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第304回 モーツァルティアン・フェライン例会 2011年5月14日
 
 

 事務局レター【第179号】/2011年5月

 【編集者】倉島 収/澤田 義博/富田 昌孝/宮崎 宇史/古田 佳子 bxp00423*yahoo.co.jp (スパムメールが増えてきましたのでリンクを外しました。お手数ですが*を@に替えて送信願います) 

●5月例会(第304回)のお知らせ 

世界的巨匠 ジェラール・プーレの世界   ジェラール・プーレ(ヴァイオリン)/川島余里(ピアノ)

 日時:2011年5月14日(土)午後3時(開場:2時30分) 
← 開演時間をご確認ください


会場: 銀座十字屋9階ホール(銀座3丁目 シャネル隣り)
※【銀座線・丸ノ内線】銀座駅(A13 出口)徒歩2分、【有楽町線】銀座駅(8 出口)徒歩2分、 【JR山手線】有楽町駅 徒歩7分

 例会費:¥5000(会員・一般共)


      ♪♪ プログラム ♪♪
  モーツァルト/ヴァイオリン・ソナタ イ長調 K.305
   モーツァルト/ヴァイオリン・ソナタ ヘ長調 K.376
   フランク/ヴァイオリン・ソナタ イ長調

 フランスの大御所で、世界的な名声を博す巨匠、ジェラール・プーレ氏にフェラインで3度目のコンサートを開催して頂けることになりました。今回は銀座のど真ん中の十字屋ホールで、老舗の銀座十字屋さんと共催となります。 

 曲目はモーツァルト2曲(K.305とK.376)そして、フランクのソナタです。これ以外にも何曲か、アンコールが期待できると思います。大いに、プーレさんに乗ってもらいましょう。プーレ氏は、すっかり日本びいきとなり、取り分けフェラインの雰囲気をすっかり気に入ってくれています。ホールは100名強収容できますが、ホーム・コンサートの雰囲気で、巨匠の演奏を身近でお楽しみ下さい。

なおコンサートの後は、フェライン、十字屋さんの会員そして演奏者との簡単なアペリティフ・カクテルを予定しています。 フェラインの会員とは演奏者も参加して銀座のイタリアン、イタリー亭で懇親会を開きます。 奮ってご参加下さい。

チケットは、まだ若干の枚数が残っております。当日券はせいぜい数枚程度と思われますので、希望者は事前にメールでご連絡下さい。(S)

 

 


●今後の例会のご案内(会場記載のないものはお茶の水クリスチャンセンターです)

  6月 4日(土) 久元祐子レクチャー・コンサート(会場:吉祥寺ラ・フォルテ)
  7月16日(土) 礒山雅氏(国立音楽大学教授/15時開演)

※7月は開始時間にご注意ください。8月は夏休みとなります。
 以下、9月・加藤浩子氏(音楽評論家)、10月・真部淳氏(本会会員)、11月・若松茂生氏(本会名誉会長)の予定です。 

 

 

●お知らせ

震災で大変ですが、会員の皆様もそれぞれご苦労をなさっていらっしゃると思います。お見舞い申し上げ ます。まだ東京でも依然余震が続いていますが、フェラインは整斉と例会を予定通り行っております。た だ心なしか会員の出席数が少ないように感じられます。どうぞお誘い合わせの上、今後も引き続き積極的 に例会にご参加頂ければ幸いです。

プーレさんのチケットもまだ若干残っております。こちらの方も奮ってご参加下さい。 チケットの状況については、澤田会長、または石津副会長にご照会下さい。メールでのお問い合わせも受け付けております。(S)

 

 


●4月例会の報告(第303回/4月16日)

 1950年代ウイーンのモーツァルト・オペラ映像を見る  お話:田辺 秀樹氏(一橋大学大学院教授) 

 例会のご案内には、先生から次のようなとても楽しそうなメッセージを頂いていた。


 「つい最近、ドリームライフ社から『不滅のモーツァルト』という注目すべきDVDが発売されました。これは1950年代ウィーンの伝説的な《モーツァルト・アンサンブル》によるモーツァルト・オペラの抜粋映像集です。

ヴィルマ・リップ、エミー・ロ-ゼ、ヒルデ・ギューデン、ヒルデ・ツァデック、エーリヒ・クンツ、パウル・シェフラー、ルートヴィヒ・ヴェーバー・・・・といったオールド・ファンなら感涙ものの名歌手たちが、『後宮からの逃走』、『フィガロの結婚』、『ドン・ジョヴァンニ』の名場面・名アリアを歌い演じているカラー映像です。オーケストラはもちろんウィーン・フィル、指揮はモーツァルト・オペラに定評のあるルドルフ・モラルト。LPや復刻CDでは聴いたことがあっても、映像で見るのはどれも初めてのものばかりです。

 若きヒルデ・ギューデンによるケルビーノやツェルリーナ、エミー・ローゼのスザンナやブロンデ、クンツのフィガロとレポレッロなど、どれもこんな映像があったのかと感激せずにはいられない、まさにお宝もののヴィンテージ映像です。

 半世紀前のウィーンのモーツァルト・オペラの様子を伝えるこのDVDを皆さんにご紹介しながら、モーツァルト・オペラをめぐるいろいろなことについてお話ししてみたいと思います。」

 


 1950年代ウイーンといえば、戦災復興が精力的に開始されていた時期で、文化面でも古き良き時代を懐かしむ活動が盛んになりかけた時期。ナチズムの洗礼を受けなかったヨーゼフ・クリップスを中心にしたモーツァルトオペラ上演の新しい動きとして伝説的な《モーツァルト・アンサンブル》があり、ウイーンの人々によるドイツ語のオペラ上演が繰り返されていた。クリップスのほかには、このDVDの指揮者モラルトやカール・ベームが有名でウイーン・フィルを指揮し、練り上げられたドイツ語による翻訳オペラであった。

 舞台装置などは簡素化されていたが、レコードでしか知らぬ有名歌手たちにより、室内オペラ的にアンサンブルの良さを身上とした、謂わば意気の合った舞台を楽しむことが出来たとされている。今ではその一部をLPでしか聴けないが、これはその映像記録である。

このドイツ語圏のオペラの動きを破壊したのは、カラヤンが1980年代にオペラ界にグローバリズムを持ち出して、全世界から著名なオペラ歌手を動員するようになって以来、オペラ界では作曲された言語で歌う原語主義がザルツブルグ音楽祭などで流行しだしてからと言われ、現在ではウイーンは元よりドイツ語圏の大都市でも、大劇場ではダ・ポンテオペラはイタリア語になっている。

 先生からは、グローバリズムによるグランドオペラ的な演技よりも歌だけの大雑把なオペラから、母国語によるオペラ上演の劇の面白さについて、「こんにゃく座」のフィガロの映像を例にひと講釈があり、母国語によるオペラの重要性の話があった。モーツァルトも「にせの女庭師」において、モーツァルトが自らザルツブルグに来たモーザー一座のためにドイツ語に書き直したとされるドイツ語版が残されている。

    このDVDの古き良き時代のオペラでは、ドイツ語で歌われるため少し聴いた感じが異なるが、この映像のように母国語による舞台劇になると歌手の動きや反応が、俄然、生き生きとして来るようであり、それをこの映像で目で見られる意義は大きいというお話であった。

 

 残念ながらこの映像はライブ収録ではないが、実際、歌ばかりでなくブロンテやスザンナ役のエミー・ローゼの生き生きした動き、フィガロやレポレロ役のエーリヒ・クンツの元気溢れる庶民的な風貌と表情、伯爵やドン・ジョバンニ役のパウル・シェフラーの貫禄のある風采と態度、ケルビーノやツェルリーナを演じたヒルデ・ギューデンの美貌と格好の良さ、などなどを見るにつけ、生誕200年記念を狙ったカラーフィルムのようであるが、実に貴重な映像であろうと思われた。当日の資料として、先生より3オペラの配役の資料を配付されたが、その資料に21曲の曲目リストを追加し、フェラインのHP用に記録資料として残しておきたい。

 最後に、一同が楽しみにしていた先生のウイーンのピアノ音楽は3曲。ハプスブルグ家の繁栄を懐かしむ「懐かしの1830年代」、20世紀初めに流行ったシュトルツの「プラータ公園の春」、ベナツキーの白馬亭から「またあそこに行きたい」の3曲であった。(文責;倉島)

 

 

 

参考資料;《モーツアルト・アンサンブル》による3つのオペラ抜粋集の配役および収録曲、

 1、『後宮からの逃走』K.384;モラルト指揮、ウイーンフイル、

(配役)                1)序曲
コンスタンツェ:ヴィルマ・リップ、 2)アリア「優しく接して」(ブロンテ)
ベルモンテ:ルドルフ・クリスト、    3)二重唱「出ていくが、忠告を聞け」(オスミン、ブロンテ)
ブロンデ:エミー・ローゼ、
ペドリルロ:ぺ一ター・クライン、   4)二重唱「バッカス万歳」(オスミン、ペドリオ)
オスミン:ルートヴィヒ・ウェーバー、   5)アリア「勝利の気分を味わってやるぞ」(オスミン)
 演出:ヘルベルト・ヴァニーク、      6)四重唱「ああベルモンテ、愛しい人」(コンスタンツエ、ベルモンテ、ペドリオ、ブロンテ)
 舞台美術:ローベルト・カウツキー、


2、『フィガロの結婚』 K.492、:モラルト指揮、ウイーンフイル、

(配役)              7)序曲、
 伯爵:パウル・シェフラー、    8)レチタとアリア「自分が自分でわからない」 (スザンナ、ケルビーノ)
 伯爵夫人:ヒルデ・ツァデク、   9)三重唱「なんと言うことだ」(伯爵、バジリオ)
スザンナ:エミー・ローゼ、    10)アリア「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」(フィガロ)
ケルビーノ:ヒルデ・ギューデン  11)アリア「恋とはどんなものかしら」(ケルビーノ)
バジーリオ:ぺ一ター・クライン  12)二重唱「なぜ今まで私の思いを」(伯爵、スザンナ)
フィガロ:エーリヒ・クンツ、   13)二重唱「夕方の優しい風が」(伯爵夫人、スザンナ)
 演出:オスカー・F・シュー、   14)アリア「早くいらして、愛しい人」(スザンナ)
 舞台美術:カスパー・ネーアー、 

 

 

3、『ドン・ジョヴアンニ』K.527、 :モラルト指揮、ウイーンフイル、


(配役)                 15)序曲、
ドン・ジョヴァンニ:パウル・シェフラー、 16)導入部「朝から晩まで」(レポレロ他4名、)
ドンナ・アンナ:カルラ・マルティニス、  17)アリア「カタログの歌」(レポレロ)
ドンナ・エルヴィーラ:ヒルデ・ツァデク、 18)二重唱「お手をどうぞ」(ジョバンニ、ツエルリーナ)
 騎士長:ルートヴィヒ・ウェーバー、    19)二重唱「誠に敬愛なる石像様」(レポレロ、ジョバンニ)
ツェルリーナ:ヒルデ・ギューデン、    20)フィナーレ「食事の用意が出来た」
レポレッロ:エーリヒ・クンツ、  21)フィナーレ「ドン・ジョバンニ!」  ジョバンニ、レポレロ、エルヴィーラ、騎士長)
 演出:ヘルベルト・ヴァニーク、
        舞台美術:ローベルト・カウツキー、

第303回 モーツァルティアン・フェライン例会 2011年4月16日
 
 

 事務局レター【第178号】/2011年4月

 【編集者】澤田 義博/富田 昌孝/宮崎 宇史/古田 佳子 bxp00423*yahoo.co.jp (スパムメールが増えてきましたのでリンクを外しました。お手数ですが*を@に替えて送信願います) 

●4月例会(第303回)のお知らせ 

1950年代ウィーンのモーツァルト・オペラ映像を見る   お話:田辺 秀樹氏(一橋大学大学院教授)

 日時:2011年4月16日(土)午後2時

 会場: お茶の水「クリスチャンセンター」(JR「お茶の水」下車・徒歩3分) 

 例会費:¥2500(会員・一般共)


――――― 講師の田辺先生からのメッセージ

 つい最近、ドリームライフ社から『不滅のモーツァルト』という注目すべきDVDが発売されました。これは1950年代ウィーンの伝説的な《モーツァルト・アンサンブル》によるモーツァルト・オペラの抜粋映像集です。

ヴィルマ・リップ、エミー・ロ-ゼ、ヒルデ・ギューデン、ヒルデ・ツァデック、エーリヒ・クンツ、パウル・シェフラー、ルートヴィヒ・ヴェーバー・・・・といったオールド・ファンなら感涙ものの名歌手たちが、『後宮からの逃走』、『フィガロの結婚』、『ドン・ジョヴァンニ』の名場面・名アリアを歌い演じているカラー映像です。

オーケストラはもちろんウィーン・フィル、指揮はモーツァルト・オペラに定評のあるルドルフ・モラルト。LPや復刻CDでは聴いたことがあっても、映像で見るのはどれも初めてのものばかりです。若きヒルデ・ギューデンによるケルビーノやツェルリーナ、エミー・ローゼのスザンナやブロンデ、クンツのフィガロとレポレッロなど、どれもこんな映像があったのかと感激せずにはいられない、まさにお宝もののヴィンテージ映像です。

 半世紀前のウィーンのモーツァルト・オペラの様子を伝えるこのDVDを皆さんにご紹介しながら、モーツァルト・オペラをめぐるいろいろなことについてお話ししてみたいと思います。 

 


 例会後は恒例の懇親会へのご参加をお待ちしております。会場:「デリ・フランス」お茶の水店/TEL:03(5283)30 51

 

 

●今後の例会のご案内(会場記載のないものはお茶の水クリスチャンセンターです)

  5月14日(土) ジェラール・プーレ氏(共催及び会場:銀座十字屋/15時開演)
  6月 4日(土) 久元祐子レクチャー・コンサート(会場:吉祥寺ラ・フォルテ)
  7月16日(土) 礒山雅氏(国立音楽大学教授/15時開演)

※7月は開始時間にご注意ください。8月は夏休みとなります。
 以下、9月・加藤浩子氏(音楽評論家)、10月・真部淳氏(本会会員)、11月・若松茂生氏(本会名誉会長)の予定です。 

 

 

 ●お知らせ

◆東日本大震災では、会員の皆様には、私の聞いている範囲内では特に大きな被害はなかったようで、まずは一安心です。余震や放射能にはくれぐれもお気をつけ下さい。

◆来月のプーレさんのコンサートは売切れとなってしまうおそれがあります。早めに例会での購入(今回の例会がラストチャンスです)、あるいは担当者(澤田、石津、川口)へのお申し込みをお願い致します。当日券の可能性は極めて小さいです。5月14日(土)15:00開演です。

プーレさんのコンサートはフェラインでは今年で3回目。プーレさんはフェラインをとても気に入ってくれていて、今回も華やかで、感動的なイベントになると思います。世界的な名演奏家の音楽をエンジョイするまたとないチャンスですので、奮ってご参加下さい。今回は場所を銀座に移し、銀座の老舗である銀座十字屋さんとの共催となります。どうぞお楽しみに!(S)

 

 


●3月例会の報告(第302回/3月5日)

 《劇場支配人》とメタオペラの系譜  お話:山田 高誌氏(大阪大学大学院助教) 

 今回はモーツァルトのオペラ「劇場支配人」を中心に、その「劇場支配人」も含まれる「メタ・オペラ」の系譜が主要なテーマであった。

 「メタ・オペラ」とは次のように定義される:オペラ製作に取り組む場面を描いたオペラ。当初はスカルラッティ作曲=ジーリ台本の「ディンディリーナ」などがオペラ・セリアの幕間劇(インテルメッツォ)として上演されるに過ぎなかったが、その後3幕物で正規の長さの「喜劇オペラ」の主題を持ち舞台上の劇中劇へと発展して行く。

さて、そのメタ・オペラの系譜であるが、まずは演劇からオペラに導入された劇中劇、音楽の練習場面の舞台化、心理を表すメタファーとしての音楽、様式混交の格好の舞台(台本と音楽の関係がより密接となる)として進化していく事になる。

 具体例としては、リュリ作曲=モリエール台本の「町人貴族」、チマローザ作曲(?)「宮廷学長」、モーツァルト作曲「偽りの女庭師」、ドニゼッティ作曲「劇場的好都合不都合」などがある。 山田先生の調査によれば、71作品が確認されている。このリストは貴重である。

これらのメタ・オペラは謝肉祭の頃を中心に、ナポリとヴェネツィアで上演された。その後、ナポレオンによる占領時代に入ると、オペラの観客は大衆化し、従来の3幕物が1幕物となり、更に1幕でも出来るだけ観客を退屈させないような工夫が施された。なかんずく、劇中劇としてオペラ・セリアを上演するもの、逆にオペラ・ブッファを上演するものなどが注目される。

 登場人物はコメディア・デッラルテの系譜上の喜劇オペラ(ナポリの民間劇場を中心に発達)の型を踏襲しており、
 1. ブッファ役として単純を装う女を演じる女性歌手の系譜
 2. ブッフォ役として自慢男、ハッタリ男を演じる興行師の系譜
がある。

それでは、その後メタ・オペラのジャンルはどうなって行ったのだろうか?まず、異国趣味との邂逅が挙げられる。ロッシーニの「イタリアのトルコ人」はその好例である。更には、喜劇を題材とした悲劇の出現も挙げる必要がある。例えば、レオンカヴァレロの「道化師」等である。そして、現代に至るとミュージカルの「コーラスライン」(ダンサーのオーディション)等のように他のジャンルへと変化していく。

こうした系譜の中にそれぞれのメタ・オペラを位置づけていくと、オペラの理解度が明らかに深まっていく。 (現代でも時々、或いは物によっては頻繁に)上演されるメタ・オペラ(「劇場支配人」「オペラ・セリア」「道化師」等々)をこうした視点でご覧になる事を是非お勧めしたい。(文責:澤田)

 

 

 

 

●情報コーナー

 コンサート情報  ★こちらからどうぞ(M) 


 CD情報(外盤価格はHMVの一般価格)  ★こちらからどうぞ(T) 

 

 

 

●例会写真コーナー

 前回例会の写真は、カメラマンがカメラを当日忘れるという不祥事のため、今回は閉店いたします。謹んで、お詫び申し上げます。しかし、講師の山田先生のカメラで、夜の部の懇親会の写真が撮られており、当方はいずれ届くと安心しておりました。ところが、山田先生が予定されていた3月12日(土)のオペラが、震災の翌日のため急遽中止になり、先生は写真どころの騒ぎでなくなったようです。

  東日本大地震の影響が、この小さなコーナーにも現れました。会員の皆さん方には、仙台の方もおられて、震災のダメージを受けられた方がおられるかも知れません。今回被災なさった方々を思い、フェラインでも何かすることがあるのか、気になる昨今です。 

 

 

 

 

 

 

 

第302回 モーツァルティアン・フェライン例会 2011年3月5日
 
 

 事務局レター【第177】/2011年3月

 【編集者】大野 康夫/富田 昌孝/宮崎 宇史/古田 佳子 bxp00423*yahoo.co.jp (スパムメールが増えてきましたのでリンクを外しました。お手数ですが*を@に替えて送信願います)

●3月例会(第302回)のお知らせ 

《劇場支配人》とメタオペラの系譜   お話:山田 高誌氏(大阪大学大学院助教)

 日時:2011年3月5日(土)午後2時 ←例会日にご注意!

 会場: お茶の水「クリスチャンセンター」415号室(JR「お茶の水」下車・徒歩3分)

 例会費:¥2500(会員・一般共)


――――― 講師の山田先生からのメッセージ

 モーツァルトの《劇場支配人》は、神聖ローマ皇帝ヨーゼフ2世の命により、ウィーンを来訪したオランダ総督ザクセンティーシェン大公とクリスティーネ大公妃の歓待のために、1786年2月7日シェーンブルン宮殿で上演された1幕物のファルサであり、同様の主題を持ったサリエーリのファルサ《まずは音楽、お次は台詞》に続いて同時上演されました。

 作品の内容は宮廷から興行権を得た興行師がオペラを上演するにあたってリハーサルを行うが、集まった歌手たちの間で鞘当ての争いがおこるという場面を楽しいオペラに仕立てた「メタ・オペラ」であり、このような「楽屋落ち」を通して、この夜会はさらに「ドイツ音楽」と「イタリア音楽」の「優劣」が競われる趣向となっていたことは、皆さま良くご存じのことと思います。

さてこのような「メタ・オペラ」、つまり「オペラに取り組む場面を描いたオペラ」が、18世紀から19世紀にかけて非常に人気を博したテーマとなっていたことは、一方であまり紹介されてこなかったように思われます。当初は、オペラ・セリアの幕間劇「インテルメッゾ」として、D.スカルラッティ作曲=ジーリ台本《ディリンディーナ》(ローマ、1715)やサッロ作曲=メタスタジオ台本《カナリア島の興行師》(ナポリ、1724)として、「音楽の練習場面」が舞台上で取り上げられるに過ぎなかった訳ですが、後に3幕の正規の長さの「喜劇オペラ」の主題へと取り込まれることで、役者たちは、舞台の上でオペラそのものを上演するという劇中劇へと「発展」してゆきます。

 本発表では、このような「メタ・オペラ」の系譜について、初期作品であるデッランノ作曲=マリアーニ台本《興行師》(ナポリ、1730 )、テッリャデリャス作曲=A.パロンバ台本《歌姫たちの企み》(ナポリ、1740)、ラティッラ作曲《コンサート》(ナポリ、1746)、アウレッタ作曲《興行師》(トリノ、1748) 、ラティッラ作曲《当世風オペラ稽古》(ヴェネツィア、1751)、ガルッピ作曲=ゴルドーニ台本《おかしな歌姫たち》(1752)から、19世紀のチェッリ作曲《海賊、あるいは、モロッコの或る楽長》(ローマ、1823)、ドニゼッティ作曲《劇場的都合不都合》(ナポリ、1827)、フォデーラ作曲 《劇場付台本作家》(トラーパニ、1853)などへと辿り「メタ・オペラ」のグループ分けを試みます。

 特に、劇の中心人物となる「興行師」の役割と人物設定について注目することで、当初のセリアとブッファの融合の工夫から、次第にブッファのテクニックの諸要素が統合される場になってゆき、最終的にレパートリーから消えていく様子を明らかにしますが、このような「作業」を通して、「メタ・オペラ」のジャンルにおけるモーツァルトの《劇場支配人》の位置づけを探ってみたいと思います。

 発表の後半ではまた「本物の興行師の活躍が、オペラの興行だけにとどまらず、質入れ業、サンゴの買い付けや、木材の買い付け、宝くじの販売にまで拡がっていたことをナポリの興行師たちの支払い文書から明らかにし、さらに一部の「プロフェッショナルな興行師」に限っては、作品の中身にまで大きく介入していたことを契約文書から明らかにし、オペラそのものを一身に支えた「興行師」の実像に迫ろうと思います。 

 


 例会後は恒例の懇親会へどうぞ。会場:「デリ・フランス」お茶の水店/TEL:03(5283)3051

 

 

●今後の例会のご案内(会場記載のないものはお茶の水クリスチャンセンターです)

  4月16日(土) 田辺 秀樹氏(一橋大学大学院教授)
  5月14日(土) ジェラール・プーレ氏(共催及び会場:銀座十字屋/15時開演)
  6月 4日(土) 久元祐子レクチャー・コンサート(会場:吉祥寺ラ・フォルテ) 

 

 

 ●会員の皆様へのお知らせ

◆例会日が当初の12日から5日に変更になっています。今一度ご確認ください。

◆この4月より新年度になります。このあとお送りする季刊76号に年会費の振込用紙を同封させて頂きますので、お手続きをよろしくお願い致します。年会費は5000円、家族会員は6000円になります。(F) 

◆久元顧問のウィーンでの、リサイタルについてのご報告です。モーツァルト・ハウス(旧フィガロハウス)の地下2階のベーゼンドルファー・ホールで行われた、リサイタルは大成功で、『昨年10月のオープン以来のコンサートでベストだった』との主催者のコメントがあったそうです。事実ウィーン子達は本当に熱心に久元顧問の演奏に聴き入っていました。(澤田)

 

 

●2月例会の報告(第301回/2月5日)

 「モーツァルト・チクルス」を中心とした弦楽四重奏曲の未来 【注:チクルス(ドイツ語 Zyklus) 連続演奏。ある作曲家の作品を何回かの音楽会で連続して演奏するなど、特定の目的・意図をもって行う連続音楽会】

 2月例会は去年の2月に引き続き、作曲家で室内楽・弦楽四重奏曲に造詣の深い幸松肇先生にお話をして頂いた。先生は早稲田大学商学部出身で、ヴァイオリンと作曲を池譲氏に、室内楽を浅妻文樹氏に、指揮法を紙谷一衛氏に師事。東芝EMI株式会社プロデューサーとして弦楽四重奏曲のレコード、CDを制作。

 今回は4月に「世界の弦楽四重奏団とそのレコード~①ドイツ・オーストリア編」と「同~②アメリカ編」の2冊を出版される予定の内容をもとにお話された。ドイツ・オーストリア編では「ゲヴァントハウス弦楽四重奏団」「ハーゲン弦楽四重奏団」「バルヒェット弦楽四重奏団」、アメリカ編では「ジュリアード弦楽四重奏団」「エマーソン弦楽四重奏団」「グァルネリ弦楽四重奏団」「クリーグランド弦楽四重奏団」について、モーツァルト弦楽四重奏曲第14番ト長調K.387より第1楽章、第21番ニ長調K.575「プロシャ王第1番」より第1楽章を中心とした比較試聴・視聴と解説をされた。

ドイツ・オーストリア編の「ゲヴァントハウス弦楽四重奏団」は1808年から世界最古のオーケストラの1つライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のコンサート・マスター、ハインリッヒ・マタイが弦楽四重奏曲を始めたのを皮切りに、現在まで続いている。音の美しさの伝統が伝わってくる、流れるような良い演奏である。

メンバーはゲルンハルト・ボッセ、カール・ズスケ、息子のコンラート・ズスケ他。試聴CDはK.575より第1楽章、ベートーヴェン弦楽四重奏曲第14番嬰ハ短調Op.131第7楽章、K.387より第1楽章、弦楽四重奏曲第15番ニ短調K.421より第1楽章、視聴DVDはK.575より第1楽章。

 「ハーゲン弦楽四重奏団」はザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団の首席ヴィオラ奏者、オスカー・ハーゲンを父に持つハーゲン4兄弟姉妹によって、1980年に結成された。自分の表現願望が強い独自な世界を強調する弦楽四重奏団である。K.421派フォルテとピアノの対比が大きい。弦楽四重奏曲第23番へ長調K.590「プロシャ王第3番」の4楽章は16分音符のスピードを上げた巧みな演奏をしている。

モーツァルトはやさしい作品から難しいものまでありとあらゆる音楽を書いており、この弦楽四重奏団は難しい曲を難しく見せているが、嫌味がなくすばらしい。自分たちの考えを思いきり表現しようとする姿勢が、彼等らしい強靭な奏法を編み出している。試聴CDはK.575より第1楽章、K.421より第1楽章、K.590より第4楽章、視聴DVDはシューベルト: 弦楽四重奏曲第14番ニ短調D.810「死と乙女」より第1楽章。

 「バルヒェット弦楽四重奏団」は1946年頃シュトゥットガルト室内管弦楽団のコンサート・マスターに迎えられたラインホルト・バルヒエットを第一ヴァイオリンとした弦楽四重奏団。バルヒェットはすばらしい演奏をするが、他の3人がついていけないと思われるほど1人舞台の感じがする。実に味わい深い濃密な表情を持っており、その奏法は端正で、少しも誇張や見栄は感じられない。残念ながらバルヒェットは1962年に自動車事故で若くして他界した。試聴CDはK.575より第1楽章、弦楽四重奏曲第5番へ長調K.158より第1楽章。

アメリカ編の「ジュリアード弦楽四重奏団」はジュリアード音楽院の校長だった作曲家、ウィリアム・シューマンの提唱により、ジュリアード音楽院の教授らによって1946年に結成された弦楽四重奏団である。完璧なアンサンブル、緻密で明快な音楽解釈、高度な統一感のもたらす音楽表現の広さにより、現代の弦楽四重奏団の最高峰の一つとされている。1940年代にベートーヴェン全曲やバルトーク全曲の完璧な録音がなされた。

 第一ヴァイオリンのロバート・マンは50年間聴いているが、粘りがありこすっているのにすばらしい甘い音が出る。試聴CDはK.387より第1楽章、弦楽四重奏曲第20番ニ短調K.499より第1楽章、視聴DVDはベートーヴェン弦楽四重奏曲第4番ハ短調Op.18-4より第1楽章。

 「エマーソン弦楽四重奏団」は弦楽四重奏曲第19番ハ長調K.465「不協和音」より第1楽章、第18番イ長調K.464より第1楽章を試聴。ジュリアード弦楽四重奏団の弟子たちで結成された。アメリカの四重奏団としては珍しくトイツ・グラムフォンに録音している。

 「グァルネリ弦楽四重奏団」はK.387より第1楽章を試聴し、ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第11番ヘ短調Op.95「セリオーソ」 より第1楽章をDVD視聴した。ベートーヴェン全曲を2度録音している。1回目のRCA録音では完璧なまでの奏法を示したが、2回目のフィリップス録音では自由な演奏で柔軟性を示した。

 「クリーヴランド弦楽四重奏団」はアダージョとフーガ ハ短調K.546、K.387より第1楽章を試聴した。第1ヴァイオリンのワイラー・シュタインは、ミュンヘン国際コンクール(1968年)で1位なしの2位に入賞した人で、表現の深みが魅力で比類がない。

モーツァルトをはじめとする作曲家にとって、弦楽四重奏曲等の室内楽は自身の家族や友人との楽しみとしての演奏のために作曲されることが多い。そのため、作曲家にとって愛着は格別なものがあると考えられる。そのような味わいにあふれた作品群を聴き、造詣の深い幸松先生からお話を伺えた有意義な一時であった。

なお、当会会員の大谷幸男さんより情報提供と適切なアドバイスを頂きましたことを深謝致します。(大野康夫記)

 

 

 

 

●情報コーナー

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 CD情報(外盤価格はHMVの一般価格)  ★こちらからどうぞ(T) 

 

 

 

●2月例会は、2月の第1週の5日に、クリスチャンセンターに戻って開催された。

第301回 モーツァルティアン・フェライン例会 2011年2月5日
 
 

 事務局レター【第176号】/2011年2月

 【編集者】澤田 義博/富田 昌孝/宮崎 宇史/古田 佳子 bxp00423*yahoo.co.jp (スパムメールが増えてきましたのでリンクを外しました。お手数ですが*を@に替えて送信願います)

●2月例会(第301回)のお知らせ 

「モーツァルト・チクルス」を中心とした弦楽四重奏団の未来   お話:幸松 肇氏(音楽評論家)

 日時:2011年2月5日(土)午後2時

 会場: お茶の水「クリスチャンセンター」(JR「お茶の水」下車・徒歩3分)

 例会費:¥2500(会員・一般共)


  ――――― 講師の幸松先生からのメッセージ

私はこの4月に「ドイツ・オーストリアの弦楽四重奏団とそのレコード」と、「アメリカの弦楽四重奏団とそのレコード」いう弦楽四重奏団のレコード中心の書物を2冊出版する。これはそれぞれ、およそ150団体程度の団体をとりあげ、その団体の経歴とその録音物を徹底的に取り上げてレコード・ファンに供することを目的としている。ドイツ・オーストリアは、既に発売済だが、今回は全く新しいスタイルで、詳細に書き改めている。

 今回は、今まで右開きだったが、左開きにして、文章は横書きのスタイルをとり、巻末に横文字の一覧表をつけ、メンバーの英文まで掲載している。

この2冊の本から、ドイツ・オーストリアから歴史的に見て、最も代表的なゲヴァントハウス弦楽四重奏団、アメリカから歴史的に見て、もっとも重要なジュリアード弦楽四重奏団の2団体をとりあげ、それぞれの団体の経歴を説明。メンバーの変遷によるレパートリーの変遷などを解説し、両団体が、その演奏のメインとしている「モーツァルト・チクルス」を中心に、その来日時の特長と、将来への可能性などを追求してみる。その特徴を見極めることにより、未来のクァルテット像が浮かび上がってくると思う。

 


 例会後は恒例の懇親会へどうぞお越しください。会場:「デリ・フランス」お茶の水店/TEL:03(5283)3051

 

 

●今後の例会のご案内(会場記載のないものはお茶の水クリスチャンセンターです)

  3月 5日(土) 山田 高誌氏(大阪大学大学院助教)…《劇場支配人》とメタオペラの系譜
  4月16日(土) 田辺 秀樹氏(一橋大学大学院教授)
  5月14日(土) ジェラール・プーレ氏(共催及び会場:銀座十字屋/15時開演)
  6月 4日(土) 久元祐子レクチャー・コンサート(会場:吉祥寺ラ・フォルテ) 

 

 

 ●1月例会の報告(第300回/1月15日)

 300回記念新年会パーティー

300回目の例会を記念して、今年の新年会はグランド・パレス・ホテル牡丹の間で開催された。当日は東京では快晴であったが、東北地方は大雪で新幹線も止まり、欠席せざるを得ない気の毒な会員もいらっしゃった。出席者は総勢48名。新年会としては新記録である。

 澤田会長がまず挨拶。例会300回という偉業を讃え、若松名誉会長の「モーツァルティアン」創刊号の自費出版、当会の創設者を始めとする諸先輩のご努力に多大なる謝意と敬意を表明した。また、次の100回後、つまり例会400回記念を展望し、フェラインの活動を質量両面にわたり更に向上させることを、理事会を中心に、会員のご協力も得て推進していく事を誓った。 また引き続き会員間の切磋琢磨もお願いした。

 

 石津副会長の乾杯の音頭で開宴となり、和やかな、正月らしい雰囲気のうちに会員同士の歓談となった。宴もたけなわとなった頃、アトラクションとしての田辺、久元両顧問の演奏が宴を最高潮に盛り上げた。久元先生はまず持ち込まれた先生所有のクラヴィコードでK.1のクラヴィア曲を演奏された。

 

そのあと、本邦初演のお二人の連弾(久元先生のアイディア)となり、K.521の第3楽章が演奏された。この連弾が本日のハイライトであった。余り調子よくなかったと田辺先生は謙遜しておられたが、どうしてどうして、なかなかの名演でした。モーツァルトの真髄をよくご存知のお二人なので、当然でしょう。

 次に田辺先生の独奏でウィーンのピアノ音楽が演奏された。曲目は次の通りである。
 1.レハール作曲のオペレッタ『微笑みの国』から王子スーホンの歌う「我が心はすべてきみのもの」
 2.ジツィンスキー作曲「ウィーン、我が夢の町」のパロディ「ウィーン、わが夢と現実の町」(このパロディは田辺先生のオリジナルである)

 

この頃には会場の雰囲気はすっかりウィーンそのものとなった。そこで、当然の事ながらアンコールとなり、ローベルト・シュトルツ作曲「ウィーンは夜こそ美しい」を演奏頂いた。満場万雷の拍手であった。 当然、久元先生にもアンコールの声が高くなり、「雅」という琴を思わせる曲を弾いて頂いた(この曲はフェラインでは初めてである)。この曲で、アトラクションはしっとりと終わり、参加者はデザートとコーヒーなどを楽しんだ。

 倉島副会長の音頭で締めとなり、珍しく万歳三唱でこの宴を閉じて頂いた。300回記念に相応しい新年会パーティーであった。会員の一体感も強まり、フェラインの未来は大いに明るいものとなると、参加者の皆様に感じて頂けたら幸いである。(文責:澤田)


なおパーティーに参加くださった岩島さんより嬉しい感想のメールを頂戴しましたので転載させていただきます。

 例会300回の運びまで、ご苦労下さった古くからの会員や理事の方々、新しい時代を作ろうとご苦労の理事の皆様、会場でのお世話をして下さった皆様、本当に有難うございました。会場に集まった全員の力を一つにしてフェラインを盛り上げて行きたいと思えるようだった和やかなパーティーで、本当に良かったと思いました。

 男性はいつもよりダンディー!女性はお洒落して何時もより美しい!そして,久元さんが運んで下さったクラヴィコードと演奏が会場に雰囲気を添え、田辺先生とご一緒の連弾は美しく楽しく、全員一人一人に花束をいただいたような素敵なプレゼントだったと思いました.

こういう集いがあったら良いというお声を沢山耳にし、一年に一回は例会での知りたがりや(?)を離れて、こういったお洒落な親睦パーティーをしたら良いのではと感じました。岩島(1月16日) 

 

 

 

 

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●1月例会の今年の新年会は、グランド・パレス・ホテル牡丹の間で、例会300回記念して盛大に「新年会パーティー」として開催された。
   その例会風景と、その後の楽しい賑やかな懇談会の様子、さらにはホテルの23階のカクテルラウンジで急遽行われた二次会の様子の写真が出来ました。
   順不同で、撮影順に並べてありますが、初めての場所なので、近くにシャンデリアや窓など明るいところがあれば顔が暗くなると言う、自動絞りとシャター特有の現象が出て、写りが悪いものはご容赦下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 


 以下は、23階のカクテルラウンジの写真ですが、窓外の風景は見事に飛んでしまったものもありました。皆さん、お疲れ様でしたが、予定された時間はあっと言う間に終わったような楽しい雰囲気でした。
なお、Internet Exploreのブラウザをお使いの方は、A4版で縮小率80%にセッテイングしていただきますと、写真が切れないように調製してありますのでお試し下さい。 (OK) 


第300回 モーツァルティアン・フェライン例会 2011年1月15日
 
 

 事務局レター【第175号】/2011年1月

 【編集者】倉島 収/澤田 義博/近藤 光宏/富田 昌孝/古田 佳子 bxp00423*yahoo.co.jp (スパムメールが増えてきましたのでリンクを外しました。お手数ですが*を@に替えて送信願います) 

●1月例会(第300回)のお知らせ 

300回記念新年会パーティー 

日時:2011年1月15日(日)午後12時~14時(開場:11時30分) ※開場時間をご確認ください!!

 会場:ホテル・グランドパレス 3階 牡丹の間(地下鉄「九段下駅」東西線7番口(富士見口)より徒歩1分、半蔵門線・都営新宿線・3a番口より徒歩3分) 

 形式:ビュッフェ形式の昼食会

 会費:7000円 (前売券のみ/受付締切り:1月11日) 

ゲスト:田辺秀樹顧問、久元祐子顧問。(森治夫顧問ご夫妻、カーサ・モーツァルト中村ご夫妻もご招待しておりますが、ご出欠は現時点では未定です)


フェラインの記念すべきパーティーです。様々な楽しいサプライズも用意しておりますので奮ってご参加下さい。前売券はまだ若干残っています(申し込み締め切りは1月11日です)。当日券はありませんのでご注意ください。定員は50名+若干名です。 前売券ご希望の方は、古田までメールでご連絡ください。(bxp00423*yahoo.co.jp  *を@に変えてご送信を)なお、当日、年刊、季刊「モーツァルティアン」のバックナンバーを割安価格で大量に販売致します。どうぞお楽しみに!(S) 


 ――――― 澤田会長からのメッセージ

諸先輩のご努力により、モーツァルティアン・フェラインはめでたく、300回目の例会を迎えることができました。一口に300回と言いますが、年間で11回ですから、既に27年以上の年月が流れています。

 因みに第1回例会は1983年2月6日でした。 毎月例会を開催すると言う事は大変な意思力、企画力、忍耐力等々、様々な努力を要します。ここで改めて、諸先輩の皆様に敬意と謝意を表したいと思います。 どうも有難うございました!

さて我々はこれから、フェラインの400回記念に向けて更なる努力を重ねて行く必要があります。それは会員の皆様のご協力なしには実現致しません。今後も是非積極的に当会の活動に、ご参画頂きたいと思います。理事会一同、益々魅力的な例会及び季刊誌、月刊レターを目指して努力して参ります。どうぞ宜しくお願い致します。

 

 


●今後の例会のご案内(会場記載のないものはお茶の水クリスチャンセンターです)

  2月 5日(土) 幸松 肇氏
  3月12日(土) 山田 高誌氏
  4月16日(土) 田辺 秀樹氏
  5月14日(金) ジェラール・プーレ氏(共催及び会場:銀座十字屋/15時開演)

 

 

●会員の皆様へのお知らせ

◆当会顧問の久元祐子先生が2011年2月17日(木)19:30より、ウィーンのモーツァルト・ハウス内に2010年10月に新しくできたBosendorfer Hall にてリサイタルを開催されます。チケットご希望の方は澤田会長まで、お申し出下さい。詳しくは久元先生のHPをご参照下さい。 

◆2月の例会日が5日(土)に変更になりましたので、ご注意ください。(F) 

 

 

●12月例会の報告(第299回/12月5日)

 江端津也子サロン・コンサート(解説:江端伸昭氏)

-とても和やかに楽しめた江端端津也子さんのサロン・コンサートでした- 

フェラインの第299回の例会として、 会員の江端津也子さんの企画・演奏による第10回目のサロン・コンサートが代々木アトリエ・ムジカで行われた。駅から3分の中沢ビル地下室の会場は、美しい洋画で飾られた100人弱のこじんまりした会場で、中央にベーゼンドルファーのグランドが置かれ、しっかりした響きを見せていた。

 

 曲目は前半がシューマンとフォーレの小品集、後半がオール・モーツァルトのソナタと変奏曲、それに12月5日のモーツァルトの命日に因んだ葬送曲が2曲であった。

 最初のシューマンの「子供の情景」作品15では、出だしの「異国にて」が実にゆっくりと丁寧に弾かれて調子を整えた感じで、以下、標題通りに子供の姿が思い浮かぶように明るく表情豊かに楽しく弾かれていた。ゆっくりと味わうように弾かれた曲調に、会場はサロン・コンサートに相応しい和やかな雰囲気を見せていた。

 第二番目のフォーレの作品は、われわれには初めての曲であるが、江端さんにはお得意の作品のように見えた。無言歌からの1曲は、左手の伴奏に乗って右手が旋律を重ねるメンデルスゾーンの舟歌に似た美しい曲。続くマズルカ作品32はショパンのマズルカを思い出すように始まったが、途中からはスケルツォのようにさまざまに展開される技巧的な難しい曲。いずれもフォーレを学んだ江端さんならではの、この日のために選ばれた曲集と見た。

 休憩後、お兄さんの解説があり、ソナタ変ロ長調K.570は、「ピアノだけのソナタ」として作曲されたのに、「ヴァイオリン伴奏付きのソナタ」として出版されたとか、パイジェッロの主題による変奏曲は、主題と変奏に反復記号のない自由な即興的要素の強い曲であるなどと作品の特徴が紹介されて、とても参考になった。

このソナタは晩年の音符の少ない澄みきった透明な音調で始まり、軽快なアレグロで第一主題、第二主題と進行していたが、時々、玉を転がすような華やかなパッセージが続いてとても快く響いていた。第二楽章は珍しくロンド主題がアダージョで呟くように始まるが、江端さんは繰り返しを丁寧に行いながら進めており、ここでも澄みきったような雰囲気が上手く表現されていた。

フィナーレも明るいロンド主題で軽快に進められ、この楽章ではキビキビした歯切れの良いリズム感に満ちており、江端さんのピアノにすっかり浸って、安心しながら心地良く聴いていた。ソナタは丁寧に、早すぎないように、クリアな音で弾かれることが鉄則であるが、この条件にかなったとても気持ちの良い演奏であった。

 変奏曲では解説されるまで気が付かなかったが、第4変奏あたりからゆっくりしたテンポに変わったり、自由な経過句があったり、カデンツアのような技巧的な部分があったり、他の変奏曲とは異なる自由な気ままな雰囲気があることが良く分かり楽しかった。

 

フリーメースンの葬送音楽K.477のピアノ・バージョンは初めて聴いた。中間部にエレミアの哀歌が出てくるとお兄さんが解説で歌って下さったが、ピアノ演奏では和音の連続の編曲で演奏も力が入りすぎ、エレミアの哀歌にも気が付かないままに曲が終わってしまった。

 後でお話を聞くとこの日の命日のために、江端さんが大変なご苦労をなさって編曲をして下さったと伺った。続く葬送行進曲は真面目な葬送行進曲のパロディか、とても大袈裟に弾かれていたが、この曲も演奏会では初めて聴いた曲。モーツァルトの命日を記念して、大サービスしてくれた。また、アンコールは早いテンポでさらりと弾いて、あっと言う間に終息したが、「クラヴィーアのための小品」K.33Bだそうである。

これまで江端さんのコンサートが何回かあったが、次第にヴェテランの域に達したか、今回のコンサートが一番リラックスして楽しめたコンサートであった。(倉島) 

 

 

 

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