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第326回 モーツァルティアン・フェライン例会 2013年5月18日
 
 

 事務局レター【第201号】/2013年5月

 【編集者】倉島収/宮崎宇史/古田佳子 bxp00423*yahoo.co.jp (スパムメールが増えてきましたのでリンクを外しました。お手数ですが*を@に替えて送信願います) 

 

●5月例会(第326回)のお知らせ 

「18世紀後半のピアノの発展とモーツァルト」  渡辺 順生氏(チェンバロ・フォルテピアノ奏者)

 日時:2013年5月18日(土)午後2時(午後1時30分開場)

 会場:お茶の水「クリスチャンセンター」(JR「お茶の水」下車・徒歩3分) 

 例会費:¥2500(会員・一般共)


――――― 渡辺先生からのメッセージ

 ドイツにおけるピアノの開発は音楽界が待ち望んだものでした。その点は、ピアノが発明されたイタリアと最も大きく異なる点です。1740年代に、ザクセンのオルガン製作家ゴットフリート・ジルバーマンがドイツで初めての優秀なピアノの製作に成功すると、それ以降、ドイツ各地でピアノは急速な発展を遂げ、様々な形状やアクション(発音機構)が開発されました。しかし、モーツァルトは、通常考えられているように、早くからピアノと出会い、ピアノと共に育ったわけではありませんでした。むしろ幼少期のモーツァルトは、いつも数ヶ月の違いでピアノとすれ違っており、彼自身の方からピアノを探しまわった形跡もありません。 

 彼が生まれ育った南ドイツやオーストリアは、鍵盤楽器という面では後進地域であり、クラヴィーア音楽のメッカであった北ドイツや中部のザクセン・テューリンゲン地方とは大きく異なっていました。彼が初めてピアノに触れる機会を得たのは、19歳の時です。他の作曲家と異なり、小さい頃から神童として創作や演奏の機会を多く与えられてきた彼は、この時期には、既にオペラのような大規模作品を手がける一人前の作曲家に成長していたのです。 

バロック期には、人の上に立つほどの才能と野心のある音楽家は必ず達者にヴァイオリンを演奏し、楽団を率いる宮廷楽長や教会の音楽監督として活躍しました。そうした意味で18世紀は明らかに「ヴァイオリンの世紀」であり、大作曲家の多くがピアノを達者に弾いた19世紀とは、その点で根底から異なった時代でした。そのような時代に、モーツァルトもまた、ヴァイオリニストたるべく育てられ、自分自身も、自己の演奏する楽器としてはヴァイオリンを中心に据えていました。ピアノとの邂逅は、そんな彼の人生に180度の転換を迫るものであり、また、モーツァルトがピアニストになったことは音楽の歴史をも大きく変えてしまったのです。この講演では、ドイツにおける18世紀後半の様々なピアノとその特徴について概説しながら、モーツァルトのピアノ体験を跡づけて行こうと考えています。 

 


渡邊 順生(わたなべ よしお)先生プロフィール

 マタイ受難曲(バッハ)に強く惹かれた。一橋大学社会学部在学中にチェンバロ奏者を志して小林道夫に師事。卒業後、アムステルダム音楽院でグスタフ・レオンハルトに師事。1977年、最高栄誉賞付きソリスト・ディプロマを得て卒業、またプリ・デクセランス受賞。この賞は現在は教育改革で廃止されたが、オランダの音楽教育における最高の賞である。 

 1978年、東京でデビューリサイタルを開く。1980年に日本へ帰国。以降、渡邊順生チェンバロ音楽シリーズを開催し、1984年には日本初のオリジナル楽器のオーケストラ“バロック・バンド”を結成するなど、精力的に活動。指揮者としても、モンテヴェルディ、ヘンデル、バッハらの作品を演奏し、フォルテピアノとクラヴィコードの演奏でも活躍。 

フランス・ブリュッヘン、アンナー・ビルスマなど多数の内外演奏家と共演。その他、オリジナル楽器を用いて歌曲伴奏にも取り組むほか、執筆や楽譜校訂を手がけ、東京書籍から「チェンバロ・フォルテピアノ」を出版している。2011年、第42回サントリー音楽賞受賞。東京音楽大学、上野学園大学、国立音楽大学、桐朋学園大学等で指導にあたる。 

 

 例会後は恒例の懇親会へのご参加をお待ちしております。 会場:「デリ・フランス」お茶の水店/03(5283)3051

 

 


●今後の例会のご案内(会場記載のないものはお茶の水クリスチャンセンターです)

  6月29日(土)   上田真樹氏(作曲家)

  7月20日(土)   久元祐子レクチャーコンサート  ※会場:アコ・スタディオ(原宿)

        ― ― ― 8月は夏休みです ― ― ― 

 9月         澤田義博氏(当会会長)

  10月27日(日)  江端津也子リサイタル ※会場:アトリエ・ムジカ(代々木)

  11月        若松茂生氏(当会名誉会長)

  12月        加藤浩子氏(音楽評論家)

 

 

 

 

 

 

 
●4月例会の報告(第325回/4月13日)

モーツァルトの諷刺家精神-18世紀のカバレッティストとしてのモーツァルト  お話:田辺秀樹氏(一橋大学名誉教授)

 例会に先立って、先生からご案内のメッセージを頂き、最高の名文だったので再掲するが、お話に音楽や映像に、先生らしいとても楽しい一時を過ごさせて頂いた。 

 「モーツァルトが、音楽のことしか頭にない<音楽バカ>などでは決してなかったことは、今さら言うまでもありません。父親ゆずりの鋭い知性の持ち主であり、読書好きでもあったモーツァルトは、周囲の人間や社会の様子を鋭く観察し、腹を立てたり、喜んだり、呆れたり、思案したり、苦笑いしたり、同情したり、義憤をおぼえたり、諦めたり・・・・したことでしょう。そうしたなかで、モーツァルトには、こんにちでいえば「カバレッティスト(キャバレー芸人、寄席芸人)」のように、世相や社会をアイロニカルに諷刺しようとする傾向が顕著だったように思われます。   

オペラや歌曲、その他の楽曲、さらには書簡などから、<18世紀のカバレッティスト(kabarettist)としてのモーツァルト>を浮かび上がらせてみたいと思うのですが、はたしてうまくいくかどうか。」  

 

 「カバレッティスト」には良い訳語がないとこぼしておられたが、モーツァルトの特徴的な個性として、いろいろな切り口から、例を挙げてお話を頂いたが、その中心に「悪口の才能、冴えた悪口、皮肉」があり、彼の日常的行動や、残された手紙・作品に、「諷刺家精神」的な特徴に満ち溢れ、それらがひときわ目立っていると言うお話であった。 

 彼の最もカバレッティスト的な例としては「カーニヴァル時期に張り切るモーツァルト」であり、イタリアのヴェネツイアからの手紙に始まって、ウイーン時代にも、いつもパントマイム劇を作ろうとしたり、アルレッキーノに憧れたりしていた。    

また、彼には詩作者(戯れの詩、ふざけの詩、語呂合わせの詩など)・台本作者(構想や断片から)としての面があり、さらにこれはダ・ポンテとの相性の良さに繋がり、三大ブッファなどの随所に、彼の発案的傾向が見え隠れしているのに気付かされる。その例として、「フィガロの結婚」から第4幕のマルチェリーナとバジーリオの二つのアリアをスカラ座の映像(2006)で確認した。 

この「雄山羊や雌山羊」や「ロバの皮」のアリアは略されたり筋に関係が無いので無視されがちであるが、彼の提案的なアリアであろう。また、「コシ」からデスピーナのアリアをポネル盤のストラータスの映像(1989)で聴いたが、彼女の体当たり的演技と歌で、男性や兵隊の誠実さへの皮肉の歌を精一杯聞かせていた。 

 彼の詩作者的な特徴の作品には多くのカノンやさいころ遊びの音楽(K.516f)、リボンの三重唱(K.441)など沢山の例があるが、これまで余り語られてこなかったものとして、歌曲(リート)の諸作品にみられる警句的、警告的、教訓的性格の歌の多くの例が注目される。その良い例として歌曲「警告」K.433があり、年頃の娘への男に対する警告の歌であった。これをヘルマン・プライのオーソドックスなリートで聴き、なかにし礼と島田祐子の日本語訳の歌で聴き、最後にUチューブからスエーデンの歌手(82歳)の表情豊かな歌とアクセントのある面白い映像を楽しんだ。 

 続いてリート「老婆」K.517をコジェナーのユーチューブで見たが、老婆のような雰囲気であり、CDのリートでは気付かない面白さがあった。時間が無くて今回聴けなかったが、リートには そのほかに「偽りの世」K.474、「自由の歌」K.506などが警句的・教訓的な例であり、先生の資料の日本語訳の詩文を読むと、これまでドイツ語リートを真面目に聞いていたのが馬鹿らしくなるような気がした。 

また、器楽曲の例として「音楽の冗談」K.522があり、これは皆さんご存じの通りである。これらの一連の作品が1786年のカノンの多作の年に始まって、1787年のプラハでの「フィガロ」の成功、「ドン・ジョヴァンニ」の作曲開始、リートの多作、父の死、「ドン」の完成などの時期に集中しているのも、極めて興味深いことであろう。 

 最後にウイーン出身のカバレッティストとして著名なG.クライスラーの作品「カラヤヌスコプフ(カラヤンの歌)」と「古き良き時代はどこ?」のドイツ語録音を日本語訳詩で追ってみた。前者は独裁者カラヤンを徹底してからかい、後者はよき時代のウイーンを懐かしむ詩で、実に楽しい笑いと皮肉に満ちており、モーツァルトがもし生きていたら、やりそうな詩の例として、或いは諷刺詩の傑作例としてご紹介頂いた。 

 

 講演の後に、いつものように「ウイーンの歌」をピアノで弾いて下さったが、先生はいつも譜面なしで弾かれ、その都度、上達なさっているのには驚かされる。今回は「郊外のジーファリングでは」、「ウイーンは夜こそ素晴らしい」、「ウイーンの辻馬車の歌」、「懐かしの1830年代」、アンコールでは「ウイーン、わが夢の町」の5曲であった。先生が譜面のように置いた紙は、ベスト・セレクションとして20曲ほどの曲名リストであった。(文責:倉島) 

 

 

 

●情報コーナー

CD情報(外盤価格はHMVの一般価格)  ★こちらからどうぞ(M) 

 

 

 


●例会・懇親会 写真コーナー

  今回の懇親会場は、いつもの「デリ・フランス」お茶の水店に戻り、趣旨に賛同する有志一同で、講師の田辺秀樹先生を中心に飲み会に早変わり。ビールで乾杯後、田辺先生を囲んで楽しく質疑・応答、懇親が行われた。懇親会においては、皆さん元気いっぱい、話題も豊富で、楽しい賑やかなひとときを過ごすことが出来た。


      なお、写真を削除して欲しい方がおられたら、直ぐに担当宛てメールして頂くか、電話でもよいので、いつでも連絡して欲しいと思います。削除するのは実に簡単なので、作業は直ぐ実施します。

     なお、写真が欲しい方は、原版はHP担当の倉島が全て保管していますので、例えば、懇親会4列の右側の写真の場合は、例えば、懇上から4・右と言うように写真を特定して、下記にメールしていただければ、次回例会までにお届けするようにしたします。ただし、恐縮ですが、Lサイズで30円/枚のご負担をお願い致します。

 容量不足のため、09年の3年前の写真から、順番に削除しています。

お問い合わせ:ホームページ担当;倉島 収: メールはここから

第325回 モーツァルティアン・フェライン例会 2013年4月13日
 
 

 事務局レター【第200号】/2013年4月

 【編集者】澤田義博/宮崎宇史/古田佳子 bxp00423*yahoo.co.jp (スパムメールが増えてきましたのでリンクを外しました。お手数ですが*を@に替えて送信願います) 

 

●4月例会(第325回)のお知らせ 

「モーツァルトの諷刺家精神」  田辺秀樹氏(一橋大学名誉教授)

 日時:2013年4月13日(土)午後2時(午後1時30分開場)

 会場:お茶の水「クリスチャンセンター」(JR「お茶の水」下車・徒歩3分) 

 例会費:¥2500(会員・一般共)


――――― 田辺先生からのメッセージ

 モーツァルトが、音楽のことしか頭にない<音楽バカ>などでは決してなかったことは、今さら言うまでもありません。父親ゆずりの鋭い知性の持ち主であり、読書好きでもあったモーツァルトは、周囲の人間や社会の様子を鋭く観察し、腹を立てたり、喜んだり、呆れたり、思案したり、苦笑いしたり、同情したり、義憤をおぼえたり、諦めたり・・・・したことでしょう。そうしたなかで、モーツァルトには、こんにちでいえば「カバレッティスト(キャバレー芸人、寄席芸人)」のように、世相や社会をアイロニカルに諷刺しようとする傾向が顕著だったように思われます。 

オペラや歌曲、その他の楽曲、さらには書簡などから、<18世紀のカバレッティストとしてのモーツァルト>を浮かび上がらせてみたいと思うのですが、はたしてうまくいくかどうか。お話のあとは、皆さんのお許しがあれば、例によって今回も<酒席ピアノ>でウィーンの酒場の歌やオペレッタの歌など弾かせていただくつもりです。 

 


 例会後は恒例の懇親会へのご参加をお待ちしております。 会場:「デリ・フランス」お茶の水店/03(5283)3051

 

 


●今後の例会のご案内(会場記載のないものはお茶の水クリスチャンセンターです)

  5月18日(土)   渡辺順生氏(チェンバロ・フォルテピアノ奏者)

  6月29日(土)   上田真樹氏(作曲家)

  7月20日(土)   久元祐子レクチャーコンサート  ※会場:アコ・スタディオ(原宿)

        ― ― ― 8月は夏休みです ― ― ― 

 9月         澤田義博氏(当会会長)

  10月27日(日)  江端津也子リサイタル ※会場:アトリエ・ムジカ(代々木)

  11月        若松茂生氏(当会名誉会長)

  12月        加藤浩子氏(音楽評論家)

 

 


 
●お知らせ 

♪新年度の年会費をお支払頂いた会員の皆様には、適宜のタイミングで、領収書を兼ねた、新会員証をお送り致します。 

♪当会のHPの会員広場に最近、心無い投稿者が増えてきているので、管理人が当惑しております。今後は「投稿者は実名で行う」と言う新ルールで運営致しますので、宜しくご協力をお願い致します。 

 

 


●3月例会の報告(第324回/3月16日)

 下山静香レクチャーコンサート

 下山先生のレクチャーコンサートは、15か月ぶりの2回目である。第1部はモーツァルト、第2部はラテン 色が加わり、フランス系の曲目だったが、プログラムの組み方に工夫が感じられ、そのプログラムの構成を一目見ただけで、期待の持てるコンサートと感じられた。 

 第1曲は、モーツァルトの未完のアレグロで、ソナタの第1楽章の断片と考えられている曲である。モーツァルトは展開部の途中第91小節で筆を置いてしまっている。その後、弟子のマキシミリアン・シュタドラーが補筆完成させている。この曲は未完のソナタということから、演奏会で採り上げられることは滅多にないが、美しい曲で、多彩でありながら、澄んだ部分もあり、好調に開始されている。もし完成されていれば、ピアノソナタの傑作の一曲となっていたと思われ、とても残念である。 

 曲の中で、71小節、72小節では“Sophie, Costanza”(ママ)の名前が書きこまれており、2人の女性の会話が音楽に織り込まれているようで、微笑ましく、ユーモラスな個所もある。下山先生はシューベルトを思わせる様な演奏で、この曲の独特な響きを美しく表現された。 

 

 第2曲は良く知られたK.331のイ長調ソナタで、トルコ行進曲がこの曲を取り分け有名にしている。ベートーヴェンもトルコ行進曲を書いているが、両者の洗練度、ひいては才能の差は覆うべくもない。それを下山先生は見事な演奏で明示的に示されたと思う。  

 第3曲はモーツァルティアンが密かに愛しているイ短調ロンドK.511である。先生のおっしゃる通り、この曲ではモーツァルトの感情の爆発が感じられる。モーツァルトが感情を露わにした珍しい曲の中の一曲である。母のパリでの客死時に書かれた、ソナタK.310と同じ調性である。この曲ではテンポとデュナーミクが取り分け大事だと思うのだが、先生の演奏は会心ともいえるテクニックで、このシチリア―ノ風の名曲の魅力をふんだんに引き出しておられたと感じた。 

 第2部は打って変わって、モーツァルトとは対極に位置するともいえる、フランス関連の作曲家達の曲となった(モーツァルトがフランス的な曲も書いていることは言うまでもないが・・・)。 

 第1曲はモンポウの子供の情景。モンポウはバルセロナの生まれだが、母親はフランス人だった。この曲もバルセロナで作曲されている。彼はパリでも活躍しており、ドビュッシーやサティ―の影響も受けている。下山先生によれば、彼の音楽の原点は鐘の音だそうである。父親の職業の関係で、鐘の音を聴きながら育った事によるらしい。今日は子供の情景の中から、3曲の小曲を弾いて頂いた。「モンポウなら任せて」という自信に満ちた演奏だった。 

 第2番目はプーランクの夜想曲の4番「幻の舞踏会」、5番「しゃくとり虫」。プーランクはフランス6人組の一人であり、下山先生によれば、モンポウとも一目置き合い、親しかった。サティの仲間であったのだから、首肯できる。彼の曲は節度があり直線的だが、感性に富んだ響きを奏でる。ここでは前曲に引き続き、下山先生のタッチは一転フランス的となり、第1部とのニュアンスの違いを浮き立たせるものだった。 

 次は「ブラジルのショパン」と呼ばれるナザレの小品が演奏された。ナザレは我々モーツァルティアンにはあまりなじみのない作曲家である。曲は「フォン・フォン」、「カリオカ」、「打ち明け」の3曲で、確かにショパンを思わせる詩人の様な作曲家だと感じた。新鮮な発見をした会員も多かったと思う。 

 最後はフランスの大御所ドビュッシーで曲目は「喜びの島」。この曲はワトーの名画『シテール島への巡礼』に影響を受けていると言われているが、下山先生によれば、ドビュッシー本人の愛の歌と言う説もあるらしい。この曲はエスプリに富み、きらめくように多彩な音の連続で、この微妙なニュアンスを下山先生は見事に表現していらっしゃった。 

 大拍手に応え、アンコールは二曲となった。まずドビュッシーの「レントより遅く」、次に先生お得意のアルベニス。曲は「カディス」でこの個性豊かなコンサートを締めて頂いた。このコンサートをワインに譬えるなら、前半はオーストリア帝国の「トカイ」、後半はボルドーの「ラフィット・ロチルド」と言う事になりそうだ。(文責:澤田義博) 

 

 

 

●情報コーナー

CD情報(外盤価格はHMVの一般価格)  ★こちらからどうぞ(M) 

 

 

 


●例会・懇親会 写真コーナー

  懇親会場は、タカギ・クラヴィアの2軒隣りのモダン・イタリアンで、その名は、レストラン「Garlic×Garlic」。ニンニクの香りに満たされた、レストランを借り切って、趣旨に賛同する有志一同で、講師の下山先生を中心に飲み会に早変わり。ビールで乾杯後、下山先生を囲んで楽しく質疑・応答、懇親が行われた。今回の先生のピアノは、前半はモーツァルト・プログラム。少し固さのある演奏であったが、後半はがらりと一変して、本場のスペイン風。モンボウ、ナザレ(ブラジルのショパン)など、聞き慣れない作曲家のピアノが実に楽しく、素晴らしい熱演であった。懇親会においては、皆さん元気いっぱい、話題も豊富で、楽しい賑やかなひとときを過ごすことが出来た。


      なお、写真を削除して欲しい方がおられたら、直ぐに担当宛てメールして頂くか、電話でもよいので、いつでも連絡して欲しいと思います。削除するのは実に簡単なので、作業は直ぐ実施します。

     なお、写真が欲しい方は、原版はHP担当の倉島が全て保管していますので、例えば、懇親会4列の右側の写真の場合は、例えば、懇上から4・右と言うように写真を特定して、下記にメールしていただければ、次回例会までにお届けするようにしたします。ただし、恐縮ですが、Lサイズで30円/枚のご負担をお願い致します。

 容量不足のため、09年の3年前の写真から、順番に削除しています。

お問い合わせ:ホームページ担当;倉島 収: メールはここから

第324回 モーツァルティアン・フェライン例会 2013年3月16日
 
 

 事務局レター【第199号】/2013年3月

 【編集者】石津勝男/澤田義博/富田昌孝/古田佳子 bxp00423*yahoo.co.jp (スパムメールが増えてきましたのでリンクを外しました。お手数ですが*を@に替えて送信願います) 

 

●3月例会(第324回)のお知らせ 

下山静香 ピアノリサイタル

日時:2013年3月16日(土)午後2時30分(午後2時開場) 
←開始時間に注意!


会場:タカギクラヴィア・松濤サロン (JR「渋谷」下車・徒歩10分) 

 例会費:¥3000(会員・一般共)


――――― 下山先生からのメッセージ

 モーツァルティアン・フェライン例会で再び演奏できますことを嬉しく思っております。今回は、前半をモーツァルト、後半はがらりと変わってフランス系の音楽を中心にお贈りします。

モーツァルトは、ソナタの第1楽章として書かれたものの未完に終わり、シュタートラーが補筆完成した「アレグロ」、トルコ行進曲付きのソナタ、そしてイ短調の「ロンド」を選ばせていただきました。特にイ短調のロンドは、3枚目のCDでも最後のトラックに収録した、とても好きな曲ですが、なかなかコンサートで演奏する機会がありませんでしたので、今回弾かせていただけるのが楽しみです。

 後半は、2012年が没後25年、2013年が生誕120年の“ピアノの詩人”モンポウ、「フランス六人組」の代表格で、モーツァルトをとても愛していたプーランク、さらにショパン、ドビュッシーのほか、2013年に生誕150年を迎える作曲家で“ブラジルのショパン”とも呼ばれるナザレをセレクトしております。皆さまにお目にかかれますのを、楽しみにお待ち申し上げます。

  《プログラム》

 【W.A.モーツァルト】
  ピアノの為のアレグロ変ロ長調 K400 

  ソナタ11番 イ長調 K331 トルコ行進曲付き 

 ロンド イ短調 K511 

      ***――***――*** 

 F.モンポウ:子供の情景 

  F.プーランク:夜想曲第4番「幻の舞踏会」/第5番「しゃくとり虫」 

  E.ナザレ:打ち明け/カリオカ 

 C.ドビュッシー:喜びの島 

  (曲目は変更になる場合がございます) 

 


 例会後は恒例の懇親会へのご参加をお待ちしております。場所はタカギクラヴィアの2件隣りのモダン・イタリアンです。 会場:レストラン「Garlic×Garlic」/03(5478)2029

 

 


●今後の例会のご案内(会場記載のないものはお茶の水クリスチャンセンターです)

  4月13日(土)   田辺秀樹氏(一橋大学名誉教授)
  5月18日(土)   渡辺順生氏(チェンバロ・フォルテピアノ奏者)
  6月29日(土)   上田真樹氏(作曲家)
  7月20日(土)   久元祐子レクチャーコンサート ※会場:原宿アコ・スタディオ
       ― ― ― 8月は夏休みです ― ― ― 
 9月         澤田義博氏(当会会長)
  10月        江端津也子リサイタル
 11月        若松茂生氏(当会名誉会長)
  12月        加藤浩子氏(音楽評論家)

 

 


 
●お知らせ 

♪今月の下山先生のリサイタルには、友人、知人の方々もお誘いの上、奮ってご参加下さい。席に限りががありますので、川口理事にご連絡の上、前売券のご購入をお勧め致します。 

♪新年度より、会員証を発行致します。この会員証は年会費の領収書を兼ねておりますので、大切に保管して下さい。また毎月の例会には、原則として携行をお願い致します。 

♪3月の月刊レターはメール会員にも郵送致します。年会費の振込用紙をお送りするためです。なお、3月以降の例会でも年会費支払いは可能です。 

♪若松名誉会長兼編集長の体調の回復が遅れているため、季刊6月号の編集は山崎理事と木村会員にお願いしました。普段より時間がかかりますので、原稿の締め切りを早め、3月20日とします。宜しくご了承下さい。 

 

 


●2月例会の報告(第323回/2月16日)

 「モーツァルト・後期のシンフォニーより」~指揮法と楽曲分析~   お話:森垣桂一氏(国立音楽大学、大学院教授)

 森垣先生のお話はかなり専門的でしたが当日のレジュメをもとに私の聴き取った講演の要旨をお伝え致します。

ポイント:フライタークの三角形
グスターク・フライターク(1816~1895)の著書『戯曲作法』によれば「戯曲に於ける緊張の持続は、葛藤、切迫、弛緩、期待など手をかえ、品をかえして筋を展開させつつクライマックスまたはどんでん返しに至るまで上昇を続ける。一たびその頂点に達したら、あとは急激に緊張がゆるみ、落下して行く。その頂点の位置は、少なくとも全体の三分の二以降であることが望ましい。これを図にすると、一方の斜辺の長い不等辺三角形となり、これを〈フライタークの三角形〉と称する。」

 森垣先生はホワイトボード上に不等辺三角形を描きながら、この公式は音楽にもそのままあてはまると語る。1788年夏、モーツァルトは交響曲第39番、40番、41番のいわゆる三大シンフォニーを2ヶ月間で書き上げたが三つともキャラクターが各々異なるものの上記の法則がみられるという。 

 

ポイント:アルシスとテジス
我々の生命的動きの秩序は、すべて次のごとき二つの関係によっている。歩行のリズムは足の「上げ」と「降し」の相互依存によってなりたっており、心臓の鼓動という動きは「収縮」と「拡張」によって秩序づけられている。……

 “動的素材を一つの芸術的形相へと統合せしめるものは、最終的分析において、動きの秩序そのものであるところの二つの関係へと還元される。この関係こそ文章における品詞の従属関係、あるいは音楽における長短・ 強弱、高低の緊密な関係の成因となっているところの、生命的な統一原理である。それは「飛躍と休息」「緊張と弛緩」「希求と享受」あるいは「発問と応答」の関係ともいえるが、それらの究極的・根源的関係をグレゴリアニストは総称してアルシスとテジス(Arsis Thesis)と呼んでいる。”『グレゴリオ聖歌』より水島良雄著

 森垣先生はわかりやすい例としてモーツァルト作曲交響曲第39番K543変ホ長調の出だしのアダージョからアレグロに至る所を歌うように演奏することが大切であると語る。アーノンクール指揮の演奏を聴かせて頂くと上記の「アルシスとテジスの表現」のうち「飛躍と休息」あるいは「発問と応答」の関係がわかってくるように思った。

ポイント:バール形式
バール形式とは、提示された小さな楽句をそのまま異度の上に反復し、3回目にはその約倍の長さをもって完結する形式である。古典主義の作品には、バール形式によって反復される例が非常に多い。ことにソナタやシンフォニーの第一主題は、大多数がバール形式によって出来ていて、一つの小さな段がさらに小分けされた結晶体のようなバール形式を持つものも少なくない。『作曲技法』より属 啓成著

 森垣先生は交響曲第40番K550ト短調の第一楽章アレグロ・モルトのきわめてロマン的な冒頭においてAA’B形式をどうやって演奏するか指揮者の仕事であるとしてB・ワルター指揮ウィーンフィルの演奏を聴きながら語られた。ここではパール形式だけでなくフライタークの三角形も例にとり一つの方向に向って三角形をやりすぎるほどやるのだという。

ポイント:調和と対称
 調和「ジュピター交響曲」は10個の音からなる定旋律(カントゥス・フィルムス)に基づいており、そこから作品全体のすべての主要主題と副主題、すべての推移部分やすべての後楽節が展開されている。

対称 1)フォルテの部分とピアノの部分
2)4小節単位の規制的な楽節構造の部分と、3小節単位の部分や、1小節を追加、削除するなどの不規則な楽節構造の部分。
3)和声的な部分(メロディーと伴奏、ユニゾン、カデンツ等)と、対位法的な部分(フガート、カノン、ストレッタ、模倣手法、モチーフの転回、反行、縮小、拡大等)の部分。

 森垣先生は交響曲第41番K550の第4楽章モルト・アレグロをとりあげ先の二つの法則の他にここでは調和と対称が見事に実施されていると語る。この楽章の出だしのドレファミのモチーフは最初のシンフォニーK16と同じだがこれはグレゴリオ聖歌からとられたもので18世紀には讃歌の冒頭として広く知られているものである。この楽章のフィナーレはバロックと古典が有機的に一つになった素晴しい例である。指揮者は楽譜を細かくみるだけでなく暗譜して全体を俯瞰することが大切である。楽譜に書かれた音楽と演奏者が一体になってこそ良い演奏が生まれる。

モーツァルトの交響曲の集大成ともいうべきこのフーガの扱いの見事さを、B・ワルター指揮コロンビアSOの演奏で聴き、更にムーティ指揮ウィーンフィルの映像を観せて頂き大変理解が深まった。森垣先生の70年代のパリ国立高等音楽院時代の想い出話や指揮法について身ぶりをまじえた楽しい講義に、私達全員は大変感銘を受けました。厚くお礼申し上げます。(文責:石津) 

 

 

 

●情報コーナー

CD情報(外盤価格はHMVの一般価格)  ★こちらからどうぞ(T) 

 

 

 

●例会・懇親会 写真コーナー

  懇親会は、お茶の水のいつもの場所。趣旨に賛同する有志一同で、講師の森垣先生を中心に飲み会に早変わり。ビールで乾杯後、森垣先生を囲んで楽しく質疑・応答、懇親が行われた。今回はご存じの三大交響曲を例に「指揮法と楽曲分析」というレベルの高いお話だった。しかし、懇親会においては、皆さん元気いっぱい、話題も豊富で、楽しい賑やかなひとときを過ごすことが出来た。

      なお、写真を削除して欲しい方がおられたら、直ぐに担当宛てメールして頂くか、電話でもよいので、いつでも連絡して欲しいと思います。削除するのは実に簡単なので、作業は直ぐ実施します。

     なお、写真が欲しい方は、原版はHP担当の倉島が全て保管していますので、例えば、懇親会4列の右側の写真の場合は、例えば、懇上から4・右と言うように写真を特定して、下記にメールしていただければ、次回例会までにお届けするようにしたします。ただし、恐縮ですが、Lサイズで30円/枚のご負担をお願い致します。

 容量不足のため、09年の3年前の写真から、順番に削除しています。
お問い合わせ:ホームページ担当;倉島 収: メールはここから

第323回 モーツァルティアン・フェライン例会 2013年2月16日
 
 

 事務局レター【第198号】/2013年2月

 【編集者】澤田義博/富田昌孝/古田佳子 bxp00423*yahoo.co.jp (スパムメールが増えてきましたのでリンクを外しました。お手数ですが*を@に替えて送信願います) 

 

●2月例会(第323回)のお知らせ 

「モーツァルト・後期のシンフォニーより」~指揮法と楽曲分析~   お話:森垣 桂一氏(国立音楽大学、大学院教授)

 日時:2013年2月16日(土)午後2時

 会場:お茶の水「クリスチャンセンター」(JR「お茶の水」下車・徒歩3分) 

 例会費:¥2500(会員・一般共)


――――― 森垣先生からのメッセージ

 モーツァルトの後期のシンフォニーをとり上げて、楽曲分析と指揮法のポイントについてお話しいたします。ウィーン古典派の音楽語法と伝統的な指揮法についてお伝えできればと思っております。特に「フライタークの三角形」「バール形式」「アルシスとテジスの表現」等はロマン派から近現代の音楽においても大切な要素と考えられます。 

また、私が経験いたしました1970年代のパリ国立高等音楽院と1990年代のサンクトペテルブルグ音楽院の授業等や、音楽の仕事での様々な出会いについてもご紹介いたしたいと思います。 

 


 森垣先生のプロフィール 

東京芸術大学作曲科卒業。1975年より、パリ国立高等音楽院で音楽理論と作曲を、オリヴィエ・メシアン氏等に師事する。第42回日本音楽コンクール作曲部門第1位受賞。第27回ヴィオッティー国際音楽コンクール作曲部門入賞。オーケストラ・プロジェクト’99の作曲者として平成12年度芸術祭優秀賞受賞。 

 1998年、サンクトペテルブルク音楽院オペラ・シンフォニー指揮科卒業。指揮を高階正光、ヴラジスラフ・チェルヌシェンコ、ユーリ・ガマレイ各氏に師事する。東京芸術大学、東京学芸大学講師を歴任、現在、国立音楽大学および大学院教授、桐朋学園大学講師。 

 近作に、オーケストラのための「レクイエム第1番」(1999)[カメラータ28CM-599]、「レクイエム第2番 《イン・メモーリアム》」(2003改訂)、「ヴァイオリン協奏曲」(2006)、バリトンとピアノのための「牡丹」(2000)、《LE JOUR ET LA NUIT》pour orchestre de chambre(2001)、《Music of the Earth》(2001)[国際音楽評議会(IMC)委嘱]、「アルシスとテジス~ピアノと弦楽四重奏のための~」(2003)、「エクスプレッションズ第1番~室内オーケストラのために~」(2005)、「エクスプレッションズ第2番~弦楽四重奏のために~」(2006)、源氏物語より「夕顔」(2006)、「エクスプレッションズ第3番~ピアノのために~」(2007)、「エクスプレッションズ第4番~弦楽オーケストラ、打楽器、ピアノのための~」[国立音楽大学委嘱](2007)、オーケストラのための「レクイエム第3番」(2008)等がある。 

 

 例会後は恒例の懇親会へのご参加をお待ちしております。 会場:「デリ・フランス」お茶の水店/03(5283)3051

 

 


●今後の例会のご案内(会場記載のないものはお茶の水クリスチャンセンターです)

  3月16日(土)   下山静香氏(ピアニスト) ※会場:タカギクラヴィア・松濤サロン 

 4月13日(土)   田辺秀樹氏(一橋大学名誉教授)  

 

 

 
●お知らせ 

【訃報】フェラインが大変お世話になりましたカーサ・モーツァルトの中村真博士がご逝去されました。ご冥福を祈り、謹んでお知らせいたします。

 

 


●1月例会の報告(第322回/1月19日)

モーツァルティアン・フェライン新年会

 フェラインの新年会もこれで11回を迎えることとなった。その時間の積み重ねもさることながら、毎回、会を重ねるごとにその内容が濃くなっていることは実に喜ばしいことである。これもまた、フェラインの質の向上が着実に図られていることの一つの証左ではないだろうか?以下プログラム順にコメントしたい。 

 

1.澤田会長
 昨年、イタリア・モーツァルト協会との関係復活を果たし、更に関係が密になったことはフェラインにとっても画期的なことであった。これを機にフェラインのHPも英文版を私が全て書き、現在では世界のどこからでも当会のHPにアクセス可能となった。フェラインのネットワーク拡大のため、私は今月のザルツブルクのモーツァルト・ウィークに参加し、1月28日に開催される世界のモーツァルト協会の会長の会に出席する予定である。その意味で、今年はフェラインの真の意味での国際化元年となるだろう。 

 同時に以前からお話している、例会、季刊、そして会員の増強にも一層注力したい。他のモーツァルト協会と伍して行くためにはミニマムの人数も必要だからである。 

 

2.松永洋一氏「モーツァルトの死因」
 松永氏の本職は循環器専門の医師であり、今回は医師としてのプロの立場から、日頃研究しておられるモーツァルトの死因について、お話頂いた。松永先生はカール・ベーア説を取りつつ、さらに豊田 豊医師の敗血症が直接の死因ではなかったかとされている。興味深い問題であり、依然として決定的な論証はできていないが(もはや、物理的に不可能)、私としては松永先生の説に賛成である。 

3.渡辺 勝氏「モーツァルトの珍曲」
 渡辺氏はモーツァルトを始め様々な作曲家の珍しい楽譜のコレクターとして、フェラインの中でも異色の存在である。モーツァルトの印刷された楽譜については既に全集が出版されているので、珍しくはないが、渡辺さんは自筆譜のファクシミリ版などの収集では人後に落ちない。今回も珍曲と言うより、珍しい楽譜と言う事で興味深いお話をされた。 

 

4.大野康夫氏「Uチューブ情報」
 大野氏は日頃から、珍しい映像をUチューブで見つけ、我々有志の会員にご連絡頂いている。これは簡単なようだが、かなりの努力を要することである。今回はそのノウハウをご伝授頂いた。これで会員の情報源も更に豊かになると思われる。これからも引き続き秘訣をご教示頂きたい。 

 

5.相川宥子女史 ピアノ独奏「ロンドニ長調」K.485
 相川さんは久しぶりの出演である。今回はニ長調ロンドを演奏して頂いた。このロンドはK.511のイ短調と好対照をなし、特にモーツァルティアンには良く知られている。相川さんはこの曲を細部まで読み込まれ、その魅力を最大限引き出していた。この曲への愛情が感じられる演奏だった。 

 

6.7.8.9.笠島三枝子女史、田中 進氏、笠島三枝子・田中進デュエット(以上、ピアノ伴奏:真部 淳氏)、真部 淳氏 ピアノ独奏 

 最近すっかり新年会の常連となった、トリオの演奏である。まず、笠島さんは「フィガロ」の第4幕スザンナのアリア”Deh vieni”をスザンナの気持ちをよくつかみ、しっとりと歌い上げた。 

 次の田中さんはすっかりお馴染みとなった変装を用意され、まずはパパゲーノのアリア「恋人か女房がいさえすれば」を広い声域で軽々と歌い上げ、更に笠島さんとの「魔笛」のザラストロとパミーナのデュエットを情感豊かな歌唱力で表現された。 

 次は上記3曲の伴奏をこなした真部さんのいよいよソロ演奏である。今回はモーツァルトのピアノソナタの最高傑作とも言われるK.332ヘ長調である。この曲を完璧に弾きこなすのは至難の業である。昨年真部さん、久元さんとの鼎談会でも推薦盤が見当たらず、今度録音される久元さんに期待しようと言う事になった、いわくつきの難曲である。この曲にチャレンジされた真部さんにまず敬意を表したい。 

 

 

そもそもあのお忙しいスケジュールの中でいつ練習されるのだろうと思っていたところであるから、尚更である。真部さんも気のせいか少し緊張気味であったように思われた。然しながら、ポイントとなる曲の魅力は十分に引き出し、聴衆の会員もそれなりに感動されたと思われる。 

 総じて言えることは、この3人の方々が、年々歳々上達していらっしゃることであり、この会もその一助となって いるかも知れないと考えるとやはり慶ばしい。 

 

10.後藤久美子と仲間たち(オーボエ:後藤由美子女史、ヴァイオリン:山下雅生女史、ヴァイオリン:田崎佳子女史、ヴィオラ:東畑賀久子女史、チェロ:吉澤 茂氏) 

 今回で、後藤さんの出演は2回目となるが、この度は前回と趣向を変え、オーボエ5重奏曲ハ短調(K.388/406)の演奏となった。ご存知の通りこの曲はもともとハ短調セレナーデとして、オーボエ2、クラリネット2、ホルン2、ファゴット2の8つの木管のために書かれたが、その後、モーツァルトは弦楽五重奏K.406に編曲している。その曲を更に上記編成用に編曲したのである。 

 出演者は全員慶應大学のオケであるワグネル・ソサエティーのOB/OGである。因みにワグネル・ソサエティーは欧州遠征をしばしば行い、ウィーンのミュージック・フェライン・ザールや、ザルツブルクの祝祭大劇場でも演奏している。 

 

 

アマチュアでは超一流のオケである。今回の演奏も見事なアンサンブルで、この曲の聞かせところを十分に響かせていた。この曲の美しさを再認識された会員は私だけではないと思う。後藤さんたちの出演で、この新年会も厚みを増して、更に魅力的になったと思う。 (文責:澤田義博) 

 

 

 

●情報コーナー

CD情報(外盤価格はHMVの一般価格)  ★こちらからどうぞ(T) 

 

 

 

●例会・懇親会 写真コーナー

  懇親会は、お茶の水のいつもの場所。趣旨に賛同する有志一同で、今年最初の新年を祝う飲み会に早変わり。ビールで乾杯後、講師や出演者たちを囲んで楽しく懇親が行われた。会員による発表会も回数を重ねて、非常に充実したものになってきた。聴衆のレベルが高いと、必然的に出演者のレベルも高くならざるを得ない。毎年出演する方々も、進歩の跡が伺われ、向上しているのは微笑ましい。次回も期待したいものである。発表会も、懇親会においても、皆さん元気いっぱい、話題も豊富で、楽しい賑やかなひとときを過ごすことが出来た。

      なお、写真を削除して欲しい方がおられたら、直ぐに担当宛てメールして頂くか、電話でもよいので、いつでも連絡して欲しいと思います。削除するのは実に簡単なので、作業は直ぐ実施します。

     なお、写真が欲しい方は、原版はHP担当の倉島が全て保管していますので、例えば、懇親会4列の右側の写真の場合は、例えば、懇上から4・右と言うように写真を特定して、下記にメールしていただければ、次回例会までにお届けするようにしたします。ただし、恐縮ですが、Lサイズで30円/枚のご負担をお願い致します。

 容量不足のため、09年の3年前の写真から、順番に削除しています。
お問い合わせ:ホームページ担当;倉島 収: メールはここから

第322回 モーツァルティアン・フェライン例会 2013年1月19日
 
 

 事務局レター【第197号】/2013年1月

 【編集者】倉島収/富田昌孝/古田佳子 bxp00423*yahoo.co.jp (スパムメールが増えてきましたのでリンクを外しました。お手数ですが*を@に替えて送信願います) 

 

●1月例会(第322回)のお知らせ 

 モーツァルティアン・フェライン新年会

 日時:2013年1月19日(土)午後2時

 会場:お茶の水「クリスチャンセンター」(JR「お茶の水」下車・徒歩3分) 

 例会費:¥2000(会員・一般共)


――――― 出演予定者(敬称略/出演順ではありません)

 【お話の部】 

♪沢田義博…新年のご挨拶/今年も宜しくお願い申し上げます。
♪大野康夫…ユーチューブ情報/フェラインのホーム・ページ会員広場への投稿の情報について 他
♪松永洋一…モーツァルトの死因/最近の音楽家と医家の日本人著書を引用しながら概括したい
♪渡辺勝…モーツァルトの珍曲/皆さん!この曲わかります?クイズに参加して新年を祝いましょう。


【演奏の部】 

♪後藤由美子と仲間たち…オーボエ五重奏ハ短調 K388・406より第1、第2楽章
 /オーボエ:後藤由美子、ヴァイオリン:山下雅生、ヴァイオリン:田崎佳子、ヴィオラ:東畑賀久子、チェロ:吉澤茂
♪相川宥子…ピアノ独奏:ロンドニ長調K485/ロンド二長調と私
♪笠島三枝子…ソプラノ独唱(伴奏:真部淳)/「フィガロの結婚」K492、スザンナのアリア“Deh vieni non tarda”
♪田中進…バリトン独唱(伴奏:真部淳)/「魔笛」K620、パパゲーノのアリア「恋人か女房が居さえすれば」
♪真部淳…ピアノ独奏:ピアノソナタヘ長調K332/いよいよソナタに挑戦します。
♪笠島・田中…二重唱(伴奏:真部淳)/「魔笛」第1幕フィナーレから、ザラストロとパミーナの二重唱


♪司会、オーディオ・音響/石津勝男、倉島収
♪企画進行/川口ひろ子 

 


 例会後は恒例の懇親会がございます。大勢のご参加をお待ちしております。皆さんで新年をお祝いいたしましょう。 会場:「デリ・フランス」お茶の水店/03(5283)3051

 

 


●今後の例会のご案内(会場記載のないものはお茶の水クリスチャンセンターです)

  2月16日(土)   森垣桂一氏(作曲家、国立音大教授) 

  3月16日(土)   下山静香氏(ピアニスト) ※会場:タカギクラヴィア・松濤サロン 

 4月(日にち未定) 田辺秀樹氏(一橋大学名誉教授) 

 

 

 
●12月例会の報告(第321回/12月16日)

モーツァルトの管楽器用法   お話:礒山雅氏(国立音大招聘教授、大阪音楽客員教授)

 礒山先生から、オーケストラやオペラを聴いていて「ああモーツァルトだな」という感動を受けるところのひとつは、「管楽器が絶妙の音色を奏で、奏で合うところではないでしょうか」というメッセージを頂いた。全く同感である。先生はモーツァルトの管楽器用法の発展をたどり、その秘密に迫りたいという詳細なメモを用意して下さり、時どきCDを聴き確かめながら、お話しいただいた。とても参考になった。 

1、ザルツブルク時代 

 最初期の交響曲、ピアノ協奏曲では、木管楽器(ホルンを含む)の基本編成はオーボエ2、ホルン2であったが、音楽の主体は弦楽器が担い、オーボエは合奏の中高音域強化、ホルンは和声を補強するなどトゥッテイの役割に終始していた。また、曲によってトランペット2とテインパニの「祝典セット」が加わるようになってきた。 

しかし、1771年にミラノでクラリネットに接して、早速、ディヴェルティメント変ホ長調K.113に使っているが、その後の後続はなかった。(第2楽章のクラリネットを聴く)またディヴェルティメントニ長調K.131(1772)では、フルート、オーボエ、ファゴット各1、ホルン4の面白い編成を試みている。この曲の第3楽章のメヌエットは3つのトリオを持ち、管楽器が独立して目覚ましく活躍する(この楽章を面白く聴いた)。ホルン4の編成は目新しいが、交響曲でもト短調交響曲K.186(1773)など4曲に用いられていた。 

 1773年に初めて管楽器のためのアンサンブルとして、ディヴェルティメント変ロ長調K.186がミラノで作曲され、編成はオーボエ、クラリネット、イングリッシュホルン、ホルン、ファゴット各1の5楽章の曲であった。 

 交響曲におけるクラリネットの初出は、パリ交響曲K.297(1778)で、この曲の管打楽器編成は、ハフナー交響曲K.385(1789年ウイーン)と同様に最大であるが、クラリネットの役割はまだ和声を埋める役割に止まっていた。 

 1774年から書き始められるザルツブルク・セレナードは、管楽器編成が交響曲より充実してきているが、特にザルツブルク時代最後のポストホルン・セレナードK.320(1779)の複数の管楽器をソロ的に目立たせる用法が新しく、その第3楽章を聴いた。 

2、ウイーン時代 

 管楽アンサンブルが充実し、「ナハトムジーク」K.388(1782)や「グラン・パルティータ」K.361(1781)などの名曲を生み出した。一方、ピアノ協奏曲ではウイーン時代に入って、第15番変ロ長調K.450(1784)において、冒頭でオーボエ・ファゴットの管楽四重奏で開始するなど新しさが目立ち始めた。これは管パートと弦パートが初めて分離されたことを意味し、これにより管楽器に重要な楽想を割り振ることが可能になった。続く第17番ト長調K.453および第19番ヘ長調K.459の第2楽章で、木管楽器の細やかなアンサンブルが重要な役割を演じていた。ここでエレーヌ・グリモーの最近のCDによる第19番の第2楽章を聴いた。 

 雄弁になりつつある管楽器パートにクラリネットが加わってくる。第22番変ホ長調(1786)ではオーボエに変わって2本クラリネットが使われ、また第23番では「祝典セット」を外した編成で、クラリネットが活躍し始めた。さらに第24番ハ短調K.491(1786)ではオーボエとクラリネットが同時使用され、ピアノ協奏曲では最大の編成となり、その第2楽章のラルゲットでは、2つのエピソードでオーボエとクラリネットを対比させて、使用し、その効果を確かめている。 

 交響曲では第39番変ホ長調(1788)で、オーボエを省略して2クラリネットを採用し、メヌエットのトリオで素晴らしい効果を発揮させている。また、ト短調交響曲では、フルート1、オーボエ2、ホルン2の第1稿に対し、シュタードラーのために追加したとされるクラリネット追加版の第2稿がある。モーツァルトの意図を確かめるために、第1稿をプロムシュテット盤で、第2稿をジュリーニ盤で、比較して続けて聴いた。 

 晩年にクラリネットを活用した曲としては、五重奏曲K.581(1789)、協奏曲K.622(1791)、「コジ・ファン・トゥッテ」K.588(1790)などがある。 

 最後のピアノ協奏曲第27番変ロ長調K.595(1791)は、第25番K.503(1786)、第26番K.537(1788)とともに、クラリネットを使用していないが、管楽器アンサンブルとピアノの対話は一層親密になっており、その一例として、最後に第27番の第3楽章をピリスとアバドによる最新のCDを聴いて、結びとなった。 

 弦楽器がグループであるに対し、管楽器は基本的にひとり1パートである。そのため、そのアンサンブルは異なる音色を持った個が参加する社交的会話の趣を呈する。後期のピアノ協奏曲では、ピアノと管楽器の対話が随所に自然に現れる。その音色の暖かさに、モーツァルトの限りない魅力があると、先生は結ばれた。非常に内容の豊富な先生ならではのお話であった。(2012/12/21、文責:倉島) 

 

 

 

●情報コーナー

CD情報(外盤価格はHMVの一般価格)  ★こちらからどうぞ(T) 

 

 

 

●例会・懇親会 写真コーナー

  懇親会は、お茶の水のいつもの場所。趣旨に賛同する有志一同で、講師の礒山先生を中心にビールで乾杯後、楽しく懇親が行われた。先生は最初に会員の席にビールを次いで廻るなど、格段のサービスをして下さった。今日の先生のお話は、日頃、会員間でも話題になることが多く、それをキチンと整理して下さり、立派な資料を作って下さったので、とても参考になった。例会も、懇親会においても、皆さん元気いっぱい、話題も豊富で、楽しい賑やかなひとときを過ごすことが出来た。

   写真担当から一言お詫び。今回は写真係が講演録の書記をかねたため、講演中の礒山先生の顔写真を取り忘れてしまいましたので、ここに深くお詫び申し上げます。
   なお、写真を削除して欲しい方がおられたら、直ぐに担当宛てメールして頂くか、電話でもよいので、いつでも連絡して欲しいと思います。削除するのは実に簡単なので、作業は直ぐ実施します。

     なお、写真が欲しい方は、原版はHP担当の倉島が全て保管していますので、例えば、懇親会4列の右側の写真の場合は、例えば、上から4・右と言うように写真を特定して、下記にメールしていただければ、次回例会までにお届けするようにしたします。ただし、恐縮ですが、Lサイズで30円/枚のご負担をお願い致します。

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