季刊「モーツァルテイアン」第103号
2018.09.01 モーツァルテイアン・フェライン発行
季刊「モーツァルティアン」(第103号) (2018年9月1日発行)
………も く じ………
*ムジカエテルナ《皇帝ティートの慈悲》観劇記
~2017年ザルツブルク音楽祭から~ ・・・・・・・・・・・・・・・・ 松永洋一
*モーツァルトの劇作品中の名曲
(1)宗教劇、オラトリオ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 篠田 滋
*「後宮からの逃走」K.384の映像の全て
~全23組の映像アップロードを終えて~ ・・・・・・・・・・・・・・・ 倉島 収
*再録 例会講演
モーツァルト評伝の中のオスミン-オペラ《後宮からの逃走》受容の一側面 ・・・・・・・・・・・大津 聡
表表紙: ザンクトギルゲン市庁舎前のモーツァルト像
目次写真:ミラベル宮殿の庭園より望むザルツブルク城
裏表紙: ザルツブルク大学教会
松永洋一氏撮影(2017年8月)
エディターより
■ことしの夏は災害並みという言葉が頻繁に使われるほど、たいへんな酷暑でした。立秋が過ぎていくぶん気温も和らいできましたが、皆様は無事に乗り切られたでしょうか。第103号をお届けします。今回はいずれも読み応えのあるオペラ関係の記事がそろいました。
■毎年夏、熱気を帯びた舞台を繰り広げるザルツブルク音楽祭。巻頭は2017年の話題作、「皇帝ティートの慈悲」をご覧になった松永会長代行の観劇記です。演出のピーター・セラーズが公演前に「赦しと和解」をテーマに現代を取り上げると語っていましたので、大胆な切り口になるとは想像していました。そして演奏が今をときめく指揮者テオドール・クルレンツィスと彼の率いる楽団ムジカエテルナとあっては、がぜん期待も高まります。
■ダポンテ3部作などで話題をさらうクルレンツィスは「モーツァルトこそ最も現代的な作曲家である」、「音楽とは職業でも再現でもなく、ミッション(使命)なのだ」と言い切る人です。果たして、どのような舞台だったのでしょうか。松永さんは「感銘を受けた」と記し、同時に「衝撃を覚えた」と述べています。それはなぜか。
■観劇記は、思い切った台本の読み替えや原典の改作について、ザルツブルク音楽祭にも関わったことのある演劇の巨匠ミヒャエル・ハンペや古楽演奏の第一人者バルトルド・クイケンの著作を手がかりに、今回の演出の是非を論じています。最先端を行くオペラ上演の現状とそのあり方について深く考えさせる非常に刺激的な内容です。端的に言えば、モーツァルトの提示する音楽の真実に迫るために原典の神髄を究めつつ、どこまで改作が許容されるのか、というテーマに行き着くように思えます。
■大きな論議を巻き起こした舞台ですが、この公演をやはり現地でご覧になった音楽評論の加藤浩子先生はご自身のブログに「モーツァルト・オペラの上演のマイルストーン(里程標)になりうる公演だと思います」と評価、ほかの作品を挿入したことについても「まったく違和感はありませんでした」と書いていました。その加藤先生は7月例会でこの公演の映像も交えて具体的に解説してくださいました。月刊「事務局レター」9月号に掲載される講演要旨も併せてご参照ください。
■篠田さんからはこれまでのオペラ体験に基づく連載をお寄せいただきました。今回はその第1回で、宗教劇、オラトリオ編。聴きどころやお気に入りのアリアのほか、愛聴盤も付けて率直な感想をまとめています。その際に、「台詞は音楽の従順な娘でなくてはなりません」というモーツァルトの言葉にも触れています。「ティート」に限らず、大切なポイントがここにありそうです。
■膨大な映像ライブラリーを誇る倉島さんが今号で取り上げるのは「後宮からの逃走」です。ご本人の言葉によれば「30年以上にわたる遍歴」の記録。このオペラに関する映像作品の集大成というべき記念碑的労作です。その成果はデータベース一覧から年代区分、出演者一覧などにまとめた表を見ても分かります。それぞれの公演についての貴重なコメントを併せ読むことで、時代背景ととともに「後宮」の変遷をたどることができます。
■中でも興味深いのは「変な演出」編。マンネリ化打破の試みだけでなく、時代の挑戦をしなやかに受け止め、問題提起する受け皿でもあるからでしょうか。この関連でタイミングよく大津聡先生が6月例会で「後宮」を取り上げ、異彩を放つオスミンを切り口に受容史を論じました。時代の「価値観を映し出す鏡」としての役割を指摘した、その講演要旨を再録しました。
■表紙と目次の口絵の写真は昨年8月、ザルツブルクで観劇の際に撮影された松永会長代行にご提供いただきました。厚く御礼申し上げます。
(2018.08.20山崎博康)
季刊「モーツァルティアン」第104号 原稿募集
モーツァルト関係の音楽論、音楽随想、音楽評論など自由
締切日:2018年10月30日 発行予定:2018年12月1日
* 原稿は原則ワードファイル(標準設定フォーム)をEメールにてお送り下さい。
* 送り先は山崎博康:hyrynx@gmail.com
モーツァルティアン・フェライン新会員募集中
名誉会長:若松茂生 会長:澤田義博 会長代行:松永洋一 副会長:高橋徹
顧問:久元祐子(国立音楽大学教授)、田辺秀樹(一橋大学名誉教授)
主な活動:季刊「モーツァルティアン」と月報「事務局レター」の発行、月例会の開催
年会費(入会金なし):正会員5,000円、学生会員2,500円、*例会費は別途実費が必要
新ホームページ:https://mozartian-verein.jp/
現ホームページ:http://www.geocities.jp/mozartian_vere/
季刊「モーツァルテイアン」第102号
2018.06.01 モーツァルテイアン・フェライン発行
季刊「モーツァルテイアン」(第102号) (2018年6月1日発行)
………も く じ………
*2018ザルツブルク・モーツァルト・ウィーク音楽祭 ・・・・・・・・・・・・ 澤田義博
*ロヴェレート、モーツァルト週間とメラン、音楽週間訪問記・・・・・・・・・・ 加藤文夫
*ワイマルのゲーテ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 篠田 滋
*フォルトゥーナの音楽日記(第12回)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 川口ひろ子
*オーケストラの楽器配置について(第21回) ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 真部 淳
*ニュース欄(再録) 散失のモーツァルト作品見つかる ・・・・・・・・・・・・・・ 山崎博康
*お知らせ スマホ対応型 新ホームページ開設 ・・・・・・・・・・・・・・・ 編集部
表表紙: イタリア・ロヴェレートのサン・マルコ教会正面の獅子像
目次の口絵:イタリア・ロヴェレートのトデスキ男爵邸正面にある記念プレート。モーツァルトが1769年のクリスマスの日にイタリアで初めての演奏会をここで行ったことが記されている。ロヴェレートで開催された2017年モーツァルト音楽週間については加藤文夫氏の寄稿をご覧ください。
裏表紙: イタリア・アラのピッツィーニ宮殿の天井装飾
いずれも加藤文夫氏撮影
エディターより
■引退表明した73歳のピアニスト、マリア・ジョアン・ピリスの日本公演最終日を聴くことができました。慈しみの心に満ちた円熟の演奏を聴いていると、これで引退とは信じがたい気持ちですが、今がベストと考える演奏家としての美学なのかもしれません。最後は音が消えていくのを確かめるかのように、鍵盤上から顔を上げずにいた姿が印象的。昨年末、チューリヒで引退を発表したときは最後のピアノ協奏曲第27番(K595)を取り上げ、最後の日本公演はアンコールに最初のピアノ・ソナタ(K19d)を弾いて締めくくり、モーツァルトへの特別の思いを感じさせました。
■澤田会長は毎年モーツァルトの誕生日に合わせてザルツブルクで開催される冬の音楽祭「モーツァルト週間」にことしも参加、主なプログラムの演奏評のほか、モーツァルテウム財団やイタリア・モーツァルト協会などとの交流についても報告を寄せていただきました。財団主催の国際会議に日本からの参加しているのは澤田会長唯一人とのこと。ネットワークの広がりは心強い限りです。
■精力的に欧州各地の音楽祭をフォローされている加藤さん。今回はイタリア・ロヴェレートでの「モーツァルト週間」や南チロルのメラン音楽祭などについて紀行文をお書きいただきました。当会顧問、久元祐子先生による現地でのご活躍やクルレンツィスの公演をはじめ、それぞれの演奏内容について臨場感のある報告をたどると、読む側もそこに居合わせているかのようです。造詣の深い美術関係についての解説も読みどころで、視野が広がります。モーツァルティアン第100号に関しても貴重なコメントをいただきました。
■篠田さんは「ワイマルのゲーテ」と題した文章を寄せてくださいました。「バッハへの旅」に参加しながら、ゲーテゆかりの地を独自に訪ね歩くとは、長年親しんでこられた大作家への並々ならぬ傾倒ぶりがうかがえます。モーツァルトとの関係に触れることも忘れていません。ワイマルの劇場監督時代に上演したモーツァルトのオペラ作品のデータはとても興味深いもので、ゲーテのコンセプトが伝わってきます。
■川口さんの「フォルトゥーナの音楽日記」はオペラ3公演の観劇記。バイエルン国立歌劇場の「タンホイザー」に持ち前の鋭い批評眼が光ります。続いて同じ劇場と、ベルリン・コーミッシェ・オーパーによる「魔笛」の比較。前者については演出の変遷に感慨を覚えつつ、「モーツァルトの時代から連綿と続く伝統の凄さ」を綴っています。かといって、伝統回帰派というわけではありません。後者の「アニメ」を使った演出には理解ある評価を与え、かつて「東側」に位置したこの劇場の「先入観に捕らわれない斬新な発想」を指摘しています。
■真部先生の連載は第21回目。最終回を迎えました。長年、さまざまなステージを鑑賞されてこられた先生は今回、オペラを題材に最近の傾向を分析されています。楽器配置という視点からの読み物はたいへん貴重なものがありました。6年にわたる長期の連載を続けていただき、ありがとうございました。これで終わりかと思うと残念な気持ちもしますが、先生は視点を変えた新たな連載を構想されているようです。乞う、ご期待!
■ニュース欄に季刊誌第96号(2016年3月1日発行)の記事を再録しました。3月例会で森垣先生が言及されたこともあり、youtubeにより、再発見のモーツァルト作品の演奏を鑑賞していただく良い機会になると考えました。スマホ対応の新HPが近々登場するお知らせも載せました。
■表紙の図版と目次の口絵は音楽紀行の大ベテラン、加藤さん撮影の写真を提供していただきました。厚く御礼申し上げます。 (2018.5.29山崎博康)
季刊「モーツァルティアン」第103号原稿募集
締切目:2018年7月31日 発行予定:2018年9月1日
*原稿は原則ワードファイル(標準設定フォーム)をEメールにてお送り下さい。
*送り先は山崎hyrynx@gmail.com
モーツァルティアン・フェライン新会員募集中
名誉会長:若松茂生、会長:澤田義博、会長代行:松永洋一 副会長:高橋徹
顧問:久元祐子(国立音楽大学准教授)、田辺秀樹(一橋大学名誉教授)
主な活動:季刊「モーツァルティアン」と月報「事務局レター」の発行、月例会の開催
年会費(入会金なし):正会員5,000円、学生会員2,500円、*例会費は別途実費が必要
季刊「モーツァルテイアン」第101号
2018.03.15 モーツァルテイアン・フェライン発行
季刊「モーツァルテイアン」(第101号) (2018年3月15日発行)
………も く じ………
礒山 雅先生 追悼特集
*礒山 雅先生の急逝を悼む・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 澤田義博
*Bist du bei mir ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 久元祐子
― 写真アルバムとCD評― ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 編集部
*「充実のきわみ」に触れて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 編集部
*やりがいある講演 「I招聘教授の談話室」より・・・・・・・・・・・・・・ 礒山 雅
*2014年12月例会「モーツァルトの晩年再考―ヴォルフ説の視点から」・・・・・ 礒山 雅
*2012年12月例会「モーツァルトの管楽器用法」・・・・・・・・・・・・・ ・・ 礒山 雅
*モーツァルト関係の代表的な著作と翻訳紹介・・・・・・・・・・・・・・・・・ 編集部
♪ ♪ ♪
*モーツァルトのヴァイオリンのための協奏作品 その成立事情をめぐって・・・・・・・・ 石津勝男
*フォルトゥーナの音楽日記(第11回)嬉しい贈り物・・・・・・・・・・・・・・川口ひろ子
*オーケストラの楽器配置について(第20回)・・・・・・・・・・・・・・・・・ 真部 淳
*モーツァルトとJ.Sバッハ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 篠田 滋
*話題コーナー:独は「モーツァルト」通りが最高、大英博物館が公開の自作目録 / お知らせ
表表紙: 正面から見たライプツィヒの聖トーマス教会。1789年4月、モーツァルトはここでコンサートを行った
裏表紙: エルベ川から見たドレスデンの街並み。モーツァルトはザクセン選帝侯アウグスト3世の夜会で演奏した
エディターより
■3月も半ばを迎え、桜の開花予想が気になる時期になりました。第101号をお届けします。第100号は記念号として年刊型としましたので、季刊誌としては1年3ヵ月ぶりになります。今回は発行がずれ込みました。お待ちいただいた皆様にお詫びいたします。
■編集の大詰め段階で、例会の講師を務めてくださっていた礒山雅先生(国立音大招聘教授)の訃報が伝えられました。最新の研究成果を盛り込み刺激に富んだお話は毎回たいへんな人気でした。生前のご厚情にあらためて感謝し、心よりご冥福をお祈り申し上げます。今号は先生を偲び、急きょ追悼のページを設けることにしました。
■澤田会長は追悼の辞で「心にポッカリと穴が開いてしまった感がある」と急逝を惜しみ、国立音大の聴講生として直接講義を受けた経験から磯山先生を「信念の人」と称えています。澤田会長が紹介しているように、先生は当会の活動を高く評価してくださっていました。
■礒山先生の突然の訃報は音楽界に大きな衝撃を与えました。当会顧問の久元祐子先生(国立音大教授)がご自身のブログに心を打つ追悼の言葉をお書きになっていますので、ご承諾を得て転載させていただきました。レクチャー・コンサートでよくご一緒されていた久元先生は「礒山先生の指」と呼ばれていたそうです。
■礒山先生が例会での手ごたえを記したブログの記事を、奥様のご許可をいただき転載しました。2012年と14年の例会でご講演された内容も再録しました。先生のお声が蘇ってくるようです。先生は「私の第一専門は、バッハである。しかしモーツァルトも大好きで、傾倒の度合いは、バッハに劣らない」(ちくま学芸文庫「モーツァルト」)と書いておられます。そうした思いのこもったモーツァルト関係の代表的な著作・翻訳も写真入付きで掲載しました。
■石津さんには弦楽用の協奏作品の成立事情をテーマとするエッセーをお寄せいただきました。このジャンルを長年聴きこんでこられた蓄積に基づく深い洞察もさることながら、将来の道をめぐる父子の対立と名曲誕生との関係も読みどころのひとつです。
■川口さんは昨年傘寿を迎え、自分史や観劇記などをまとめた素敵なエッセー集を出版されました。おめでとうございます。今回の連載はその出版にまつわるお話。ユーモアを忘れない軽やかな文章には詩人のような言葉も。女神「フォルトゥーナ」が祝福しているようです。
■真部先生の連載はヴァイオリン配置を取り上げています。第1、第2を左右に分けるのが古典的な対向配置。その後両方を左側に置く20世紀型が主流に。ところが最近は対向配置が増加の傾向にあるとか。さまざまな指揮者を例に配置の変遷を解説されています。
■篠田さんのバッハ紀行は、モーツァルトのバッハ受容についても多くの作品と対比させて詳しく論じ、彼の音楽は「特にバッハの音楽が大きく影響して大成したものであることを改めて感じされられた」と結んでいます。礒山先生追悼にも相応しい読み物ではないかと思います。
■話題コーナーとして最近接したモーツァルト関係のニュースふたつを最後に入れました。息抜きの際にご覧ください。
■第100号の資料編にある例会履歴に一部差し替えの箇所があります。お知らせとして盛り込みました。
■表紙の図版と目次の口絵はドイツを旅された上記の篠田さんにご提供いただきました。厚く御礼申し上げます。いずれもモーツァルトとゆかりのある都市です。
(2018.3.11山崎博康)
季刊「モーツァルティアン」第102号 原稿募集
モーツァルト関係の音楽随想、音楽評論、紀行など自由
締切日:2018年4月30日 発行予定:2018年6月1日
* 原稿は原則ワードファイル(標準設定フォーム)をEメールにてお送り下さい。
* 送り先は山崎博康:hyrynx@gmail.com
*郵送の場合は編集部まで:〒297-0014 浦安市明海4-2-5-608 山崎博康
モーツァルティアン・フェライン新会員募集中
名誉会長:若松茂生 会長:澤田義博 副会長:副会長:松永洋一 高橋徹
顧問:久元祐子(国立音楽大学教授)、田辺秀樹(一橋大学名誉教授)
主な活動:季刊「モーツァルティアン」と月報「事務局レター」の発行、月例会の開催
年会費(入会金なし):正会員5,000円、学生会員2,500円、*例会費は別途実費が必要
「モーツァルテイアン」第100号記念号
2017.12.01 モーツァルテイアン・フェライン発行
「モーツァルテイアン」第100号 (2017年12月1日発行)
………も く じ………
巻頭言「モーツァルティアン」第100号記念号に寄せて 澤田義博 1
モーツァルト『魔笛』 ― フリーメイソン・オペラ 澤田義博 4
モーツァルト:調性選択の秘密 真部 淳 37
モーツァルトのコンサート・アリア 石津勝男 50
フォルトゥーナの音楽日記(第10回) 昭和・平成 思い出の音楽ホール 川口ひろ子 58
小林秀雄の「モオツァルト」から学ぶ 高橋 徹 63
モーツァルトの21世紀 飯野龍夫 72
「モーツァルトの街」に暮らして 平野玲音 80
南ドイツとその周辺都市のモーツァルトの足跡 篠田 滋 83
モーツァルトの歌曲と私 百瀬春生 91
モーツァルトあれこれ 山田健二 96
印象派画家、ベルト・モリゾ―音楽にちなむあれこれ 加藤文夫 97
グルックさんを偲ぶ 日和崎一郎 106
映像ライブラリー 倉島 収
ピアノ協奏曲 第12番イ長調K.414の見較べ・聴き比べ 116
交響曲 第40番ト短調K.550の見較べ・聴き比べ-全体の総括- 123
ピアノソナタ第17番 変ロ長調K.570の私のコレクション 138
再録編
人間の歌 モーツァルト 高橋英郎 147
海老澤敏 小論 若松茂生 156
シニアの為の平成モーツァルト塾 森 治夫 166
インタビュー「モーツァルティアン訪問」(聞き手:若松茂生)中村 眞・澄枝 176
わたしのモーツァルト紀行 小滝 博 182
例会報告 モーツァルト ピアノ協奏曲の魅力 講師 久元祐子氏 184
例会報告 モーツァルトの風刺家精神 講師 田辺秀樹氏 186
例会報告 モーツァルト1788年―頂点の年を追う 講師 礒山 雅氏 200
例会報告 モーツァルトのザルツブルク時代の宗教音楽 -ミサ曲変ロ長調を中心に 講師 樋口隆一氏 202
例会報告 フルート作品の不幸 講師 西川尚生氏 205
資料編
会員アンケート (まとめ:高橋 徹) 208
モーツァルティアン・フェライン 例会記録 (まとめ:山田健二) 218
あとがき 山崎博康 228
表紙: モーツァルトの肖像画 (ドリス・シュトック作、銀筆による素描 1789) 国際モーツァルテウム財団提供
Silverpoint drawing by Doris Stock, April 1789, by courtesy of Mozarteum Foundation (Salzburg)
あとがき
■「モーツァルティアン」は当会の機関誌にして季刊誌ですが、今回は100号を迎えたことにちなみ記念号と銘打って2017年版年刊として発行することになりました。編集に当たり1991年版年刊「モーツァルト没後200年記念号」を何かと参照しました。そのころは年刊が一時期続いたようですが、その後季刊誌に移行しましたので、年刊型としては世紀をまたいでほぼ25年ぶりの復活です。創刊号の1982年版年刊から数えてちょうど35年。まことに意義深い年にめぐり合わせました。
■1991年版を見ると、当時の熱気が伝わってきます。第100号記念号はその熱い思いが何ら変わることなく脈々と受け継がれていることを感じさせます。澤田会長の巻頭論文をはじめ貴重な論考から軽やかなエッセーにいたるまで充実した読み物が出そろいました。いずれもモーツァルトへのさまざまなアプローチ、楽しむ手掛かりがあることを教えてくれています。巻頭言が指摘するように、記念号も切磋琢磨のフォーラムとなることを確信しています。
■記念号には草創期の当会を支えた高橋英郎、若松茂生の歴代会長のほか、多大な貢献をしてくださった森治夫・元当会顧問、「カーサ・モーツァルト」を創設された中村眞氏ご夫妻、イタリア・モーツァルト協会との交流のきっかけをつくった小滝博氏の記事を再録しました。通読することで今後の活動の糧としていきたいと思います。当会活動の一端を紹介する例会報告の再録も同じ趣旨です。
■原稿をお寄せいただいた執筆者の皆様には心より御礼申し上げます。例会活動の足跡を一覧表にまとめていただいた山田健二理事の労作には敬意を表します。親睦・交流の一助とする会員アンケートの取りまとめのほか、校正にも時間を割いていただいた高橋徹副会長にも記して感謝いたします。
■表紙の肖像画は目次に掲載したように、国際モーツァルテウム財団(ザルツブルク)のご好意で原画データの提供を受けました。極めて珍しい繊細な素描(銀筆)は色彩のない分、想像の空間を大いに広げてくれます。生気溢れる眼差しが印象的です。当時33歳の彼はその先に何を見据えていたのでしょうか。
(2017/10/15 山崎博康)
モーツァルティアン・フェライン機関誌 第100号 2017年12月1日発行 禁転載
発行人 若松茂生 編集人 山崎博康 印刷: 凸版印刷
モーツァルティアン・フェライン新会員募集中
モーツァルティアン・フェライン 名誉会長:若松茂生 会長:澤田義博 副会長:松永洋一 高橋 徹
顧問:久元祐子(国立音楽大学教授)、田辺秀樹(一橋大学名誉教授)
事務局 〒101-0052 東京都千代田区神田小川町3-2 石津勝男方
主な活動:機関誌「モーツァルティアン」と月報「事務局レター」の発行、月例会の開催
年会費(入会金なし):正会員5,000円、学生会員2,500円、*例会費は別途実費が必要
ホームページ:http://www.geocities.jp/mozartian_vere/