第360回 モーツァルティアン・フェライン例会 2016年6月11日
事務局レター【第235号】/2016年6月
【編集者】澤田義博/石津勝男/川口ひろ子/笠島三枝子/大野康夫/倉島 収 mozartian_449*yahoo.co.jp (スパムメールが増えてきましたのでリンクを外しました。お手数ですが*を@に替えて送信願います)
●6月例会(第360回)のお知らせ
演題:「モーツァルトのザルツブルク時代の宗教音楽-ミサ曲変ロ長調を中心に」 お話し:樋口隆一氏(国際音楽学会副会長)
日時:2016年6月11日(土)午後2時開演(午後1時30分開場)
会場:お茶の水「クリスチャンセンター」(JR「お茶の水」下車・徒歩3分)
例会費:¥2500(会員・一般共)
――― お話し:樋口隆一氏(国際音楽学会副会長)
例会後は恒例の懇親会へのご参加をお待ちしております。 会場:「デリ・フランス」お茶の水店/03(5283)3051
●今後の例会のご案内(会場記載のないものはお茶の水クリスチャンセンターです)
7月23日(土) 加藤浩子氏(音楽評論家)
8月 夏休み
9月24日(土) 上野優子氏(ピアニスト)原宿カーサモーツァルト
10月29日(土) 平野玲音氏(チェリスト)原宿カーサモーツァルト
●会員総会のお知らせ
7月の例会の前に、13時より会員総会を開催いたします。
皆様の日頃のご意見をフェラインの運営に活かして行きたいと考えています。
多数の会員の方々のご出席をお待ちしております。
会長 澤田義博
●事務局より会員の皆様へのお知らせ
3月季刊誌の中に会費の振込に関する重要なお手紙が入っていました。お読みになりましたでしょうか?
ご理解いただき、まだお振込されてない方、または、例会でお支払いいただいてない方は、振込をお願いいたします。
口座番号がわからない方は、理事までお問い合わせいただきますようよろしくお願いいたします。
お振込いただいた方には、会員証をお渡ししています。
モーツァルティアン・フェライン事務局 笠島三枝子
●5月例会の報告(第359回/5月29日)
久元祐子 レクチャー.コンサート
モーツァルト ピアノ協奏曲27番 K.595
今回のレクチャーコンサートは今年度のフェラインの行事の中でも記念すべきイベントとなった。テーマはモーツァルトの最後のピアノ協奏曲第27番変ロ長調で、久元、伊藤両先生のお話と演奏で、会場は静かな興奮と熱気にあふれた。
今月の例会は
1.久元祐子先生のレクチャー
2.久元祐子先生と伊藤 翔先生の対談
3.久元先生によるピアノ協奏曲第27番変ロ長調の全曲演奏(オケパートは伊藤先生)の3部構成となっていた。
第1部 久元先生のレクチャー
第1楽章 アレグロ:提示部、展開部、再現部が一つの弧を描いているように感じさせられる。出だしの部分からすでに、音楽の力学に沿った、見事な天才の旋律が現れる。 同じ旋律が繰り返し出てくるときに、装飾が加えられたり、変化が現れる。 展開部のクライマックスでは目まぐるしく調がうつろう。
第2楽章 ラルゲット:「自動オルガンのためのアンダンテK.616へ長調」の冒頭や「魔笛」のパパゲーノのアリア「恋人か女房がいたら・・・」のメロディにも似た雰囲気。この楽章では人生の黄昏に消えては浮かぶ数々の記憶のように同じ主題が出現する。晩年のモーツァルトのお気に入りのフレーズと言えよう。
第3楽章 アレグロ:この楽章は特に有名で、後にモーツァルトはK.596としてこの楽章の主題を用いて、「春への憧れ」という歌曲にしている。また、オペラ「コシ・ファン・トゥッテ」のドラべッラのアリアにそっくりなフレーズも出てくる。短調に転調したり、半音階を使用したりし変幻自在に展開されていく。
第2部 久元、伊藤両先生の対談(以下敬称略)
曲についての分析、解釈、お二人のモーツァルト論などが繰り広げられました。指揮者から見たモーツァルト、ピアニストが感じるモーツァルト、それぞれに興味深いお話を聴くことができました。印象に残った言葉を少しあげると・・・。
伊藤:モーツァルトを演奏するとき、演奏後いつもオーケストラの団員が「あー怖かった。」と言っていたことを思い出します。それほど、モーツァルトの曲は演奏者の音楽性を際立たせてしまうのだと思います。その一つの理由はモーツァルトの曲には不必要な音が一切ない事だと考えています。
久元:同感です。たった一音で別次元に飛んでしまいますしね。ところで、天才ピアニストであったモーツァルトは、頭の中にある音符を必ずしも全部楽譜に書いていないこともあります。例えば、ピアノ協奏曲第26番第2楽章の左手冒頭部分は実は白紙なのです。
伊藤:第27番1楽章では、オーケストラの提示部にはなかったテーマがピアノの提示部に登場します。再現部に戻るときは、ドミナントの告知がありますが全然遠い調から。
久元:大胆な変化と微妙な移ろい、両方の魅力がありますね。また、2楽章などテーマとテーマをつなぐ音型が巧みです。それによってフレーズが拡大され感動が深くなります。モーツァルトの音楽が素晴らしいのは、これらの技が、聴き手に感じさせないほど自然なのです
第3部 久元先生、伊藤先生の全曲演奏。
この演奏はオーケストラとの共演ではなく、お二人の先生のピアノ・デュオ だった。そのため、オーケストラとは異なった音が聞こえてきて、この曲の更なる理解に大いに役立った。お二人の演奏は見事というしかなく、会場には、ただならぬ緊張感とこの曲がもたらす一種の安心感が複雑に相俟って漂い、大きな感動に包まれたと思われた。いつもながらの久元先生の丁寧かつ考え抜かれ、研ぎ澄まされた感性からから表出する演奏は、もはや、大家の域に入りつつあると思わされた。
一方伊藤先生の演奏も素晴らしく、協奏曲のピアニストと指揮者との火花を散らすような対峙の場面、片や微笑ましい協力の場面もあり、ピアノ・デュオとしても十分に堪能できる演奏だったと感じた。聴衆も同じような感想を持たれたことと思う。
なお久元先生のアンコールはショパンの有名なイ長調プレリュード第7番だった。
(文責:澤田義博)
●例会・懇親会 写真コーナー
今回の懇親会では、趣旨に賛同する有志一同で、久元、伊藤両氏を中心に飲み会に早変わり。ビールで乾杯後、楽しく質疑・応答、懇親が行われた。 懇親会においては、皆さん元気いっぱい、話題も豊富で、楽しい賑やかなひとときを過ごすことが出来た。
なお、写真を削除して欲しい方がおられたら、直ぐに担当宛てメールして頂くか、電話でもよいので、いつでも連絡して欲しいと思います。削除するのは実に簡単なので、作業は直ぐ実施します。
なお、写真が欲しい方は、原版はHP担当の倉島が全て保管していますので、例えば、懇親会4列の右側の写真の場合は、例えば、 懇上から4・右と言うように写真を特定して、 下記にメールしていただければ、次回例会までにお届けするようにしたします。ただし、恐縮ですが、 Lサイズで30円/枚のご負担をお願い致します。
容量不足のため、古い写真から、順番に削除しています。
お問い合わせ:ホームページ担当;倉島 収: メールはここから
第359回 モーツァルティアン・フェライン例会 2016年5月29日
事務局レター【第 234号】/2016年5月
【編集者】澤田義博/石津勝男/川口ひろ子/笠島三枝子/大野康夫/ 倉島 収 mozartian_449*yahoo.co.jp (スパムメールが増えてきましたのでリンクを外しました。お手数ですが*を@に替えて送信願います)
●5月例会(第359回)のお知らせ
♪久元 祐子 レクチャーコンサート♪
対談とピアノ 久元祐子氏 伊藤翔氏
日時:2016年5月29日(日)午後3時開演(午後2時30分 開場)
←日曜日です! 開始時間に注意!
会場: セレモアコンサートホール武蔵野 (最寄り駅:モノレール 泉体育館 東京都立川市柏町1-26-4 TEL 042-534-1111)
立川駅東改札口前に2時15分までに来ていただけましたら、集まり次第4人づつタクシーで乗り合わせ会場に向かいます。
場所: 立川駅改札口
例会費:¥4000(会員一般共) 全自由席 当日券あり!!
チラシ:その1 チラシ:その2
《プログラム》
モーツァルト ピアノ協奏曲27番 K.595(2台のピアノ版)
「ピアノ協奏曲への誘い」
指揮者、伊藤翔さんは、イエルク・デームス氏にも師事された素晴らしいピア ノの名手でもあります。
神奈川フィルとの6月の共演に先立ち、プレコンサートとして、第27番ピアノ協 奏曲を2台ピアノ版でお楽しみください。
モーツァルトにとって最後のピアノ協奏曲となった第27番の比類のない美し さ、透明感はどこから来るのか、指揮者から見る モーツァルト、ピアニストが感じるモーツァルト、 それぞれの思いを対談コーナーでお話ししたいと 思います。
久元祐子
例会後は恒例の懇親会へのご参加をお待ちしております。
会場:会場:立川駅北口 伊勢丹裏 イタリアレストラン ウエストエンド 042(527)8752
●今後の例会のご案内(会場記載のないものはお茶の水クリスチャンセンターです)
6月11日(土) 樋口隆一氏(国際音楽学会副会長)
7月23日(土) 加藤浩子氏(音楽評論家)
8月 夏休み
9月24日(土) 上野優子氏(ピアニスト)原宿カーサモーツァルト
10月29日(土) 平野玲音氏(チェリスト)原宿カーサモーツァルト
★お知らせ★
会員総会のお知らせ
7月の例会の前に、13時より会員総会を開催いたします。
皆様の日頃のご意見をフェラインの運営に活かして行きたいと考えています。
多数の会員の方々のご出席をお待ちしております。
会長 澤田義博
●4月例会の報告(第358回/4月30日)
演題:「詩人としてのモーツァルト」
お話:一橋大学名誉教授 田辺秀樹氏
詩人としてのモーツァルトの楽しいお話をお聞かせ頂いた。かつて田辺氏が執筆された論考(モーツァルト没後200年記念出版 『モーツァルト』全4冊 海老沢敏ほか、1991年、岩波書店刊行の第1巻「人間モーツァルト」に収録)をもとに、話を進められた。
モーツァルトは幼い頃から詩文に出会っていた。ひとつには、天才児としてのモーツァルトを褒め称える賛美の詩を聴かされる機会が多かったこと。これは、成人後のモーツァルトが、好んで頌歌のパロディー風の自己アイロニー的な「詩」を書くようになったことと関係があるかもしれない。声楽作品を早くから作曲し始めたモーツァルトは、ごく幼いころから付曲するためのさまざまな詩文(歌劇台本、歌曲にするための詩等)を読む習慣を持った。詩文との関係は、モーツァルトの場合、ごく幼いころからのものだった。歌曲の作曲におけるモーツァルトは、同時代のさまざまな詩人の詩に付曲しており、詩の内容も多岐にわたる。シューベルト、シューマンのような19世紀の歌曲作曲家たちと異なり、特定の詩人への集中的な付曲は見られない。
作曲と無関係な文学作品で、モーツァルトが確実に読んだのは「千夜一夜物語」、父レオポルトから薦められた「テレマック」(フェヌロン作)がある。「テレマック」は、父親を捜し求める主人公と彼を指導するメントールとの物語であり、モーツァルト自身の人生もしくは成長と、内容的に重なるものだったかもしれない。ほかにも、ゲレルト、ヴィーラント、クロプシュトック、モリエールなどを読んだ可能性も高い。
モーツァルト自身が書いたさまざまな「詩」としては、自ら歌詞を書いたいくつものカノンの曲や、モーツァルト家でのユーモラスな情景をもとにモーツァルト自身が歌詞も書いた三重唱曲「ねえ、あなた、リボンはどこ?K.441」などがある。
付曲を前提としない詩のための詩(?)としては、姉の結婚に際して彼女に贈った祝福の詩(1784年)、父レオポルトの死の直後に書いた「ムクドリ追悼」の詩(1787年6月)、ベルリン旅行出発に際しての「旅立ち」の詩(1789年4月)、「犬の王ブーツィガンネル」を讃える詩(成立年代不明)、さらには、未完に終わった2つの戯曲断片「ウィーンにやってきたザルツブルクのごろつき」(1787年7月)ならびに「愛の試験」(ウィーン時代後半)などがある。
「ムクドリ追悼」の詩は、父レオポルトの死と愛鳥ムクドリの死がたまたま時期的に重なった結果書かれたものであり、真面目さと戯れが混在するその詩文には、父に対するモーツァルトの愛憎半ばする感情が現れているのかもしれない。また、ほぼ同時期に書かれた歌曲「夕べの思い」も、「ムクドリ追悼」の詩との関連が見られ、父の死に対する反応のありようという点で、興味深い。厳粛なものとふざけたもの、真面目さと道化的身振り、「詩人」としての自分をからかう態度、などがモーツァルトの詩に対する基本的な態度であり、それは彼の人間像や音楽の本質的な一面を照らし出すものでもあるようだ。
お話のあと、いつものように田辺氏がウィーンの歌のメロディーをピアノで3曲演奏してくださり、楽しい例会が終わった。 (文章 大野康夫)
●例会・懇親会 写真コーナー
今回の懇親会場は、いつもの「デリ・フランス」お茶の水店に戻り、趣旨に賛同する有志一同で、 講師の田辺秀樹氏を中心に飲み会に早変わり。ビールで乾杯後、楽しく質疑・応答、懇親が行われた。 懇親会においては、皆さん元気いっぱい、話題も豊富で、楽しい賑やかなひとときを過ごすことが出来た。
なお、写真を削除して欲しい方がおられたら、直ぐに担当宛てメールして頂くか、電話でもよいので、 いつでも連絡して欲しいと思います。削除するのは実に簡単なので、作業は直ぐ実施します。
なお、写真が欲しい方は、原版はHP担当の倉島が全て保管していますので、例えば、懇親会4列の 右側の写真の場合は、例えば、懇上から4・右と言うように写真を特定して、 下記にメールしていただければ、次回例会までにお届けするようにしたします。ただし、恐縮ですが、 Lサイズで30円/枚のご負担をお願い致します。
容量不足のため、09年の3年前の写真から、順番に削除しています。
お問い合わせ:ホームページ担当;倉島 収: メールはここから
第347回 モーツァルティアン・フェライン例会 2015年4月4日
事務局レター【第222号】/2015年4月
【編集者】澤田義博/石津勝男/川口ひろ子/笠島三枝子/大野康夫/倉島 収 mozartian_449*yahoo.co.jp (スパムメールが増えてきましたのでリンクを外しました。お手数ですが*を@に替えて送信願います)
●4月例会(第347回)のお知らせ
演題:『魔笛』について思うこと お話:田辺 秀樹氏
日時:2015年4月4日(土)午後2時(午後1時30分開場)
会場:お茶の水「クリスチャンセンター」(JR「お茶の水」下車・徒歩3分)
例会費:¥3000(会員・一般共)
――――― 田辺 秀樹氏からのメッセージ
ここ数年、ずっとオペラについてお話してきましたが、なんとなく『魔笛』は敬遠していました。
私にとって『魔笛』は、ダ・ポンテ3部作や『後宮からの逃走』、さらにそれ以前の初期の作品などが 無条件で好きであるのに比べて、上演を見るたびに、また聴くたびに、何か引っかかりが残ることの 多い、手放しでは賞賛しにくい、ちょっとやっかいなオペラといった感じであり続けています。
今回はその辺のことについて、いくつかの上演ヴィデオを見比べたりしながら、とりとめのない 話になることを承知の上で、お話してみようかと思います。
お話のあとは、皆さんのお許しがあれば、例によって今回も<酒席ピアノ>でウィーンの酒場の 歌やオペレッタの歌など弾かせていただくつもりです。
例会後は恒例の懇親会へのご参加をお待ちしております。 会場:「デリ・フランス」お茶の水店/03(5283)3051
●今後の例会のご案内(会場記載のないものはお茶の水クリスチャンセンターです)
5月16日(土) 黒岩 悠氏 ピアノリサイタル(松濤サロン)
6月 7日(日) 久元 祐子氏 ピアノリサイタル(Casa Mozart)
7月 4日(土) ジェラール・プーレ氏 ヴァイオリンリサイタル(代官山教会)
8月 お休み
9月26日(土) 大津 聡氏
10月25日(日) 江端 津也子氏 ピアノリサイタル(中野ハーモニーホール)
11月21日(土) 山下 静香氏 ピアノリサイタル(Casa Mozart)
●お知らせとお詫び
通常なら3月に年会費の振込み用紙を皆様に送らなくてはいけなかったのですが、うっかりしました。 今月郵送いたします。申し訳ありません。
すでに3月例会で会費を納入いただいた方、また会費をお振込みいただいた方々には、会員証を 領収書のかわりにお送りいたします。
これからもモーツァルティアン・フェラインを精一杯盛り上げていこうと思います。不手際お許し 下さい。どうぞよろしくお願いいたします。
事務局 笠島 三枝子
●3月例会の報告(第346回/3月14日)
演題: ビデオ「ロヴェレート音楽祭と馬車の旅」を紹介
お話:会員 青柳 省三氏
3月例会は、会員・青柳省三さんのビデオ「ロヴェレート音楽祭と馬車の旅」の紹介でした。
今から15 年ほど前、西暦2000年にイタリアモーツァルト協会(アルノルド・ボラーニ会長)が主催 する恒例の「ロヴェレート国際モーツァルト音楽祭」に、当フェラインの会員ら18名が参加し た時の海外旅行の記録です。この年の音楽祭は、「バッハとモーツァルト」をテーマに9月22日から 10月1日までの会期で開催された。
一行はその前半部分の演奏会に参加し、合せて近隣の旧貴族の邸宅などを訪問したり、モーツ ァルト協会幹部のホームパーティに招かれたりして、8日間の旅行日程を過ごした。
ビデオはその全行程を記録したもので、所要時間は前半、後半合せて95分ほどだった。
このイタリア旅行には、ロヴェレート音楽祭に参加することと合せて、もうひとつ「馬車による ブレンナー峠越え」という企画があった。
当時国境をまたぐような旅行は、もっぱら馬車に揺られて悪路を走るしかない。13歳のモーツ ァルトは父親に伴われて、1769年12月に初めてアルプスのブレンナー峠を越えてイタリアを訪問し、 それから続けて3回に亘ってイタリアを訪ねている。その度に経験し「悪路のブレンナー峠越え」とは どんなものか、その苦労を追体験したいという願望だった。
契約した馬車は「チロルの歴史的郵便馬車」という現地業者です。四頭立ての馬車は、一寸小ぶり の黒いワゴンで後ろにオープン席がついている。 髭を蓄えた主人の馭者は、赤い縁取りのついた 制服制帽を着用し、走りながら時々ポストホルンを峠道に響かせてくれた。しかしこの馬車で 標高差800メートルのブレンナー峠を越えるには2日掛かりの難事だそうで、結局2組に分かれて 交代で16キロを走った。それでも4頭の馬は、中間地点ですでにびっしょり汗をかいて、体中から 激しい湯気を上げていた。
ロヴェレートの宿泊はレオンドーロ・ホテル。翌日イタリアモーツァルト協会本部を訪ねてボラーニ 会長ら幹部に挨拶し、本部と東京支部の交流セレモニーがあった。またロヴェレート市長へ表敬訪問 がセットされていた。演奏会は9月23日の昼にアーラのグレスティ邸でペテルセン四重奏団による モーツァルトのハイドン四重奏曲第1番K.387など、夜はザンドナイ劇場でモスクワ・ヴィルティオーソ 室内楽団によるバッハのオーボエ協奏曲、モーツァルトの ディヴェルティメントK.136など。
24日は昼に協会本部のホールでヴァイオリン・リサイタルがあり、夜はザンナイ劇場でアンサン ブル・ウィーン・ベルリンによるベートーヴェンの八重奏曲ほかの演奏会に参加した。
郊外の旧貴族邸の訪問は、最初にマントヴァ侯爵家の分家に当たるゴンザーガ邸を訪ね、丘陵地の 広大な庭園には多種の草花が満開だった。女主人が自ら邸内を案内し古書や古文書などを拝見した。 アーラではピツィーニ邸の「ピアノ歴史博物館」を見学、各種フォルテピアノの説明と演奏を聴いた。
旧ブリディ邸では広大な庭園内にモーツアルトを顕彰する小神殿や供養墓があった。ラガリーナの ロドローン邸では中世以来の戦いの歴史画やハプスブルグ家との長い忠誠の証などが壁際に 展示されていた。
最後にモーツァルト協会のボラーニ会長邸およびジョルジュ事務局長邸に分かれてホームパーティ に招かれ、地元の会員と共に賑やかな交流の機会が設けられた。こうして8日間の充実した旅行は 幕を閉じた。分り易いナレーションと共に終始モーツァルトの楽いメロディが画面の雰囲気を盛り上げ ていた。 また、補足説明の中で当時のイタリア半島を巡る墺、仏、西、伊の領土的角逐の中、父親レオポルト が皇帝ヨーゼフ2世の推薦を頼りに旅行の成功を工作し、それに応えて懸命に実現していく官僚が いたという検証には新たな感慨があった。
以上が3月例会の報告でありますが本来は当日司会をさせて頂いた私(石津)が記録すべき ところを私の個人的事情と時間の関係でおの講演をされた青柳省三様ご本人にその報告を書いて いただきました。
大変お疲れのところお引き受け下さり感謝申し上げる次第です。最後になりますが司会をさせて 頂いた立場からご講演の印象をお伝え致します。まず私たち会員から見て驚かされたことは青柳氏 のビデオ制作の素晴らしさでした。
大量に撮影された映像の中から優れた部分をフェードアウトなどの技術を取り入れ、コメントや タイトルを添えて作品にされモーツァルトを中心としたバックミュージックを効果的に使われて おりました。
またビデオ上映の前後のお話しも永年のヨーロッパ旅行の経験を踏まえた味わい深いもので ありました。
「ロヴェレート音楽祭」へ今後参加される次の世代の方々のために今回のビデオ上映とお話の 内容は大変参考になったことと思います。この度の貴重なご講演に対して会員一同、心より感謝と お礼を申しあげます。 石津勝男
(以上)(2015/03/14)(文責;石津 勝男)
●例会・懇親会 写真コーナー
今回の懇親会場は、いつもの「デリ・フランス」お茶の水店に戻り、趣旨に賛同する有志一同で、講師 の青柳省三氏を中心に飲み会に早変わり。ビールで乾杯後、楽しく質疑・応答、懇親が行われた。 懇親会においては、皆さん元気いっぱい、話題も豊富で、楽しい賑やかなひとときを過ごすことが 出来た。
なお、写真を削除して欲しい方がおられたら、直ぐに担当宛てメールして頂くか、電話でもよいので、 いつでも連絡して欲しいと思います。削除するのは実に簡単なので、作業は直ぐ実施します。
なお、写真が欲しい方は、原版はHP担当の倉島が全て保管していますので、例えば、懇親会4列の 右側の写真の場合は、例えば、 懇上から4・右と言うように写真を特定して、 下記にメールしていただければ、次回例会までにお届けするようにしたします。ただし、恐縮ですが、 Lサイズで30円/枚のご負担をお願い致します。
容量不足のため、09年の3年前の写真から、順番に削除しています。
お問い合わせ:ホームページ担当;倉島 収: メールはここから