェイヴァリッツ・モーツァルト~》(molto fine)《アルベニス名曲集》(molto fine)《モンポウ 前奏曲 & プーランク 夜想曲》(fontec) 《ショパニアーナ》(fontec) Official Site/Ameba blog/Facebook
例会後は恒例の懇親会へのご参加をお待ちしております。
会場は「南国酒家」原宿店本館 tel03-3400-0031 カーサ・モーツァルト近くコープオリンピア内
●会員総会のお知らせ
12月の例会前に年次会員総会を開催いたします。積極的にご参加下さい。
日時:12月19日(土) 12:30-13:30
場所:クリスチャン・センター内、例会開催予定の部屋
議題:会計報告、新役員の紹介、例会、その他行事について、等々
●今後の例会のご案内(会場記載のないものはお茶の水クリスチャンセンターです)
12月19日(土) 石津 勝男氏(本会副会長)「クラヴィーアを伴う室内楽の楽しみ」~ピアノ三重奏曲を中心に
1月16日(土) 新年会
2月27日(土) 伊藤綾氏
●モーツァルティアン・フェライン新年会出演者募集
◎日時 2016年1月16日(土)
◎募集内容
お話・・・20分程度
演奏・・・5分~8分
◎条件 モーツァルトに限る 新人の方大歓迎! 例会出席率良好の方優先です
◎締切 2015年11月21日(土)
◎お問合せは
川口 ひろ子 fortuna-h*kuf.biglobe.ne.jp(スパムメール対策です。*を@にかえてください) TEL03(3485)4680
●10月例会の報告(第352回/10月25日)
♪江端 津也子 ピアノリサイタル♪
10月25日(日)に当モーツァルティアン・フェライン会員の江端津也子氏によるピアノリサイタルが開催された。
会場は中野坂上のハーモニーホール。主催:モーツアルティアン・フェライン、後援:公益社団法人日本演奏連盟、日本フォーレ協会。100人以上の参加があった。
演奏楽器はオーストリア・ベーゼンドルファー社製グランドピアノ。
★ W.A.モーツァルト:ピアノソナタ イ長調 K331(トルコ行進曲付)
このソナタは、モーツァルトの全ピアノ作品の中でも、もっともポピュラーな代表的なものである。それは第一楽章の美しさとその優れた変奏技法にも理由があるが、特に終曲のトルコ行進曲のよさのせいもあって、「トルコ行進曲のソナタ」とも呼ばれている。
江端氏は2014年9月にハンガリーのブタペストで発見されたモーツァルトの自筆譜に基づいて演奏された。第一楽章の第三変奏から第二楽章のトリオにかけての 4ページにわたる、この自筆譜の発見は近来稀に見る意義深いものである。特にK.331 のようなメジャーな作品の自筆譜発見なので、尚更である。以前から論争になっていた部分もこれにより、解決した。新旧楽譜を比べてみると明白な違いがある。曲もシャープになっており。テンポ、調性、和音等で明らかに相違点がある。本邦における歴史的な演奏と言っても過言ではない。
★ W.A.モーツァルト:小品 ヘ長調 K.33b
モーツァルトが3年半にわたるパリ、ロンドンへの旅を終えて帰る途中、1766年9月末、または10月はじめ、チューリッヒで作曲したもので、第一部12小節、第二部14小節をそれぞれ反復する二部形式。短いながらもユーモアを感じさせる4分の2拍子の小品。
★ W.A.モーツァルト:グレトリのオペラ「サムニウム人の結婚」の合唱曲「愛の神」による8つの変奏曲 ヘ長調 K352
1781年6月にウィーンで作曲された変奏曲であるが、主題はグレトリのオペラ「サムニウム人の結婚」中の第1幕第7場の「テンポ・ディ・マルチア」で歌われる女声合唱の主題で、原曲はホ長調であった。グレトリはベルギー生まれのオペラ作曲家で、パリで終生した人だが、このオペラは1776年6月12日にパリで初演された。
モーツァルトの作品は2分の2拍子ヘ長調の主題と8つの変奏をもった大変魅力的な変奏曲である。
なお、フェライン会報編集人の山崎さんが季刊第94号のエディターよりで、今回の例会とK352が「驚くべき偶然の一致」と述べられているのが印象的。
15分程の休憩の後、フォーレ、ラヴェルの作品が演奏された。
★ フォーレ:バラード op.19
今年生誕160年を迎えるガブリエル・フォーレのこのバラードは、彼のピアノ曲の中でも長大な曲で、後にオーケストラ付に編曲されている。リストを驚かせたほどの難曲ともいわれる。 江端氏はダイナミックなタッチで、迫力のあるすばらしい演奏をされた。
★ ラヴェル:水のたわむれ
モーリス・ラヴェル29歳の作品で、「水」を表現する斬新なテクニックがちりばめられ、大変人気のある独立したピアノ曲。江端氏はその繊細な表現を丁寧なタッチで演奏されていた。
★ ラヴェル:道化師の朝の歌(「鏡」より)
5曲からなる組曲「鏡」の4番目の曲で、スペインのバスク地方の民族性を感じさせる響きと、速い連打、重音のグリッサンドが際立つ技巧的にも華やかな作品として知られている。
アンコールとして、モーツァルトの歌劇魔笛より「パパゲーノのグロッケンシュピールのアリア」、K1およびシューマンのピアノ曲が演奏された。
全体として、急ぎ過ぎず落ち着いており、安心感のあるレベルの高い演奏と感銘させられた。
モーツァルト作品解説の引用文献:属啓成著「モーツァルトⅢ 器楽篇」1975年12月1日 音楽の友社刊 他
備考:撮影禁止により、江端氏の演奏中の写真はありません。(文責 大野康夫)
●例会・懇親会 写真コーナー
今回の懇親会場のイタリアンレストラン「ドナ」で、趣旨に賛同する有志一同により、 ピアニストの江端 津也子氏を中心に飲み会に早変わり。ビールで乾杯後、楽しく質疑・応答、懇親が行われた。 懇親会においては、皆さん元気いっぱい、話題も豊富で、楽しい賑やかなひとときを過ごすことが出来た。
なお、写真を削除して欲しい方がおられたら、直ぐに担当宛てメールして頂くか、電話でもよいので、 いつでも連絡して欲しいと思います。削除するのは実に簡単なので、作業は直ぐ実施します。
なお、写真が欲しい方は、原版はHP担当の倉島が全て保管していますので、例えば、懇親会4列の 右側の写真の場合は、例えば、懇上から4・右と言うように写真を特定して、 下記にメールしていただければ、次回例会までにお届けするようにしたします。ただし、恐縮ですが、 Lサイズで30円/枚のご負担をお願い致します。
容量不足のため、09年の3年前の写真から、順番に削除しています。
お問い合わせ:ホームページ担当;倉島 収: メールはここから