2003年
●2003年12月事務局レター(03/12/01) 講師;牧野 成史氏、前回例会結果講師;安田 和信氏/若松 茂生氏
●2003年11月事務局レター(03/11/01) 講師;安田 和信氏/若松 茂生氏、前回例会結果;講師;井上 太郎氏
●2003年10月事務局レター(03/10/01) 講師;井上 太郎氏、前回例会結果;講師;石津 勝男氏
●2003年9月事務局レター(03/09/01) 講師;石津 勝男氏、前回例会結果;講師;倉島 収氏
●2003年7月事務局レター(03/07/01) 講師;倉島 収氏、前回例会結果;講師;浜中浩一氏/二宮和子氏他
●2003年6月事務局レター(03/06/01) 講師;浜中浩一氏/二宮和子氏他、前回例会結果;講師;大町陽一郎先生
●2003年5月事務局レター(03/05/01) 講師;大町陽一郎先生、前回例会結果;講師;久元祐子先生
●2003年4月事務局レター(03/04/01) 講師;久元祐子先生、前回例会結果;講師;田辺秀樹先生
●2003年3月事務局レター(03/02/01) 講師;田辺秀樹先生、講師;栗田久暉氏
●2003年2月事務局レター(03/02/01) 講師;栗田久暉氏、前回例会結果;講師;三澤寿喜先生
●2003年1月事務局レター(03/01/14) 第二回、会員有志による参加型例会、前回例会結果;講師;三澤寿喜先生
第222回 モーツァルティアン・フェライン例会 2003年12月14日
事務局レター【第97号】/2003年12月
【編集者】石津勝男/塙雅夫/山本廣資/古田佳子
●12月例会(第222回)のお知らせ
「レクイエムとその周辺」お話・・・牧野 成史氏(横浜モーツァルトアカデミー主宰)
日時:12月14日(日)午後2時
会場:原宿カーサ・モーツァルト(原宿医院)3Fホール(JR「原宿」下車・徒歩5分/地下鉄「明治神宮前」下車・徒歩3分)
例会費:¥2500(会員・一般共)
例会会場;原宿【カーサ・モーツァルト案内図】
今月は昨年に続き好評でした牧野先生の再登場です。ザルツブルクから帰国されたばかりで、当地の最新情報などお聞きできることと思います。牧野先生からは以下のようなコメントを頂戴しています。
『先月、ザルツブルクの大聖堂の隣にあるフランツィスカーナ教会のオルガンが新しくなって、その「オルガン開き」に招かれ、モーツァルトやその他の曲を指揮してきました。
滞在中に暇をみて教会の書庫に入れてもらい、そこでモーツァルトのレクイエムの古いパート譜を見つけました。ブライトコプフから1800年に出版された初版の総譜から写したと思われる大変珍しいものです。モーツァルトの没後わずか10年で、ザルツブルクでもレクイエムが演奏されていたことを確認できました。
それから21世紀になった今まで、脈々とレクイエムの演奏は受け継がれていますが、モーツァルトの宗教曲(特にミサ曲)に関しては、いわゆるスタンダードは、未だに存在しないと言っていいでしょう。モーツァルトが天才であった故に、弦、管、歌唱、すべてにおいて、演奏の解釈の範囲が広く、表現の難しさを痛切に感じます。
日本におけるモーツァルトの宗教曲のスタンダードを確立したいと思い、帰国して活動を始めて7年になりますが、日本ではまだまだ理解されにくい宗教曲の表現法などを中心にお話しできたらと思います。』
例会後の講師を交えた懇親会にもぜひご参加ください。(F)
会場:ステージY2(渋谷区神宮前1-13-12 TEL:3478-1031)
●今後の例会のご案内
12月14日 牧野 成史氏(横浜モーツァルトアカデミー主宰)
2004年1月18日 第3回会員参加型例会
2月8日 三澤 寿喜氏(北海道教育大学教授)
3月14日 田辺 秀樹氏(一橋大学教授)
4月11日 久元 祐子氏(ピアニスト/会場:吉祥寺「ラ・フォルテ・カフェ」)
以降、5月9日、6月13日、7月11日の予定です。(講師未定)
●11月例会の報告(第221回/2003年11月9日)
第1部:「モーツァルトと木管楽器」/お話・・・安田 和信氏(杏林大学講師) 第2部:「モーツァルトをめぐるソプラノ歌手」/お話・・・若松 茂生氏(本会会長)
「モーツァルトと木管楽器」
安田和信氏は現在「朝日」「読売」など一流紙に演奏会批評を執筆する一方、「レコ芸」モーツァルト周辺の海外盤を紹介する等、大変お忙しい中、昨年に続いてご講演頂いた。
演題予定の「モーツァルトと木管楽器」から「クラリネット」に的を絞られ、まず、クラリネットの歴史からお話が始まった。
18世紀初頭、楽器製作者デンナーによって発明されたクラリネットはモーツァルトの時代も急速に活用されるようになったが、クラリネットという語が「小さいクラリーノ(トランペット)」を意味するように当初は実際の響きも、比較的高音域が用いられた。
ウィーンに定住後作曲されたオペラ「後宮よりの逃走」では21曲中11曲もクラリネットを使用したが、A管、B管、C管、F管バッセトホルンの4種のクラリネットをモーツァルトは調によって管を選んでいる。C管はトルコ風の曲、B管は嘆きのアリア、A管はオスミンのアリア(19番)という風に使い分けていた。また、コンスタンツェの嘆きのアリアでのB管は歌手の高音部の邪魔をしないように配慮した慎重な使い方をしている。
その後の改良で音域が広がったものの使い方は慎重で、例えば「グランパルティータ」のメヌエットの第1トリオにクラリネットの四重奏があるが低音部はわずかしか出てこない。
さらに、クラリネット五重奏曲K581や、クラリネット協奏曲K622を生むきっかけになったクラリネットの名手アントン・シュタートラーが使用していたバセット・クラリネットに話が進む。バセット・クラリネットは具体的にどのような型をしていたのか長い間謎であったのだが、1993年アメリカの研究者が1794年にリガ(ラトビアの首都)でシュタードラーが行ったコンサートのプログラムを発見した。そこには彼の使用していた楽器のスケッチが掲載されていた。円筒に対して90度に取り付けられた球根状のベル、湾曲した歌口部が特徴的な楽器である。
F・ブリュッヘンの弟子で著名なバセット・クラリネット奏者のE・ヘープリッジが1994年にそのスケッチを元に楽器を復元し、録音も3回ほど行われている。彼の演奏でクラリネット協奏曲K622の第2楽章を聴かせていただいたが、低・中・高、それぞれの音域に応じて音の表情が変わり、特に低音部の豊かな音色は大変印象に残るものであった。
安田先生の作成した当日の資料によるとモーツァルトの作品にはクラリネットの作品がまだ沢山あるので講演の続きを是非お願いしたいと思う。(I)
第二部:「モーツァルトをめぐるソプラノ歌手」/お話・・・若松 茂生氏(本会会長)
ザスラウの翻訳に続く若松会長の意欲作が「モーツァルト問」で、順調に行けば、年内には発売になるそうですが、これはその名の通り「モーツァルトの問題集」。
しかし、裏を返すと実は、モーツァルトの生涯を問題集にしたもので、答えを導くことによってその生涯を読み解くための呼び水になれば、といった狙いがあるそうです。
この日会長は、演題に絡めたソプラノ歌手に関する問題をいくつか持ってこられましたが、「ナンシー・ストレースのために書いた曲は?」といった単純なものから、「モーツァルトのアロイジアに対する態度とアロイジアのモーツァルトに対する態度について述べよ」という限られた紙面では書ききれないほど難しいものまで様々です。
モーツァルトの女性関係に関しても、「ドゥーシェク夫人との不倫関係はあったのか」とか、「死ぬまでアロイジアのことを忘れられなかったのでは」とか、いろいろな予測がされていますが、会長は「音楽を聴けば分かる。音楽がすべてを語っている」と一刀両断。各々のために書かれた曲を1曲ずつ挙げて、「アロイジアのための曲は多いが、名曲は少ない。それに対し、スザンナを初演したナンシー・ストレースのために書いた名曲、K505などを聴くと、実はモーツァルトが一番愛していたのはナンシーなのではないか、さらにドゥーシェク夫人との不倫関係も、彼女に書いた曲(K272、K528)を聴けば、おのずと想像がつくのではないか」といった大胆な説が次々と飛び出し、新刊の発売に期待を持たせる講演となりました。(F)
●情報コーナー
コンサート情報
★モーツァルト・フルート四重奏全曲演奏会/浜離宮朝日H/12/13(土)16:00/FL有田正弘 \4000 朝日新聞:03-3267-9990
★ヴィーン室内合奏団/紀尾井H/12/13(土)17:00/M:セレナード「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」、ウェーバーCL五重奏曲、ベートーヴェン七重奏曲/12/14(日)/M:ディヴェルティメントK137、クラリネット五重奏曲、シューベルト八重奏曲 \8000~6000 NBS:03-3791-8888
★モーツァルトがくれたもう一つのCL五重奏曲/12/17(水)19:00/JTアートH/M:CL五重奏曲K581、580b/CL柴欽也、バセットHrn鎌田広 \2000 アフィニス:03-3431-4211
★12/24(水)18:30/サントリーH/「メサイヤ」(モーツァルト編曲版K572)/鈴木雅明:バッハ・コレギウム・ジャパン \9000~3500 サントリーH:03-3584-9999
★モーツァルト饗宴/★2004年1/11日(日)15:00/フィリアH/M:セレナード「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」、ヴァイオリン協奏曲第5番、フルートとハープのための協奏曲/N響メンバーによる室内オーケストラ \7000、\6000 フィリアH:045-982-9999
★1/18(日)14:00/第一生命H/M:クラヴィーアソナタ第1番、第13番、ロンドイ単調他/フォルテピアノ小倉喜久子 \3500 メセナス:03-3588-8383(H)
CD情報※外盤価格は新宿タワー価格
EMIクリスマスBOXというお買い得の箱物セットが出ている。モーツァルト関係をあげると…
★M:交響曲全集/テイト:イギリス室内o. EMI5 85589 2 \5890(12CD)
★M:弦楽四重奏曲ハイドンセット、プロシャ王セット、ピアノ四重奏曲K.414、弦楽五重奏曲K.515,K516/アルバンベルグstqr、(P)ブレンデル,(Va)マーカスルクス・ヴォルフEMI 5 85581 2 \3590(7CD)
★M:ヴァイオリンとオーケストラの作品集(ヴァイオリン協奏曲全集他)/(Vn・指揮)メニューイン:バッハFest.o.、メニューインFest.o. 5 85030 2 \2790(5枚組)
★WALTER in Stockholm/M:交響曲第40番 ウィーンフィル(1952.5.17 LIVE)、/M:K.525、交響曲第39番、シューベルト:交響曲第9番、ストックホルムs.o.(1950.9.8 LIVE)、 TAHRA TAH 508-509 \3980(2枚組)・・・先月に続きワルターのライブだがこれはLP既発売、ただし第40番は評判になったLPの1日前の演奏。
★『ヴァッサー・プシホダ:1956~57年チェトラ全レコーディング』
①M:ヴァイオリン協奏曲第3番K.216!、第4番K.218!/エニオ・ジェレッリ:RAIトリノ、
②ヴィターリ:シャコンヌ、J.S.バッハ:2台のヴァイオリン協奏曲BWV1043、タルティーニ:悪魔のトリル、ヴィオッティ:2台のヴァイオリンのための協奏交響曲第1番/(第2Vn)フランコ・ノヴェロ、A.グラメニャ、エニオ・ジェレッリ:RAIトリノ
③小品集(詳細略) WARNER FONIT 5050466-3248-2-5(3CD)\2590
…プシホダのモーツアルトがあったなんて初耳。録音は当時としては非常に良い。カデンツァも面白く味わい深い演奏。他も良い出来。
★M:フルート協奏曲第1,2番、フルートとハープのための協奏曲/(Fl)ガロワ!他、アンドレアソン:スウェーデンCO NAXOS 8.557011 \790
★M:オルガン作品集/(org)ギュー 仏Philips 476 1156 \2090(3CD)
★M:ピアノ・ソナタ全集+ロンド、幻想曲/(P)ラローチャBMG・RCA82876.55705.2 \3590(5CD)!
★M:「フィガロの結婚」(レチタティーヴォ短縮版)/エヴァンス、プレゲン、ベルガンサ、ハーパー、ディースカウ他、バレンボイム:イギリスcho. EMI 5855202 \1390(2CD)
★M:「ドン・ジョヴァンニ」※、「魔笛」※※/ノリントン:ロンドン・クラシカル・プレイヤーズ、(A.シュミット、アージェンタ、ドーソーン他)※、(ジョンソン、アップショウ、ベーア、ハウプトマン他)※※(Y)
●あとがき
安田先生のお話はお詫びから始まりました。
「"木管楽器"と一括りにしてしまいましたが、範疇が広すぎました。準備をしていくうちに、予定の時間では全然足りないことに気がつきました。申し訳ないのですが、今回はクラリネットに限定させてください。」
申し訳ないどころか、非常に中身の濃い講演で、これはシリーズで続けていただきたいテーマだと痛感しました。来年は3時間たっぷりお話ししていただく予定ですので、どうぞご期待ください。(F)
日本モーツアルト協会11月例会で古楽器のクイケン四重奏団の素晴らしい演奏会がありましたが、休憩後のクラリネット五重奏曲は、ロレンツオ・コッポラという人の演奏で、安田先生から聴いたばかりのシュタートラーの使ったとされるA管バセットクラリネットでした。メヌエットの第二トリオで、素晴らしい低音を聴かせてくれ、先生のお話を聞いて置いて良かったとつくづく感じました。(K)
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第221回 モーツァルティアン・フェライン例会 2003年11月9日
事務局レター【第96号】/2003年11月
【編集者】石津勝男/塙雅夫/山本廣資/古田佳子
●11月例会(第221回)のお知らせ
第1部:モーツァルトと木管楽器/お話・・・安田 和信氏(杏林大学講師)
第2部:モーツァルトをめぐるソプラノ歌手/お話・・・若松 茂生氏(本会会長)
日時:11月9日(日)午後2時
会場:原宿カーサ・モーツァルト(原宿医院)3Fホール(JR「原宿」下車・徒歩5分/地下鉄「明治神宮前」下車・徒歩3分)
例会費:¥2500(会員・一般共)
例会会場;原宿【カーサ・モーツァルト案内図】
今月は昨年好評だった安田先生にお話をお願いしました。またニューヨークから若松会長が帰国されますので、2部構成でお届けいたします。お2人からのコメントをご紹介します。
●第1部:モーツァルトと木管楽器
近年、モーツァルト演奏においても「ピリオド楽器」が注目されるようになっています。CDなどでも耳にする機会も増え、モーツァルト時代の楽器の響きはかなり一般的なものとなっているのではないでしょうか。東京においても演奏会などで「ピリオド楽器」を目にすることも多くなっています。
今回のお話では、モーツァルト時代の木管楽器(フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン)に焦点をあて、どのような楽器が使われていたのかについて簡単に概観してみたいと思います。その概観をもとに、モーツァルトが作品のなかで当時の楽器のメカニズムや特性を踏まえながらどのように木管楽器を使用しているかという点にも触れてみたいと思います。
ただし、難しい話ばかりでは面白くありませんので、いろいろなCDの試聴を中心に進めていきたいと思います。むしろ、木管楽器をテーマとした、最近のモーツァルトCDの紹介のようなものと受け止めていただければ幸いです。
●第2部:モーツァルトをめぐるソプラノ歌手
モーツァルトをめぐるソプラノ歌手についてお話しますが、今年中には東京書籍から出版される予定の「モーツァルト問」という本で僕が出題した問題を皆さんに考えていただきながら、ソプラノ歌手の女性像に迫りたいと思います。
その中で、ソロモンが展開しているモーツァルト好色論やドゥーシェク夫人との不倫説に対して、「すべてはモーツァルトの音楽だけが鍵になるはずだ」という考え方から反論を試みたいと思っています。うまくいきますかどうか。「会長元気で留守がいい」と揶揄されていますが、久し振りに会員の皆さんにお会いできるのを楽しみにしております。
例会後の講師を交えた懇親会にもぜひご参加ください。(F)
会場:ステージY2(渋谷区神宮前1-13-12 TEL:3478-1031)
●今後の例会のご案内
12月14日 牧野 成史氏(横浜モーツァルトアカデミー主宰)
2004年1月18日 第3回会員参加型例会
2月8日 三澤 寿喜氏(北海道教育大学教授)
3月14日 田辺 秀樹氏(一橋大学教授)
●10月例会の報告(第220回/2003年10月26日)
「交響曲第40番のさまざまな解釈」 お話・・・井上 太郎氏(湘南モーツァルト愛好会会長)
表参道の銀杏並木も黄ばみ始め、抜けるような青空のもと、熱心な会員の方々40人近くの出席がありました。
「モーツァルトの交響曲第40番ト短調K550は、CDの数も100種以上と、多いのは曲の人気もさることながら、この曲が指揮者にとって一種の試金石と考えられるからです。」という言葉で井上先生の講演が始まりました。まずこの曲の成立事情について、実はロンドンではモーツァルトの交響曲の出版が盛んで、演奏会でも4ヶ月の間に6曲も演奏されていたこと、1788年の夏に3大シンフォニーを作曲すれば、9月のロンドンのシーズンに間に合うかもしれないと、プフベルクへの借金申込みの手紙の中で、当地よりも他国(イギリス)で仕事を得たいと書いていること、英語を熱心に習って英国に関心を持っていたことなどを挙げて推理され興味深いお話でした。
次に第1楽章のテンポが指揮者によって大きく違う点について、開始から42小節までを7人の指揮者による演奏で聴いてみました。
トスカニーニ:46秒(1938年録音)/フルトヴェングラー:42秒(1948)/ワルター:53秒(1959)/パウムガルトナー:62秒(1960年代)/マーク:54秒(1996年)/アーノンクール:42秒(1983年)/ブリュッヘン:46秒(1991年)
一番早いのは42秒でフルトヴェングラーとアーノンクールの演奏。一番遅かったのは62秒でパウムガルトナーでしたが、井上先生の理想は47秒で、ブリトゥンの演奏(1968年録音)が好ましいとのことでした。またこの曲は作曲上からも転調の仕方に密接な工夫が凝らされており、ことに第4楽章の展開部における凄まじいばかりの転調を当時の人々はどうとらえていたかということで、ロベルト・シューマンの「ギリシア風にたゆとう優美さ」、ベルリオーズの「繊細さと天真爛漫の典型」といった言葉を引用されていました。
日本でも戦前ではこの曲のフィナーレを「何というほがらかな調べであろう。すべては楽しく美しく日光の光の下に踊りさざめく」と解説された例もあったそうです。しかし第4楽章全曲をトスカニーニの演奏で改めて聴いてみると、小林秀雄のいう「脳みそに手術を受けたような驚き」があり、この曲の本質を感じないわけにはゆかないとのことでした。フィナーレの展開部後半の転調について、譜面を見ながらの詳しい説明もありましたが、私たちはもっと深く聴き込む必要があると思いました。
終わりに井上先生が編曲し湘南モーツァルト愛好会で演奏された曲の録音を聴かせて頂きました。ピアノ協奏曲第23番の第2楽章をフルート、ハープ、チェロによる室内楽曲風に編曲したもので、フルートとハープで主題を奏で、チェロがオブリガード風に絡む様子はなかなか趣きがあるものでした。
閉会後のステージY2における懇親会でも40番シンフォニーを多角的に聴いた興奮さめやらず、いろいろな質問が飛び出して盛り上がりました。(I)
使用曲一覧
●第1楽章の1~42小節の演奏時間聴き比べ(*印はクラリネットなしの版による)
46秒……トスカニーニ(1867~1957)NBC Symphony Orchestra(録音年:1938)
42秒……フルトヴェングラー(1886~1954)Wein Philharmonic Orchestra*(1948)
53秒……ワルター(1876~1962)Columbia Symphony Orchestra(1959)
62秒……パウムガルトナー(1887~1971)Camerata Academica*(1960年代)
54秒……マーク(1910~)Orchestra di Padova e del Veneto*(1996)
42秒……アーノンクール(1929~)Royal Concertgebouw Orchestra(1983)
●各楽章試聴
第1楽章展開部
ブリュッヘン(1934~)Orchestra of 18th Century(録音年:1991)
第2楽章後半
ブリトゥン(1913~1976)English Chamber Orchestra(1968)
第3楽章前半
セル(1897~1970)The Cleveland Orchestra(1967)
第3楽章全曲
マッケラス(1926~)Prague Chamber Orchestra*(1986)
第4楽章全曲
トスカニーニ(1867~1957)NBC Symphony Orchestra(1938)
第4楽章後半
ガーディナー(1943~)English Baroque Soloists(1989)
●情報コーナー
コンサート情報
★11/14(金)19:00/東京オペラシティコンサートH/M:交響曲第17番、モテット「踊れ、喜べ、汝幸いなる魂よ」、ヘンデル:メサイアより他/ユハ・カンバス:フィンランド・オストロボスニア室内管弦楽団 \6500~3000 ジャパン・アーツ:03-3499-9990
★11/18(火)19:00/東京オペラシティコンサートH/M:交響曲第1番、第41番「ジュピター」、ピアノ協奏曲第20番/(P)仲道郁代、堤俊作:ロイヤルチェンバーオーケストラ \4000 イマジン・チケットセンター:03-3235-3777
★11/19(水)、20(木)サントリーH/M:「ドン・ジョヴァンニ」より、交響曲第39番他/ツァグロゼク:N響(Bプロ) \8150~3460 N響ガイド:03-3465-1780
★11/19(水)19:15/第一生命H/M:弦楽四重奏曲第14番、19番、クラリネット五重奏曲/クイケン・クヮルテット \5000~4000アレグロ・ミュージック:03-3403-5871
★11/21(金)19:00/東京紀尾井H/M:ピアノソナタ第11番、15番他/ヘブラー\7000カジモト:03-5749-9960
★11/27(木) かつしかシンフォニーヒルズ19:00/M:ディヴェルティメントK136、ヴァイオリン協奏曲第5番「トルコ風」、アイネ・クライネ・ナハトムジーク他/(V)ショルツ、ベルリン室内管弦楽団 \4000~2500ムジークレーベン:03-5458-3777
★11/29(土)17:00/第一生命H/M:モテット「アヴェ・ヴェルム・コルプス」、ミサ曲ハ短調より、プーランク:ミサ曲ト短調他/茂木大輔(指揮・解説・構成):東京混声合唱団(H)
CD情報※外盤価格は新宿タワー価格
★M:交響曲第39番K543、ヴァイオリン協奏曲第4番K218(Vn)B.フーベルマン!)/B.ワルター:フィルハーモニア管、1996.5.26LIVE!、ベートーヴェン:交響曲第1番/〃:NBCso. ARBITARE ARBITARE138 ¥失念・・・久しぶりのワルターのライブ。フーベルマンのVCも聴き物です。
★"Mozart Night Music"セレナーデK525、アダージョとフーガK546、メヌエットとトリオK485a(アートウッド編曲)、セレナータ・ノットゥルノK239、音楽の冗談K522/アンドリュー・マンゼ!:ザ・イングリッシュ・コンソート HARUMONIA MUNDI USA HMU 907280 \2090
★"ARRAU Heritage"モーツアルト・ピアノ作品全集!/M:ピアノ・ソナタ(全)、ロンドK485、アダージョK:540、ロンドK511、ファンタジーK475,397 Phil.475 294-2 \6990(7CD)・・・アラウファンに朗報!アラウのモーツアルトがまとまったのは多分初めて。
★M:レクイエムK626/(Sp)ハーパー、(Ms)ホジソン、(T)パール、(Br)クィルク、B.ブリトゥン:イングリシュcho.、他 BBC BBCL 4119-2 \2390
★M:ピアノ協奏曲全集/(P)デレク・ハーン、P.フリーマンフィルハーモニアo. BRILLIAT \4890!(11CD)
★M:SACRED MUSIC全集/ナイクル・マット:ヨーロッパ室内合唱団 Brllliannt \6690!(15CD)(Y)
●訃報
去る10月25日、会員の廣政豊さんが67歳で逝去されました。廣政さんはフェライン設立時からの会員で、モーツァルトの教会音楽に造詣が深く、第146回(1997年1月)と第191回(2001年2月)、過去2回の例会で講師を務められました。ここに故人の生前のご活躍を偲び、心からご冥福をお祈り申し上げます。(F)
廣政さんの講演掲載の事務局レターです。*例会予告(第66号) *例会報告(第67号)
また、 第87号事務局レターと第85号事務局レターに在りし日の廣政さんのお姿があります。
●あとがき
今月の井上先生のお話で、40番シンフォニーの冒頭聴き比べというのは、とても面白い企画でした。加えて、その他の楽章での使用曲もここに記しておきます。
第2楽章後半:ブリトゥン(1968年録音)/第3楽章前半:セル(1967)/第3楽章全曲:マッケラス(1986)/第4楽章全曲:トスカニーニ(1938)/第4楽章後半:ガーディナー(1989)
井上先生が理想の時間を47秒とおっしゃるのには根拠があります。モーツァルトの没後、弟子だったフンメルが6大シンフォニーをピアノ演奏用に編曲し、その際にテンポをメトロノーム指定しており、それに基づいて計ると、1小節から42小節までが47秒になるのだそうです。ところが、ぴったり47秒の録音をお持ちでないので、パソコンで47秒のものをご自分でお作りになって聴かせてくださいました。
また、ト短調を1音上げてイ短調にするとどう感じるか、といったユニークな試みもあり、パソコン音楽の面白さを楽しく語ってくださいました。(F)
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第220回 モーツァルティアン・フェライン例会 2003年10月26日
事務局レター【第95号】/2003年10月
【編集者】古田佳子
●10月例会(第220回)のお知らせ
「交響曲第40番のさまざまな解釈」お話・・・井上 太郎氏(湘南モーツァルト愛好会会長)
日時:10月26日(日)午後2時
会場:原宿カーサ・モーツァルト(原宿医院)3Fホール(JR「原宿」下車・徒歩5分/地下鉄「明治神宮前」下車・徒歩3分)
例会費:¥2500(会員・一般共)
例会会場;原宿【カーサ・モーツァルト案内図】
今年も10月となり、井上先生の講演を楽しみにしている方々にはお待たせ致しました。先生からは以下のメッセージをいただいております。
【交響曲第40番は私にとってモーツァルトとの出会いの曲です。この曲の人気は申し上げるまでもないでしょうが、CDの数は100種以上あるのではないかと思われます。
これほど多いのは曲の人気もさることながら、この曲が指揮者にとって一種の試金石と考えられるからです。
第1楽章のテンポからして指揮者によって大きく違います。このテンポの違いはこの曲ばかりでなく、指揮者のモーツァルト観そのものにも関わっていると言えそうです。
私の持っている35種のCDの第1楽章の42小節までの所要時間を拙著『モーツァルト・ガイドブック』に載せましたが、42秒から62秒までの違いがありました。一番早いのは1948年録音のフルトヴェングラーと1983年録音のアーノンクールであったことは驚きでした。そして一番遅かったのは1958年録音のパウムガルトナーのものでした。
この曲については第1楽章ばかりでなく、各楽章にテンポの違いが見られ、また強弱のつけ方などさまざまな解釈の違いもあります。大編成のオーケストラによるものと小編成のオリジナル楽器によるものとでは当然響きの相違があります。それらを実際に聴いていただき、話を進めたいと考えております。
またこの曲は作曲の上からみても転調の仕方に綿密な工夫がこらされております。ことに第4楽章の展開部における凄まじいばかりの転調を当時の人はどうとらえていたでしょうか。
やや専門的かもしれませんが、このことについても触れたいと考えております。】
例会後恒例の懇親会にもぜひご参加ください。(F)
会場:ステージY2(渋谷区神宮前1-13-12 TEL:3478-1031)
●今後の例会のご案内
11月9日 【第1部】安田和信氏(杏林大学講師)「(テーマ未定)」【第2部】若松茂生氏(本会会長)「モーツァルトをめぐるソプラノ歌手」
12月14日 牧野 成史氏(横浜モーツァルトアカデミー主宰)
2004年1月18日 第3回会員参加型例会
2月8日 三澤 寿喜氏(北海道教育大学教授)
3月14日 田辺 秀樹氏(一橋大学教授)
●9月例会の報告(第219回/2003年9月21日)
「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 K364の成立事情と名演奏聴き比べ」
お話・・・石津 勝男(本会副会長)
) 「K364は私のK番号で、90種ぐらいの演奏が発売になっているらしいですが、私の持っているのは3分の2ぐらいでしょうか。」
講師の石津副会長が稀代のレコードコレクターでもあるのはフェラインでは承知の事実ですが、それでもこういうお話をさらりとおっしゃるのにはびっくりさせられます。
この日は台風接近で荒れ模様の中、40人近い方々がお越しくださいました。
お話はまず第1部として成立事情が詳しく語られました。作曲時期がマンハイム・パリ旅行のあとになるので、この旅行が中心になります。
まず、マンハイム学派(シュターミッツ、ホルツバウアー、カンナビヒ)と、当時パリで活躍していた作曲家(サン=ジョルジュ、ショーベルト、ゴセック)の作品をいくつか聴きました。これらの作曲家について触れたモーツァルトの手紙を紹介しながらの鑑賞でしたが、「カンナビヒのシンフォニーはどれもこれも同じように始まります。常に始めはゆっくりと、しかもユニソンです。」(1777年11月20日付)という手紙を読んでから、実際に音を聴いてみると、まさにその通りで、会場からは思わず笑いが漏れました。
次に、モーツァルトが訪ねた頃のパリは、シンフォニア・コンチェルタンテ、いわゆる協奏交響曲が流行しており、モーツァルトもこのジャンルをいくつか手がけていたということで、未完の作品(Fl、Ob、Hn,Bsのための協奏交響曲 K.Anh9、Vnとフォルテピアノのための協奏交響曲 K.Anh56、Vn、Va、Vcのための協奏交響曲 K.Anh104)を聴きました。
これらの未完の作品について、石津さんはアインシュタインの本から引用して、K.Anh104に関しては、「マンハイムの楽団の3人のソリストのために計画されたのだろうが、モーツァルトがマンハイム滞在中に演奏者が集まらなかったので実現に至らなかった可能性があること」や、K.Anh54については「数週間後にはマンハイムのオーケストラ自体が消滅してしまったせいである」といった原因を語られました。
さらに、マンハイムでモーツァルトが観た演劇「メディア」のCDまで用意されていたのにはびっくり。モーツァルトが手紙で「僕が観たのはベンダの『メデーア』でした」と報告している舞台で、オペラでさえめったに誉めないモーツァルトが、珍しく良い評価をしているものです。CDのタイトルは「メロドラマ」となっていますが、実際に聴いてみるとドイツ語による音楽つき朗読劇といったもので、なかなか興味深いCDです。
後半の聴き比べは、まずバリリで第2楽章を聴いたあと、1930年から50年代の名手たちの演奏(ハーティ、スティードリ、ソロモン)。次いで1960年代の強力な識者によるオーケストラ主導型としてセル&クリーブランド、ベーム&BPOを、1970年代のフランス系演奏としてパイヤールを、さらに1980年代以降のソロ、指揮、オケの三者のバランスを重視したものとしてアーノンクール、クイケン、デュメイの演奏を聴きましたが、会場ではベームとクイケンの演奏の評判が良かったようです。
最後は映像で、1991年バッキンガム宮殿におけるチャールズ皇太子臨席で行われたライヴコンサート(ディヴィス指揮、イギリス室内管弦楽団)を観て終了となりました。
全体を通して、話題の中心はやはり第2楽章で、先月、若松会長の翻訳で発売になったザスラウの「モーツァルトのシンフォニー」からの引用もあり、これが大変興味深い考察でした。詳細は「モーツァルトのシンフォニー」をお読みいただくとして、「このような(短調の)楽章を、母親の死や失恋などの個人的な悲劇と結びつけたがる学者が多いが、これは単なる悲劇的なポーズにすぎない」というザスラウに対し、石津さんは「ザスラウの言うことも理解できるが、あの2楽章を聴くと、そこには恋人たちの会話や、親子の語らい、師と弟子の会話、果てはシェイクスピアの悲劇の一場面などを連想せずにはいられず、極めて個人的な感情表出のように思われてならない」というお話で最後を締めくくられました。(F)
●情報コーナー
コンサート情報
★10/31(金)19:00/横浜みなとみらいH/「ドン・ジョヴァンニ」序曲、交響曲第35番「ハフナー」、ブラームス:交響曲第1番/スクロヴァチェフスキー:ザールブリュッケン放送交響楽団\12000~4000榊原音楽事務所03-3401-8771
★11/1(土)18:30/横浜みなとみらいH/ディヴェルティメントK136、ヴァイオリン協奏曲第1番、3番、交響曲第40番/(V)ムローヴァ、マッキントッシュ:エイジ・オヴ・エンライトメント管弦楽団\11000~7000神奈川芸術協会045-453-5080
★11/1(土)18:30/武蔵野市民文化会館(小)/モスクワ・アマデウス歌劇場「バスティアンとバスティエンヌ」、ストラヴィンスキー「料理女マヴラ」\5000武蔵野文化会館0422-54-2011
★11/2(日)14:00/イイノH/ディヴェルティメントK136、ピアノ協奏曲第23番、交響第40番/早川正昭:新ヴィヴァルディ合奏団\4000ジャパン・アーツ03-3499-9990
★11/3(月・祝)15:00/東京すみだトリフォニーH/ディヴェルティメントK136、音楽の冗談第1、2楽章、ヴァイオリン協奏曲第1番他/(V)ムローヴァ、マッキントッシュ:エイジ・オヴ・エンライトメント管弦楽団\14000~6000すみだトリフォニーH03-5608-1212
★11/6(木)19:00/東京すみだトリフォニーH/アイネ・クライネ・ナハトムジーク、ヴァイオリン協奏曲第3番、4番、交響曲第29番/(V)ムローヴァ、マッキントシュ:エイジ・オヴ・エンライトメント管弦楽団(ティケット料金、申込は11/3に同じ)
★11/13(木)14(金)19:00、15(土)16(日)15:00/新国立劇場(小)/イタリアのモーツァルト(ポント王ミトリダーテ、ルーチョ・シッラより)/指揮:平井秀明、出演:成田勝美、高野二郎、黒木香保里他\4200新国立劇場03-5352-9999
★11/19(水)19:15/東京第一生命H/弦楽四重奏曲第14番、19番、クラリネット五重奏曲/クイケン・クヮルテット\5000~4000アレグロ・ミュージック03-3403-5871
★11/21(金)19:00/東京紀尾井H/ピアノソナタ第11番、15番他/ヘブラー\7000カジモト 03-5749-9960(H)
CD情報※外盤価格は新宿タワー価格
【エラート発売50周年記念復刻盤・各¥1575(ワーナーミュージックジャパン)】
●アイネクライネ他/K・リステンパルト、ザール室内O
●ディヴェルティメントK563/パスキエ・トリオ
●フルート四重奏曲(全曲)/レーデル(Fl)、ビュヒナ(Vn)他
●モーツァルト父子/おもちゃの交響曲、ドイツ舞曲他/レーデル、ミュンヘン・プロ・アルテ室内O
●FlとHpの協奏曲、Cl協奏曲/ランパル、ラスキーヌ、ランスロ、パイヤール室内O
●教会ソナタ(全17曲)/アラン、パイヤール室内O
●木管三重奏によるディヴェルティメント/ピエルロ、ランスロ、オンニュ
●クラリネット五重奏、ホルン五重奏/ランスロ、ヴェスコーヴォ、バルヒェットQ
★クリフォード・カーソン(P)デッカ・レコーディングス1941~72(Vol.2):ピアノ協奏曲No23、24/クリップス、LSO('5310月録音)ブラームス/P協1番、グリーグ/P協 ¥3590
★ヴァイオリン協奏曲第3番、5番/グリュミオー、パウムガルトナー、VSO(4753062 ¥990!)
★「ドン・ジョヴァンニ」全曲/ヤノヴィッツ、ツィリス=ガラ、ギャウロフ、バロウズ、パネライ他、カラヤン、VPO('70年7月27日ザルツブルク音楽祭)3CD ¥5490(I)
●あとがき
毎回、例会の最後は講師による質疑応答があるのですが、先月はヴィオラの調弦に関する話題が出ました。
K364については「ヴィオラは半音上げること」というモーツァルトの指定があり、当時はそのようにして演奏したらしいのです。管楽器の調性を変えるのはしばしば耳にしますが、弦楽器を変えるというのは初耳で大変驚きました。現在はそういう調弦はめったにやらないそうですが、会場からは、半音上げると弾きやすくなるとか、弦を張ることになるので、ヴァイオリンに対する演奏効果が上がるとか、様々な意見が出て大変盛り上がりました。
調弦を変える理由については憶測の域を出ず、結論は出ませんでしたが、例会の最後の楽しい締めくくりになったようです。(F)
●使用曲一覧
【A】作曲者、曲目【B】指揮【C】オーケストラ【D】ソリスト【E】レーベル
マンハイム学派の作曲家たち
●【A】C・シュターミッツ(1746~1801)/ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 【B】W・ホフマン 【C】プファルツ室内オーケストラ 【D】M・ベッチャー(Vn) 【E】独プロモトロン(LP)
●【A】I・ホルツバウアー(1711~83)/ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのための協奏交響曲 イ長調 【B】T・フューリー 【C】カメラータ・ベルン 【D】T・フューリー(Vn)、C・シラー(Va)、T・デメンガ(Vc) 【E】独アルヒーフ(LP)
●【A】C・カンナビヒ(1731~98)/シンフォニア63番 ニ長調 【B】V・ルーカス 【C】ルーカス・コンソート 【E】独ナクソス
●【A】C・カンナビヒ(1731~98)/シンフォニア50番 ニ短調 【B】U・グロット 【C】ニコラウス・エステルハージ・シンフォニア 【E】独ナクソス
パリで流行した作曲家
●【A】J・サン=ジョルジュ(1739~99)/2つのヴァイオリンのための協奏交響曲 ト長調 【B】J・F・パイヤール 【C】パイヤール室内オーケストラ 【D】H・フェルナンデ(Vn)、G・カルル(Vn)【E】仏エラート
●【A】J・ショーベルト(1740~67)/クラヴサン協奏曲第4番 ハ長調 【B】J・F・パイヤール 【C】パイヤール室内オーケストラ 【D】A=H・ベッケンシュタイナー(クラヴサン)【E】仏エラート
●【A】J・ゴセック(1734~1829)/2つのハープのための協奏曲 ニ長調 【B】J・F・パイヤール 【C】パイヤール室内オーケストラ 【D】L・ラスキーヌ(Hp)、O・N・タンデュ(Hp)【E】仏エラート
モーツァルトが作曲、紛失したもの、断片のみのもの
●【A】フルート、オーボエ、ホルン、ファゴットのための協奏交響曲 変ホ長調 K.Anh9(297B)(紛失、編曲/R・レヴィン) 【B】N・マリナー 【C】アカデミー室内オーケストラ 【D】O・ニコレ(Fl)、H・ホリガー(Ob)、H・バウマン(Hn)、K・トゥーネマン(Fg)【E】日フォノグラム(LP)
●【A】ヴァイオリンとフォルテピアノのための協奏交響曲 ニ長調 K.Anh56(断片) 【B】L・ハーガー 【C】オランダ室内オーケストラ 【D】J=ジャック・カントロフ(Vn)、G・ウィルソン(フォルテピアノ)【E】日デノン
●【A】ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのための協奏交響曲 イ長調 K.Anh104(断片) 【B】【B】L・ハーガー 【C】オランダ室内オーケストラ 【D】J=ジャック・カントロフ(Vn)、W・メンデルスゾーン(Va)、藤原真理(Vc)【E】日デノン
モーツァルトが観たメロドラマ
●【A】A・ベンダ(1722~95)/メロドラマ「メディア」(独語・ギリシャ悲劇による) 【B】C・ベンダ 【C】プラハ室内オーケストラ 【D】配役/M・ベッチャー(メディア)、P・ウーライ(イアソン) 【E】独ナクソス
K364聴き比べ
【A】指揮【B】オーケストラ【C】ヴァイオリン【D】ヴィオラ【E】録音年【F】レーベル
参考音源
●【A】H・スウォボダ 【B】ウィーン国立オペラ管弦楽団 【C】W・バリリ 【D】P・ドクトル 【E】1951 【F】日ユニバーサル(ウエストミンスター・MONO)
1930年代から50年代の名手たちの演奏
●【A】H・ハーティ 【B】L.P.O 【C】A・サモンズ 【D】L・ターティス 【E】1933 【F】独ナクソス(英HMV・MONO)
●【A】F・スティードリ 【B】ニューフレンズ・オーケストラ 【C】A・スポーディング 【D】W・プリムローズ 【E】1941 【F】米ドレミ(米ビクター・MONO)
●【A】A・ソロモン 【B】RCAビクター交響楽団 【C】J・ハイフェッツ 【D】W・プリムローズ 【E】1956 【F】米RCA(STEREO)
1960年代の強力な指揮者たちによるオーケストラ主導型の演奏
●【A】G・セル 【B】クリーヴランド・オーケストラ 【C】R・ドルイアン 【D】E・スカーニック 【E】1963 【F】日CBSソニー(STEREO)
●【A】K・ベーム 【B】B.S.O 【C】T・ブランディス 【D】G・カッポーネ 【E】1964 【F】独グラモフォン(STEREO)
1970年代のフランス系の指揮者、ソリスト、オーケストラによる演奏
●【A】F・パイヤール 【B】パイヤール室内オーケストラ 【C】G・ジャリ 【D】S・コロ 【E】1974 【F】日デノン(DIGITAL)
1980年以降ソリスト、指揮、オーケストラ三者のバランスを重視した演奏
●【A】N・アーノンクール 【B】V.S.O 【C】G・クレーメル 【D】K・カシュカシアン 【E】1983 【F】独グラモフォン(DIGITAL)
●【A】S・クイケン 【B】ラ・プティット・バンド 【C】R・寺神戸 【D】S・クイケン 【E】1995 【F】日デノン(DIGITAL)
●【A】O・デュメイ 【B】ザルツブルク・カメラータ・アカデミカ 【C】O・デュメイ 【D】V・ハーゲン 【E】2000 【F】独グラモフォン(DIGITAL)
1991年、バッキンガム宮殿におけるコンサート「モーツァルト・アット・バッキンガム・パレス」の映像
●【A】C・ディヴィス 【B】イギリス室内オーケストラ【C】F・P・ツィマーマン 【D】T・ツィマーマン 【E】1991 【F】東芝EMI(レーザーディスク)
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第219回 モーツァルティアン・フェライン例会 2003年9月21日
事務局レター【第94号】/2003年9月
【編集者】山本廣資/塙雅夫/古田佳子
●9月例会(第219回)のお知らせ
「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K364の成立事情と名演奏聴き比べ」お話…石津 勝男氏(本会副会長)
日時:9月21日(日)午後2時
会場:原宿カーサ・モーツァルト(原宿医院)3Fホール(JR「原宿」下車・徒歩5分/地下鉄「明治神宮前」下車・徒歩3分)
例会費:¥1500(会員、一般共)
例会会場;原宿【カーサ・モーツァルト案内図】
2年ぶりに登場の石津副会長ですが、今回はご自身の会員番号であるK364についてお話しくださいます。副会長からのメッセージを以下にご紹介します。
『「モーツァルトの作品では、 ふつうは特定の感情が音楽を越えることなく、 悲しみも喜びも"音楽"の中に内包されているのだが、 この協奏交響曲では感情の波が音楽を越えて押し寄せることがある。 ……」 (石井宏氏)
私も第二楽章を聴くとき、 二つの独奏楽器がたがいにからみ合い、 カデンツァ前後の感情の高まりや作曲技法など23歳の青年の作とは思えない何か特別なものを感じる。
モーツァルトは1777年、 母親と共にマンハイム、 パリ旅行に出かけ、 各地の最新の音楽と接する機会を得た。 当時の音楽的中心地であったマンハイムとパリでは、 複数の独奏楽器が活躍する協奏交響曲というジャンルが流行していた。 とりわけパリでは、 公開演奏会の曲目としてこの形式は人気があり、 モーツァルトも管楽器のための協奏交響曲 (K297b=追加9) を作曲している。
この旅でモーツァルトは就職活動も結局は失敗した上に、 母の死とアロイジアとの別れという失意のうちに1779年1月ザルツブルクへ帰郷する。 そして8月頃、 このK364が作曲されたもののパリの様に公開演奏会がその舞台でもなく、 また神技を披露するマンハイムの楽人もいないこの地でモーツァルトはどのような想いでこの名作を書いたのだろうか。 今回、私のお話ではモーツァルトに影響を与えたマンハイム楽派やパリで流行した作曲家たちの作品の中から何曲か聴いたり、 モーツァルトがK364の前後に作曲しながら中断し、 断片として残っている二曲も聴いて皆様と一緒に推測してみたいと思います。
第二部ではK364をめぐる名演奏の聴き比べとして1940年代ごろから名手たちのソロによるもの、 強力な指揮者によるオーケストラ主導型のもの、 指揮者とソロ二人のバランスを重視した演奏などを比較しながら聴いてみます。 またバッキンガム宮殿における1991年のライブ映像を視聴してこの名作の真髄を味わって頂きたいと思っております。』
石津副会長の膨大なコレクションの中から、滅多に聴くことのできない演奏が数多く聴けることと思います。大勢のお運びをお待ちしております。尚、例会後は近くの「ステージ・Y2」(渋谷区神宮前1-13-12 ℡3478-1031)で懇親会を行いますので、是非ご参加下さい。(F)
●今後の例会のご案内
10月26日 井上太郎氏(湘南モーツァルト愛好会会長)「シンフォニー40番のテンポ」
11月9日 【第1部】安田和信氏(杏林大学講師)「(テーマ未定)」
【第2部】若松茂生氏(本会会長)「モーツァルトをめぐるソプラノ歌手」
12月14日 牧野成史氏(横浜モーツァルトアカデミー主宰)
2004年1月18日 第3回会員参加型例会
●7月例会の報告(第218回/2003年7月13日)
「最近のエアチェックビデオから」
お話・・・倉島 収氏(本会副会長)
我がフェラインのホームページ(以下HP)は公開から丸3年が過ぎ、閲覧数も間もなく2万件に達しようとしています。倉島副会長は、このHPの管理責任者であるばかりでなく、ご自身のプライベートなHPも同時に運営されており、今回の例会で使用された映像は、その重要なコンテンツのひとつです。
この「音楽ソフト紹介」コーナーは、毎月新しい映像の紹介がありアフターケアも万全で、フェラインで例会講師の方がアクシデントでキャンセルになってしまった場合に備えての強力なピンチヒッターとなっています。
例会での鑑賞は今回で確か3回目になるはず。その内容の素晴らしさに「毎回楽しみなんですよ」とおっしゃる固定ファンもいらっしゃいます。
今年のプログラムは、大好評だった昨年から今まで、1年間で録画されたものの中から、選りすぐりの以下の4本です。
「懐かしい演奏」として、(1)ベーム指揮、ウィーン・フィルの交響曲第1番K16と第25番K183。
「珍しい演奏」として、(2)アルティス四重奏団による『ドン・ジョヴァンニ』の弦楽四重奏編曲版。
「最近のおすすめ演奏」が2本で、(3)バルトリとターフェルのジョイント・リサイタルと(4)高橋薫子と読響の『踊れ喜べ』K165。
(1)1978年撮影でベームは84歳。場所は定かではありませんが、宮殿風にしつらえた録音用のスタジオと思われます。フルオーケストラに近い編成で、演奏のテンポもゆっくりしたもの。映画『アマデウス』(1984年)のテーマともなっている25番は、映像を見た後、CDでワルター、アーノンクール、ホグウッドを聴き比べてみました。例会での聴き比べは珍しいことではありませんが、倉島さんの指摘で、「アマデウスを観ていなかった」ベーム、ワルター(速い!)と、「アマデウス後」のアーノンクール(強弱が激しい)の演奏の比較というのは、映画好きの私にはとても興味深く、ユニークな試みだと思いました。
(2)「オペラアリアを器楽の編曲で」というのは、奇しくも6月例会で「器楽で楽しむオペラの魅力」という大変評判が良く、素晴らしい演奏がありました。今回この映像を見たあと、それを思い浮かべた方も多かったらしく「器楽の編曲というのもなかなか良いですね」という感想を耳にしました。6月例会は木管楽器とピアノでしたが、今回はめったに聴けない弦楽四重奏で、編曲といい演奏といいとても見事なものです。倉島さんの資料には「普段良く耳にする管楽器の編曲と違って、弦楽四重奏というのはオーケストラをそのまま縮小したような編成のため、原曲に近い印象を与えるので迫力があるのでしょう」という説明があり、思わずうなずいてしまいました。
(3)休憩を挟んで3本目は、おそらくこの日のハイライトと思われるジョイント・リサイタル。最初のフィガロの序曲から第1曲、第2曲のデュエット、第3曲のフィガロのアリアまで、芸達者の2人の掛け合いがまるでオペラそのものを見ているようで、すっかり魅了されてしまいました。ドン・ジョヴァンニとツェルリーナのデュエットやパパパの二重唱などが終わった後は、見ていた皆さんからも拍手が飛び出し、倉島さんもほっとされたことと思います。 (4)当日配られた資料を見ると、音源はCS放送の「クラシカジャパン」とNHK・BSデジタルが主なものですが、系列に読響があるせいか、BS日テレ(BS141)も意外とクラシックの放映が多いのに驚きました。この日の最後のプログラムもそのうちのひとつで、モーツァルティアンの間でも一時話題になった3日間に渡る「モーツァルト・ガラコンサート」(2002年3月)からのものです。ソリストの高橋薫子はこの『踊れ喜べ』を得意にしていて、私は実際に何度か耳にしてはいたのですが、いずれもピアノ伴奏ばかりでしたので、オーケストラをバックにした彼女の歌声を楽しみにしていました。美人で清楚な印象の彼女はフェラインにもファンが多く、期待に違わぬ演奏でさらにファンを増やしたのではないでしょうか。
この日のビデオは曲順に2本のテープに編集されていて、つまり私たちが鑑賞したのはコピーなわけですが、それを感じさせない鮮明な画像と素晴らしい音質で、これがまさに「デジタル」の威力。また、これだけのものを見せられてしまうと、嫌でも次に期待が膨らむのは否めません。倉島副会長、固定ファンを裏切らないすてきな企画を、来年もどうぞよろしくお願いします。(F)
●情報コーナー
コンサート情報
★9/20(土)18:00/M:ピアノ協奏曲第21番K.467、マーラー:交響曲第4番/(P)梯剛之、(S)天羽明恵、ヘンリク・シェーファー:東京交響楽団 \7000~2000 ℡東響-3369-1661
★10/10(金)18:30、12(日)15:00、14(火),17(金)18:30、19(日)15:00、21(火)18:30新国立劇場/M:『フィガロに結婚』/演出:アンドレアス・ホモキ、指揮:ウルフ・シルマー、出演:クリストファー・ロバートソン、ジャニス・ワトソン、ペテリス・エグリーティス、中嶋彰子、エレーナ・ツィトコーワ他 、東京フィル、新国立劇場合唱団 \21000~3150 ℡新国立劇場03-5352-9999
★10/12(日)14:00東京オペラシティ コンサートホール/ドヴォルザーク:スラブ舞曲第1番、M:ピアノ協奏曲第11番!(P)小川典子!、ストラヴィンスキー:小管弦楽のための気味曲第1,2番、マルティヌー:演奏会用組曲「調理場のレビュー」、コープランド:バレエ組曲「ロディオ」より「4つのダンス・エピソード」/クリストファー・ホグウッド:東京フィル \5000~2000 ℡東京フィル03-5353-9522
★11/4(火)19:00東京オペラシティCH/M:交響曲第35番「ハフナー」、ブルックナー:交響曲第5番、11/5(水)東京オペラシティCH/交響曲第34番K.338、ブルックナー:交響曲第7番/スクロヴァチェフスキー:ザールブリュッケン放送交響曲楽団 \10000~8000(B/C/D券売切れ)東京オペラシティCH 03-5353-9999
CD情報※外盤価格は新宿タワー価格
★M:交響曲全集/ヤープ・テルリンデン:アムステルダム・モーツァルト・アカデミー Brilliannt Classics 92110 \4890(11枚組)
★M:ピアノ協奏曲全集/(P)デレク・ハーン、パウル・フリーマン:フィルハーモニアo.、Brilliannt Classics 92110 \4890(11枚組)
★M:オペラ全集/演奏者省略Brilliannt Classics 92114 \14990(44枚組!) (以上3組箱物廉価盤で話題のBrillianntからの新盤・・・ピアノソナタ全集は事務所のBGMとして愛用中(Y))
★M:ヴァイオリン協奏曲第5番、ファゴット協奏曲、交響曲第39番/(Vn)久保(佐藤)陽子、(Fg)浅野高瑛、斎藤秀雄!:新日本pho.(1973.4.8 LIVE) Tokyo FM TFMC0002 \0000 (斎藤秀雄氏の名演集を集めた3枚組の中の1枚。貴重なドキュメントである)
★M:ピアノ協奏曲第23番、第27番/(P)ゼルキン、シュナイダー:コロンビアs.o.(55.9.10録音 Sony 5128649 ¥1800
★M:ピアノ協奏曲第9番、第20番/(P)ゼルキン、シュナイダー:マールボロ音楽祭o. .(56.8.29録音)、オーマンディ:フィラデルフィアs.o(51.2.11録音) Sony 5128649 \1800 (以上2枚ともルドルフ・ゼルキン生誕百周年記念盤の1枚。モノーラル時代の録音で初CD化。他にもいろいろあってゼルキンファンにお奨め)
★M:クラリネット三重奏曲(ケーゲルシュタット・トリオ)K.498、ライネッケ:クラリネット・ヴィオラ・ピアノの三重奏曲、フルート・ソナタ/(Cl)K.ラースター、(Va)Ch.シラー、(P)フランケシュ、(Fl)ニコレ、(P)イヴァルディ、 TUDER 798 \1890(Y)
●あとがき
夏らしくない夏休みでしたが、皆さまいかがお過ごしでしたか。お休みをいただいている間に、レターをちょっとリニューアルしました。また、編集のほうも少し顔ぶれが変わります。その都度、題字下にご案内しますので、どうぞよろしくお願いいたします。(F)
第218回 モーツァルティアン・フェライン例会 2003年7月13日
事務局レター【第93号】/2003.7.1
【編集者】山本廣資/古田佳子
●7月例会(第218回)のお知らせ
「最近のエアチェックビデオから」お話…倉島 収氏(本会副会長)
日時:7月13日(日)午後2時
会場:原宿カーサ・モーツァルト(原宿医院)3Fホール(JR「原宿」下車・徒歩5分/地下鉄「明治神宮前」下車・徒歩3分)
例会費:¥1500(会員、一般共)
例会会場;原宿【カーサ・モーツァルト案内図】
今年も倉島副会長のビデオを楽しむ日がやってきました。フェライン会員の皆様の幅広い多様な好みに応えようと倉島副会長には下記のように厳選していただきました。
『フェラインの例会の講師の都合による急な変更に備えて、その穴埋め用にビデオ紹介の準備をしている。何がよいかいつも迷うのであるが、最近は私のエアチェックビデオのコレクションからオールドファン用の「懐かしい名演奏」、コンサートなどではなかなか聴けない「珍しい曲の演奏」、有名オペラ歌手などによる「最新の素晴らしいコンサート」などに分類して、ご紹介している。
今回もそれにならって最近1年くらいの間に収録したビデオのうち、毎月ソフト紹介としてホームページで紹介しているものの中から、面白そうなものを拾い出して見た。いわば、私の一年間のコレクションのベストとお考え頂きたい。用意したプログラムは次の通りである。
1、懐かしい名演奏:ベーム指揮、ウイーンフイル、交響曲第1番K.16および交響曲第25番ト短調K.183、(1987年スタジオ映像、03年1月2日、クラシカジャパン、3-1-3)
2、珍しい曲の演奏:アルテイス弦楽四重奏団、「ドンジョバンニ」より「弦楽四重奏に編曲されたアリアたち」、(2001年ザルツブルグ・モーツアルト週間、モーツアルテウム大ホール、クラシカジャパン、2-6-3) 【休 憩】
3、最近の素晴らしい映像:①バルトリとターフェルのジョイントリサイタル、チヨン・ミョンフン指揮ロンドンフイル(1999年4月グラインドボーン・オペラ劇場、NHKBS103ハイビジョン放映、2-7-1)②高橋薫子のモテット「踊れ、喜べ」K.165、アルブレヒト指揮、読売交響楽団、モーツアルト・ガラ・コンサートより(2002年3月、サントリーH、BS143CHハイビジョン放映、2-11-1)』
楽しそうなビデオ演奏会になりそうですね。倉島さんのホームページでこのコーナーに関心のある方、実物を見る絶好の機会です。是非ともご来場ください。
尚、例会後はいつものように近くの「ステージ・Y2」(渋谷区神宮前1-13-12 ℡03-3478-1031)で講師を囲んで懇親会を行います。ご参加お待ちしております。(Y)
●今後の例会のご案内
8月 ――――― 夏休み ―――――
9月21日 石津 勝男氏(本会副会長)「K364の成立事情と名演奏聴き比べ」
10月26日 井上 太郎氏 (湘南モーツァルト愛好会会長)
11月 9日 安田 和信氏(杏林大学講師)
12月14日 牧野 成史氏 (横浜モーツァルトアカデミー主宰)
●6月例会の報告(第217回/2003年6月8日)
「器楽の名手で楽しむモーツァルトのオペラの魅力」
演奏とお話:浜中 浩一氏・二宮 和子氏・霧生 吉秀氏・白石 隆生氏
木管八重奏曲のハルモニー・ムジークに代表されるように、モーツァルトのオペラの編曲はたくさんあるが、今回のように管楽器奏者が主役を勤める形はおそらく世界でも初めてではないだろうか。いつもはアリアのサポート役のクラリネットやファゴットが主役に回っての演奏会は大変楽しいものであった。当日は以下の曲目が演奏された。
■「魔笛」K620より
1.タミーノのアリア「なんと美しい絵姿」(浜中)
2.夜の女王のアリア「若者よ恐れるなかれ」(二宮)
3.ザラストロのアリア「この神聖な宮殿には」(霧生)
4.パパゲーノのアリア「私は鳥刺し」(浜中)
5.パミーナのアリア「愛の喜びは露と消え」(二宮)
6.パパゲーナとパミーナの二重唱「恋を知る男達は」(浜中・二宮)
■2本のクラリネットとファゴットのためのディヴェルティメント K.anh229 (浜中・二宮・霧生)
■「コジ・ファン・トゥッテ」 K588より
1.フェランドのアリア「愛しい人の愛のそよ風は」(霧生)
2.フィオルディリージとドラベッラの二重唱「ねぇ、ちょっと見てちょうだいな」(浜中・二宮)
■「ドン・ジョヴァンニ」 K527より
1.ドン・ジョヴァンニのカンツォネッタ「窓辺においで」(霧生) 2.ツェルリーナのアリア「さあこの薬で」(二宮)
3.オッターヴィオのアリア「恋人を慰めて」(浜中)
4.ドンジョヴァンニとツェルリーナの二重唱「手に手を」(二宮・霧生)
■「フィガロの結婚」 K492 より
1.伯爵夫人のカヴァティーナ「愛の神よ、ご照覧あれ」(二宮)
2.ケルビーノのカンツォーナ「恋とはどんなものかしら」(浜中)
3.フィガロのカヴァティーナ「殿様が踊りをお望みなら」(霧生)
4.手紙の二重唱(伯爵夫人・スザンナ)「そよ風に」(浜中・二宮)
5.伯爵とスザンナの二重唱「この胸の思いを」(二宮・霧生)
6.フィガロのアリア「もう飛ぶまいぞこの蝶々」(浜中・霧生)
アンコールは全員で「魔笛」から「パパパの歌」であった。
これらの編曲はすべてこの日のために白石さんが編曲されたものであるが、音域や個性の違う登場人物に合わせて一人何役も演奏するのであるから、どのように音の付け方をするか苦労されたとの事である。又、声楽とのブレスの違いを調整したり、声楽の苦労を感じさせるように、高い音は楽々とではなく大変そうに吹いてください、など指示されたとのことで、舞台を髣髴とさせる雰囲気が良くでていた。 時間の都合で、楽譜をクラリネットの調性(A管とかB管とかありますね)に合わせることができず、ファゴットも同様で、違った調整の楽譜で破綻なくどころか見事な演奏をされたのであるから、流石プロである。
編曲も良かったが、ウィーンのフォルクスオパーで10年も副指揮者(コレペティトゥール)をされ、いろいろな名歌手からの教えを受けられた白石さんの伴奏が実に見事で本当に上手く主役のソロ楽器を引き立てておられた。このあたりは普通のピアノ伴奏とは全く感じが違うところである。
同じN響の楽団員同士とご夫婦の組み合わせとあって息のあったところは申し分なく、会場に掲げてある絵のようにモーツァルトのサロンコンサートもかくやと思われるような本当に楽しい演奏会であった。こういう組み合わせでCDを出すのも面白い企画になるのではないかと思った。
白石さんからはウィーン時代の思い出等のお話を伺ったが、オペラ劇場の裏話が面白かった。 筆者はN響の定期演奏会の会員で一階の前の方の席なので、在籍中のお二方の演奏はよく目にしていた。懇親会の場では、直接いろいろなお話を伺えた事は大変な喜びであった。(文責Y)
●情報コーナー
コンサート情報
★7/18(金)18:00めぐろパーシモンホール/「魔笛」/(演出)松尾洋、(指揮)松岡究:東京ユニバーサルフィル、東京オペラプロデュース合唱団、(出)森田学、羽山晃生、清水宏樹、水島恵美他 \10000~5000 ℡:東京オペラプロデュース03-3530-5181
★7/18(金)19:00東京芸術劇場/ハイドン:交響曲第92番「オックスフォード」、M:演奏会用アリア(Sop)森麻季、ピアノ協奏曲第20番K.466、交響曲第40番/(P)菊池洋子、ユベール・スダーン!/東京交響楽団 \6000~2000 ℡:東京03-3369-1661
★7/24(木)19:00東京芸術劇場/M:K.525、オーボエ協奏曲K.314(Ob)渡辺克也、交響曲第40番/エマニュエル・ヴィヨーム:東京都交響楽団 \5600~2800 ℡:都響03-3822-0727
★7/27(日)19:00『この夏モーツァルト三昧』/「魔笛」ハイライト、レクイエム/高橋薫子S、田中有輝子A、錦織健T、井原秀人Br、飯森範親:東京交響楽団、東京コーラス \7000~3000 ℡:東響-3369-1661
★8/1(金)19:00かつしかシンフォニーヒルズ・モーツァルトH/ピアノソナタ.第17番K. 576、ベートーヴェン:ピアノソナタ第31番他/(P)梯剛之 \5000~4000 ℡:葛飾区文化振興財団03-5760-2233
★8/2(土)14:00東京芸術劇場/「フィガロの結婚」序曲、ピアノ協奏曲第26番「戴冠式」他、『小朝のシュトラウス物語』/ (P)辻井伸行、(語り)春風亭小朝、秋山和慶、:東京交響楽団 \6000~3000 ℡:東響-3369-1661(・・・今月の東京交響楽団はモーツァルトが多いですね)
CD情報※特記なき外盤価格は新宿タワー価格
★ロドゥロン伯婦人のための2つのディヴェルティメントK.247、K.287、木管のための2つのセレナーデK.375、K.384(ナハトムジーク)/T・フューリ:カメラータ・ベルン、コンソルティウム・クラシウム \2290(2枚組)
★協奏交響曲K.364、コンチェルトゥーネK.190/(Vn)N・ブレイニン、(Va)P・シドロフ、A・ギブソン:Echo. Chandos CHAN 10076 \ 2190
★弦楽四重奏曲K.464,465/ターリッヒstqr. Caliope CAL 5243 \1590
★Cl、Ob、Hr、Fg、Kl.のための五重奏曲K.452、Fl、Vn、Va、Vclの四重奏曲K.285、弦楽五重奏曲K.516/ニコラエワ、テツラフ、ワイトハウス他EMI 7243 5 57552 2 3 \ 2290(以上渋・HMV)
★弦楽四重奏曲K.378,421,428,458,464,465/イザイェstqr DECCA 47 3963-2 \2990(3枚組)
★レクイエムK.626(ロバート・レヴィン版!)、アダージョとフーガK.546/チャールズ・マッケラス:スコットランド室内管、合唱団他 LINN CKD 211 \2990
★「魔笛」/カラヤン:VPO他 THE50-25 \980(2枚組)!
★「フィガロ」/カラヤン:VPO他 THE50-25 \980(2枚組)!(以上2枚はモノーラル初期の名盤で何度も再発されている)
★シューベルト:交響曲第5,8番、Moz:交響曲第40番/バルビローリ:ハルレo. BBC BBCL 4120-2 \1990
★ニコラス・エコノムの芸術Ⅴ ピアノソナタK.282,332.457、幻想曲K.357 Suoni e Colori SC-253152 \2290
●第3回会員参加型例会出演者募集!
引き続き参加者を募集中です。入会して間もない方、会員歴は長いのになかなか例会に出席できない方を歓迎いたします。(F)
・日 時…2004年1月18日(日)
・募集内容…【1】お話:日頃の思いを熱く語る
【2】CD&映像(LD、VTR):お気に入りやおすすめをかける
【3】演奏:楽器や歌(ソロでもアンサンブルでも)
・持ち時間…1人30分以内、10分でも15分でもOK。(応募時におおよその出演時間を自己申告して下さい)
・条 件…モーツァルトに限る
・締 切…2003年7月末日
【1】【2】【3】の参加部門とその内容をメールにて、担当世話人までご連絡ください。
第217回 モーツァルティアン・フェライン例会 2003年6月8日
事務局レター【第92号】/2003.6.1
【編集者】山本廣資/古田佳子
●7月例会(第217回)のお知らせ
「 「器楽の名手で楽しむモーツァルトのオペラの魅力―――フィガロの結婚、コジ・ファン・トゥッテ、ドン・ジョヴァンニ、魔笛より」演奏とお話:浜中 浩一氏(日本クラリネット協会会長)/二宮 和子氏(同常任理事)/霧生 吉秀氏 (N響ファゴット奏者)/白石 隆生氏 (ピアニスト)
日時:6月8日(日)午後2時
会場:原宿カーサ・モーツァルト(原宿医院)3Fホール(JR「原宿」下車・徒歩5分/地下鉄「明治神宮前」下車・徒歩3分)
例会費:¥3500(会員、一般共)
例会会場;原宿【カーサ・モーツァルト案内図】
今月は会員の広部知久さんの紹介で上記のように、モーツァルトのオペラの魅力を管楽器の名手の演奏で楽しむ会になりました。広部さんからは、下記のようなコメントをいただきました。
『6月例会は、クラリネットの浜中浩一先生・二宮和子先生ご夫妻と、ファゴットの霧生吉秀先生、それにピアノの白石隆生先生の4人で、モーツァルトの4大オペラのアリアや2重唱(代表的な、選りすぐりの名曲)を2重奏、3重奏、4重奏で演奏していただけることになりました。また、浜中先生・二宮先生ご夫妻には、フランス、ルーアンでの思い出を、霧生先生には、ニューヨークのジュリアード、ボストンのニューイングランド・コンサートヴァトリーでの思い出を、白石先生にはウィーンでの思い出やウィーンフィルの団員やウィーンの歌手との競演などの思い出をお話ししていただける予定です。オペラの曲は白石先生がお選び下さいました。楽しい例会になると思いますので、お知り合いの方もお誘いの上ご来場いただければ幸いです。』
当初は浜中、二宮ご夫妻のお話と演奏という企画でしたが、最終的には上記のようにかなり充実した物となりました。曲目は長くなるので別紙をご覧下さい。モーツァルトの演奏会はたくさんありますが、今回のような組み合わせの演奏会はめったにありません。楽しみですね。
尚、例会後はいつものように近くの「ステージ・Y2」(渋谷区神宮前1-13-12 ℡03-3418-1031)で先生方を囲んで懇親会を行います。是非ご参加ください。(Y)
●今後の例会のご案内
7月13日 倉島 収氏(本会副会長)「最近のエアチェックビデオから」
9月21日 石津 勝男氏(本会副会長)
10月26日 井上 太郎氏 (湘南モーツァルト愛好会会長)
11月9日 安田 和信氏(杏林大学講師)
12月14日 牧野 成史氏 (横浜モーツァルトアカデミー主宰)
●5月例会の報告(第216回/2003年5月11日)
お話…大町陽一郎氏(指揮者)
はじめに「属先生とのイタリアの旅」のビデオを見せていただいた。「音楽家になるのなら、レオポルトの旅の跡を訪ね、モーツァルトのひいたピアノを見てこなくては駄目だよ」とのウィーン大学の先生にいわれての旅の記録で、1955年の16ミリフィルムをビデオに直したものであるが、50年近く前の物とは思えないほど充分鮮明であった。会員の皆さんは、自分達の行ったのと同じ所や最近の景色との違いに関心があった。
1954年8月のザルツブルクでは、下宿についた次の朝トイレであった足の悪い老人(ウィーンphoの第2ヴァイオリニスト)に見に来いと誘われ、ここで見たフルトヴェングラーの練習風景は、楽団員が雑談などしていて想像していたほど緊張感あるものでなかったそうである。練習がないときは、モーツアルテウムでマルケヴィッチの指揮法の講習。実際は助手の方が面倒を見てくれたが、音楽際参加のミトロプーロスやセル等の講習もあったとの事。セルの授業には10歳ぐらいの男の子が来ていて、これがのちのバレンボイム!いずれにしても凄い先生達から教えを受けておられたわけである。
当時の日本でのオペラは歌舞伎座や帝劇で上演されており、交響曲などと比べると一段低いものと思われていたが、フルベンのドン・ジョヴァンニを聴いて認識を新たにした。このときの上演ではドン・ジョヴァンニの食事の場面の楽士にはウィーン・フィルの楽員が出演していたとの事である。
ウィーンのアカデミーに入学。指揮科ではクレメンス・クラウスに師事するつもりであったが、既に亡くなっておられ、スワロフスキー(この方はアンチ・フルヴェン)に、信奉するR・シュトラウスの指揮法を教わったとの事。この後指揮の話になり、曲の始まりを「セーノ」と始めたら平凡な出来になってしまう。ベームのように震える棒は緊張して音を溜めるからいい演奏となるといった話は朝比奈さんもどこかで同じような事をいっておられた。「ベームは俺達の音楽を邪魔しないから良い演奏ができる」とのウィーンフィルメンバーの話の紹介もあった。
ベームに師事のいきさつの話もあったがここには書ききれない。大町氏の演奏はビデオでウィーンフィル奏法によるアイネクライネを聴いた。これに関係してホールの響とテンポの関係の話は面白かった。
フリーメイソン関係の話は「魔笛」序曲の演奏から始まった。フラット3つで表現される変ホ長調は、男性が入会時に叩く3つの音や、自由・平等・博愛の3つのモットーを表現するに最適な調との事で、ベートーヴェンの「英雄」や「運命」との関連にまで話は及んだ。カラヤンやウィーンフィルのメンバーが死んだ時は、ウィーンフィルは指揮者なしで「フリーメイソンのための葬送音楽」を演奏したそうである。
所用のため2次会には参加されなかったので、直接いろいろな質問は出来なかったのが残念であるが、小生にとっては大変興味深い話が一杯であった。ここではその半分も伝えられなかったのは残念である。(文責Y)
●情報コーナー
コンサート情報
★6/7(土)18:30三鷹市芸術文化センター/M:セレナード第11番K.375、ピアノ協奏曲第21番 K.467、交響曲第41番「ジュピター」/(P・指揮)沼尻竜典:トウキョウ・モーツアルトプレーヤーズ \3000 ℡三鷹市芸術文化振興財団 0422-47-5122
★6/9(月)19:00 紀尾井H/M:ディヴェルティメント K.136、クラリネット五重奏曲、他「胡桃割り人形」、「展覧会の絵」、「新世界交響曲」、「カルメン」より/(Cl)藤井洋子、チェコ・フィルハーモニー八重奏団 \6000~5000 ℡チケット・ムジカ03-3225-3636
★6/11(水)紀尾井H/M:弦楽四重奏曲第17番「狩」、バルトーク:弦楽四重奏曲第1番、ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第14番/ジュリアード弦楽四重奏団 \6000~5000 ℡紀尾井H 03-3237-0061
★6/13(金)19:00東京文化会館/M:ピアノ協奏曲第23番K.488、ブルックナー:交響曲第7番/(P)広瀬悦子、飯森泰次郎:東京シティフィル \6000~3000 ℡東京シティフィル03-5624-4002
★6/25(水)、26(木)19:00サントリーH/M:カッサシオン第1番、ピアノ協奏曲第26番「戴冠式」、交響曲第40番/(P)ミシェル・ダルベルト、マティアス・バーメルト:N響、\8150~3460 ℡N響ガイド03-3465-1780
★6/26(木)19:00/M:歌劇「フィガロの結婚」,「ドン・ジョヴァンニ」,「魔笛」より/(Sop)シモナ・シャトゥロヴァー、マルケータ・ペチニョヴァー、(Bs・Br)アレン・ベンドリフ、プラハ・モーツァルティッシモ・アンサンブル \6000~5000 ℡チケット・ムジカ03-3225-3636
★6/28(土)17:30さいたま芸術劇場音楽ホール/M:ピアノソナタK.309、310、311、ソナタ復元の試み補筆完成版世界初演K.372+K.396+K.400、伊福部昭:ピアノ組曲「盆踊り、七夕、演伶、佞武多」/(P)川上敦子 \5000 ℡デイリークラシカルミュージック
★6/30(月)サントリーH(小)/M:弦楽四重奏曲K.499、歌劇「ドン・ジョヴァンニ」より、シューベルト:弦楽四重奏曲「死と乙女」他/ウィーン・アルティス・カルテット \4500 ℡サモン・プロモーション 0120-499-699
★7/1(火)19:00 サントリーH/M:ピアノ協奏曲第27番、バルトーク:「青ひげ公の城」(演奏会形式)/(Sop)佐藤しのぶ、(Bas)A.バレルディ、(P・指揮)ゾルタン・コチシュ!:ハンガリー国立フィル \13000~4000 ℡ジャパン・アーツ03-3499-9990
★今月のN響 5/17(土)14:00 NHKホール/R・シュトラウス:歌劇「エレクトラ」(演奏会形式)/(独唱)略、(合唱)二期会合唱団、シャルル・デュトワ:N響…当日券\1520(3階自由席)
CD情報※外盤価格は新宿タワー価格
★M:交響曲第25、29、38番/第35、36、40番/第39、41番/バーンスタイン:ウィーンpo. D.G.474.394-2 \2990(3枚組)・・・こういうのはすぐに無くなってしまうでしょうね。
★M:交響曲第39~41番、バスーン協奏曲K.191/(Fg)ジェイン・ゴーワー、ジョス・ファン・インマゼール:アニマ・エテルナ H.M. 030501(2CD) \3290
★ハイドン:交響曲第93番、M:「フィガロの結婚」序曲、ピアノ協奏曲第21番(P:アンダ)・22番(P:フランクル)、シューベルト:「ロザムンデ」序曲、交響曲第9番/シューリヒト:RTSI管(1966~69LIVE) VIRTUOSO 93013(2CD) \1990
★ピエール・モントゥー"コンサート・ホール・ソサエティBOX"よりM:交響曲第35、39番、ベートーヴェン:交響曲第2、4番、ベルリオーズ:幻想交響曲、その他(詳細はレコ芸6月号TOWER広告参照)/P.M.:ハンブルグ北ドイツ放送SO SCRIBENDUM SCO-13(4CD) \4680・・・モントゥーの数少ないモーツァルト録音の復刻盤
★M・ハイドン:VnとVlaの為の二重奏曲 第1~4盤、M:同K.523,524/(Vn)ラウテンバッヒャー、(Vla)U・コッホ Bayern Records BA 100414/415(2CD)\4390
★M:ロンド K.511、デュポールのメヌエットによる変想曲 K.573、幻想曲 K.457、ピアノソナタ K.475、幻想曲 K.397/(P)アンヌ・ケフェレック MIRARE MIR 9913
●第3回会員参加型例会出演者募集!
来年1月は恒例となりました全員参加型の例会です。モーツァルトに関するお話・CD/映像鑑賞・演奏等どんな内容でも結構です。できるだけ今まで出なかった方の出演を期待します。受付は先着順とし、希望者多数の場合は次回に繰り延べさせていただきますので、ご了承ください。(Y)
・日 時…2004年1月18日(日)
・募集内容…【1】お話:日頃の思いを熱く語る
【2】CD&映像(LD、VTR):お気に入りやおすすめをかける
【3】演奏:楽器や歌(ソロでもアンサンブルでも)
・持ち時間…1人30分以内、10分でも15分でもOK。(応募時におおよその出演時間を自己申告して下さい)
・条 件…モーツァルトに限る
・締 切…2003年7月末日
【1】【2】【3】の参加部門とその内容をメールにて、担当世話人までご連絡ください。
第216回 モーツァルティアン・フェライン例会 2003年5月11日
事務局レター【第91号】/2003.5.1
【編集者】山本廣資/古田佳子
●5月例会(第216回)のお知らせ
お話…大町 陽一郎氏(指揮者)
日時:5月11日(日)午後2時
会場:原宿カーサ・モーツァルト(原宿医院)3Fホール(JR「原宿」下車・徒歩5分/地下鉄「明治神宮前」下車・徒歩3分)
例会費:¥2500(会員、一般共)
例会会場;原宿【カーサ・モーツァルト案内図】
今月は、皆様良くご存知の指揮者、大町陽一郎氏のお話です。今回は会員の斎藤正さん(イタリア・モーツァルト協会東京支部事務局長)を通じてのご紹介で、イタリアモーツァルト協会東京支部との共催という形になります。講師の方には、いつもはモーツァルトに関する何かのテーマでお話を伺っていますが、今月はお話のテーマについて、斎藤さん経由で、下記のメッセージが寄せられました。
『特に決めたテーマでの話とはしたくない。決めてしまうと、そのテーマにしばられて話が固定し、面白くなくなり、また、聴衆の方もその期待にしばられて、幅広い即興的な講演の面白さを楽しめないのではないか。出来るだけその場で、聴衆の顔をみて、反応を確かめながら話をすることを基本としたい。
とはいうものの、せっかくの機会なので、中心のテーマとして、「ハイドン・ベートーベン、モーツァルトとフリーメーソン」、「フランス革命とモーツァルト」、「属先生とのイタリア・モーツァルトの旅」など、を取り上げたいと思う。(内容はそういうことで、当日のお楽しみ)「モーツアルトの旅」については、出来ればビデオでお話し出来ればと思います。(斎藤正)』
指揮者としての豊富な経験からのモーツァルトに関するお話は、テーマなど決まっていない方が即興的な面白いものとなることでしょう。どんなお話になるか楽しみですね。
尚、例会後はいつものように近くの「ステージ・Y2」(渋谷区神宮前1-13-12 ℡03-3418-1031)で懇親会を行います。御都合がつけば先生もご出席される事でしょう。是非ご参加ください。(Y)
●今後の例会のご案内
6月8日 浜中浩一氏(日本クラリネット協会会長)、二宮和子氏(同常任理事)「クラリネット・デュオによるモーツァルトの曲の演奏とお話」
7月13日 倉島収氏(本会副会長)「最近のエアチェックビデオから」
8月 ――――― 夏休み ―――――
●4月例会の報告(第215回/2003年4月13日)
「ピアノ・ソナタに見る心象風景」・・・・お話 久元祐子氏(ピアニスト)
モーツァルトはクラヴィーアのための曲をたくさん書いているが、中心となるのはやはりクラヴィーアのソナタである。彼自身はクラヴィーアのソナタについてそれほど重要視していなかったのは確かで、それはクラヴィーアのソナタについて言及した記録がないことからも伺える。
クラヴィーアのソナタは18曲あるが全て3章で、基本的には早めの第1章、穏やかな第2楽章、ソナタ又はロンド形式の第3楽章といった物が多い。急-緩-急のかたちの中に多様な個性が入っているのが魅力で、この中に、モーツァルトの心象風景が伺えるとの事で夫々の時期の代表的な作品を演奏し、解説していただいた。以下はその概要である。
①はじめにK.545のソナタの演奏。どうしてこんな曲に「初心者のための小さなクラヴィーア・ソナタ」とサブタイトルをつけたのか分からないとおっしゃる程難しい曲だそうである。
②ヨハン・クリスティアン・バッハ:ソナタ ニ長調 作品5-2第1楽章。(以下全てモーツァルトのクラヴィーア・ソナタ)
③ソナタ ニ長調 K.284「デュルニッツ」 から第1楽章:J.C.バッハの写しといってよいほどそっくり似ていて、モーツァルトの学習の眼差しが伺える。譜面によればオクターブ違うだけなどの他良く似た音形が出てくる。モーツァルトの第1主題にJ.C.バッハの第二主題をつなげる実験も演奏されたが、音楽が自然に流れてゆき違和感がなかった。曲想・デザイン・部品が同じなので取替え可能というわけである。
④マンハイムでカンナビッヒの娘のために書かれたソナタ ハ長調 K.309の第1楽章:父から独立して何とも明るく暗さの影もない。丁度この頃はアウグスブルクのベーズレ嬢に駄洒落や悪ふざけ満載の手紙を書いている頃であるが、この作品の音形やリズムにこの手紙の雰囲気が表れており、人をからかいながら自分も楽しんでいる感じで、音符の向うから開放感が見えてくる事。久元さんはこの曲をひそかに"ベーズレ・ソナタ"と呼んでいるそうである。(我々もそう呼びますか)
⑤ソナタ ニ長調 K.311 第2楽章:このアンダンテの曇りのない明らかさはト長調の調性から来るものであるが、平均律でなく古典調律ならもっと明るくすんでいたと思う。アロイジア・ウエーバーとの別れも関係ある。
⑥ソナタ イ短調 K.310 第2楽章:青年となったモーツァルトには冷たく、母を失ったパリのモーツァルトの心象風景が表れている。K.311の第2楽章と同じような明るさではあるが、K.310はきれい事で終わっていない。不協和音を連続して使っている所などは地獄の釜の蓋をあけるような感じであるが、又天国の平安の世界に戻ってくるところが凄い。光と影の交錯、奥行きの深い音楽は、K.311から大きく踏み出し性格が違っており、モーツァルトが大きく成長していることを伺わせる。この楽章は地獄をみたものにしか書けない名曲である。
⑦ソナタ イ短調 K.310 第3楽章:足が地に付かない不安感が冒頭から出てくる。第2楽章と同様にパリのモーツァルトの心象風景が表れていると筆者にも感じられた。
⑧休憩の後は"パイジェルロのオペラ「哲学者きどり」から「主よ幸いあれ」による6つの変奏曲 ヘ長調 K.398"
⑨ソナタ ハ短調 K.457 第1楽章:体の中から湧き上がってくるエネルギーが力強く、緊張感がみなぎっている。ハ短調の和音の上昇エネルギーに絶頂期のモーツァルトがうかがえるとのこと。ここでは同じ調性のベートーヴェンの悲愴ソナタとの関連も弾き語りでの説明があった。
⑩ソナタ K.570 変ロ長調:絶頂期のエネルギーが段々失われている。父親の見舞いにも、葬式にも行かず、遺産を巡っての姉との諍い、生活苦もあってモーツァルトの心寂しい雰囲気が出ている。現世に背を向け彼岸への憧れすら感じられる。音を動かさなくても大きなものを表現しており、簡明な形なのに多彩な表現がある。音の動きは少なく、エネルギッシュでなく慣性で動く世界といった晩年の特徴が表れている。マンハイムから10年こんなに変ってしまったのである。
寂しい感じで終わるのは嫌ということで、アンコールは会場近くにある『ジブリ美術館』ちなんで『"千と千尋の神隠し"のテーマ』であった。
モーツァルトのピアノソナタについてこのような聴き方をしたことはなかったが、作曲された時期の心象風景が、まちがいなく作品に投影されている事は良く分かった。
小林秀雄は「・・・彼の統一のない殆んど愚劣とも評したい生涯と彼の完璧な芸術との驚くべき不調和・・・」と書いているが、当時のモーツァルト研究のレベルや最近のたくさんの情報を考えると、彼の評論についても割引いて考えたほうが良いのではないだろうか。例えばK.330~K.332の4曲は以前はパリ・ソナタといわれていたが、近年の研究ではウィーン時代の初期に書かれた物とされている。小林秀雄が『モーツァルト』を書いた頃はこのことは不明だったので、母親の死と、自信をに満ちてウィーンに出てきた頃のこれらの曲との違和感を大きく感じたのであろう。逆にいえば、モーツァルトのピアノソナタにおける心象風景が表れている事を示しているともいえるのではないだろうか。
モーツァルトも面白かったがベートーヴェンについての解説も興味を惹かれた。例会ではとりあげられないだろうが、いつか別の機会にこのような話を聞きたいと思った。(文責Y)
●情報コーナー
コンサート情報
★5/15(木)~17(金)19:00、18(日)15:00新国立劇場(小)/ガッザニーガ!:ドン・ジョヴァンニ/指揮:松岡究、演出:今井伸昭、キャスト:大野光彦・上原正敏・針生美智子・国光智子・関真理子・安井陽子他、新国立劇場合唱団、新国立小劇場オペラ・アンサンブル \4200 ℡:新国立劇場ボックスオフィス03-5352-9999
★5/17(土)18:00紀尾井H/イベール:モーツァルトへのオマージュ、フォーレ:パヴァーヌOp.50、M:ピアノ協奏曲K.488、シューマン:交響曲第2番/(P)アリシア・デ・ラローチャ!、尾高忠明:紀尾井シンフォニエッタ東京 \5500~3500 ℡:紀尾井H 03-3237-0061
★5/19(月)19:00 JTアートH/M:オーボエ協奏曲、ブラームス:弦楽4重奏曲第3番、ベートーヴェン:弦楽4重奏曲第11番、バックス:オーボエ五重奏曲/(Ob)広田智之、ハレー・ストリング・カルテット \3000 ℡:JTアートH・アフィニス03-5572-4945
★5/22(木)19:00かつしかシンフォニーヒルズ・アイリスH、「フローリアン・プライ(Br)&リコ・グルダ ~才気あふれる二世が語り合う、夢の顔合わせ~」/シューベルト:即興曲より、「ます」,「菩提樹」,「さすらい人」、M:「静けさはほほえみ」、ピアノソナタK.311,歌劇「魔笛」より、ブラームス:「眠りの精」,「日曜日」,「サッフォー風の讃歌」,他 \4000 ℡:ムジーク・レーベン03-5458-7777
★5/24(土)18:00東京文化会館小H/ベートーヴェン:弦楽4重奏曲第6番Op.18-6、ブリテン:3つのディヴェルティメント、M:ディヴェルティメントK.563!/クァルテット エクセルシオ \3000 ℡I:VS音楽出版03-5261-3361
★5/31(土)14:00東京文化会館小H―久元祐子ピアノリサイタル―/M:パイジェルロのオペラ"哲学者気取り"から「主よ幸いあれ」による6つの変奏曲K.398、の他ヴィトールス、チマローザ、リストの諸作品 \3000 ℡:プロアルテムジケ3943-6677
★6/2(月)19:00王子ホール/M:ヴァイオリンソナタK.377,380, 379,376,481,454,526/(Vn)ミドリ・ザイラー、(P)ジョス・ファン・インマゼール\6000 ℡:王子H:03-3567-9990
★6/6(金)19:00目黒パーシモンホール/ワグナー:ジーグフリート牧歌、コープランド:クラリネット協奏曲、シベリウス:悲しいワルツ、M:交響曲第29番K.201/(Cl)チャールズ・ナイディック、オルフェウス室内管弦楽団 \8000~5000 ℡:神原音楽事務所03-3401-8771
CD情報※外盤価格は新宿タワー価格
★「後宮からの逃走」/アーノンクール:アカデミー管弦楽団他 Decca473 804-2 \1850(2枚組)(Double Deccaシリーズの1枚)
★「魔笛」/リップ、ゼーフリート、ユリナッチ、デルモータ、クンツ他、カラヤン:ウィーンpho. The50`s 50-08 \890!(2枚組)
★ピアノ協奏曲K.466、K.488/(P)ミケランジェリ、ジュリーニ:RAIローマ管弦楽団、他にショパン、バッハ、スカルラッティの独奏曲 The50`s 50-15 \890!(2枚組)(The50`s という新しいレーベルは、1950年代の名演奏の復刻を目的としているようで、値段も2枚組で\890と格安!リパッティのK.310やパルティータ等もある。今までにいろいろなレーベルで復刻されている物もあるがもっていない方には朗報)
★ピアノ協奏曲第9番K.271、第19番K.459/(P)クララ・ハスキル、カール・シューリヒト:シュトゥットガルト放送交響楽団 hanssler classic CD 93.079 \1290
●あとがき
先月は大きな会場に小編成のオーケストラは合わないということを書いたが、今月はその逆の話である。最近あちこちに小奇麗なサロンコンサート会場が出来、いろいろなイヴェントが行われているのは音楽ファンとして大変喜ばしい事ではあるが、おいてあるピアノが会場の大きさに合わない例が時々ある。今日の会場に関してはピアノの音量が適量で50人程度のホールにうまくマッチングしていて聴きやすかった。ここ「ラ・フォルテ・カフェ」においてあるピアノは河合楽器の「ボストン」(Designd by Steiway & Sons)で、グランドピアノではあるが小ぶりである。(Y)
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第215回2003年4月フェライン例会
事務局レター第90号 2003.4.1 モーツアルテイアン・フェライン
事務局レター 2003.4.1【第90号】
【編集者】山本廣資/古田佳子
●4月例会(第215回)のお知らせ 「ピアノ・ソナタに見る心象風景」お話…久元祐子氏(ピアニスト)
日時:4月13日(日)午後2時
会場:コンサートスタジオ「ラ・フォルテ・カフェ」(JR吉祥寺公園口下車・徒歩10分)
例会費:¥3000(会員、一般共)
吉祥寺 【「ラ・フォルテ・カフェ」案内図】(もし文字化けしましたら、表示→エンコード→日本語(自動選択)をクリックしてください。)
昨年の久元さんの「モーツァルトにおける即興とカデンツァ」は大変楽しいお話でしたね。今年も同じ吉祥寺の「ラ・フォルテ・カフェ」で演奏を聴きながらお話しを聞くという集いになります。久元さんからはタイトルの「ピアノ・ソナタに見る心象風景」について次のようなコメントただきました。
『よく知られているように、小林秀雄は「モォツァルト」で、モーツァルトを「本質的な謎」と書いていますが、おそらく小林秀雄は、モーツァルトの神秘性が肉体と精神の隔絶から来ていると考えたのではないかと思います。モーツァルトの「統一のないほとんど愚劣とも評したい生涯」と「完璧な芸術」との間には、「驚くべき不調和」があると小林は考えます。
しかしこのような観念的な見方は、モーツァルトを弾き続けてきた実感からはかなり距離のあるものです。さまざまな時期に書かれたモーツァルトの鍵盤作品、とくにピアノ・ソナタを弾いていますと、私には、モーツァルトの短い生涯のそれぞれのステージにおいて、身体的な感覚や視線のありようが異なっていることを感じます。モーツァルトの心象風景は、まちがいなく作品に投影されているように思えるのです。
今回はやや主観を交えながら、その辺のところをどのように感じているかをお話しさせていただければと思います。』
プログラム(オール・モーツァルト)
・クラヴィーア・ソナタ ニ長調KV284「デュルニッツ」 第1楽章
・クラヴィーア・ソナタ ハ長調 KV309 第1楽章
・クラヴィーア・ソナタ ニ長調 KV311 第2楽章
・クラヴィーア・ソナタ イ短調 KV310 第2楽章
・クラヴィーア・ソナタ イ短調 KV310 第3楽章
・パイジェルロのオペラによる6つの変奏曲 ヘ長調 KV398
・クラヴィーア・ソナタ ハ短調 K457 第1楽章
・クラヴィーア・ソナタ K570 変ロ長調
ピアノソナタの演奏者の感性を通して観た、モーツァルトの心象風景とはどんなものなのでしょうか。大変楽しみですね。尚、例会後は同じ「ラ・フォルテ・カフェ」で懇親会を行います。是非ご参加下さい。(Y)
●今後の例会のご案内
5月11日 大町陽一郎氏(指揮者)(予定)「テーマ未定」
6月8日 浜中浩一氏(日本クラリネット協会会長)、二宮和子氏(同常任理事)「クラリネット・デュオによるモーツァルトの曲の演奏とお話」
7月13日 未定
●3月例会の報告(第214回/2003年3月9日)
オペラ『劇場支配人』をめぐってお話…田辺秀樹先生(一橋大学教授)
田辺秀樹先生によるモーツァルトの名作オペラシリーズは『イドメネオ』、『後宮からの逃走』に引き続き3回目で、『劇場支配人』K486をめぐるお話でした。
★オペラにおける〈楽屋落ちもの〉:
「これは芸術の〈自己言及的現象〉といって練習風景、 オーディション、 オペラの舞台裏、 劇場支配人ものなど18世紀に大いに流行した。 ドメニコ・サルロ、 D・スカルラッティ、 ペルゴレージ、 チマローザ、 フィオラバンディ、 ジュースマイヤー、 パイジェルロ、 ハッセなどの作曲家が手がけていて、 後にはドニゼッティ、 ロルツィング、 R・シュトラウス、 ブリテンなども残している。」 参考曲として、 ハッセ作 『恋をした台本作家』 から"台本作家の嘆く歌"をCDで、 D・スカルラッティ作 『ディリンディーナ』とチマローザ作『宮廷楽士長』を映像で観せて頂いたが、 特に後者のブルスカンティーニの演ずる宮廷楽士長が一人でオーケストラのメンバーに楽器の声色を使いながら指示を与え曲を完成させていく姿は、 いかにもブッフォ的で楽しめるものでした。
★〈楽屋落ち〉流行の背景: 「16世紀に始まったオペラが18世紀には爛熟し、 マンネリ化、 閉塞状況になりつつあったこの世界に対する風刺、 批判、 更には自虐的にあばくといった風潮から楽屋落ちものが流行した。」 参考本としてB・マルチェッロ著 『当世流行劇場』(未来社) のご紹介がありました。
★1786年2月7日、 シェーンブルン宮殿におけるオペラ合戦:
「ヨーゼフ2世によるドイツ語のオペラ振興の動きにもかかわらず『後宮』以後は、 ウィーンでは依然としてイタリアオペラが隆盛であった。 その頃、 ヨーゼフ2世の義弟でオランダ総督の地位にあったザクセン=テッシェン公がウィーンを訪れるというので皇帝が歓迎祝宴の余興として、 ドイツ語とイタリア語による音楽劇の競演を企画した。 前者はモーツァルトがシュテファニーの台本で『劇場支配人』を、 後者はサリエリがカスティの台本で『初めに音楽、 お次が言葉』を作曲することになり、 シェーンブルン宮殿のオランジュリーに舞台を設置して上演された。モーツァルトの作品は1幕10場のうち4曲の音楽があるだけで、 歌つき芝居のものであったのに対してサリエリの方はオペラブッファとして面白く出来ていたのでモーツァルトは少しハンディを受けたようであった。」
両者を比較してみるためにサリエリの作品をモスクワ室内O公演をビデオで、 モーツァルトの作品をバッキンガム宮殿におけるコンサート形式の公演のLDによる映像で観せて頂いた。 後世の評判通り、 私達の観たところやはりモーツァルトの方が美しい旋律と深い感情表現がみられ出来が良いと思う。 またモーツァルトはヘルツ夫人をアロイジアに、 ジルバークラングをカヴァリエリに歌わせていてサリエリに複雑な想いをさせるなど舞台裏でも心理劇が進行していたという事実には興味深いものがありました。
また、 W・ゲーテがワイマールの劇場の支配人をしていた頃、 以前イタリアで観たチマローザの『窮地に陥ちた劇場支配人』とモーツァルトの『劇場支配人』を合わせた型で上演し好評だったというが、 ゲーテもこうした楽屋落ちオペラを通して演劇的な遊びをしたそうです。 そして19世紀にはこうした遊びも下火になったが20世紀に入るとR・シュトラウス作曲、 ホフマンスタール台本によって『バラの騎士』や『ナクソス島のアリアドネ』更には『カプリッチョ』(C・クラウス台本) などの中に18世紀の伝統であった劇中劇や遊びの精神が復活してきたというお話でした。
講演のあと田辺先生ご自身による恒例のピアノ演奏があり『なつかしの1820年代』や『辻馬車の歌』などをウィーン情緒たっぷりに弾いて頂き、 満員の聴衆を酔わせました。(I)
●情報コーナー
コンサート情報
★4/16(水)19:00浜離宮朝日ホール『堀込ゆず子&児玉桃モーツァルト・ヴァイオリンソナタの夕べVol.1』/M:V.S.No.29、30、40、「泉のほとりで」による6つの変奏曲 \5000 浜離宮朝日ホール03-3267-9990
★4/20(日)14:00ヤマハピアノフォルテ上大岡サロン<孤高の天才モーツァルト>/M:「ああ、母さん聞いて」による12の変奏曲、ピアノソナタNo.8,16,11 \3000 上大岡サロン045-716-4560
★4/20(日)14:00荻窪/かん芸館<午後のモーツァルト>/M:夢の姿、魔法使い、ルイーゼが不実な恋人の手紙を焼くとき、すみれ、夕べの想い、クローエに、自動オルガンのためのアンダンテヘ長調、「イドメネオ」より/(Sop)高橋照美、(P)久元祐子、(お話)高橋英郎 \4000 ℡:かん芸館03-5347-2668
★4/24(木)18:45東京文化会館小H/M:ヴァイオリン・ソナタK.403,360,377,570,380/(Vn)小林美恵、(P)上田晴子 \4500 ℡:日本モーツァルト協会03-5467-0626
★4/25(土)19:00武蔵野市民文化会館(小) タチアナ・パブロフスカヤ ソプラノ・リサイタル/歌劇「フィガロの結婚」より、歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」より、歌劇「ドン・ジョヴァンニ」より、コンサートアリア集/共(P)アレクサンドル・チャイコフスキー \1500 ℡:武蔵野市民文化会館0422-54-2011
★5/15(木)~18(日)新国立劇場/ガッザニーガ!:ドン・ジョヴァンニ/指揮:松岡究、演出:今井伸昭、キャスト:大野光彦・上原正敏・針生美智子・国光智子・関真理子・安井陽子他、新国立劇場合唱団、新国立小劇場オペラ・アンサンブル \4200 ℡:新国立劇場ボックスオフィス03-5352-9999
★今月のN響4/12(土)14:00 NHKホール/武満徹:セレモニアル―An Autumn Ode(1992)、ショパン:ピアノ協奏曲第2番、ベルリオーズ:幻想交響曲/(笙)宮田まゆみ、(P)ネルソン・フレーレ、(指揮)シャルル・デュトワ・・・当日券\1520(3階自由席)
CD情報※外盤価格は新宿タワー価格
★モーツァルト/シューリヒト ①交響曲No.23 K.181・VPO、No.35ハフナー・LSO、No.36リンツ・パリオペラ座 ②交響曲No.38プラーハ・BPO、No.40 K.550RTSIo ③ピアノ協奏曲No.17 K.453・(P)S/アシュケナージ・RSOシュツットガルト、No.22 K.482・(P)タチアナ・ニコラエヴァ!VPO!④フィガロ序曲、アリア・(Sop)シュワルツコップ、セレナーデNo.7ハフナー・RSOシュツットガルト/指揮カール・シューリヒト VIRTUOSO 94008 \1790!(4枚組)
★M:ヴァイオリン協奏曲No.1~5/パウムガルトナー:ウイーンso 、ドビュッシー:V.S.、ラヴェル:V.S.、ラロ:スペイン交響曲、メンデルスゾーン:V.C.、パガニーニ:V.C.第4番、ショーソン:詩曲、ラヴェル:ティガーヌ、サンサーンス:序奏とロンドカプリチオーソ他/(Vn)A・グリュミオー、他 Phil.473 104-2 \4490!(5枚組)(先月ご紹介したカーゾンと同様フィリップス・デッカのオリジナルマスターズの1枚)
★M:ヴァイオリン協奏曲第3番K.216 スメタチェック:プラハ室内o.(1956 Live)、ヴァイオリン・ソナタK.454、K.304/(P)ハスキル(1957年ブザンソン音楽祭Live・・・既出)、ヴァイオリン・ソナタK.378/(P)アタウルホ・アルヘンタ!(1955 Live) DOREMI DHR-7779 \1890
★M:交響曲No.38,39/アーノンクール:ロイヤル・コンセルトヘボウo. Elatus 927 49828 2 \990
★M:交響曲No.40,41/アーノンクール:ロイヤル・コンセルトヘボウo. Elatus 927 49622 2 \990 (Elatusのこのシリ-ズにはバレンボイム:BPOによる初期のPCも再発されている。)
●あとがき
音楽仲間からのメールに「最近は、CDでモーツァルトを聴き、演奏会はマーラー、ブルックナーが主です。」とあった。小生の実感でもN響での大規模オーケストラには概ね満足している事が多く、ホームページでもそのように書いている。
オケ物でもピアノ協奏曲は別格であるが、モーツァルトの交響曲では余り感激した経験は少ない。これはオーケストラの編成にも関係があるようだ。いくら素晴らしいオーディオ装置を持っていても、マーラー、ブルックナー、シベリウス、ショスタコーヴィッチ等々の舞台一杯の大きな編成を再現するのは不可能である。これに対し「原典に忠実」にということで割を食っているのがハイドン、モーツァルトである。マーラー、ブルックナーを聴いた耳には、小編成の曲が貧弱に聞こえるのはやむをえない。普通のオーディオ装置で聴いても大きな差は感じられない。その上、LP/CDでは定評のある名盤が揃っている。これでは<生>の魅力が少なくなってしまうのもやむをえない。朝比奈さんが大編成のオケでモーツァルト(リンツ)を指揮したのは正しい見識であろう。(Y)
第214回2003年フェライン例会
事務局レター第89号 2003.03.01 モーツアルテイアン・フェライン
事務局レター 2003.3.1 【第89号】
【編集者】山本廣資/古田佳子
●3月例会(第214回)のお知らせ
「オペラ『劇場支配人』をめぐって」お話…田辺秀樹先生(一橋大学教授)
日時:3月9日(日)午後2時30分(!)
会場:原宿カーサ・モーツァルト(原宿医院)3Fホール(JR「原宿」下車・徒歩5分/地下鉄「明治神宮前」下車・徒歩3分)
例会費:¥2500(会員、一般共)
※今月は都合により2時30分の開始となります。ご注意ください。(開場は2時より)
例会会場;原宿【カーサ・モーツァルト案内図】
今月はいつもの田辺秀樹先生のお話です。先生からは以下のコメントをいただきました。
<昨年はモーツァルトの名作オペラの(2)として『後宮からの逃走』を取り上げました。今年は、引き続き(3)として、『フィガロの結婚』の少し前に書かれたドイツ語ジングシュピール『劇場支配人』K.486を取り上げたいと思います。
ご存じの通り、この作品は、サリエリ作曲のイタリア語オペラ『まずは音楽、次に言葉』と同じ日に、シェーンブルン宮殿の大温室で上演されました。皇帝ヨーゼフ2世が、イタリア人とドイツ人のオペラ作曲家にそれぞれ曲を書かせて競わせたという、その経緯がたいへん面白い作品です。当時のウィーン・オペラ界におけるイタリア派とドイツ派のせめぎ合いという意味でも面白いですし、どちらの作品もオペラ上演の舞台裏を描いた《オペラについてのオペラ》であるという点でも、興味がつきません。
この種のパロディスティックな「楽屋落ちもの」、「楽長もの」、「劇場監督もの」、「リハーサルもの」、「音楽教師もの」といった作品は、チマローザ、パイジェルロ、ペルゴレージ、フィオラバンティなど、モーツァルトと同時代の作曲家がいくつも書いています。18世紀後半に流行したこうした「楽屋落ちもの」は、その後、R.シュトラウスのオペラや現代のブロードウェイ・ミュージカルにも見られるもので、そうした現象の意味についても考えてみたいと思います。>
田辺先生のオペラシリーズもいよいよ3回目です。お話の後に、またピアノ演奏もある予定で楽しみですね。
尚、例会後は近くの「ステージ・Y2」(渋谷区神宮前1-13-12 ℡3418-1031)で懇親会を行います。是非ご参加下さい。(Y)
●今後の例会のご案内
4月13日 久元祐子氏「ピアノ・ソナタに見る心象風景」
5月11日 大町陽一郎氏(予定)「テーマ未定」
6月8日 浜中浩一氏(日本クラリネット協会会長)、二宮和子氏(同常任理事)「クラリネット・デュオによるモーツァルトの曲の演奏とお話」
●2月例会の報告(第213回/2003年2月9日)
「究極の第2楽章コレクション」お話:栗田久暉氏(本会会員)
はじめにK.525第2楽章のピアノ演奏版をバックに、『1/fゆらぎ』から、ミュージック・セラピー(音楽療法)についてのお話を、次に栗田さんの「究極の第二楽章コレクション」を聞いた。当日配布された資料には、ミュージック・セラピーの効果とこれに該当する曲目、そしてこれを聴いて栗田さんが浮かべるイメージがかかれていた。季刊「モーツァルティアン」第42号に掲載されたものであるが、大変面白いので再掲する。
★リラックスのホルモン分泌を促す名曲として
①ヴァイオリン協奏曲 第4番ニ長調K.218 第二楽章 アンダンテ・カンタービレ(藤川真弓/ウェラー:ロイヤルpho盤)<カプツィーナベルグ山上の、静かに風そよぐ森林から対岸のお城を眺めつつ・・・・・>
②交響曲第36番ハ長調 K.425「リンツ」 第2楽章アンダンテ(ベーム:ベルリンpho盤)<(まさに)歌詞でもつけられそうな静かなメロディー/リンツ中心部のドナウのゆるやかな流れにあわせて・・・・・、アンダンテ・カンタービレと名づけたい・・・・・・>
★優しく心の中に語りかけるような名曲として
③ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調K.364 第2楽章 アンダンテ (マリナー盤)(疲れた身体を休めるために、ザルツブルクの郊外、広々とした野原にてゆったりと景色を眺めつつ、思索にふけりて・・・)
★"cheery music"(音楽を愉快に!) 心を一層マイルド感覚にしてくれる名曲として
④ホルン協奏曲・第3番変ホ長調K.477 第2楽章 ロマンス(バリー・タックウェル盤)<のどかな牧場で、馬や牛とたわむれつつ、牧神たちがホルンを奏でる和やかな情景をかもしだし、まさに牧歌的ムード・・・・>
⑤交響曲第35番・ニ長調 K.385「ハフナー」 第2楽章 アンダンテ(クーベリック:バイエルンso盤、若杉弘:N響Live 1995.5.18・・・若杉氏は栗田氏の同級生で、例会日の2月9日は若杉氏が指揮者の道を進むに当たって適切なアドヴァイスをされた英語の先生の誕生日とのことで取り上げられた。)<ザルツカンマーグートの湖水にキラキラと映える太陽の光と水鳥のたわむれ・・・・・>
★憂うつな気分を分かち合える(同質の原理)名曲として
⑥ピアノ協奏曲・第20番 ニ短調 K.466 第2楽章 アダージョ(ペライア盤)<モーツァルトの波乱万丈の人生行路、~とうとうと流れ行く川にたとえて・・・・・>
★記憶力増強(語学学習)BGMには、ブレイクスルー現象をもたらす名曲として
⑦ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K.488 第2楽章 アダージョ(ペライア盤)<"緑響く"、白馬出現・・・・・東山魁夷画伯の心に共鳴・・・・・>
★心身の疲労を和らげ、快適睡眠(安らかな深い眠りを誘う)ための音楽として
⑧クラリネット協奏曲 イ長調K.622第2楽章アダージョ(ザビーネ・マイヤー盤)<真っ赤に染まった夕やけ空、静まり返ったウィーン郊外の夕暮れの情景・・・・>
★最後に安らかな眠りに誘う曲として
⑨ピアノソナタK.332の第2楽章(ヘブラー盤)と⑩交響曲第41番「ジュピター」(ワルター:Col.s.o.盤、若杉:N響ビデオ)の第2楽章を聴いた。
これらの曲を聴きながら、各曲のイメージの写真(栗田さんがモーツァルトを尋ねて旅した際の写真を大きく引き伸ばしたもの)を見せていただいた。小生はこのようなイメージは全く浮かばないが、先月の山田さん同様、想像力豊かな方がいらっしゃるものだと感心した。
ヒーリング・ミュージックとしてだけなく、最近の研究ではインフルエンザにも効果があることが発表された、とのお話も紹介された。まさに万病の薬・元気の素、モーツァルト薬局の素晴らしさを栗田さんにより再認識させられた午後であった。
ただしヒーリングに最適なモーツァルトの第二楽章を聞いていると、「心身共にくつろいだり、リラックスしている状態の『α波』」をとおり越して、「まどろみの『θ波』」にまで行きそうになったのは、この報告を書く上で大変に困った。
最後に最近のモーツァルトに関する栗田さんの切手コレクションの紹介があった。
今回はオーケストラ物からの第2楽章が主体であったが、室内楽やピアノソナタなどにもたくさんの素晴らしい第2楽章がある。先月の佐藤さんのピアノ協奏曲第18番のお話のように、次の機会には栗田さんだけでなく皆さんの「私の第二楽章」を聞かせて欲しいものである。(Y)
●情報コーナー
コンサート情報
★3/7(金)19:00浜離宮朝日ホール/M:「第1戒律の責務」!(神童11歳の作品、宗教的ジングシュピーゲル)/(指揮・Vcl)諸岡範澄:オーケストラ・シンポシオン、(Sop)懸田奈緒子、松堂久美恵、押見朋子、(Ten)及川豊、野村和貴 \6000~5000 ℡朝日ホール03-3267-9990
★3/15(土)18:00新宿文化センター/M:交響曲第41番「ジュピター」、「レクイエム」K.626/(Sop)幸田浩子、(Alt)林美智子、(Ten)藤川泰飽彰、(Bar)福島明也、(合唱)新宿文化センター「レクイエム」合唱団、下野竜也:東京都交響楽団 \3000、℡新宿文化センター03-3350-1141
★3/16(日)15:00文京シビックホール大ホール/M:「劇場支配人」序曲、フルートとハープのための協奏曲、ブラームス:交響曲第1番/(Fl)高木綾子、(Hp)武松舞、阪 哲朗:東京フィル、\6500~3500 ℡東京フィル03-5353-9522
★3/20(木)18:00、3/21(金)15:00 新国立劇場(中)「新国立劇場オペラ研修所 研修公演」/M:「フィガロの結婚」(字幕付)/新国立劇場オペラ研修所3,4,5期生他、新日本フィル\1500℡新国立劇場オペラ研修所03-5351-3011
★3/21(金)19:00東京芸術劇場/M:セレナード第6番「セレナータ・ノットゥルナ」、オーボエ協奏曲K.314、セレナード第7番「ハフナー」/(Ob)蛎崎耕三、(Vn)小森谷巧、J・F・パイヤール:読売日響 \7000~2000 ℡読響03-3820-0013
★3/22(土)19:00サントリーH/M:ディヴェルティメントK.136、ピアノ協奏曲第24番、セレナード第7番「ハフナー」/(P)若林顕、(Vn)小森谷巧、J・F・パイヤール:読売日響 \7000~2000 ℡読響03-3820-0013
★4/4(金)19:00石橋メモリアルホール/M:ソナタの楽章K.400、ピアノソナタK.311、ロンドK.511、ベートーヴェン:ピアノソナタOp.111、ブラームス:間奏曲Op.76-7、カプリッチオOp.76-8、「ヘンデルの主題による25の変奏とフーガ」/(P)松浦豊明!\5000 ℡東京文化会館03-5815-5452
★4/4(金)19:15、4/6(日)15:00すみだトリフォニーホール/M:ピアノ協奏曲第21番K.467、マーラー:交響曲第4番/(P)菊池洋子、(Sop)マリー・プレット、デリック・イノウエ:新日本フィル \7000~3500 ℡新日本フィル03-5610-3815
CD情報※外盤価格は新宿タワー価格
★ピアノ協奏曲K.271、K.466、K.488、K.491/(P・指揮)ミハイル・プレトニエフ:ドイツカンマーo. Virgin 7243 5 62176 2 1 \1490(2枚組み)
★ヴァイオリン協奏曲第1~5番、ヴァイオリンとオーケストラのためのロンドK.269,373/(Vn)チョー・リャン・リン、R.レパード:イングリッシュcho. SM2K 8998 3 \2290(2枚組み)
★ピアノソナタK.533/494、K.310,311、ファンタジーK.397/(P)ブレンデル Phil473-689-2 \1750
★ピアノ協奏曲K.488、K.595/(P)クリフォード・カーゾン、ジョージ・セル!:ウィーンPho!. 英DECCA 473 116-2 \3590 (4枚組、①ベートーヴェン:「皇帝」、チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番、セル:ロンドンPho.他、②シューベルト:即興曲 D935、ピアノソナタニ長調 D850、③フランク:交響的変奏曲、リトルフ:スケルツォ、ボールト:LPO、ファリャ:スペインの夜の庭 エンリケ・ホルダ:新交響楽団他、ピアノは全てカーゾン)
●あとがき
モーツァルト=ピアノ協奏曲である小生にとって、好きな理由は殆んど第2楽章にある。以前にBGM用にピアノ協奏曲の第2楽章だけを入れたカセットテープを作って、愛用したほどである。このときは9番以降の全ての曲の第2楽章を入れた。
栗田さんが挙げた第2楽章も勿論気に入っているが、どちらかと言えば交響曲を外して、室内楽やピアノソナタの第2楽章を入れたい。クラリネット五重奏曲は勿論、ハイドンセットは全ての曲の第2楽章。ピアノソナタやヴァイオリンソナタは曲が多い事もあって選ぶのに困るほどである。ヴァイオリン協奏曲も3,4,5番は勿論外せない。結局小生にとってモーツァルトの第2楽章は何でも良いという事とになってしまった。(Y)
第213回2003年2月フェライン例会
事務局レター第88号 2003.02.01 モーツアルテイアン・フェライン
事務局レター【第88号】/2003.2.1
【編集者】山本廣資/古田佳子
●2月例会(第213回)のお知らせ
「究極の第2楽章コレクション」 お話:栗田久暉氏(本会会員)
日時:2月9日(日)午後2時
会場:原宿カーサ・モーツァルト(原宿医院)3Fホール(JR「原宿」下車・徒歩5分/地下鉄「明治神宮前」下車・徒歩3分)
例会費:¥1500(会員、一般共)
例会会場;原宿【カーサ・モーツァルト案内図】
今月は季刊「モーツァルティアン」創立20周年記念号の特集《夢のモーツァルト・コンサート》に「究極の第二楽章コレクション」をあげられた栗田久暉氏のお話です。氏は『"究極の第二楽章コレクション"にて皆様と共にミュージック・セラピーを!』というタイトルで下記のコメントを寄せられました。
〈ここ十数年余り前から新聞、TV等の情報筋にて"音楽療法"(ミュージック・セラピー)という用語がしばしば見かけられつつあります。私自身、丁度その頃からこの分野に深く興味を持ち始め、1995年頃から専門の先生から講義を伺ったり、各種文献に目を通しつつ、勉強とまでは行っておりませんが、この道を徐々に開拓してゆくべく目下時間をかけて努力中です.この分野は本来は"聴く"という受け身のみならず、むしろ自ら"楽器を演奏"もしくは "一緒に演奏する"という能動的な方法で人の心を癒すことのほうが多いようです。
しかし、今回は私がモーツァルティアン42号14頁にモーツァルトの"究極の第二楽章コレクション"と題したものを投稿しましたものが、ヒーリング・ミュージックとして非常にふさわしい事から、この二つのテーマをコンバインし、各種の資料を元にして私の独自(!)というより、独断と偏見にて見解をまとめ、この奥の深いミュージック・セラピーを皆様と共に"聴く"という受け身の形にて楽しむ計画を立てました。
音楽療法とは一体どのようなものか、この非常に幅の広い多角的な療法分野の入門的な"根源"と、この世界的に大変古い歴史を、その要点のみを簡単に、実際に皆様が音楽をお楽しみになる前後に挿入し、素人ながらもお話させていただきます。前述の"第二楽章コレクション"の8曲に、冒頭(プロローグ)にお話させていただく際のバック・グラウンド・ミュージック(多少小さめの音量)を含めて2曲追加し(追加分の曲名はその時のお楽しみ)、あわせて10曲程といたします。
曲の前後に、夫々を選曲したいきさつ等を簡単にお話しながら、各全曲を今回のテーマの性格上、時間にゆとりを持たせてくつろいだ気分と共に、静寂な雰囲気の中に聞きましょう。 そのため、皆様なるべく開始のお時間に遅刻されませんようにお願いできれば幸いです。
そのあと、もし時間的にゆとりがありましたら、私のモーツァルト切手コレクションに関連するもののごく一部をコピーではありますがお見せしながら、これも簡単にお話できれば・・・と予定を立てております。〉
会員の皆様は夫々「究極の第二楽章」をお持ちでしょう。栗田さんの選曲と一致するのもあれば、私はこちらの方がという方もあるでしょう。いずれにしてもわれらがモーツァルトの第二楽章です。《アダージョ・クリタ・・・栗田版アダージョ・モーツァルト》を楽しむ午後としましょう。尚、例会後は近くの「ステージ・Y2」(渋谷区神宮前1-13-12 ℡3418-1031)で懇親会を行いますので是非ご参加下さい。(Y)
●今後の例会のご案内
3月9日 田辺秀樹先生「「劇場支配人」のあれこれ(仮称)」
4月13日 久元祐子氏「テーマ未定」
5月11日 大町陽一郎氏(予定)「テーマ未定」
●1月例会の報告(第212回/2003年1月19日)
第2回全員参加型例会 お話と演奏・・・会員有志
今年の第2回「全員参加型例会」も昨年1月に行われた200回記念の時と同様大変楽しいものであった。昨年より一人当たりの時間を若干長くしたので会員の皆様のお話も充実し、まとまった演奏も聴く事が出来ました。
①会員番号K456の佐藤梓さんのお話しは「私の十八番」。ピアノ協奏曲18番への想いを語られて、"究極の愛聴盤是非聴いて下さい"と、20数枚の手持ちのCDから選んだのはアシュケナージ盤!確かに一つ一つ音を確かめているようなしみじみと聴かせるいい演奏であり、タンノイのGRFメモリーから流れる音にウットリとした幸せそうな佐藤さんの顔が印象的であった。近くの席から誰かの「イイナ」という声もあった。
②副会長の倉島収さんは「幻のピアノソナタ(今は聴かれないソナチネ)-新全集の功罪-」と題して、ソナチネK.547a、(Anh.135)について話された。ピアノ初心者用のソナタ集に掲載され、ピアノソナタとして長らく愛されてきたこの曲は、新全集によりヴァイオリン・ソナタのピアノパートとして位置付けられ自筆譜がないことから、ピアノソナタとしては疑問視されるようになって、殆んど弾かれる機会がない曲となってしまっているとのことであった。演奏は江端津也子さんのピアノによるPS版とクーレン/ブラウティガムによるVS版(CD)を聴いた。
③広部知久さんは私の愛聴盤として"大好きなヴェスペレ・K.339"をあげられた。お話の後、この第5楽章:ラウダーテ・ドミヌム(主をほめたたえよ)をイギリス室内管弦楽団・タリス室内合唱団(Sop:エディット・マティス)の演奏とフルート・オルガンの二重奏への編曲版を聴いた。何れも愛聴盤にふさわしい演奏であった。
④篠田滋さんはこの日のためわざわざ岐阜県からお出でになった。19歳の時の交響曲25番との出会いに始まり、15年前のザルツブルグ・ウィーン音楽祭の旅(石津副会長とホテルが同室であったそうだ)の思い出、LDでオペラを見、小学館のモーツァルト全集を聴く日々、イタリアの旅、ミュンヘン・プラハの旅と大きく引き伸ばした写真を示しながら「モーツァルトを聴き続けて30年」を語られた。母上が亡くなられた際にはモーツァルトの音楽が心の支えであったと話された。最後にレオポルドの生家のシュタイン製ハンマーフリュ-ゲルによるロンドK.485を聴いた。
前半の最後は⑤大田哲弘・河原奈美夫妻のフルートとピアノによる魔笛K.620の第1幕。序曲から7番二重唱まで通常40分くらいかかるものを10分程度にまとめた「大慌て」の演奏。
6曲目は⑥河原さんの伴奏で小滝 博・古田佳子お二人の二重唱「愛を知るものは~」。歌の部分だけでなくせりふの掛け合いも面白かった。息のあったフルートの二重奏とあわせ、当時の西欧の家庭やサロンでモーツァルトの「魔笛」を楽しむ雰囲気もかくやと想像されるものであった。
後半は⑦真部 淳:デュポール変想曲K.573の演奏。これも素晴らしかった。演奏前に二冊の本の紹介があった。「名曲の旋律学」ルードルフ・レティ著水野信男・岸本宏子訳(音楽の友社)によれば交響曲やソナタの各楽章には第1楽章に使われた音形と緊密な関係があり、同じ調性の別な曲の楽章と組み合わせてもうまく行かないとのことであった。もう一つは「モーツァルトの音符たち」池辺晋一郎氏著(音楽の友社)。
⑧山田健二さんのお話は『山田流モーツァルトの楽しみ方(こんな聴き方をしています)』であった。初めに「クラシック音楽鑑賞歴」。小学校4年生の時、音楽鑑賞の時間に聞かされたスプリングソナタでえもいわれぬ恍惚感を味わったこと(ずいぶん早熟ですね)に始まり,モーツァルティアンフェライン入会までのお話。次に「いつどこでどのようにモーツァルトを聴いているのか」。通勤電車内はウォークマンでつり革をもって電車のゆれにカムフラージュして曲に合わせて身体を揺らす。通勤自転車上は同様ウォークマンだが安全のため良く知っている曲を聴くが、朝はアレグロ、帰宅時はメヌエットがのぞましい。
自宅の風呂場ではウォークマン等のヘッドフォン端子にFMトランスミッターをつけ、防滴ラジオを持ち込んで聴くとのこと。ここまでの方は中々いない。全く脱帽である。その上「どんな聴き方をしているのかと」いうと、頭の中でその曲から感じられる状況をイメージに描いているとのことで、交響曲第7番K.45、交響曲第36番リンツ、協奏交響曲K.364、教会ソナタK.67について具体的なイメージをあげられた。このイメージのユニークな事に皆さんはビックリ。最後に実験として映画「ファンタジア2000」の「運命」の映像(抽象動画)の部分が交響曲第7番K.45に結びつけられるとの実験を行った。身振り・手振りと表現力豊かな山田さんのお話は大変楽しかった。
⑨小生(山本廣資)はモーツァルトへの挑戦者達(K.488のカデンツァ)と題し、モーツァルト作のカデンツァがあるにもかかわらず、あえて自作又は他の作曲家のカデンツァを弾いて「モーツァルトに挑んだ」演奏家たちの演奏(ホロヴィッツ:ブゾーニ作、ハイデシェック:自作、ステファンスカ:自作?)を聴いてもらった。モーツァルト作はカーゾン/クーベリック盤。その他最近出たマイラ・ヘスのライブ盤が第2楽章に装飾音をたくさん入れているので、これも紹介した。
⑨田中 進さんは去年に続いてバリトン独唱。江端津也子さんの伴奏で魔笛・K.620「恋人か女房が~」を唄い、昨年同様皆を魅了させた。
最後は⑩小高根真里子さん/江端津也子さんによるヴァイオリン協奏曲第3番K.216全曲。(カデンツァはオイストラッフ作)ピアノ伴奏のK.216を聴くのは初めてであったが、この日の終わりにふさわしい熱演であり、あまり弾いたことがないだろうと思われるピアノのパートもオケの雰囲気をよく表しており流石プロと感心させられた。
お話しされた方々は殆んどの皆さんが、自分の話のレジュメを作成して来られ、この例会での発表への意気込みを感じさせられた。(Y)
●情報コーナー
コンサート情報
★2/10(月)19:00東京オペラシティCH /プラハ国立歌劇場オペラのソリストたちによる「楽しいモーツァルト・オペラガラコンサート」/指揮ヤン・ハルベツキー:プラハ国立歌劇場o、他 \10000~6000 ℡チケット・ムジカ03-3255-3636
★2/11(火)18:30大宮ソニックシティ/指揮ヤン・ハルベツキー:プラハ国立歌劇場o、他 \10000~4000 ℡大宮ソニックシティ048-647-7722 ★3/7(金)19:00浜離宮朝日ホール/M:「第1戒律の責務」K.35! \6~5000 ℡朝日ホール03-3267-9990
CD情報※外盤価格は新宿タワー価格
★ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番、ピアノ協奏曲K.488、アダージョ K.540、ロンド K.485/(P)マイラ・ヘス!、ボールト:ロンドンpho. BBC BBCL4111-2 \1890
★ピアノ協奏曲K.488(P)F・グルダ、ヴァイオリン協奏曲K.218(Vn)A・グリュミオー、ホルン協奏曲K.447(Hr)デニス・ブレイン/H・ロスバウド、エルンスト・ブール:バーデン・バーデンso. Hanssler CD93.064 \1490
★ヴァイオリンソナタ全集-1/(Vn)ジュリアン・オレゥスキー!、(P)ケルセンバウム DOREMI DHR-7821~5 \10390(5枚組)
★ホルン協奏曲K.447、ディヴェルティメントNo.17 K.334、五重奏曲(P,Ob,Hr,Cl,Fg)K.452/(Hr)オーブリー・ブレイン!他、ボールト:BBCso Pearl GEM-0183 \1890
●あとがき
1月27日はモーツァルト247歳の誕生日である。今年は府中の森芸術劇場でのモーツァルト・バースデー・コンサートを聴きに行った。これは「アンサンブル憧美音(どみね)」が主催しているもので、今年が12回目である。ここのウィーンホールは約500席。ほぼ満席であった。改めてモーツァルトファンが沢山いることを認識させられた。(Y)
第212回2003年1月フェライン例会
事務局レター第87号 2003.01.01 モーツアルテイアン・フェライン
事務局レター【第87号】/2003.1.1
【編集者】山本廣資/古田佳子
●1月例会(第212回)のお知らせ
第2回 会員有志による参加型例会
日時:1月19日(日)午後2時
会場:原宿カーサ・モーツァルト(原宿医院)3Fホール(JR「原宿」下車・徒歩5分/地下鉄「明治神宮前」下車・徒歩3分)
例会費:¥1500(会員、一般共)
例会会場;原宿【カーサ・モーツァルト案内図】
皆様明けましておめでとうございます。
昨年1月に行われた200回記念の「会員参加型例会」は大変好評でした。このような愉しい企画を是非又やって欲しいとの会員の皆様のご要望により、今後は毎年一回このような会を行う事となりました。今回は昨年より一人当たりの時間を若干長くしました。下記の方々による演奏とお話が楽しみですね。(出演順序不同)
《演奏》
小滝 博・古田佳子:二重唱(魔笛・K.620「愛を知るものは~」、伴奏:河原奈美)・・・この二人の二重唱は聴き物。
田中 進:バリトン独唱(魔笛・K.620「恋人か女房が~」、伴奏:江端津也子)・・・昨年皆を魅了した声が又聴けます。
大田哲弘・河原奈美:フルートとピアノによる魔笛K.620(序曲から7番二重唱まで大慌てで。)
小高根真里子:ヴァイオリン演奏(協奏曲K.216全曲、伴奏:江端津也子)・・・ピアノ伴奏のK.216を聴くのは初めて
真部 淳:デュポール変想曲K.573(演奏前にお話あり)
《お話とCD》
広部知久:私の愛蔵版(大好きなヴェスペレ・K.339)
山田健二:山田流モーツァルトの楽しみ方(こんな聴き方をしています)
篠田滋:モーツァルトとの出会い(南ドイツとプラハへの旅)
倉島収:幻のピアノソナタ(今は聴かれないソナチネ)演奏:江端津也子
山本廣資:モーツァルトへの挑戦者達(K.488のカデンツァ)
佐藤 梓:私の十八番。(究極の愛聴盤を是非聴いて下さい)
《司会進行》
石津勝男・倉島収
演奏、お話何れも愉しいものとなる事でしょう。尚、例会後は近くの「ステージ・Y2」(渋谷区神宮前1-13-12 ℡3418-1031)で新年会を兼ねた懇親会を行いますので是非ご参加下さい。(Y)
●今後の例会のご案内
2月9日 栗田久暉氏(本会会員)「究極の第2楽章コレクション」
3月9日 田辺秀樹先生「テーマ未定」
4月13日 久元祐子氏「テーマ未定」
●12月例会の報告(第211回/12月8日)
「映画『アマデウス』の楽究的鑑賞法」/お話:三澤寿喜先生(北海道学芸大学教授)
第1級の娯楽作品である映画「アマデウス」は、音楽の迫力で聴衆を圧倒しようとの製作の意図がうかがわれるとの事。
始めに登場人物の紹介、次に先生がまとめられた「アマデウス使用曲一覧」をもとに、ヴィデオ(旧版)を見ながら各場面ごとの見所・聴き所を解説していただいた。ディレクターズ・カット版(以下DC版と略)の違いや、ヨーゼフ2世の文化政策等も場面に合わせてお話しされた。この使用曲一覧の資料は、場面ごとに曲と簡単な解説がある非常な力作で、これを映画の解説書にすればモーツァルト・ファンがもっと増えるであろうと感じた。
・冒頭の「ドン・ジョヴァンニ」序曲はワグナーのライトモチーフ的に使われて何回か登場するが、父親に対する1つのメッセージが伝えられている。
・サリエリの自殺未遂のシーンで、転調するたびに場面が変るのが非常にテンポ感が良い。
・グランパルティータの部分でDC版では「これは偶然」とサリエリが自分を納得させる部分が入ったが、後にモーツァルトに自筆譜を見て偶然でない事を思い知らされる。
・モーツァルトにオペラ依頼をする場面では、ヨーゼフ2世のドイツ化政策に伴う、深い文化的背景が表れて興味深い。
・皇帝との初対面の場面。この映画ではヨーゼフ2世は茶化されている。あんなに弾けないはずはないが、教える側のサリエリの気持ちはよく表れている。モーツァルトはサリエリの主題による変奏曲K.180(これは聴いた)を作曲しているのだから「へんてこなメロディー」云々はおかしい。
・「後宮」で「音が多すぎる」云々は実際にあったことである。
・DC版では「後宮」の初演後、楽屋で主演女優カヴァリエリとモーツァルトとの言葉のやり取りから、サリエリが二人の関係を確信し、それが以後のコンスタンツェの誘惑につながる。
・自筆譜のシーン(この部分はモーツァルトの名曲シリーズである)からコンスタンツェが夜にサリエリを再訪問する場面まで、DC版は大幅に場面が増えているが、服を脱ぐ場面は下品な感じで、彼女を貶めている。(これは小生も同感でこの場面はなくてもよかったと思う。その場合は後の場面が難しいが・・・。)この場面により後に作曲を手伝ったサリエリに対するコンスタンツェの冷たい態度(最初見たときは何であんなによそよそしいのかと思った)の伏線がよく分かった。
・この他サリエリに借金を申し込む場面や、金持ちの無能な娘へのレッスンと後で借金を断られる等、レクィエム作曲依頼へ飛びつく伏線となるエピソードもDC版にあった。
・この映画のドン・ジョヴァンニは中々いい演出である。(同感)
・パロディー・オペラについては、ロンドンでもヘンデルのパロディーがあったそうで、同様の事があったのであろう。又庶民小屋の雰囲気はよく出ている。
さて1996年12月の例会でのレクイエムのお話の際の解説も面白かったが、コンフターティスの作曲をサリエリが手伝う場面では、楽譜のコピーを元に細かい場面毎に解説して頂いたのは非常に良かった。作曲家が音楽を作る作業、推測の手順がよく出来ており、製作の過程を示したのは面白いが、音楽を知っている人ならやらないような誤訳があるとの事で、これについても詳細な説明があった。画面の流れの中では気がつかない部分も、先生の正しい訳でよく理解できた。この部分は、出来たら正しい訳の版で通して見たいものである。
最後に精神病院でサリエリが「偉大なる凡人達よ」と呼びかけるシーンに出てくる精神病患者が主要な登場人物(皇帝及び取巻達)に似てるようだがという先生の疑問に対しては、映画に造詣の深い古田さんから、この映画がアカデミー賞の特殊メークアップ賞をとってるので間違いないでしょうとのサポートがあった。
先月のレジュメに"『アマデウス』を、「より多様に楽しむ」ための視点を1つでも2つでも提供できれば"とあったが、ここでは先生のお話の半分も伝えられず、残念である。
又、先生からは参考資料として10ページもの 《「アマデウス」鑑賞法》を頂いた。「アマデウス使用曲一覧」、「主な登場人物」、「ヨーゼフ2世の文化政策」の3部から成る大変価値ある資料であり、私達の会のお話のためにここまでして頂いてと大変感謝する次第である。(文責Y)
●若松会長の新年の挨拶
頌 春 2 0 0 3
2001年9月11日のテロ事件以来、近所の家々には星条旗が掲げられましたが、2002年もその旗が垂れ下がったままでした。イラクとの戦争勃発で再びテロ事件がおこるのではないかという不安がアメリカに住む人々の目の前にはいつも垂れ下がっています。大国の動きを見ていると、その背後には石油の利権をめぐる争いが見え隠れし、政治も政党の「利害関係」によって動かされている。21世紀は輝かしい人類の平和の時代ではどうもなさそうです。経済面でも、企業の不正が明らかになり、株式市場は暴落、史上最低の金利が続き、21世紀は世界的なデフレの世紀となるかもしれません。経済倫理が「見えざる手」として働いたスミスの時代以前に逆戻りしている感があります。
世の中は不安な時代の中にありますが、われわれグレン・ロックの2002年は幸い平和で実りある1年でした。庭の畑を2割ほど拡張してはじめた3年目の家庭菜園は、苗から育てた苦労が報われ、トマト20株、ナス20株が見事に育ち、天候にも恵まれて大豊作でした。8月から連日トマト、ナスの大饗宴(?!)。やわらかレタスやとげとげキュウリ、こりこり枝豆、それにいんげん、大根、ニンジンと、とれたての野菜を十二分に堪能しました。
スイス・アルプス山登りも3月初めは好天に恵まれ連日の雪山歩き。夏は雨模様の日が多かったものの、ヴェッターホルンの小屋とシュレックホルンの小屋への難しいルートを無事こなせ、グレン・ロックのウラヤマでの毎週2時間の「朝飯前の山歩き」が役立っているようです。
モーツァルティアンのホームページは3年目。6月から全作品をK1aから1曲づつ聴いてゆく試みをはじめ、山を登ように倦まずたゆまず毎日モーツァルトを聴いています。ザスロー著「モーツァルトのシンフォニー」の《パリ・シンフォニー》から後半の部分の翻訳をお手伝いする機会にも恵まれました。内容も英文も難しく苦労しましたが楽しくもあり、アマチュア・モーツァルティアンとして意義深い仕事のおてつだいができたことは望外の幸せでした。
2002年は、これまで夏目漱石ぐらいしか小説を読んだことのない人間が、本格的に小説を読み出した年となりました。6月以降宮本輝を少しずつ読み続け21冊目で年を越しそうです。「〈やさしさ〉というものがかつて人間の哲学に組み入れられたことがあっただろうか。〈やさしさ〉がイデオロギーになったことがあったろうか」などと言う小説の一節から、モーツァルティアンの音楽の本質は〈やさしさ〉なのではないかという示唆を受けたりしました。
先ずは近況をお知らせしましたが、コネチカットにいる上の娘夫婦と孫(文ちゃん、10月19日で1歳)、それにマンハッタンにいる下の娘も元気でおります。
皆様にとりまして2003年が素晴らしい年になりますよう心からお祈り申し上げます。
若松 茂生
●情報コーナー
「CD情報」 ※外盤価格は新宿タワー価格
★「ドン・ジョヴァンニ」/1977ザルツブルク音楽祭LIVE、ミルンズ、マコルディ、シントウ、シュライヤー、ベリー、マティス、他 ベーム:ウィーンpho DG469-743-2 \1390!(3枚組)
★M=エーレンフリート:「魔笛(フルート四重奏版)」/(Fl)ヒュンテラー、(Vn)R・クスマウル、(Vla)J・クスマウル、(Vc)ディルティーンズ MDG MDG 311 1138-2 \2190
★VnソナタK.377,380,379,376,481,454,526/(FP)J・V・インマゼール、(Vn)ミドリ・ザイラー HM ZZT 021001 \3290(2枚組)
★P協奏曲第25番、16番、「魔笛」序曲/(P)R・ゼルキン、ミトロプーロス:NYPho.他(Live) DISCANTUS 189.615-2
★P協奏曲第20番(P:ミケランジェリ)、第22番(P:スカルピーニ)/ミトロプーロス:NYPho.他(Live) DISCANTUS 189.616-2 \1190
★Vn協奏曲第5番(Vn:オイストラッフ)、第3番(Vn:コーガン)、「魔笛」、「フィガロ」、「イドメネオ」序曲/ミトロプーロス:NYPho.(Live) DISCANTUS 189.617-2 \1190
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